降格圏陥落寸前の札幌にとっては,残留争いでしのぎを削る相手との直接対決となった厚別初戦。緩慢な動きで主導権を取られながらも「交代選手の活躍」という,札幌には縁がないと思われたシナリオをものした,見事な逆転勝ちだった。
前半の札幌は,リーグ戦初勝利を目指してコンパクトな陣形でプレスを強めてきた仙台の攻撃にミスを連発。その勢いに押されたまま,守備の弱点である左サイドからクロスを入れられ,新入団の加藤 . . . 本文を読む
「まともじゃないのは君も一緒」
朝ドラ「おちょやん」では一向に輝けない成田凌。しかし本作では清原果耶のサポートを得て理系偏屈青年をのびのびと演じて楽しめる。絶賛されている杉咲花の良さがまったく分からない私だが,次の朝ドラのヒロインに選ばれた清原が,まさにこれぞスクリューボール・コメディと言えるテンポ感で物語を前に進める力には舌を巻いた。映画ではまったくその良さが出せなかった坂元裕二の「花束みたいな . . . 本文を読む
今年の新書大賞の第1位に輝いた若きマルクス研究者斎藤幸平の「人新世の『資本論』」は,経済成長と環境保全≒カーボン・ニュートラルが同時に実現できることを前提に提唱されているSDGsを「まやかし」と断じ,経済デカップリングは不可能という条件の下で人類が生き残る術を熱く論じた,実に刺激的な本だった。今ドラマ版の「出会い系サイトで70人に実際に出会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年のこと」を観て . . . 本文を読む
朝鮮半島で生まれた女性が村にやって来た青年と共に日本・大阪へと渡り,その子供たち共々差別や偏見と闘いながら生き抜いていく姿を描いたミン・ジン=リーの大河小説「パチンコ」は,物語が宿す力に国境はない,という当たり前のことを改めて思い知らされる力作だった。リー・アイザック=チョンの作品「ミナリ」もまた同様に,異国に活路を求めて海を渡った韓国の家族が苦難を乗り越えようと奮闘する姿を描いた物語だ。かつて故 . . . 本文を読む