昨夜行った、代官山の韓国料理屋での出来事だ。
いかにも代官山といった風情の店で、
その個室で食事をしていると、
コースの途中で肉が出た。
まず生のサーロインを見せられて、
その場で焼いてくれるようだ。
と、店員は、
個室の入り口付近の、
棚のようなところに炭火をセットし、
肉を焼き始めた。
その店員の身長に対して、
棚の高さはやや高く、
いかにも焼きにくそうである。
棚は部屋に内側に続いてもう一段あり、
どう見てもそちらで焼いた方がやりやすそうだった。
「こっちで焼いた方が楽なんじゃないですか」
「本当はそうしたいんですけど」
肉を焼きながら店員が答える。
「火災報知器がなっちゃうんですよね」
どうやらあまり部屋の内側で肉を焼くと、
天井の火災報知器が反応してしまうらしい。
「本当はお客様のテーブルで焼きたいんですけど」
そこまで苦労するならば、
厨房で焼いてもってきてくれても、と思うのだが。
なんとも不思議なこだわり。
それはさておき、
そうして焼かれた肉はとても美味だった。