台風一過の蒸し暑い日。やっと母のもとを訪ねることができた。JRの駅からバスで入らなくてはならず、いつも不便を感じている。バスを降りて歩き出すと、白日夢の中にいるようだ。朦朧とするような空気の中で、「ここは何処?」いや「私はだれ?」という感覚になる。今という時間だけを生きようと思うと、本当に何もなく、自分が誰なのだろとさえ思う。認知症の母が不安になるのはこのような感じなのだろうか。
今日は、母の内科のエコーの健診だった。検査を待つ間、先生の趣味であろう『サライ』の京都シリーズを読んでいた。「京都の紅葉と塔」の写真はすばらしかった。目の中に、真っ赤な情熱が飛び込んでくるようだ。そして、その背景にある塔の姿とのコントラスト。幻想的な写真を見ながら、聞こえてくるBGMのオルゴール曲が気になった。なんの曲だったか思い出す。あるフレーズが来た。「ああだから今夜だけは君を抱いていたい・・・」チューリップの「心の旅」だった。懐かしい曲だ。
遠く離れてしまえば 愛は終わるのだろうか。いや、ポケットに詰め込んで旅に連れて行ってほしい。本を戻していると、主治医の院長が出てこられて、にこりと笑われた。
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今日は、母の内科のエコーの健診だった。検査を待つ間、先生の趣味であろう『サライ』の京都シリーズを読んでいた。「京都の紅葉と塔」の写真はすばらしかった。目の中に、真っ赤な情熱が飛び込んでくるようだ。そして、その背景にある塔の姿とのコントラスト。幻想的な写真を見ながら、聞こえてくるBGMのオルゴール曲が気になった。なんの曲だったか思い出す。あるフレーズが来た。「ああだから今夜だけは君を抱いていたい・・・」チューリップの「心の旅」だった。懐かしい曲だ。
遠く離れてしまえば 愛は終わるのだろうか。いや、ポケットに詰め込んで旅に連れて行ってほしい。本を戻していると、主治医の院長が出てこられて、にこりと笑われた。
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