自殺を図り昏睡状態に陥った恋人の淳美(綾瀬はるか)を助けるため,彼女の意識の中に入り込んだ浩市(佐藤健)が,漫画家だった彼女が描いていた,縛られた人間(死体)が実体化しているのを発見して驚くシーンが何度か挿入される。そのどれもが,品良く人を怖がらせることに関しては最上級のセンスを誇る,黒沢清の「ホラー作家」としての面目躍如たるシークエンスだ。
しかし,硬直した「つくりもの」の画面が連続する展開が, . . . 本文を読む
80代を目前にしながら,相変わらず恋愛にこだわり,つまずいては立ち上がる男女を描き続けるウディ・アレンの新作の舞台は,欧州観光都市転戦シリーズ4箇所目となる「ローマ」だった。
しかも作品のスタイルとして選んだのが,1960年代のイタリアで突如として花開き,フェリーニやデ・シーカ,ヴィスコンティなどの巨匠もチャレンジした「オムニバス」形式というところが,いかにもシニカルな趣味人アレンらしい。
ロー . . . 本文を読む
日本の最初の選手交替が,攻撃的な選手ではなく,センターバックの「栗原」だと知った時,嫌な予感がした。既に相当鈍くなっていた選手たちの脚が,「ザッケローニの選択はこのまま逃げ切りを図ることだ」と選手たちが理解した瞬間に,より一層止まる危険性が高まったからだ。
スコアレスのままドローを狙う,という消極的な戦法も,W杯予選という結果のみを求められる試合においては,監督の選択肢の中にあるのは当然だ。だが, . . . 本文を読む