早くも決勝トーナメント1回戦の半分が終わり,米国のドノヴァン流に言えば「まだ生き残っている」チームは,アルゼンチン,ガーナ,ウルグアイ,ドイツの4ヶ国。
今日から始まる反対の山からは,ヨーロッパのチームが2つ上がってくることが確定しているが,これを合わせてもベスト8のうち欧州組は,たったの3ヶ国に過ぎない。ベスト8のうち6つを,そしてベスト4は全て欧州勢が独占した前回の2006年ドイツ大会に比べる . . . 本文を読む
「天才 勝新太郎」(春日太一著,文春新書)には,当たり役である「座頭市」に魂を捧げ,芸術感の違いから黒澤明の「影武者」を途中で降板した,正に天才肌のクリエイターという勝新太郎のイメージを裏付けるエピソードが満載だ。特に役者として出演するだけでなく,自らが監督し,映像の殆ど全てをコントロールしていたと思しきTVシリーズの「座頭市」における完璧主義者振りには,文字通り圧倒される。実際そのTVシリーズに . . . 本文を読む
試合前には,まさかこんな展開になるとは思わなかった。デンマークのパスが,これまで日本がこなしてきた欧州のチームとの親善試合では見たこともないような速さと正確さでピッチを縦横無尽に駆け巡った最初の10分が過ぎた段階では,韓国がアルゼンチンに叩きのめされた試合が再現されるのか,とさえ思ってしまった。
しかし日本はそんな相手から3点を奪って,決勝トーナメント進出という「裏」の,そして「真」の目標を達成し . . . 本文を読む
デンマークの監督が「最初の決勝戦」と呼び,日本にとっては「正真正銘の決勝戦」と言える大一番がやってきた。
8年前の日韓大会の時に,トルシエはトルコとの決勝トーナメント1回戦に臨むに当たって「決勝トーナメント(を闘えること)はボーナスだ」と言ったが,今の日本が立っている場所は,その時の位置から殆ど変わっていない。W杯の決勝トーナメントに3度進出しているデンマークが,「日本与し易し」というニュアンスで . . . 本文を読む
世界ランキング3位対105位の対戦となれば,当然105位のチームは後ろに引いて,5バックの前に3ボランチでブロックを作って守りに入るのかと思われた。実況放送を行うことを決断した105位の国にとっては,仮に大量失点を喫した場合に,果たしてどう対処するかということが大きな問題になるのではないかと考えてしまったからだ。
しかしそんな勘ぐりは邪推で終わってしまった。北朝鮮はイタリアを撃破し,ポルトガルとま . . . 本文を読む
出来れば文字通りの「死闘」となることが確実な第3戦を見越して,2~3人の選手を温存しつつ,相手の持ち味を消すような上手い試合運びで勝ち点1を狙うような試合が理想だと思っていた。それは初戦に勝ったことで急激に沸騰した「打倒オランダ」の風潮を煽らず,一方では勝利の勢いを削がず,上手くやって欲しいという,中途半端と言われても仕方がない戦い方だ。
しかし試合が始まってみれば,メンバーはカメルーン戦と全く同 . . . 本文を読む
主審の精神状態がどんな状態だったのか,当然知る由もないが,イエローカード9枚が乱れ飛ぶような荒れた試合でなかったことは確かだ。前半途中で2枚のカードを貰ってしまったクローゼは,果たしてどんな気持ちでゲームの残りを見守っていたのだろうか。これまでのところ,審判の技術に疑問を抱く試合は殆どなかったのだが,欧州最高レヴェルの組み合わせで,そういう試合が出現してしまったのは,少し残念だった。
それでも1 . . . 本文を読む
「バロンドールの呪い」がかかっているはずのリオネル・メッシは,2試合を終えてまだ得点を取っていないにも拘わらず,既に確かな痕跡を南アフリカの大地に刻みつけたようだ。3点目と4点目に絡んだプレー,そして何よりも前半に見せた鮮やかな突破とそれに続くループシュートは,淡い期待を持って試合を見守っていたであろう韓国サポーターでさえをも惹き付けるような魅力的なものだった。試合を観た人間は誰もが,このレベルの . . . 本文を読む
ニッカンスポーツのサイトに「日本代表が勝つと予想した人は17%」という記事が載っていたが,私もそれ以外の83%の内の一人だった。しかも,4年前の初戦オーストラリア戦と同様に,日本が1点を先取して後半押し込まれるという展開となっただけに,「結局いつかは入れられる」と思いながら見ていた4分間のロスタイムは実に長かった。
それをしのぎきって,イタリアの十八番である「1対0」というスコアのままアウェーで勝 . . . 本文を読む
耳を聾するブブゼラの響きと,観客席を埋めた鮮やかな原色に彩られて,ついにW杯アフリカ大会が開幕した。
人類発祥の地とされる大陸で,あらゆるスポーツの中で最も多くの人々に愛されるサッカーのW杯が開かれることの意義は,極東の島国で想像するよりも遙かに大きいものがあるという感触が日に日に増してきている。古い世界(先進諸国)の歪みが顕著となった新しい世紀の始まりに,古くて新しい大陸(アフリカ,南米など)を . . . 本文を読む