第1作は劇場公開を見逃してしまったのだが,BS放送でチェックした際,その迂闊さを悔やんだものだった。英国紳士が備えるべき礼儀正しさ,正義を希求する心,勇気と愛情,そのすべてを兼ね備える完璧なモデルは,実はロンドン生まれの人間ではなく,ペルーからやって来た1匹の幼い熊だった,という寓話が,ほぼ完璧に映像化されているのを目の当たりにして,液晶画面に向かって一人拍手をしたものだった。
フライヤーにも描か . . . 本文を読む
のっけからヒロインらしき少女が大量に喀血するわ,どこから見ても40代にしか見えない長塚圭史がニヒルな学生役でちゃっかりと教室に居座っているかと思えば,さっさと教室から出て行くわ,昨今の禁煙ブームなどどこ吹く風とばかりにみんな気持ちよさそうに煙草を吸うわ,あれあれこれが「余命宣告」を受けた80歳に手が届こうかという映画監督の作品かと驚いているうちに,あっと言う間に時間が過ぎていく。きちんと体裁を整え . . . 本文を読む
今回の主役の一人と言っても良いマーク・ストロング扮するマーリンが口にする「ジョン・デンバーが好きなんだ」というセリフが,シリーズ2作目となる「キングスマン:ゴールデン・サークル」の空気感を象徴している。どこから見ても隙のない英国紳士が,実はアメリカを代表するフォーク(カントリー)・シンガーでありながら,一見英国流の「粋」とはほど遠い存在と思われるデンバーがフェイバリットだった,という,喜劇には必須 . . . 本文を読む
「バーフバリ 伝説誕生」に続く続編,と聞いて,劇場に出掛ける前に慌てて,以前に録画しておいた前編を観た。何もかもが,ひたすら濃かった。あらゆる登場人物の顔と微妙なニュアンスなど知ったことかと言わんばかりの大げさな表情,お約束の歌と踊り,完膚なきまでに相手を叩き潰す復讐描写,サム・ペキンパーが生きていたら何と言ったか感想を聞きたくなるくらいに多用されるハイスピード(スローモーション)撮影によるアクシ . . . 本文を読む
世の中に大勢いるらしい「マニア」の皆さんには怒られそうだが,シリーズ8作目(スピン・オフを入れると実写版は9作目)ともなると,どんなに登場人物が生死を賭けた熾烈な戦いを繰り広げようとも,明暗どっち側の世界で生きていこうか若者が悩もうと,全編にほとんど「007」や「男はつらいよ」的なマンネリ感が漂っていることを認めない訳には行かない。どこかで観たような風景,観たような人々(何度も出てくる人やロボット . . . 本文を読む