東京郊外の調布市は、どんよりとした曇り空で朝を迎えている。
夕方からは雨となる、と地元の天気情報が報じられている。
私はぼんやりと、庭のテラスに下り立ち、
煙草を喫いながら、白梅、紅梅の大半散った花を眺めたり、
日本水仙を眺めたりしていた。
そして、どうしたわけか解からないが、
ひとつの歌が私の心を占領したのである。
♪静かな雨 並木の雨
あなたを待つ 胸に降る
【『小雨降る径』 訳詞・高田 三九三】
私は心の中で唄いだした・・。
♪流れる唄 懐かし唄
夢をささやく あのメロディー
【『小雨降る径』 訳詞・高田 三九三】
私は自分自身、どういう心情で唄いだしたのか、解からなかった。
♪いつの日にか また逢いみん
溢れくるわ 涙
【『小雨降る径』 訳詞・高田 三九三】
私は定年退職後の5年生であるが、
ふと遠い昔の日々が甦(よみがえ)ったのである・・。
37年前の前後、この頃の私は銀座の一角にある『銀巴里』に行き、
数多くのシャンソン歌手が近くで唄われるのを、
私はコーヒーを飲みながら、名曲の数々を聴いたりしていた。
そして、近くにあるカフェ・バー形式のような『蛙たち』にも行き、
私は濃い目の水割りのウィスキーを呑みながら、数多くのシャンソン歌手が唄われるのを、
聴き惚れ、心酔していた時期であった。
この後、家内と結婚前に交際していた時も、
この『銀巴里』とか、『蛙たち』にも行ったりしていた。
新婚まもない時、東急ホテルの小さなレストランで、
デイナー形式でシャンソンを聴きながら、夕食を頂くのに、私達は参加した。
歌い手は私が魅了されている金子由香里さんで、
家内に『銀巴里』、『蛙たち』と違った面がこのお方は表現できる人であり、
せひ観て欲しかったのである。
3曲を唄った後、ボーイさんがリクエスト曲の用紙を廻してきた・・。
私は万年筆で、『小雨降る径』と書き込んだ。
20分過ぎた頃、リクエストの3番目として、
『どなた様が・・この《小雨降る径》をリクエストして下さったのでしょうか・・』
とこのお方は言った。
私は少し恥ずかしげに、片手を少し挙(あ)げた。
このお方は少し驚いた表情されたが、唄いだした・・。
この後、数曲唄われた後、私達のテーブルに近寄ってきた。
『今晩・・来て下さって・・
あたくしの歌を・・よく聴いてくださる方よねぇ・・』
と私に向って、このお方は言った。
私はカフェ・バーの『蛙たち』などにも、よく通ったので、
ときおりリクエストなどをしていたのであった。
そして、このお方は、
『あなた方・・お若くて・・
これからの人生・・何があろうとも・・
お互いに思いやりがあれば・・大丈夫だから・・』
と微笑みながら、このような意味合いの言葉を私達に言った。
私は、人生の駆け出しのあどけない私達を観て、
慰めと励ましでわざわざ、私達のテーブルに寄って下さった、
と思ったりしている。
このようなささやかな思いでが私達夫婦にはあったので、
どんよりとした曇り空、いつ雨が降ってもおかしくない情景なので、
このような心の片隅にあることが想いだされたのかしら、
と感じたりしたのである。
そして、若き日々人生を歩みだした時、
『小雨降る径』をリクエストしたのだから、
この頃の私は人生に気負っていたのかしら、と先程から苦笑したりしている。
夕方からは雨となる、と地元の天気情報が報じられている。
私はぼんやりと、庭のテラスに下り立ち、
煙草を喫いながら、白梅、紅梅の大半散った花を眺めたり、
日本水仙を眺めたりしていた。
そして、どうしたわけか解からないが、
ひとつの歌が私の心を占領したのである。
♪静かな雨 並木の雨
あなたを待つ 胸に降る
【『小雨降る径』 訳詞・高田 三九三】
私は心の中で唄いだした・・。
♪流れる唄 懐かし唄
夢をささやく あのメロディー
【『小雨降る径』 訳詞・高田 三九三】
私は自分自身、どういう心情で唄いだしたのか、解からなかった。
♪いつの日にか また逢いみん
溢れくるわ 涙
【『小雨降る径』 訳詞・高田 三九三】
私は定年退職後の5年生であるが、
ふと遠い昔の日々が甦(よみがえ)ったのである・・。
37年前の前後、この頃の私は銀座の一角にある『銀巴里』に行き、
数多くのシャンソン歌手が近くで唄われるのを、
私はコーヒーを飲みながら、名曲の数々を聴いたりしていた。
そして、近くにあるカフェ・バー形式のような『蛙たち』にも行き、
私は濃い目の水割りのウィスキーを呑みながら、数多くのシャンソン歌手が唄われるのを、
聴き惚れ、心酔していた時期であった。
この後、家内と結婚前に交際していた時も、
この『銀巴里』とか、『蛙たち』にも行ったりしていた。
新婚まもない時、東急ホテルの小さなレストランで、
デイナー形式でシャンソンを聴きながら、夕食を頂くのに、私達は参加した。
歌い手は私が魅了されている金子由香里さんで、
家内に『銀巴里』、『蛙たち』と違った面がこのお方は表現できる人であり、
せひ観て欲しかったのである。
3曲を唄った後、ボーイさんがリクエスト曲の用紙を廻してきた・・。
私は万年筆で、『小雨降る径』と書き込んだ。
20分過ぎた頃、リクエストの3番目として、
『どなた様が・・この《小雨降る径》をリクエストして下さったのでしょうか・・』
とこのお方は言った。
私は少し恥ずかしげに、片手を少し挙(あ)げた。
このお方は少し驚いた表情されたが、唄いだした・・。
この後、数曲唄われた後、私達のテーブルに近寄ってきた。
『今晩・・来て下さって・・
あたくしの歌を・・よく聴いてくださる方よねぇ・・』
と私に向って、このお方は言った。
私はカフェ・バーの『蛙たち』などにも、よく通ったので、
ときおりリクエストなどをしていたのであった。
そして、このお方は、
『あなた方・・お若くて・・
これからの人生・・何があろうとも・・
お互いに思いやりがあれば・・大丈夫だから・・』
と微笑みながら、このような意味合いの言葉を私達に言った。
私は、人生の駆け出しのあどけない私達を観て、
慰めと励ましでわざわざ、私達のテーブルに寄って下さった、
と思ったりしている。
このようなささやかな思いでが私達夫婦にはあったので、
どんよりとした曇り空、いつ雨が降ってもおかしくない情景なので、
このような心の片隅にあることが想いだされたのかしら、
と感じたりしたのである。
そして、若き日々人生を歩みだした時、
『小雨降る径』をリクエストしたのだから、
この頃の私は人生に気負っていたのかしら、と先程から苦笑したりしている。
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