夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
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《秋の旅路》『みゆき舞ふ 田沢の森 冬の訪れ』~田沢高原滞在記~ 《下》

2014-10-18 09:10:12 | 旅のあれこれ
      第三章 夕暮れより雪が舞い降りて

私たちグループは、『孫六温泉 』に入浴した後、
宿泊している『プラザホテル山麓』のご厚意で、マイクロバスで『休暇村乳頭温泉』に行き、
館内の内風呂、そして周囲はブナ林の露天風呂に満喫した。

過ぎし10月中旬は、ブナの黄葉を中核にトチ、クリ、ハンノキ、そしてウルシなど紅色、朱紅色も加わり、
錦繍(きんしゅう)に染まった、と常連の方から、私は教えられ、
落葉した今のブナの樹々に語りかけるように、その頃の情景に思いを馳せたりした。


この後、『プラザホテル山麓』に帰還した私たち夫婦は、
家内がホテル内のお土産売り場で買い求めてきた数々の中から、
私は地酒を呑みながら、漬物を友として頂いた。

この中のひとつには『いぶりがっこ』もあり、沢庵(たくあん)を燻製にした歯ごたえのある漬物で、
辛口の純米酒にぴったりねぇ、と私は家内に話しかけたりした。

或いは『三撰きのこ』も波長に合う。
椎茸と舞茸、平茸を手づくりの辛子に和え、風味のある辛めのアンサンブルとなった茸である。

そして『青なんばん みそっこ胡瓜』も欠かせない。
青唐辛子に胡瓜で、独有のみそ漬けである。

以上、家内と比較すると味音痴の私でも、朝食のバイキングの時に、瞬時に魅了されて、
こよなく愛した食べ物であり、決して食通ではない。


辛味の苦手な方であれば、『いぶり たけのこ』が最適であり、
孟宗竹の筍(たけのこ)に、比内地鶏スープで味付けして、シコシコと柔らかく、
婦女子でも愛食されると私は思ったりしたのである。

私の幼年期は農家の児として育ち、生家は孟宗竹の竹林があり、
筍(たけのこ)を出荷していた情景も鮮明に残っているし、
そして何かと今でも好きな筍であるので、
少し甘さが残るが、お酒の相方として食べたりした。

このような食べ物を昼食代わりにして、辛口の純米酒の四合瓶を呑み干すと、
少し酔いが廻り、眠くなり、3時過ぎの昼寝となった。

そして目覚めると、夕暮れとなり、ぼんやりと外を眺めると、
わずかに雪が舞い降りていた・・。
『貴方が待ち焦(こ)がれていた雪・・降りましたわょ』
と家内は微笑みながら私に言った。

そして夜を迎えるので、少しは積もりかしら、
明日の朝は15センチぐらいの積雪が望ましいねぇ、と私は家内に話したりしていた。


     最終章  旅の終りは、雪舞い降る中、人気の秘湯「鶴の湯温泉」も入浴

14日の夕暮れから雪舞い降る『プラザホテル山麓』で、私たち夫婦は部屋の窓辺から見惚(みと)れていた・・。

この田沢湖高原の地域は、10月中旬に殆どブナ、トチ、クリ、ハンノキなどの落葉樹が多い中、
黄色に彩(いろど)ったブナ林を中核に錦繍(きんしゅう)時節を迎え、
そして11月中旬の今は、落葉した葉は吹き寄せになったり、数多くの落ち葉が地表を彩ったした晩秋と情景となり、
早くも雪が舞い降りて、冬の訪れとなった・・。

15日の早朝にロビーの片隅で、雪が舞い降り、ときおり止んだりし、周辺も雪化粧の情景となり、
俳句の素養のない私でも思わず、
       みゆき舞ふ 田沢の森 冬の訪れ
と詠んだりした。


この日は宿泊している『プラザホテル山麓』のご厚意で、
人気の秘湯としてた名高い『鶴の湯温泉』に案内して下さり、
私たちのグループは、マイクロバスに乗り込み、ホテル前を10時半に出発した。

まもなく『鶴の湯温泉』の入口の看板を観て、ブナ林の小路を通り過ぎると、
ハンノキの樹木の中となり、6月頃には水芭蕉(ミズバショウ)の群生地帯と教えられ、
こうした情景を思いを馳せたりすると、まもなく『鶴の湯温泉』の幾重かの館が観えた。

テレビの旅番組、テレビのドラマなどで知られている茅葺き屋根の長屋「本陣」前を通り歩くと、
4種類の泉質の異なる源泉があり、白湯、黒湯、中の湯、滝の湯と称された素朴な建物が観えた・・。

私たちのグループで、60代、70代の3名の男性と私は仲良しになった方と、
『黒湯』の建物の入り口の木戸を開けて、入館した。
そして脱衣籠に衣服とバスタオルを置き、『黒湯』に入浴した。

しばらくすると私は、別館にある野趣あふれる乳白色の『混浴露天風呂』が気になり、
『やはり一端衣服を着た後に・・露天風呂に行き・・また脱ぐのも面倒ですねぇ・・』
と隣にいる仲良しの60代の男性に話しかけたりした。

『先ほど、チラッと見かけたのですが・・丸太の歩道をバスタオルを巻いて・・
歩いて行かれた方もいましたよ』
と私の前にいる仲良しの70代の男性が私に教えてくれた。

この後、私は小雪が舞う中、細い丸太の歩道の小路をバスタオルを巻いて、
15メートル先にある『混浴露天風呂』を目指して歩いた・・。
ときおり微風が吹き、足元の細い丸太は滑りそうで、何よりバスタオルが風でたなびいている。

『風吹くのは勘弁してほしい・・オチンチン見えてしまうのは恥ずかしいし・・』
と私は心の中で呟(つぶや)いたりした。

前方の3メートル先にいる仲良しの60代の男性は、タオル一枚巻いただけなので、
殆どお尻が見え隠れするので、
『俺よりも・・元気な60代だよねぇ』
と私は心の中で微苦笑したりした。

無事に私は『混浴露天風呂』にたどり着き、脱衣籠にバスタオルを入れた後、
入浴したが、少しぬるめと感じたので、足元から湧き出る箇所に移動をした。
そして私たちの仲良し4人組は、バラバラになり、私は見知らぬ男性と談笑したりした。

小雪が舞い、ときおり微風が吹いているが、
いつの日にかテレビで視(み)た野趣あふれる乳白色の『混浴露天風呂』に念願していた私は、
登山の山頂に登るつめたと同様に、希望が強かった分だけ、このような所なの、
と満足しながらも複雑な思いでもあった。


帰路、私たちのグループは、ホテルに帰還するマイクロバスの車内で、
良かったわ、もう一度来て見たいわ、と歓声をまじえて、お互いに言ったりしていた。

この夜も雪が舞い降り、ときおり止んだりし、周辺も雪積もる情景となり、
最終日の16日の朝は、積雪20センチぐらいの雪の光景となり、
雪は止んでいた。

淡い陽射しの中、私たちのグループはホテルの送迎マイクロバスで、
盛岡駅に向かった。
短かな田沢高原の旅であったが、雪の舞い降るプレゼントも頂き、
それぞれ深い思いを感じたと思われる。

古来より一期一会のたとえに通り、私たち夫婦は仲良しになった方に、
『もう一度・・旅先でお逢いしたいですねぇ』
と多くの方に言葉を重ねて、言ったりした。

余談であるが、今回は宿泊した館内、そして湯処に案内されたりしたので、
写真撮影は禁止が多かったので、写真掲載はできなかった。                   

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