※下記の件に関して、
ある方から情報を頂きました。
男がやっていたのは・・・「禁止されている録音」でした。
彼女の行動は、正義の行動だったんですね。
※※という真相を知ってから、
下記の文章を読み返すと、
当の女性に対しいささか失礼な表現もありますが、
事情を知らぬ現場ではそう思ってしまったことは事実ですので、
削除や訂正はせず、このままにしておきます。
※※※冒頭に真相を記しますことで、ご勘弁下さい。
新宿ロフトのフロアの後ろの方に、
手すりがあって一段高くなっている場所がある。
ある意味そこは、特等席だ。
昨夜、僕はその手すりの一つ後ろの列にいた。
オールスタンディングのライブだった。
バンドの入れ替え中、
僕の隣にいた女性が座り込んでいた。
他にも腰をおろしている人はいたので、
特に不思議にも思わなかった。
ライブ再会までまだ少しかかりそうだったので、
トイレに行き、
同じ場所に戻ってみると、
先ほどの女性が、目の前の男性の傍らに寄り添うように立っていた。
背後から見ると、それはどう見ても恋人どうしだった。
なぜ最初から、2人並んで見ていなかったんだろう、
と思ったが、何か事情があるに違いない。
すると、
「そんなにくっつくなよ」と男。
え、赤の他人だったの?
と驚いた次の瞬間、
女性がストンと床に倒れ込んだ。
まるで何かの発作を起こしたような危険な倒れ方だった。
心配した周囲の女性客が助けの手を伸ばす。
倒れた彼女は「大丈夫です」と応え、
再び元いた場所である僕の隣に立った。
そしてライブが始まった。
気がつくと、
その女性は手を伸ばして、
僕の前の手すりをつかんでいた。
やはり体調がよくないのかと思い、
僕が体をずらすと、
手すり席の隙間に少しずつ入り込み、
いつの間にか、
僕の真ん前でライブを見ていた。
なかなか大胆な移動だったので、
内心「え~」と思ったものの、
文句を言う筋合いのものでもない。
そしてライブが1時間ほど進んだ時、
突然、彼女がその場を離れた。
倒れた時に声をかけてくれた女性客に、
「よろしければここどうぞ」
と自分のいた場所を譲って。
やはり体調が悪かったのかもしれない。
思えば、ライブの最中もずっとじっとしていた。
だが、事件はここから始まる。
しばらくすると帰ったと思った女性が戻ってきた。
しかもロフトのスタッフを連れて。
そして先ほど「そんなにくっつくなよ」と言った男に関し、
何かを訴え始めた。
爆音で演奏中なので、
何を言っているのかわからなかったが、
男の方は憤然としている様子だった。
それに対して、反論する彼女。
表情だけでもわかる。
するとスタッフが男に、
肩からかけているカバンの中を見せるように言った。
え?
なぜカバンの中を?
考えられる可能性は、
・スリ
・盗撮
・録音(禁止されているので)
正直、邪魔だった。
今はライブの真っ最中なのだ。
揉め事があるなら向こうでやってくれ。
男自身も同じ思いだったようだ。
「終わったら行きますよ」とキレ気味に告げた。
それで彼女も納得したようだ。
再び僕の前の手すり席につき、
ライブを観始めた。
よく見ると、
今度は少しだけ音楽に合わせて体を動かしていた。
僕が目撃したのはここまでだ。
ライブの後に本当に何かの確認がなされたどうかはわからない。
ただ、終演後、比較的遅めにフロアを出ようとすると、
彼女が1人で立っているのを見かけた。
結局あの騒ぎはなんだったんだろうか。