自分の悲鳴に眼が覚める。
得体の知れないものが私の両足を摑んで
蒲団から引き摺りだそうとするのだ。
ぶよぶよした手の感触。
姿が見えないからこそ恐ろしい!
がっしりと強い力で摑まれ
よほど大きな悲鳴だったにちがいない。
夢か・・・・・
胸なでおろしもう一度眠りに戻ると
こんどはドアの中心に穴が開き
そこから白いものがいっきに膨らんで迫ってくる。
ギャーツ!
もう眠れない。
眠ったらたいへん。
部屋中の灯りを点け
ラジオの音をおおきくし
枕元に重ねてある本を手当たり次第めくる。
たいくつな本。
活字を追うだけで眠くなる。
眠るなよ! 眠るなよ!
ようやく6時。
部屋に明かりが差しこんで
魍魎たちはどこかへ消えた。
それから2時間ほど熟睡する。
(悪いテレビでも観ただろうか?)
雪の夜の無音浄土や息苦し