「ぐるりのこと。」から早7年。橋口亮輔監督の新作は公開後,キネマ旬報のベストテン第1位・監督賞・脚本賞,毎日映画コンクール日本映画大賞にヨコハマ映画祭監督賞をそれぞれ受賞し,まさに「絶賛の嵐」という言葉が相応しいような歓迎を受けている。
公開が年明けとなった札幌では,そういった高い評価を耳にしてからの鑑賞となったこともあり,公開初日の第1回目はほぼ満席。見たところ観客の年齢層も幅広く,インディペン . . . 本文を読む
SFやファンタジーから歴史物まで,実に幅広いスティーヴン・スピルバーグのフィルモグラフィーの中でも,第1次世界大戦を扱った「戦火の馬」から,冷戦真っ只中のアメリカとソ連の駆け引きを描いた本作まで,「戦争映画」にジャンル分けされる作品は実に6作を数える。その内容もリアルな戦闘シーンをフィーチャーしたビッグバジェットの作品から,銃弾が飛び交うことのない本作まで多岐に亘るが,共通しているのは,一人の二等 . . . 本文を読む
ピーター・ボグダノビッチ。フライヤーには「巨匠」という冠が付いているのだが,「ラスト・ショー」「おかしなおかしな大追跡」「ペーパー・ムーン」という映画史上に残る作品を30代前半に連発しながら,ほぼ40年以上に亘って「雌伏しっぱなし」という印象しかないシネアストが巨匠なら,堺正章はどうなるのかと思ってしまったりしたのだが,忘れた頃にやって来るのが天災と「マイ・ファニー・レディ」。ウェス・アンダーソン . . . 本文を読む
J.J.エイブラムスの監督作品の中で,これまで面白かったと思えたのは,往年の人気シリーズをリブートした「スター・トレック」の第1作ただ1本だけだった。
本作以前の4作の監督作品を含む数多くのフィルモグラフィーはいずれも,脚本を書いた「アルマゲドン」,製作に回った「ミッション・インポッシブル」シリーズや「クローバーフィールド」に代表される「ひたすら大きい」ことを目指した仕掛けが,本来なら主役であるは . . . 本文を読む
動きの速さというのは相対的なものだということが,この映画を観ているとよく分かる。出てくる俳優が殆ど老人なので,みんな動作が緩慢と言うか「ゆっくり」しているのだが,看護師や主人公の娘など,ごく少数の老人以外の登場人物が画面に現れるまで,彼らが皆「ゆっくり」と動いているということが意識されない。
同様にここで扱われる「どうやって死を迎えるか」というテーマも,登場人物(ほぼ)全員に差し迫った,というより . . . 本文を読む