第七章 ふたたび『後生掛温泉』の館内は
私たち夫婦は19日の日中のひととき、久々に快晴に恵まれて中、
『玉川温泉』に往還して、宿泊している『後生掛温泉』に帰還したのは午後3時過ぎであった。
そして私は館内の大浴場に行こうか、と思ったりしたが躊躇した。
この後生掛の大浴場のある処は、湯・泥・蒸気で多彩な形で享受でき、
日本の各地から温泉愛好家が訪れ、或いは『湯治の後生掛』と称されて、長逗留される湯客も多いと知られ、
数多くの方が入浴していた。
そして『馬で来て 下駄で帰る 後生掛』と古来から多くの人たちから、効用抜群の名湯と知られ、
立ち寄り湯をされる方も多く、いつも賑わったりしている。
私は昨日の午後2時過ぎに、『温泉保養館』と称せられる浴室に入り、
代表的な『大浴場』の湯に心も身にゆだねて満喫した後、
気泡ゆたかな『火山風呂』、そして打たせ湯にマッサージ効果があるよねぇ、と微笑んだりした。
そして木箱から顔だけ出して、温泉の蒸気で温まる『箱蒸し風呂』は確か5つあったが、
入ってしばらくすると、どっと汗をかいた後は爽快感が満たされるとし、
名物になり、5人が心よさそうに入って満員であった。
やむえなく私は翌日の朝の6時過ぎに、好評の『箱蒸し風呂』に挑戦した。
やがて1分過ぎた頃、全身は汗ばんだりしたが、
私はサウナ風呂などは苦手であったので、蒸気には無念ながら相性が悪く、出てしまった。
よして『大浴場』に入り、やはり温泉は湯船に身をあずける方が、心地よい、
と心の中で呟(つぶや)いた・・。
こうしたささやかな体験があった私は、私たちのように宿泊している人たち、或いは長逗留される湯客、
そして立ち寄り湯の人たちで、『温泉保養館』は賑わっていると思われ、躊躇していたのである。
こうしていた時、私たちの指定された2階の部屋であったが、
各部屋が並ぶ通路の外れに宿泊者専用風呂を見かけ、私は向かった・・。
そして広い休憩室が左右に並び、下方の階段を下りると、浴室になっていた。
やがて静寂の中、たった独りだけの入浴となり、身も心もあずけて、
ひとり静かかょ、と心満たされたりした・・。
その後、広い休憩室に戻り、心地よい微風を受けたり、窓辺から朱紅色、黄色に染められた情景を
眺めたりした。

そして俳句の素養のない私でも、一句を呟(つぶや)いたりした。
いろはもみじ 後生掛の地 充たされて

やがて夕食時に、いつものようにビールを私たちは呑んで食事を頂いていたが、
家内は利き酒のセットをメニューから見つけて、頂(いただ)いたら、と私を誘惑した。
そして3種類の地酒を私は呑んだりしたが、この中の高価な大吟醸よりも、
過ぎし年の20年ばかり純米酒の辛口を愛飲してきた私は、
この中のひとつの純米酒が心身あっている、このような意味合いの言葉を家内に言ったりし、
お互いに微笑んだりした。
やがて私たちは部屋に戻りと、
『この近くに大沼の遊歩道があると知ったが・・明日、旅の最後として・・散策しない?』
と私は家内に言ったりして、同意を得たりした。
≪つづく≫
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私たち夫婦は19日の日中のひととき、久々に快晴に恵まれて中、
『玉川温泉』に往還して、宿泊している『後生掛温泉』に帰還したのは午後3時過ぎであった。
そして私は館内の大浴場に行こうか、と思ったりしたが躊躇した。
この後生掛の大浴場のある処は、湯・泥・蒸気で多彩な形で享受でき、
日本の各地から温泉愛好家が訪れ、或いは『湯治の後生掛』と称されて、長逗留される湯客も多いと知られ、
数多くの方が入浴していた。
そして『馬で来て 下駄で帰る 後生掛』と古来から多くの人たちから、効用抜群の名湯と知られ、
立ち寄り湯をされる方も多く、いつも賑わったりしている。
私は昨日の午後2時過ぎに、『温泉保養館』と称せられる浴室に入り、
代表的な『大浴場』の湯に心も身にゆだねて満喫した後、
気泡ゆたかな『火山風呂』、そして打たせ湯にマッサージ効果があるよねぇ、と微笑んだりした。
そして木箱から顔だけ出して、温泉の蒸気で温まる『箱蒸し風呂』は確か5つあったが、
入ってしばらくすると、どっと汗をかいた後は爽快感が満たされるとし、
名物になり、5人が心よさそうに入って満員であった。
やむえなく私は翌日の朝の6時過ぎに、好評の『箱蒸し風呂』に挑戦した。
やがて1分過ぎた頃、全身は汗ばんだりしたが、
私はサウナ風呂などは苦手であったので、蒸気には無念ながら相性が悪く、出てしまった。
よして『大浴場』に入り、やはり温泉は湯船に身をあずける方が、心地よい、
と心の中で呟(つぶや)いた・・。
こうしたささやかな体験があった私は、私たちのように宿泊している人たち、或いは長逗留される湯客、
そして立ち寄り湯の人たちで、『温泉保養館』は賑わっていると思われ、躊躇していたのである。
こうしていた時、私たちの指定された2階の部屋であったが、
各部屋が並ぶ通路の外れに宿泊者専用風呂を見かけ、私は向かった・・。
そして広い休憩室が左右に並び、下方の階段を下りると、浴室になっていた。
やがて静寂の中、たった独りだけの入浴となり、身も心もあずけて、
ひとり静かかょ、と心満たされたりした・・。
その後、広い休憩室に戻り、心地よい微風を受けたり、窓辺から朱紅色、黄色に染められた情景を
眺めたりした。

そして俳句の素養のない私でも、一句を呟(つぶや)いたりした。
いろはもみじ 後生掛の地 充たされて

やがて夕食時に、いつものようにビールを私たちは呑んで食事を頂いていたが、
家内は利き酒のセットをメニューから見つけて、頂(いただ)いたら、と私を誘惑した。
そして3種類の地酒を私は呑んだりしたが、この中の高価な大吟醸よりも、
過ぎし年の20年ばかり純米酒の辛口を愛飲してきた私は、
この中のひとつの純米酒が心身あっている、このような意味合いの言葉を家内に言ったりし、
お互いに微笑んだりした。
やがて私たちは部屋に戻りと、
『この近くに大沼の遊歩道があると知ったが・・明日、旅の最後として・・散策しない?』
と私は家内に言ったりして、同意を得たりした。
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