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映画「2018年のベスト10」:温度差の激しさは世相の反映なのか

2018年のベスト。今年も順位ではなく鑑賞順で。

1 スリー・ビルボード:マーティン・マクドナー
2 ハッピー・エンド:ミヒャエル・ハネケ
3 ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書:スティーヴン・スピルバーグ
4 聖なる鹿殺し:ヨルゴス・ランティモス
5 ザ・スクエア 思いやりの聖域:リューベン・オストルンド
6 ファントム・スレッド:ポール・トーマス=アンダーソン
7 犬ヶ島:ウェス・アンダーソン
8 スパイナル・タップ:ロブ・ライナー
9 顔たち,ところどころ:アニエス・ヴァルダ,JR
10 アンダー・ザ・シルバーレイク:デヴィッド・ロバート・ミッチェル

2,4,5に代表される人間の身体の氷点下の部分と,7,9のような温かな部分(7は人間ではなかったけれど),そして双方の要素が見事に昇華していた1。手垢にまみれた言葉なれど,絶望と希望がないまぜになった時代を反映したラインナップになった。
1は旧作の「セブン・サイコパス」も悪くはなかったけれど,ここまで化けるとは思わなかった。
2はいつも通りのハネケ節。主人公の共犯者となった子役の行く末が楽しみ。
3はお見事の一言。演出テクニックの冴えが物語を引き立たせるには,を形にした教科書のような作品。
4のランティモスはここに来て,大ブレイクの兆しあり。きっと大先輩のアンゲロプロスも喜んでいるはず。
5は「フレンチアルプスで起きたこと」から更に一歩前に踏み込んだ秀作。
6の毒のある優雅さを引き出した,ジョニー・グリーンウッドの音楽にも拍手を。
7を観て,かつては良く理解できなかった「どですかでん」を,もう一度観てみようかという気になった。
長く生きているとこういうボーナスもあるのかと思った8。配給会社に感謝。
劇場を出る人々の笑顔までスクリーンに焼き付けられたら良かったのに,というのは9。孫と祖母のようなチームの見事な旅。
完璧に映画的な歓びだけを追求して生まれた10。アンドリュー・ガーフィールドの伸び代にも一票。

その他は,下手なホラーより怖かった「母という名の女」,ヨーロッパの現状を活写してみせた「女は二度決断する」,女優のガチンコバトルが楽しかった「アイ,トーニャ」,構成力で見せた「ビューティフル・デイ」,テイラー・シェリダンが二つの仕事「ウィンド・リバー」と「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」で証明した腕力,「輝ける人生」のラストの大ジャンプを捕らえたストップモーション,「バッド・ジーニアス」のエネルギーなどが印象に残った。

邦画では「カメラを止めるな」「万引き家族」というこの一年を象徴する秀作の他,唐田えりかの反転が不気味だった「寝ても覚めても」,「来る」の高準位のエントロピーと,何と言っても樹木希林の最後の輝き。
加えて,ベルトルッチに橋本忍,更に「ブルース・ブラザース」のアレサと,敬愛する人々の旅立ちに合掌。
来年も更なる豊かな出会いを。
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