1970年代にハリウッドに起こったブームのひとつに「パニック映画」というジャンルがあった。「タワーリング・インフェルノ」や「ポセイドン・アドベンチャー」などは大仕掛けのセット撮影に加え,大スターの共演も話題を呼んで興行的にも好成績を上げた。そんな勢いを駆って作られた中には,ロサンゼルス地震を扱ったその名もずばり「大地震」という,身も蓋もない題名の作品もあった。「センサラウンド方式」と名付けられた極 . . . 本文を読む
ケイコ(岸井ゆきの)がトレーナーとパンチのコンビネーションを練習するシーンに圧倒される。トレーナーが順々に繰り出すパンチの種類と身体の動き=スウェーを無言で教えながら,徐々に二人のやり取りのスピードが上がっていく。それはやがてパンチの練習という枠を越えて,コミュニケーションに昇華していくダンスの様相を呈していく。フィルムで撮影された画面が持つ独特の「粒」感が,ケイコが発する汗を受けて温度と艶を増し . . . 本文を読む
今更ながらアニメーション作品が席巻する日本の興行事情を実感することとなった1年だった。全てのスクリーンに対するアニメ作品の占拠率がどのくらいなのかは分からないが,シネコンのロビーを埋め尽くす若い観客が,目当てのアニメ作品(プラス「トップガン マーヴェリック」も)の開場を告げるアナウンスと共に一斉に入り口へと移動していく光景は,社会がCOVID-19禍から脱出しつつあることを象徴するひとつと言えるも . . . 本文を読む