嘘と現実の境界をたゆたうような物語によって,独自の世界を切り拓いてきた西川美和が,松たか子という「伴侶」を得てガチンコ勝負に出た,という印象だ。
松の夫役に阿部サダヲを起用したこともあり,田中麗奈を電話で騙すシーンに代表されるようなシニカルな笑いの連続によって,コメディとしての側面に囚われそうにもなるが,終盤に突入する情念が渦巻くドロドロした展開は,キャスリン・ビグローが撮るアクションにも匹敵する . . . 本文を読む
話題の女優,沢尻エリカをこれまでスクリーンで観たことはなかった。デビュー当初にTVドラマの難病ものに出ていたのを拾い見していたくらいで,私の印象は絶世の美少女ではあるのだろうが,女優としてはこじんまりとまとまった標準レベル,という程度のものだった。TV放送された「パッチギ!」を観た時も,世評ほどに才能があるという感想は浮かばなかった。だから,例の映画の公開挨拶における「別に…」発言でワイドショーを . . . 本文を読む
ティム・バートンとマイケル・キートンという,今から見たら「何故?」と首を傾げたくなるようコンビから始まり,途中ジョエル・シューマッカーとジョージ・クルーニーという,これまた適性という点では微妙なチームを挟んだ後,クリストファー・ノーランとクリスチャン・ベール(ブルース・ウェイン=バットマン)の現コンビに落ち着いて早3作目。コミックの映画化という出自にも拘わらず,映像に注ぎ込まれた膨大なエネルギーと . . . 本文を読む
イタリアの才人ナンニ・モレッティの新作は「ローマ法王の休日」。そう,邦題は紛れもなくあのウィリアム・ワイラーとオードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペックが,赤狩りにあったドルトン・トランボが変名で書いた脚本の元に集結して作り上げた,ユーロ危機も首相のスキャンダルもなかった(しかしパパラッチだけは存在していた)古き佳き時代のローマを永遠にスクリーンに留めた「ローマの休日」のパクリだ。
あのフィルム . . . 本文を読む
前半終了間際にカウンターから右サイドを破られ,相手の左のサイドネットを狙って放たれたミドルシュートを反応良く防いだ川島が,今日のMVPだ。
もしもあれを入れられていたら,今日の日本のコンビネーションでは,あの後に勝ち点3を奪うためのアイデアが生まれていたとは考えにくい。
消化試合が他の国よりも1試合多い日本が,一足先に勝ち点合計で二桁(10点)の大台に乗せるか,8で留まるか,その差は実質的な2点で . . . 本文を読む
地元チームの1/4くらいの人数ながら,ホームチームへの声援を凌駕していたアウェー席のオレンジ色が,やけに眩しかった。
ボールの支配率は42%。シュート数は90分で6本。攻撃の中心となるべきハモンは,後半30分に2枚目のイエローカードを貰って退場。
そんなスタッツを並べただけでおよその見当は付くと思われるが,それにしても酷い内容だった。
残り11試合となった現時点で,その残り全てを勝たなくては残留は . . . 本文を読む