「ウルトラ」シリーズが始まって45周年を記念して,北海道立旭川美術館で「ウルトラマン アート! 時代と創造 ウルトラマン&ウルトラセブン」展が開かれている。私のように,記念すべき第1シリーズの「ウルトラQ」で「円谷プロ」が描き出した,リアル・ワールドと異次元との境界が放つ危険な磁力の虜になってしまった人間にとっては堪らない企画だ。
展示はエントランス部,ウルトラマンやウルトラセブンを始めとする初 . . . 本文を読む
ジュンク堂で書店員として活躍されているエッセイスト,田口久美子さんが書いた「書店繁盛記」の中に,新規開店に向けて棚を作り上げていく作業が詳細に描かれた章がある。専門書に強いと定評のある同書店の看板を背負い,新しい店もそんな伝統を守りながら,競合他店に負けない書店とするべく,他店を偵察し,取次店と渡り合い,段ボールと格闘しながら棚を埋めていく様子は,書籍業界に疎い私にとっても実に興味深いものだった。 . . . 本文を読む
宮藤官九郎の笑いのツボと長瀬智也の長い手足がうまくはまって,毎週閉鎖的且つ濃密な笑いを届けてくれた「うぬぼれ刑事」が終わった。最終回は,うぬぼれ仲間全員がハーモニーを奏でながら,長瀬の決めのダンスを踊るというゴージャス(?)な締めで,楽しませてくれた。
NO.7に書いたように,「ドラマではなく,ただのコント」という評も目にしたが,毎回出てくるヒロインが,ここぞとばかりにやりたい放題,し放題で弾けま . . . 本文を読む
オリックスと日本ハムの最終決戦が行われた20日,札幌ドームへと向かう人並みに逆らうように札幌駅北口にある蠍座を目指した私はそこで「昭和のカルト作家」石井輝男の代表作と呼ばれている「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を観ようと詰めかけた観客で埋まった客席を目にした。この大事な時期にファイターズを応援せずして,何が道民か?とレプリカを着て東豊線に乗り込む方々から,理不尽な非難を受けるのではないかという心配 . . . 本文を読む
日本的な叙情を湛えながらもウェットに陥らず,浮遊するようなメロディを舌足らずの甘い歌声で巧みに操り,独自のポップ空間を作り上げてきた安藤裕子が,2年4ヶ月振りに新作を出した。
その名も「JAPANESE POP」。私がジャンル,と宣言するかのような勢いだが,デビューから7年を経て,その音楽からは最も縁遠い言葉と思える「貫禄」をさえ感じさせる出来上がりだ。
今回はプロデューサーに,これまでずっとパ . . . 本文を読む
大森美香がまだ「純愛一筋」路線に陥る前の佳作「エジソンの母」の天海祐希版かと思って見始めた「GOLD」だったが,とんでもない見当違いだった。実は天海祐希の4人目の子供は幻想だった,というトンデモ展開はまだ良い。TVドラマの基本的な作法である「会話劇」を構築することが出来ずに,毎回天海の冗長な演説で締め括る稚拙なクライマックスにも目を瞑ろう。
しかし,自分の子供の生命を賭してまで五輪の金を目指す母親 . . . 本文を読む
「有酸素運動」と「ダブル・タップ」と「トイレに気を付ける」。カーラジオから微かにチャック・マンジョーネのお気楽な「フィール・ソー・グッド」が流れる中,ゾンビの襲撃から生き延びるための基本戦法が描かれる冒頭のシークエンスから,ゾンビの襲撃をスーパースローで捉えた幾つものショットにクレジットが被さるオープニングまでの数分間のうちに,気持ちがトップギアに入るかどうかで勝負は決まると思われる。「何だこれは . . . 本文を読む
香川と乾の元セレッソ・コンビ。岩政・槇野の新顔CB。細貝・橋本の老若ボランチに,森本・本田の欧州組のアタッカーコンビ。
パラグアイ戦とは6人が入れ替わったが,それぞれの特徴を考えるとなかなか面白いメンツが揃い,格下相手とはいえ,どんなアタックを見せてくれるのか興味は募った。
北中米カリブ海地域に所属し,まだワールドカップ出場経験のないグアテマラは,それなりのプレスとそこそこの個人技と強いシュート . . . 本文を読む
作品の公開に合わせて,本作の制作過程を追った1本のドキュメンタリーが放映された。「崖の上のポニョ」に続く試みだが,天下の国営放送がひとつのアニメーション・プロダクションに過ぎないジブリを,これだけ力を入れてフォローするのには驚いた。
だが,そもそも現在の日本製アニメーションは,日本経済復活のスローガンのひとつである「クール・ジャパン」において,戦略的なコンテンツとして位置付けられているらしい。であ . . . 本文を読む
ことサッカーに関しては,全くもって大雑把な括りで恐縮だが,頭抜けた突破力を持つエゴイストのFWが点を取って勝つチームよりも,ヨハン・クライフ以来バルセロナやオランダ代表で受け継がれてきた「全員でボールを廻して相手を崩す」ことを追求するチームを応援してきた。だからという訳でもないのだが,私はアカデミー賞の主演男女優賞受賞作に関して「賞狙いの芸達者な役者が,特異なキャラクターを大仰に熱演した作品のオン . . . 本文を読む