「フランシス・ハ」や「20センチュリー・ウーマン」でのエッジの効いた演技が印象深かったグレタ・ガーウィグが,脚本を書き自らメガホンを取った「レディ・バード」は,私が密かに「21世紀のメリル・ストリープ」と呼んでいるシアーシャ・ローナンの陰影の深い演技の助けを得て,見事な監督デビュー作となった。一見,パートナーであるノア・バームバックの作風と似ているように見えて,展開や編集のリズム感や軽やかさにおい . . . 本文を読む
敬愛する作家のひとりジム・ジャームッシュは,とてつもない傑作をものす一方で,平気で「 これ,どうしても撮りたかったんだね。 諒解です」という感想を観客に呟かせてしまうような作品群も,実は豊富に抱えている。その中間に位置する作品も幾つかあるが,ゾンビVS.田舎の凸凹三人組警察の,ゆるい死闘を描いた「デッド・ドント・ダイ」は,明らかに「撮りたかった。けど結果はね…」群に属する作品だ。
だが,ジャームッ . . . 本文を読む
営業が再開されたシアター・キノの座席は,報道通りに一つ空け。営業は大変だろうが,鑑賞環境は極上。ミニシアター対象のクラウド・ファンディングへの雀の涙ほどの寄付が,少しでも役に立ってくれていることを祈りながら,久しぶりの暗闇を堪能した。
物語はロンドンを引き払って40代で故郷に隠居したシェイクスピアが、亡き息子を偲んで自宅の敷地内に庭を作り始めるところから始まる。どうやら田舎まではその名声が届かな . . . 本文を読む