モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

武蔵野早春賦

2008-02-13 | アウトドア・ネイチャーフォト
三連休の最終日、次男と「神代植物公園グリーンギャラリー」へ。野川支流の小川にフタをした曲がりくねる小径を抜けてカニ山キャンプ場下の野草園へ。カタクリはまだ養生中。中央高速をくぐって雪の残る深大寺自然広場を抜けたら国分寺崖線の上の大地へひと登り。深大寺を横目に見て、神代植物園の梅林の北の道を進みます。竹やぶ越しに見る梅園は、まだ咲き始め。幼子がたくさん遊ぶ自由広場を横目に見て、先週はひと気の無かった「神代植物公園グリーンギャラリー」へ。三連休のせいか、地味な公園なのに珍しくかなりの人出でした。

マンサク、ロウバイ、カンツバキが咲いていました。信濃の国の元は、科野の国ですが、その語源になったのではないかといわれるシナノキがありました。江戸時代の国学者・賀茂真淵(かものまぶち)は『冠辞考』で「名義は山国にて級坂(しなさか)のある故の名なり」と書いています。確かに北信には、更級・埴科を初め、倉科・保科・仁科・蓼科など科のつく地名が多いのです。古語において科や級とは、段差のことであり、信州の古代人々が住んだ扇状地や河岸段丘は、坂や段差が多いところです。

また、賀茂真淵は「一説には志那と云木あり、・・・ここ科野という国の名も、この木より出たるなり。」とも書いています。谷川士清(たにがわことすが)の『日本書紀通證』には「科の木この国に出ず」とあります。シナとは、アイヌ語で結ぶとか縛るの意味です。柔らかく撓(しな)ればこそ結べます。シナノ木は、丈夫でよく撓ります。信濃に多く、古来樹皮を加工してロープや古代織物の科布として使われました。それが、このシナノキなのです。

信州には、「ずく」という言葉があります。「ずくなし」とか、「ずくを出せ」とか、「ずくを止む」とか、「小ずくがあるな」とかいいます。標準語で適当に言い換えられる言葉がないのですが、面倒くさがらずにやるとか、気力を出してやるとかいう意味です。この「ずく」の語源ですが、銑(ずく)のことではないかと思うのです。信濃の枕詞は、「みすず刈る」ですが、すずとは葦や茅の根元に付着している褐鉄鉱のことだといいます。みは葦や茅の生える水の意か。または、御すずか。すずは鈴であり、水中に含有される鉄分が沈澱し、鉄バクテリア(沼などに石油を流したように漂うもの)が自己増殖して細胞分裂を行い、固い外殻を作ったもので、振るとカラカラ音がするものがあるそうです。鍛鉄は、薄くするとよく撓る。とすればシナノとは、鉄出(いずる)野という意味でしょうか。

古代の製鉄、たたらは、渡来人のもたらしたものといわれていますが、相当に高度で手間のかかる面倒くさい作業だったといいます。そこから大変な想いをして「ずくをだす」という言葉が生まれたのではないかと思うのです。信州には、「うんこをまる」とか、古事記に記載されるような古い表現が残っています。一考の価値はあるのではないでしょうか。

冬芽を撮影していると、近くの地面に黄金色に光る物がありました。福寿草です。残雪の間から芽吹き、パラボラアンテナのように花を広げ陽光をいっぱいに浴びていました。人も植物もみな春が待ち遠しい今日この頃です。
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早春の武蔵野サイクリング

2008-02-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
先週に続き、長男も節分草を見たいというので、午前中に野川公園自然観察園へ。天気はあいにく曇りでしたが、北風が無いのが幸い。まずは野川へ。チュウサギ、コサギ、カワウ、カルガモがエサを探しながら微妙に共存している様を見学。縄張りに入ってきた別のコサギを、コサギが追い払ったり、チュウサギとコサギは、つがいではないはずなのに、つかず離れずの位置にいたり。それを小枝から見下ろして小魚を探しているカワセミは、時々枝を移ってジッと水面を凝視する様を見たり。人が気付かず通り過ぎる小川でも結構熾烈な生存競争があるのでした。

野草園を過ぎて、節分の準備に忙しい深大寺を抜け、ひと気の無い「神代植物公園グリーンギャラリー」へ。ここは神代植物園の北にある無料の植物園。昔は、ここに緑の相談所があり、色々な催しも行われていたようですが、現在、建物は半ば廃墟と化しています。でも微妙に手入れもされていて、庭園見本や武蔵野に咲く草花も、その季節には見られます。夏にはレンゲショウマも咲くようです。結構穴場で好きなんですが、こんな都内の広い一等地の施設を遊ばせて置いていいのかなとも思うわけです。スノードロップ(待つ雪草)が可憐な白花を咲かせていました。

次は、深大寺の閑静な住宅街を抜けて当てずっぽうで天文台を目指します。なんとか行き着いて、裏門から入り北側の門から出ます。そして天文台西側の国分寺崖線の上の遊歩道へ。ここはかなりの穴場で、人通りは少ないのですが、天気がいいと大山、丹沢山塊から奥多摩、大菩薩嶺、秩父の山々まで見渡せるのです。今回は、雲が多めでしたが、大山から大菩薩嶺、大岳山から御岳山まできれいに見えました。手前は調布飛行場、左に東京スタジアム(味スタ)が見えます。

次に国分寺崖線の武蔵野らしい竹林の小径を下って野川沿いに自然観察園を目指します。節分草は、先週は数輪でしたが、今回は20輪以上は咲いていました。しばらくマクロ撮影。通りがかりのおばさんがなんですかと聞くので説明してあげて、再び撮影。一緒に初老の男性もマクロ撮影に参加。息子達と三人で撮りまくっていました。「やっと咲きましたね。」「そうだね、前回来たときは全く咲いていなかったからね。」ミスミソウ(雪割草)、葵菫、福寿草のロゼットも先週よりずっと大きくなっていました。開花もまもなくです。

次に、子供達が小さい頃よく遊ばせに訪れた野川公園へ。アスレチックの鉄棒で、腰を伸ばしてリハビリ体操。そのまま南下して近藤勇の生家跡を横目に調布飛行場北の武蔵野の森公園へ。ちょうど定期便が大島や八丈島へ旅立つ時間で、展望台から飛行機の発着を見物。その後もっと近くで見ようとジャムコの敷地を抜けてフェンスの近くへ。ここには、米軍ハウスのような青いペンキ塗りの建物があり、以前からなにかなと思っていたのですが、今回ジャムコの食堂だと判明しました。しかも12:50分からは一般に人も利用できるようです。最も平日のみですし、13:05までに入らないとだめなようです。

管制塔の横を抜けて南下。今日もプロペラカフェは大賑わいのようです。入口に関係者以外立入禁止と描いてあるので、偶然に見つけることはまずないでしょう。でも結構知られていて、老人からカップル、飛行機を見に来た子供連れなどでいつも賑わっています。BLTサンドと巨大ハンバーガー、オムレツが人気メニュー。申し込めばフライトシミュレーターが体験できます。

次に向かったのは、武蔵野市場。話題のアンデス食品で、キムチスープとプルコギ、もつ焼きを試食して調布スバルへ。なんだかトヨタ車みたいになってしまった新型フォレスターをひやかして帰路につきました。翌朝はご覧の通りの雪景色。咲き始めた節分草も凍えているでしょう。
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