「仕事」をメインに据えたドラマ群の中では,弁護士ものと並んで常に牽引力を発揮してきた医療ものの今期は,シリーズもの1作と,医療もののスピンオフとも言える獣医もの1作。どちらもコミックを原作としており,ドラマ・オリジナルの脚本がないのは多少残念ではあるが,双方共にここまで好調に数字を取ってきており,「医療もの=鉄板」というドラマ界の常識は,スタッフ・キャストの努力によって死守されているようだ。
シ . . . 本文を読む
ぱっと見のイケてなさ加減では空前絶後の俳優(ダニー・トレホ)が,妻を殺されたことに対する復讐の怨念はどこへやら,次から次へと美女をものにし,かつてハリウッドを代表するヒーローだった俳優二人を軽くあしらって,美女を従え闇に消える。ロバート・ロドリゲスがクウェンティン・タランティーノと仕掛けたグラインド・ハウス・シリーズから生まれた,一風変わったスピン・オフだ。しかしこの作品が持つ猥雑な面白さは,本家 . . . 本文を読む
コンサドーレ札幌のホームゲームで配られるマッチデープログラムの表紙を飾った選手が,当日の試合で活躍をした例は,私が記憶する限りにおいては非常に少なかったのだが,今日はこの試合の「顔」となった西嶋が見事に決勝点を決めてくれた。
この試合のMVPにも選ばれた西嶋選手は,試合後のインタビューで「今シーズンは不甲斐ない成績で申し訳ない」と,ファンに対して涙ながらに謝罪の言葉を語っていた。その言葉を聞いて, . . . 本文を読む
1950年代のハリウッドを支えた3人の女優,オードリー・ヘップバーン,マリリン・モンロー,そしてエリザベス・テイラーの年代記を並列したノンフィクション。
ドル箱スターとしての価値,奔放な私生活,そして映画というメディアに与えた影響の大きさという点で,「大」よりも「怪物」という形容詞の方が相応しいと思われる3人の女優が,基本的には交わることなく,しかし常に互いを意識しながら生きた1950年代という時 . . . 本文を読む
スティーグ・ラーソンが作り上げたリスベット・サランデルという新しいヒロインを巡るサーガの完結編。第1作と比べて第2作のレヴェル・ダウンが著しかったのだが,こうして第3作を観終えた今感じるのは,第2作と第3作はどうやら一つの作品の前後編として作られたのではないかということだ。最初から2作品を通して観れば,第2作は第3作の前段として,それなりに機能していたように思えたかもしれない。
長編を構成する形式 . . . 本文を読む
ジャン=ピエール・ジュネのチームの一員で,最新作の「ミック・マック」では,母親のような優しさに溢れた料理番を演じたヨランド・モローが,圧倒的な存在感で126分間を支配する。この作品が,自然を愛し,神を信じ,絵画に命を捧げた名もなき芸術家の生涯,と聞いて即座に想像するような重さから逃れ得たのは,ひとえに彼女が仏頂面で醸し出す独特のユーモアとリズム感に溢れた演技のおかげだ。
モローの想像力と知性がなけ . . . 本文を読む
最初はアンチ・エイジング化粧品のセールス・レディのお話か何かかと思った。やがてタイトルには「コエンザイム」という接頭辞がついておらず,佐藤健と前田敦子という当代きっての売れっ子二人が組んだ青春ドラマだと判明したのだが,どちらにしてもおじさんが入り込む余地はないものと怖じ気づいていた。しかし初回を観て先入観の弊害というものについて改めて思いを致し,猛省した。
脚本が「セクシーボイス・アンド・ロボ」 . . . 本文を読む
今週,今期限りでの退団を発表したばかりの砂川が後半途中から出場し,「これがプロフェッショナルだ」ということを,12,656人の観客と来季もチームに残るであろうコンサの選手達に見せてくれた。この時期の恒例となってしまった消化試合が,チームを去るヴェテランの奮闘のおかげで,サポーターの記憶に残る試合となった。砂川には心からのお礼と労いの言葉を贈りたい。
後半の42分だった。前節で今年の昇格が消えたチ . . . 本文を読む
多作で鳴らす三池崇史の作品をすべてチェックしている訳ではないので,あまり偉そうなことは言えないのだが,これまで観た作品の中では「常識や想像を超えたもの」の恐怖を描いたホラー映画「オーディション」が圧倒的だった。観るものを生理的に追い詰める「動く袋」を捉えたショットは,並のホラー映画が裸足で逃げ出す恐ろしさだった。
東映の往年の傑作といわれる工藤栄一の旧作(残念ながら未見)のリメイクである本作の冒頭 . . . 本文を読む