今年のオスカー授賞式の中で最も沸いたのは,ゴールデン・グローブ賞も受賞して大本命で臨んだグレン・クローズを,ゴール寸前で差し切ったオリヴィア・コールマンの「清掃の仕事も楽しかったのだけれど」というスピーチだったと思うが,最も感動的だったのは脚色賞のプレゼンターを務めたサミュエル・L・ジャクソンが封筒を開いた瞬間に上げた歓喜の叫び声だろう。大学の後輩だというスパイク・リーの名前をそこに見つけた先輩は . . . 本文を読む
このところ「実録映画路線」を突き進んできたクリント・イーストウッドだが,今回もまた元ネタは雑誌に載った「90歳の麻薬運搬人」という小さな記事。しかも一度は「俳優引退宣言」を口にしながらも,「グラン・トリノ」以来10年振りに自らカメラの前に立つ,というニュースを聞いて,嫌が応にも気分は高まる。「選挙には出ない」と宣言しながら,舌の根も乾かぬうちに出馬表明するどこかの政治家と違って,こんな「前言撤回」 . . . 本文を読む
まさかの大勝から一週間。この間,札幌は思いがけないトピックスにより,何度も全国ニュースに取り上げられることとなった。
ひとつはワイドショー的な話題に昇華してしまった「消えたストライカー」。勿論,チームの3得点目となるゴールを奪ったアンデルソン・ロペスが,歓びのあまり広告ボードを飛び越えて2.4m下のドーム床まで落下してしまった件だ。
もうひとつは鈴木武蔵の日本代表選出。代表の大黒柱である大迫がチー . . . 本文を読む
2〜3年に1本くらいの割合でこんな作品に出会う。すなわち,激しく心揺さぶられるのだけれど,躊躇なく好きだ,とは言えない作品。
韓国の異才イ・チャンドン監督の8年振りの新作となる「バーニング 劇場版」は,村上春樹の原作を映画化した,というよりも,「納屋を焼く」という短編にインスパイアされたオリジナル長編という方がしっくりする作品だ。
勿論,「猫」や「井戸」,「無言電話」といった,村上作品には欠かせ . . . 本文を読む
その昔,電話から聞こえてくる声と背景音のみから誘拐事件を解決するミステリーがあった。邦題はそのものズバリ「音の手がかり」。同様に映画でも,犯罪絡みの緊急通報を受けるオペレーターの奮闘を描いたハル・ベリー主演の「ザ・コール(緊急通報司令室)」という作品があった。共に事件解決の重要な要素として「音」にフォーカスした作品で,どちらもその音を物語のガイドとしてリニアに話が進んでいく佳作であった。
ところが . . . 本文を読む
昨シーズンの攻撃の中核を形成していた選手のうち,三好が横浜に去り,駒井が怪我で離脱。ペトロビッチが指向する攻撃的サッカーが1年という時間をかけてチーム全体に浸透し,今年は本気でACL出場を狙うと宣言したチームが迎えたピンチを,新しく加入した選手がどう打開していくか。例年以上に期待と不安に胸を膨らませてホーム開幕戦に駆け付けたであろうサポーターの前で繰り広げられたのは,果たして昨季以上に躍動的で,ス . . . 本文を読む
司会不在,技術系受賞の中継外し問題等,開催前にはいろいろとあった今年のアカデミー賞で,昔は清掃員の仕事をしていたし,それが結構気に入っていた,と披露したのは,「女王陛下のお気に入り」で主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマン。かなりウケたが,昨年監督賞を受賞したギジェルモ・デル=トロとアルフォンソ・キュアロンがしっかりと抱擁するシーンも,今年のアカデミー賞のハイライトの一つだったと言っても良いだ . . . 本文を読む