わが家の姉妹姫は15歳になる。
外には出さず一緒に暮らしているので
わたしたちの言葉がよく分かる。
ほめられたのか ひやかされたのか
じゃけんにされたのか・・・・
いちいち反応して態度がかわる。
すこぶる機嫌の良いときは(めったにはないが)
離れから起床してくるわたしを
ドアの前まで迎えに来る。
(おぁょ、おぁょ、)
わたしもうれしくなって(おはよ、おはよ、) と
呼びかける。
話の長い茶飲客には尋常ではない声をあげて
追いかえそうとする。
(はい、はい、ロクさん、もう帰ります) と
退散していく客も居て
15年も一緒に暮らしていると
随分いろんなことが分かるようだ。
それでも喋れないのは幸い。
もしも喋れたら何かと厄介なことになるだろう。
姫よ、今のままがいい。
それ以上は分かってくれるなよ。
出かけやうかお湿りほどの雪なれば