「スポットライト 世紀のスクープ」や「バイス」,「記者たち」など,現代アメリカ政治に材を得たハリウッド産の政治スリラー&コメディが次々に公開される状況に,「腐っても鯛」という言葉でアメリカ文化に息づくジャーナリズム精神を讃えていたら,こんなど真ん中の直球=「新聞記者」に足元をすくわれてしまった。今や菅官房長官の唯一の天敵といっても良いであろう,東京新聞望月衣塑子記者の同名著書にインスパイアされた形 . . . 本文を読む
5月の連休に「ゴジラ」を札響の生演奏で鑑賞するイベントがあり,久しぶりにオリジナル東宝版の初代作品を堪能した。太平洋戦争の記憶がまだ生々しく残る1954年という制作年を強く意識させる描写は勿論のこと,脚本に美術,半ば主役とも言える音楽も含めて,細部まで丁寧に練られたプロダクションは,明らかに大人を対象にした「ホラー作品」を意識したものだということを改めて感じさせられた。
そのイベントから間髪入れず . . . 本文を読む
噂ばかりが耳に入ってきて,観たいと思いながら願い叶わず幾年月。本当はタイトル通りに「まぼろし」であり,実際には存在しない作品だったのではないかと思っていたところで,まさかの「4K修復版」の噂が。東京では既に公開されながらも札幌でこういう作品をかけてくれる可能性のある二つの劇場の内,一方の雄だったスガイが閉館した状況で,果たして残るもう一館がやってくれるかどうか,固唾をのんで見守っていたところ,見事 . . . 本文を読む
巨大なスーパーマーケットの通路を多くのフォークリフトが走り回るオープニングは,スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」の宇宙船を捉えたプロローグに似て,やや興ざめだったのだが,本編が始まってショットがフィックスになったと同時に映画は本来のペースを取り戻す。ほとんど喋らない主人公(フランツ・ロゴフスキ)は,彼を取り巻く人々の計量器となって,彼らがそれぞれ抱える荷物の重さを量って回る。その重 . . . 本文を読む
近年のフランス映画には「パリ20区,僕らのクラス」や「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」のように,学校教育の実態にドキュメンタリー的な手法で迫った秀作が幾つもある。その多くに共通するのは,都市部やその郊外に住む難民が増えてきたことにより,中学や高校で極めて基礎的な国語教育から始めなければならなくなった状況を,時間をかけてじっくりと捉える姿勢だ。ジャーナリストとしてキャリアを積んできたオリヴィエ・アヤシ . . . 本文を読む
3試合無得点で勝利なし。明らかに4月上旬の暗闇状態に戻りつつあった札幌を救ったのは,得点を挙げた早坂以上に,広島の慎重な試合運びだった。
ライジングスター森島を警戒していたのだが,それ以上に切れ味が鋭かった左サイドの柏に集中的にボールを集められ,気持ち良いくらいに何度もドリブルとパスで決定機を作られたのは後半の半ばを過ぎてから。もしも最初から積極的に柏を活かす攻撃をされていたら,試合の趨勢は間違い . . . 本文を読む