のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

リクエスト

2009年11月07日 22時20分59秒 | 日常生活
月曜日、妹夫妻がおすそ分けを持って我が家にやってきました。
既に帰宅し、寝込む体制についていたワタクシをあざ笑う義弟君。

「ふふん。オネエサン。
 休日に寝込んで、休日明けには元気になる、という
 最悪の展開なんじゃないんですか。
 まあ、ゆっくり休んでくださいよ。
 明日、お休みですし。」

くっそう。
むかつくなぁ。
休みをこよなく愛しているだけに痛恨の一撃をくらった気分です。
ちょっぴりむかついているワタクシを
さらにあざ笑う義弟君。

「まあ、セイゼイ オダイジニ。」
と、非常に慇懃無礼に労わってくれました。
きーっ!!!

でもね。
分かっているのです。
口では憎たらしくそんなことを言いつつも
実は心配してくれてるんだってこと。
きっと、明日のお昼にお見舞いだと言いながら
ケーキなんか持ってきてくれるんだろうな。
そんなお気遣いなんか必要ないのに。
でも、持ってきてくれちゃうんだろうな。

と、申し訳なさそうに義弟君に遠慮して見せたところ

「何をわけのわからんことを。」
と一蹴されました。
せせら笑われました。

いや!
絶対に持ってきてくれる。
義弟君はおとこ気にあふれてるからね。
ケーキはどこのお店のものでもいいからねー。

と、半ば暗示にかける口調で訴えるワタクシを軽く無視し
義弟君は小憎たらしい笑顔を浮かべながら
「ヨイ休日ヲ。」
と捨て台詞をはいて帰っていきました。
ちっ。暗示失敗か。


と思いきや、翌日。
昼過ぎにまたもややってきた妹夫妻。
なにやら白い箱を抱えています。

もしや!!

・・・って、もしやも何も
あれだけアピールしておきながらって感じではありますが。
でも、まさか本当に持ってきてくれるとは
ちらりとも思ってなかったケーキでは??

・・・もとい。
これだけアピールすれば、もしかして、もしかすると
持ってきてくれるかも・・・とひそかに期待してしまった
ケーキでは?!

ぶっきらぼうに箱を突き出す義弟君。
「オレの金ぞ。
 オレの金で買ったんやぞ。」

やっぱり!!ケーキなのね♪
わーい!わーい!さんきゅう☆
いやー、悪いですねぇ。なんだかお気を使わせてしまって。

と、白々しく喜んでみせるワタクシ。

「オレの金ぞ!
 オレの金で買ったんやぞ。」
と、何度もアピールする義弟君。
分かったってば!
ありがたく頂戴しますってば。

もらったもん勝ち、とばかりに受け取りましたが
帰り際、義弟君は玄関先で振り向きざまに

「オレの金で買ったケーキについては
 ちゃんとブログにも書けよ。
 みんなにも報告しろよ。」
と自分のおとこ気を世間にアピールするよう要求。

どんだけ?!
どんだけアピールが必要なん?!

でも、ケーキはとても美味しかったのです。
おかげさまで、食欲がなくて
お昼ごはんはあまり食べられなかったのに
持ってきてくれたケーキはぺろりとたいらげることができました。
ありがとね。


・・・。
風の便りに伺いましたが、なんでも義弟君、
来週は出張で北海道に向かうそうです。
今回は本当にお気遣いなく。
お仕事に専念してくださいまし。

帰り際に空港でポテトチップスチョコレートを
ちょちょいとお土産に買ってきてもらえれば。
もう本当にそれだけで十分です。

久しぶりのポテトチップスチョコレートが
今から楽しみで楽しみでたまりません。

家族が増えるって本当に素敵。

少年少女飛行倶楽部/加納朋子

2009年11月07日 12時01分33秒 | 読書歴
100.少年少女飛行倶楽部/加納朋子

■ストーリ
 私たちは空が飛べる。きっと飛べる。かならず飛べる。
 中学1年生の海月は幼馴染の樹絵里に誘われて「飛行クラブ」
 に入部する。クラブのメンバーは2年生の変人部長・神
 (通称カミサマ)をはじめに癖あり、ワケありの部員ばかり。
 果たして、彼らは空に舞い上がれるのか。

■感想 ☆☆☆☆
 爽やかでちょっぴり甘酸っぱい読後感を味わえる青春小説。
 両親に愛され、まっすぐに健やかに育った海月だからこそ、
 この爽やかな読後感になるのだろう。
 彼女のキャラクターがとにかく魅力的。
 気が強く、部長だろうが年上だろうが、言うべきところは
 言うまっすぐさ。
 なんだかんだと文句を言いつつ、困っている人を見過ごせない温かさ。
 ちょっぴり苦手だと感じている人に対しても、自分の感情は別にして
 分け隔てなく接することができる公平さ。
 頼まれたことはしっかりとやり遂げる責任感の強さ。

