300万部を超えるベストセラーとなっているという,デス・メタルを題材にしたコミックを映画化した李闘士男監督作品。
原作の人気に加え,変幻自在の自然体演技で,ただ今絶好調の松山ケンイチを主役に迎えたこともあって,映画の方も既に興行収入が20億円を越える大ヒットとなったようだ。正に,邦画の圧勝に終わった夏映画レースの象徴とも言える1本だが,残念ながら私は大倉孝二や岡田義徳が扮する,DMC(デトロイト・ . . . 本文を読む
スティーブン・キングの原作は,確か扶桑社から出ていたアンソロジーに収められていたはずだが,巧みな設定と救いのないラストが印象的な傑作だった。
これまでキングが持つ様々な側面のうち,温かなヒューマニズムを代表する作品を2度に亘って映像化してきたフランク・ダラボンが,3度目のチャレンジにこの作品を選んだと聞いた時には,多少の違和感があった。仮に,先行する2作のテイストの延長上で,可能な限り上品に撮った . . . 本文を読む
先週までに殆どのドラマが最終回を迎え,顔の区別の付かないタレントとお笑い芸人を大量に消費すべく,ずらりと並んだヴァラエティ番組の異常繁殖と共に,TVドラマ界の夏シーズンも幕を閉じようとしている。
目玉と言える作品がなかったシーズンを,何とか引っ張っていってくれるものと期待をかけた「ゴンゾウ」だったが,最終回は犯人と大塚寧々との関係が,強引な辻褄合わせという感じにしか見えず,余韻が漂わない幕切れと . . . 本文を読む
日本から3チームが決勝トーナメントに進出し,日本チーム同士の決勝戦も夢ではないという状況になっている,今年のアジア・チャンピオンズ・リーグ(ACL)。
3チームのうち,唯一国内での開幕となった鹿島は,元広島のヴィドマー率いるアデレードとホーム戦を行い,辛うじて引き分けた。しかし内容的には明るい要素はなく,1週間後にアウェイで行われる試合では,得点がなければ相手の得点の有無に関わらず,その時点で敗退 . . . 本文を読む
その昔(ウィキペディアで調べたら1991年の刊行となっていた),「ウルトラマン研究序説」という本があった。ウルトラマンが怪獣との対決に際して壊した建物を,ハヤタ隊員は賠償すべき義務を負うのか否か。はたまた,ウルトラマンに倒された怪獣の死体は,一体誰が片付けるべきなのか。等々の疑問に,当時の若手の学者が学術的に取り組んだ本で,高校の同級生が著者グループの一人だったこともあって当時は興味深く読んだこと . . . 本文を読む
こんなに暗くて,重くて,カタルシスからは遙かに離れたところで屹立しているような作品が,米国で「スター・ウォーズ」も「パイレーツ・オブ・カリビアン」も蹴散らして,あの「タイタニック」に次ぐ興行収入を上げているなんて,俄には信じられなかった。
一方で,これだけ高い志を持ち,絶対的な悪を前にした正義の脆弱さという難しいテーマを,周到に考えられたストーリーと卓越した映像感覚,確かな演技のアンサンブルによっ . . . 本文を読む
これまでの人生で全く縁がなかった性産業に足を踏み入れることを躊躇いながらも,コーヒー・ショップで足を止め,「愛する人のためならば,私はどこまで出来るのか?」と自問する60代の主婦マギー(マリアンヌ・フェイスフル)を捉えたショットこそ,この映画の生命線となったはずだ。しかしこれが2作目だという監督のサム・ガルバルスキは,この大事なショットをあっさりと終わらせ,セックス・ショップに向かって歩を進めるマ . . . 本文を読む
1970年代後半から80年代初頭にかけて,シンセサイザーとシーケンサー(プログラムによって音源を鳴らす制御装置)が急激に発展・普及したことに伴って,男性キーボーディストが作るダンスビートにソウルフルな女性ヴォーカルが乗っかる,という音楽スタイルの男女二人組が,洋の東西を問わずポピュラーな形態となってどっと登場してきた。
1980年代初頭に世界中を席巻したユーリズミックスしかり,文字通りワン&オンリ . . . 本文を読む
聴きはじめたのは今年の春先なので,新作として感想を記しておく時機はとうに失してしまったのだが,近年これだけ充実したデビュー作はそうはなかったと思われるくらい入れ込んでいる。半年を経過しても新鮮さは失われず,馴染んだメロディの楽しさはいや増すばかり。紹介してくれた二男への借りが,またひとつ増えてしまった。
コロンビア大学の4人が結成したマッシュ・アップ・バンド。アフロ・ビートをモチーフにした曲が多 . . . 本文を読む