東野圭吾原作のTBS新作ドラマ「新参者」が叩き出した初回視聴率「21.0%」という数字は,関係者にとっては想定内の数字だったのかもしれないが,今シーズンの新作の中ではダントツのロケット・スタートとなった。20%という高いラインを越える作品を「JIN」以来2季振りに送り出したTBSの高笑いが聞こえるようだ。
放映前はベストセラー作家の新作のドラマ化という話題が先行していたが,阿部寛のキャラクターを . . . 本文を読む
「文明批評」というような巨視的な視点で語られることは多かったSF映画だが,人種差別,難民,経済格差といった,より身近で具体的な社会派的視点を,ここまでリアルな形で持ち込んだ例は初めてではないだろうか。しかもアクションとしても,コメディとしても,人間ドラマとしても1級品となると,空前(絶後とは言えないけれど)と言っても良いだろう。監督のニール・ブロムカンプは,巻き込まれ型サスペンスのフォーマットをう . . . 本文を読む
確かに顔が小さくて,測ってみれば八頭身なのかもしれない。でもあどけなくはあっても,そもそも「表情」に現れる「感情」というものが,あるのかないのか定かではなかった小西真奈美。
しかし緒方明の「のんちゃんのり弁」の中盤で,突如料理に自らが進むべき道を見出したヒロインの小巻(小西真奈美)が,岸部一徳演ずる居酒屋の主人に向かって自分の決意を絶叫するシーンには,確かに映画女優がいた。
原作は人気コミックと . . . 本文を読む
渡り鳥が専門だった子供嫌いの研究者が,虐待を受けている7歳の女児を「誘拐」して逃避行に出る。坂元祐二がお茶の間には随分と重いと思われるストーリーに挑んだ日本テレビの新作は,北海道ロケの効果もあり,見応え充分の滑り出しとなった。
母親とその恋人らしい男が子供に暴力を振るう場面を直接見せずに,「虐待」をこれだけ悲惨に描いて見せた演出力と脚本にまず敬意を表したい。台詞は勿論だが,しっかりと「絵」で見せ . . . 本文を読む
製作に父親のアイヴァンと共に名前を連ねた監督のジェイソン・ライトマンは,どんな物語を紡いでも決して重たくならない,という点で,父親の美点を確実に受け継いでいる作家だ。問題は重たくならずに,深く対象を抉れるか,ということになるのだが,最新作の「マイレージ・マイライフ」を観る限りその点での深化も著しいようだ。様々なジャンルに挑み,それぞれで高いレヴェルの実績を残してきたジョージ・クルーニーの最良の部分 . . . 本文を読む
当初は昇格争いにおける前半の山場と見られていた柏戦だが,ここまでの戦い振りから「昇格争い」そのものに参入する資格があるかどうかを見極める,より重要な試合になってしまった第6節。結果は予想通りの展開になりながらも,強豪相手に時折札幌が見せる「守備に関する集中力」を遺憾なく発揮して,柏の圧倒的なボール支配率をひっくり返すような結果を手にした。
柏は,試合開始直後は早めにトップにくさびを入れたり,サイ . . . 本文を読む
ダスティン・ホフマンには申し訳ないが,彼の顔を観る度に思うのは,マイク・ニコルズの「卒業」でデビューした時の役柄であるベンジャミンが,あのまま年を取っていたら今どこで何をしているのだろうか,ということだ。「クレイマー,クレイマー」を観ながら,「ミセス・ロビンソン」の夫から「プラスティック」への投資を薦められたベンジャミンが,最終的にそれを実行に移したのかどうかと考えることは,ロバート・ベントンにも . . . 本文を読む
これは凄い。「品格」とか「中庸」とか「バランス」といった言葉や概念を蹴飛ばし,ただひたすら「有名になること」を目指して無表情で突っ走るサシャ・バロン・コーエンの姿は,21世紀の孤高のヒーロー(見方によっては「ヒロイン」かもしれないけれど…)として美しく光り輝いている。たった80分という上映時間ながら,詰め込まれた批評精神の総量に対抗するためには,観客にも全エネルギーを出し切る覚悟が必要だ。その点を . . . 本文を読む
2010年冬シーズンのドラマは一部の鉄板ものを除き,おしなべて不調のまま終わりを告げる中,2クルーに亘って放映されたフジの「不毛地帯」も大団円を迎えた。
最終回にしてとうとう15%の大台に届いたが,今クールの平均視聴率は前期のそれを若干上回る11.93%を記録し,尻上がりに数字を伸ばしたと言っても良い結果となった。
全体を通して見ると航空機から原油まで,どのエピソードも日本の高度成長期の勢いを感 . . . 本文を読む