 そんな海月だからこそ、クラブのメンバが信頼感を抱き
 ついつい甘えてしまったり頼ったりしてしまう描写に説得力があった。

 お互いがお互いを刺激し、海月もメンバも少しずつ成長していく。
 少しずつ素直に自分の感情と向き合えるようになっていく。
 その過程は本当にオーソドックスな「青春小説」で新鮮味はない。
 けれど、そういったことがまったく気にならない。
 「ありきたり」と思わせないのは、ひとりひとりのキャラクターが
 とても魅力的だから。そして、それぞれが抱えている孤独感や
 焦燥感に無理なく共感できるからだと思う。
 そして、そういった癖あるメンバたちを「困ったさん」だと
 思わせながらも「愛すべきキャラクター」に仕上げられるのが
 加納さんの加納さんたるところなんだよね、と憧れる。

 そして、飛行クラブのメンバではないけれど、忘れてはならないのが
 海月の母親。主要キャラクターではない。
 それなのに、彼女のおおらかさ、ポジティブなものの見方、
 人生の楽しみ方がこの作品のテイストを見事に表している。

 「男の子が欲しかった?女の子が欲しかった?」
 という海月の問いに対する
 「海月が欲しかった。」
 という彼女(とその夫、つまり海月の父親)の答えは、
 とても素敵なエピソードで、私もこんなふうに自分の子供と
 会話ができたらいいな、こういうふうに余裕をもって大きな
 愛情を注いであげられる母親になりたいな、と思った。

 こういった人との関わり方、まっすぐさが作品のあちこちに
 満ち溢れていて、爽やかな読後感に結び付くのだと思う。
 あまり難しく考えずに読んでほしいし、さらさらと読める作品。
 読んでいると、作品の中のクラブメンバーといつのまにか、
 仲良くなれる。まるで、自分の友達のように、彼女たちのことを
 見守ってしまう。そんな作品だった。

アキハバラ@DEEP/石田衣良

2009年11月07日 11時51分43秒 | 読書歴
99.アキハバラ@DEEP/石田衣良
■ストーリ
 電脳街の弱小ベンチャー「アキハバラ@DEEP」に集まった
 若者たちが、不眠不休で制作した傑作サーチエンジン「クルーク」。
 ネットの悪の帝王にすべてを奪われたとき、おたくの誇りをかけた
 テロが、裏アキハバラを揺るがす。

■感想 ☆☆☆☆
 食わず嫌いの作家さんののひとりだった石田さんに初挑戦。
 どうにも手を伸ばす気になれなかったものの、本読みエキスパートの
 ぽこりんから「おもしろいよ。」と言われたため、初挑戦です。
 初挑戦の作品は、マイナーではあったものの、私は大好きだった
 ドラマの原作です。
 そのおかげなのか、妙に苦手意識が強かった作家さんでしたが
 自分でも意外なほど楽しんで読みました。
 大好きだったドラマにも関わらず、
 原作をドラマ以上に面白い!と思えました。

 ドラマは1話完結で、コミュニケーション能力にちょっぴり
 難がある主人公たちが、アキハバラという街を守るため
 アキハバラに集まる同好の士たちを守るために事件を解決
 する、という話。それらの事件を通して、彼らが少しずつ
 仲間意識を深めていく青春ストーリだった。
 一方、原作は長編で、主人公たちが対峙する事件はひとつ。
 ただし、その事件のスケールはドラマより大きい。
 解決に向けて動き出すうちに、「熱くなれるもの」
 「守りたいもの」を見つける主人公たち。
 ドラマ同様、カテゴリは「青春ストーリ」で、読んでいるうちに
 胸が熱くなってくる。

 ただ、ドラマと決定的に違うのは、原作では、事件に
 巻き込まれるのがあくまでも主人公たち自身であるところ。
 彼らは「自分たちのため」「自分たちが守りたいと思うもののため」
 「自分たちのプライドのため」に戦うことを選ぶ。
 「熱く生きること」「まじめに生きること」を恐れる傾向に
 ある現代で、それでも「泥臭く生きること」の気持ちよさを
 真正面から、しかし、どこかひねた視点で描いているところが
 非常に気持ちよく、でもどこか面白い。
 「寝食忘れて仕事をすること」はきつい。体調や精神が
 むしばまれることもある。けれど、「寝食忘れて仕事に
 のめりこめる」状況に遭遇できることはとても幸せなこと。
 そこに、その状況を共有できる仲間がいれば、幸せは
 より一層大きくなる。素直にそう思える作品だった。