松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

練習メモ_導引三調02

2015-03-20 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
・導引とはどんなものなのか。
大雑把に分類すれば体操ということになるのかも。
ヨガなどとも相通ずるものがあると思うし
医療法として認知されてきた歴史的実績をもつ
伝統体操とでもいうのだろうか。

・導引の目的とはどんなものか。
体内環境をととのえること。

では、体内環境がととのうというのは
どういう状態をいうのか。
体内環境を左右するものには
どんなものがあると考えられているのか。

体内環境がととのった状態にあれば
そわそわと落ち着かなかったり、イライラしたり、
ふさぎ込んだり倦怠感や憂鬱だったりもせずに
穏やかに過ごせる(気が和んでいる状態)。
体調に関しても食事・排泄・睡眠などのリズムも安定し、
痛みや違和感もとくに気にならない。
要するにとくに好不調の波を感ずることもなく
リラックスしている。
このように気の状態と体の状態が互いに影響しあうことで
好調・不調が現れてくると考えられる。
なかでも体内環境により影響すると思われるのが
気の状態だろう。
気は呼吸など生理機能(体のはたらき方)に影響を与える
いのちの有り様に直接的に影響していると考えられると
いってもいいかと思われる。
したがって導引で体内環境をととのえようとすることは
いのちの根元にはたらきかけるようなものかと。
古くから至高の目標は赤ん坊と語り継がれてきたのだろう。


導引三調とは調心・調息・調身のこと。
伝統的体操(導引)の理論をもとに
具体的にはたらきかけていく対象が心・息・身なのだ。
そしてその手段として用いるのが意である(用意)。

心はいわゆる情緒面のこと。
感情が生じることは自然なことだが
それに振り回されたり、
いつまでも引きずったりすることなく
平静な状態(平常心)に立ち戻るのを好しとする。
 無情(感情の揺れ幅を抑える→冷静・落ち着き)
 無欲(練習中は結果より経過→今に集中する)
意を用いてそのようにととのえる(調心)。

息は呼吸のこと。
初期段階は導引練習中でも平時と変わらずに
自然な呼吸ができるようになる。
次の段階になると
自然呼吸の状態がより深く長い呼吸へと進化する。

呼吸は自律神経がつかさどっている機能のなかでも
自らの意によってコントロールすることができる
唯一の機能だからか、
これまでにも多く呼吸に関する訓練法や健康法が
編み出されてきた。
導引では自然呼吸に基づいて呼吸の深さ(深呼吸とは異なる)
長さや息の太さ細さ(ゆっくりとした呼吸)といった
呼吸の質を、意を用いてととのえる(調息)。

身は五体の動きのこと。
太極拳導引では太極拳の動きの特徴でもある
円心(重心)の動きを使って動くのを第一に練習する。
重心の動き幅は両足間となり
重心は前後左右上下と立体的空間を移動する。
安定感のある体の動き方は
体の関節や筋肉の使い方の良し悪しが影響する。
安定した動作となるように意を用いて
身体をととのえる(調身)。

心・息・体は日常でも反射的な反応をおこしやすい。
息をのむ(息を詰める)、緊張する、興奮するなど
思わず出てしまう反射的行為だからこそ、
だれにでもそれと分かりやすい。
しかも相互に影響しあっているから、
どれか一つをととのえることで
連鎖的に変化がおこる可能性も十分にある。
したがって状態の変化にも気づきやすくなるだろう。
つまり意を用いてコントロールする練習には
格好の素材ともなる。

こうして調心・調息・調身によって
意を用いる練習ができ、
自らを総体的にととのえることもできるわけだ。



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