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2012年五輪女子アジア地区予選 日本代表対韓国代表【2:1】

W杯直前の親善試合で1対1で引き分けた「新興強豪国」の韓国は,やはり手強かった。前半に先制するまで,ほぼW杯モード全開でボールを廻していた日本代表が急にペースダウンしてから前半終了間際まで,なでしこが目指してきた質の高いボール・ポゼッションを,ほぼ完璧な形で展開して見せたのは韓国の方だった。
ボールへの寄り,囲まれても簡単にはボールを取られない足元の確かさ,そして何より縦に入ってくる選手の運動量。これらの面で日本代表は完全に後手を踏んでいた。
失点シーンにおける熊谷のスリップは仕方がないにしても,一番警戒しなければならないチ・ソヨンに対する近賀のアプローチの甘さは,この試合のなでしこ全体の重さを象徴していた。

そんな中で,前半終了間際の得点で流れを変えたのは,昨日の北朝鮮戦の長谷部と同じく,キャプテン澤の「前へ」という気持ちが形になった果敢な突破だった。
澤自身は,これまでにないほどボールへのアプローチの際にファウルを重ね,前線へのフィードのミスも多く,決して本調子とは言えない出来だったように見えた。
しかし2点目に繋がるアグレッシブな突破と,最後の15分を除いて完全に試合を支配されてしまった後半における,孤軍奮闘の潰し役としての活躍には,最大級の賛辞を送りたい。

宮間は男子プロ選手以上に正確なセットプレーのキックで見せたが,後半は何処にいるのか捜さなくては分からないような状態になってしまっていた。
先制点を取った阪口も,澤との適正な距離感を最後まで掴むことが出来ず,前線とサイドで絡む場面は皆無に等しかった。
DF陣の寄せとポジション取りも,W杯では見せたことがないほど穴だらけで,韓国にフィニッシュの工夫があれば,あと2点は取られていてもおかしくなかったと思う。

明後日は佐々木監督が今予選最大の山場と位置付けている豪州戦だが,今日は不発に終わったパスワークを,まずは運動量で上回ることで実現して欲しい。サイドで起点を作って,2列目とSBがファーに走り込んでDFの裏を取るという場面を数多く作り出せれば,必ずや本来の調子を取り戻してくれることだろう。

それにしても韓国は本当に強かった。試合前にプレスを通じて聞かれた強気の発言は,決して誇張ではなかったのだ。特にFWだけでなく,ボランチやCBまでもがスピードで日本選手を圧倒していたのには驚かされた。更に才能豊かな選手の多くが,まだ二十歳~20代前半という事実は,この試合結果以上に重いと言える。
だが逆に考えれば,若手の台頭という点で,既にライバル国に後れを取りつつあることが明確になったことは,今後の強化に良いサジェスチョンを与えてくれたような気もする。トップリーグでゆっくりと選手を成長させることも勿論大事だが,裾野を広げて10代の選手をこれまで以上の規模で抜擢していかなければ,アジアにおいても安穏としてはいられないという現実は,テレビを通じて全国のなでしこ予備軍を刺激したはずだ。出でよ,若きなでしこ!!!
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