ABBAほど「世界を席巻した」という大仰な宣伝文句が似合うグループは,他にないだろう。私が小学生の時,鄙びたポップス「木枯らしの少女」がラジオのリクエスト番組にかかっていたスウェーデンのデュオ「ビヨルン&ベニー」が,いつの間にやらそれぞれのパートナーと共に4人組として再デビューしたのが1973年。
それから36年。シドニー・オリンピックの閉会式で,英国で活躍する豪州人のカイリー・ミノーグが彼らの「 . . . 本文を読む
昔からエドワード・ズウィックという監督が苦手だった。日本の江戸末期を舞台にした「ラスト・サムライ」は判官贔屓もあって全然駄目とは思えなかったが,「レジェンド・オブ・フォール」は大袈裟,「マーシャル・ロー」は構えが大きなだけの写真としか思えなかった。初めてデンゼル・ワシントンを見た「グローリー」は少し違ったかもしれない。20年前の作品なので,細かな部分は余り覚えていないけれど。
雄大な自然をスクリ . . . 本文を読む
輸入盤店で,ブリューゲルの名画「ネーデルランドの諺」を用いたCDジャケットを眼にして以来,ずっと気になっていたアルバム。
日本盤が出る気配はなく,試聴する機会も持てないまま数ヶ月。たまたま覗いたAMAZONで廉価になっていたのを見て,サブ・ポップというレーベル名とジャケットだけを頼りに,結局中身を確認しないまま購入したのだが,「たまにはこういうこともあるもんだ」的な当たりとなった。
シアトル出身 . . . 本文を読む
運命的な出会いで結ばれた男女が,人生で一度きりの劇的な高揚から,一見平坦で果てしなく続くように見える日常にその舞台を移した時に,一体何が起こるのか。
観るものの大多数は,「タイタニック」で海に沈んだジャック(レオナルド・ディカプリオ)がもしも助かって,ローズ(ケイト・ウィンスレット)と二人で結婚生活を営んだとしたら,という仮定の延長上で起こるドラマを想像するはずだ。
御丁寧に同作でジャックを助けた . . . 本文を読む
随分と前からマスコミが盛んに「天下分け目の大勝負」と盛り上げていた一戦だったが,勝ち点で3位以下のチームに3差(オーストラリアに至っては5差!)を付けている2チームの争いだけに,仮に負けてもまだ黄信号が点灯する訳ではなく,せいぜい青信号が点滅を始めるくらいの緊迫度しかないだろうと私は考えていたのだが,今日までそういった論調の記事は殆ど見られなかった。
しかしそんな捉え方が決して特異なものではなか . . . 本文を読む
(承前)
主人公が謎を秘め,ひょっとすると悪役かもしれない,という設定に新鮮さを感じて初回はチェックしたが,台詞のあまりの陳腐さと役者の大仰な演技に,すぐに止めてしまったのが「神の雫」と同時間帯に放送されている「トライアングル」だ。江口洋介,佐々木蔵之介,谷原章介,広末涼子,相武紗季に堺雅人etc。更に関西テレビ開局50周年記念番組ということで,TBS「華麗なる一族」に負けじと北大路欣也まで動員し . . . 本文を読む
(承前)
先週までの平均視聴率を見ると,最高は若手の注目株を揃えた月9の「ヴォイス」。生きている患者を救うという,一般的な医療ものが姿を見せなかったシーズンだが,法医学というこれまでありそうでなかった分野に着目し,大森一樹の往年の傑作「ヒポクラテスたち」を彷彿とさせる医学生群像劇とした仕立てが,功を奏しているようだ。
これまでのところは,一途に真実を希求する繊細な医学生加地役に,連ドラ初主演の瑛太 . . . 本文を読む