題名だけ見たら「セント・エルモス・ファイアー」の壮年版かと思ったが,全然違った。そもそも主演の三人は一般的に同じ学校の卒業生を意味すると思われる「同窓生」ではなく,ヴェトナム戦争の戦友なのだ。しかも描かれるのは懐かしさに駆られて旧交を温めるために集まった「会」ではなく,中東で戦死した,仲間の一人ドク(スティーヴ・カレル)の息子の亡骸を故郷へ運ぶ「旅」なのだ。しかし監督のリチャード・リンクレーターは . . . 本文を読む
今年のカンヌ国際映画祭で,審査委員長であるケイト・ブランシェットの発案により,これまで同映画祭に参加した女性監督の数と同数の映画関係に従事している82人の女性が,レッドカーペットの階段に集結して話題となった。この間に同じ階段を上った男性監督の数は女性の20倍以上の1,688人ということで,いかにこの業界で女性が「少数派」に留まっているかということを世界中に発信しようとしたケイトの試みは見事に成功し . . . 本文を読む
ポール・トーマス=アンダーソン。略してPTAは,同じ略語で語られる日本の組織とは異なり,降りかかるさまざまな圧力をものともせずに,独自の表現を研ぎ澄ましてきたアメリカ映画界きってのシネアストだ。
同じように,興行的評価とは異なるフェーズに留まり,独力でマスターピースをものしてきたロバート・アルトマンを師と仰ぐ彼が,ファッション業界の裏側を抉った師の作品「プレタポルテ」にヒントを得たのかどうか定かで . . . 本文を読む