街角で見知らぬ人からタバコの火を借りる。
もはや失われた、
「昭和」の光景だと思っていた。
そんな話をしていると。
「俺、ついこの前も借りたよ」
そう言い出す喫煙家が一人二人。
街角で猛然とタバコを吸いたくなったが、
ライターを忘れているのに気づき、
ふと、見ると、近くで今まさにタバコに火をつけている人がいたので、
借りたそうだ。
「ああいうとき、火をつけてくれるんだよね」
確かにそうだ。
古きよき光景ではあるが、
歩きタバコは絶対反対な僕としては、
なんとも微妙な気持ちで、
その光景を思い浮かべたのだった。