監督のアーマンド・イアヌッチの前作「スターリンの送葬狂騒曲」は,ドタバタのツボが私のものとは若干ずれていて,残念ながら世評ほどには笑えなかった。けれどもチャールズ・ディケンズの「デヴィッド・コパーフィールド」の映画化である新作「どん底作家に幸あれ!」は,あからさまなコメディという枠を外れたことによって獲得した自由度とキャスティングの妙が相乗効果を生み,前作の倍くらい笑えた。つんとすました大英帝国の . . . 本文を読む
フライヤーでは主人公を「70歳のクロード」と紹介しているが,何処からどう見ても70歳には見えない,実際には84歳のブルース・ダーンが実年齢そのままの地で演じて,まんまと観客の涙腺を崩壊させる。2019年制作の「43年後のアイ・ラヴ・ユー」は,ブルースの俳優歴で言うと1976年の「ファミリー・プロット」から「ブラック・サンデー」,「帰郷」という,ブルースにとってのいわば黄金時代の出来事のその後を描い . . . 本文を読む
映画の勃興期を担っていたのは女性たちで,「映画」が産業として有望だということが明確になった後に男性たちが乗り込んできた,と語る歴史研究家の言葉が,本作の底を流れるスピリットを象徴している。歴代のスタントウーマンたちは,出演する作品の中で女性たちに襲いかかる敵や災厄と同時に,アクションは男のもの,というハリウッドに蔓延る古びた固定観念とも闘ってきたという歴史を取り上げた「スタントウーマン ハリウッド . . . 本文を読む
芸能ネタには詳しくないため,能年玲奈がNHKの朝ドラ「あまちゃん」でブレイクした2013年からこの作品まで,ほぼ7年に亘って(声優やCMを中心とした一部の活動を除いて)表舞台で主役を張ることが叶わなかった理由や改名に至った経緯はよく知らない。けれども大九明子が「勝手にふるえてろ」から「美人が婚活してみたら」と「甘いお酒でうがい(未見)」を挟んで発表した若い女性の本音吐露シリーズ(と勝手に命名)の最 . . . 本文を読む
2020年のレコード大賞には「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の主題歌「炎」が選ばれた。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために劇場の入場制限があったにも拘わらず,興行収入で「千と千尋の神隠し」を抜いたモンスター作品の主題歌が2020年の代表曲となったことは,まさにCOVID-19に翻弄された年を象徴する出来事だろう。テレビ版にトライしたものの,折り返しで挫折してしまい,いまだ劇場版を鑑賞していない . . . 本文を読む