子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

映画「ソーセージ・パーティー」:「R15+のアニメ」という難しい選択

2016年11月27日 10時14分53秒 | 映画(新作レヴュー)
その昔,手塚治虫御大がご存命中に,虫プロの制作で「アニメラマ」と銘打った成人向けのアニメーション映画が3本公開された。御大は主に「制作総指揮」や「原案」という立場で関わっていたため,厳密に「手塚治虫作品」と言えるかどうかは微妙なところだが,「クレオパトラ」や「千夜一夜物語」といった題材を手塚流に翻案した作品の新聞広告を見て,子供心に「エッチなアニメを観に行くエッチな大人」などいるのだろうか,という . . . 本文を読む

2016年J2リーグ第42節 札幌 VS 金沢【0:0】

2016年11月20日 17時55分10秒 | 映画(新作レヴュー)
8月の熊本戦のレビューで「一番不気味な清水とは勝ち点差が15開いてはいるが,このままでは心配」と予言したとおり,走れない(走らない)サッカーを修正することが出来ずに,下位チームに取りこぼし続けていた札幌だったが,とうとう最終節でJ2の優勝と昇格を同時に決めた。 苦節5年振りのJ1復帰ということで本来なら,どんな試合展開やサッカーの内容であったとしても,選手を含む関係者の健闘を言祝ぎたい気持ちだっ . . . 本文を読む

映画「SCOOP!」:大根仁VS福山雅治

2016年11月19日 17時12分32秒 | 映画(新作レヴュー)
主にマスコミ関係の業界あるあるネタを巧みに使いながら,音楽と映像の親和性を拡大する方向で若者の成長物語を描いてきた大根仁が,新作で福山雅治にあてがったキャラクターは,福山自身が長年対峙してきたと思しき「パパラッチ」だった。長年完全無欠のパフォーマーとして絶大な人気を誇ってきた福山が,どんな思いで「スクープ狙いの露悪的なカメラマン」という,一見彼のキャラクターからは最も遠いように思われる役柄を選んだ . . . 本文を読む

映画「湯を沸かすほどの熱い愛」:病気もスクープも燃料にしてしまう肝っ玉母さん

2016年11月13日 12時25分30秒 | 映画(新作レヴュー)
フライヤーの宣伝文句に「想像もつかない驚きのラスト」とあったので,風呂を沸かすための薪の代わりに,余命2ヶ月と宣告された自らの身体を釜に投げ込むのか?それなら確かに「驚きだ!」と思っていたのだが,勿論そんなことはなかった。 中野量太監督の商業映画デビュー作は,宮沢りえの演技的な重量感が全編を支配する,実にオーソドックスな「余命もの」だった。 夫は謎の失踪,娘は学校でいじめを受け,家業の銭湯は休止 . . . 本文を読む

映画「手紙は憶えている」:一通の手紙が手繰り寄せる奇跡

2016年11月05日 12時33分15秒 | 映画(新作レヴュー)
黒澤明作品で知られる橋本忍が語った「映画は脚本だ」という言葉を思い出した。ラストで待ち構えるどんでん返しは「ユージュアル・サスペクツ」の衝撃度をも凌ぐと言って良いだろう。 アトム・エゴヤンがずっと拘ってきた「歴史を見据えるアティテュード」という大きなテーマをロードムービーのスタイルを纏い,名優たちの威厳ある演技によって立体化した,まれに見る傑作だ。 妻を亡くしながら,その事実さえ忘れてしまう程認 . . . 本文を読む

映画「エル・クラン」:「家業」としての誘拐実録もの

2016年11月04日 23時39分15秒 | 映画(新作レヴュー)
前回のW杯での活躍で初めて知ったのだが,アルゼンチンにおけるラグビー人気の高さと強さというのは,30年近く前から現在までずっと続いてきているようだ。 その事実を知ると,本作で描かれた「ラグビー代表選手が誘拐犯罪に絡んでいた」というスクープが,アルゼンチン国内で当時どれだけ大きな反響を呼んだのか,想像が膨らむ。「父の期待と子供の希望のギャップ」というモチーフが,衝撃的なラストシーンを持ち出すまでもな . . . 本文を読む