モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

長野えびす講煙火大会2023。「遠花火 人妻の手が わが肩に」寺山修司。煙火大会が終わると雪が降る長野(妻女山里山通信)

2023-11-25 | 展覧会・イベント・コンサート
■長野えびす講煙火大会2023 vol.1


■長野えびす講煙火大会2023 vol.2



 普通に綺麗に花火の写真を撮ってもつまらないので色々小細工したらこんな写真になってしまいました。なんかちょっと設定を間違えた様です。でも面白いので載せます。長野えびす講煙火大会の綺麗な写真はネットでたくさんアップされていますから。
 花火の始まりは狼煙(のろし)だそうですが、花火大会を最初に見たのは、天正9年(1582年)4月にイエズス会が最初だとか、天正17年(1589年)7月の伊達正宗が最初だとかいわれていますが、戦国時代ですから庶民が楽しめるようなものではなかったでしょう。本格的に花火大会が行われる様になったのは、慶長18年(1613年)8月に明の商人によって持ち込まれた花火を見た徳川家康からだといいますから、平和になった江戸時代からということです。いわゆる打上花火は、1751年に開発されたとされているようです。それまでは、いわゆる大筒から火の粉が吹き出すような花火だったようです。長野は花火の生産地で、妻女山の山向こうにもあったそうですが、爆発して廃業したそうです。

「しずかさや 外山の花火 水をとぶ」小林一茶
 これは、一茶の草庵近くの野尻湖の花火の俳句でしょうか。
「大名の 花火そしるや 江戸の口」小林一茶
 江戸の庶民が大名の花火をけなす様子が笑えます。
「音もなし 松の梢の 遠花火」正岡子規
 本当に遠い花火は風向きによっては音がしません。花火の光でかすかに松葉が浮かび上がるのでしょうか。
「死にし人 別れし人や 遠花火」鈴木真砂女
 遠花火は、もう会えない人を思い出させます。昔はお盆の精霊のものでしたから。
「遠花火 人妻の手が わが肩に」寺山修司
 自分の夫と勘違いして。彼らしいいい句ですね。ちょっとドキドキします。

 私の駄作です。
「露草に 映して光る 遠花火」
 在京時代に調布の花火は国分寺崖線の上から家族で見ました。露草が香る夕立の後の花火。
「幼子の 瞳に映る 遠花火」
 小さかった息子達の瞳に花火が映っていました。懐かしくもう戻れない瞬間。
「遠花火 隠して匂う 夏木立」
 夕立の後は、草いきれや梢の葉の匂いに包まれます。ああ夏の匂いだなと。
「遠花火 歓声もなく 温(ぬく)もなく」
 ひとりで見る遠花火は声も温もりもありません。ただただ人生の侘びがあるのみ。
「遠花火 記憶の底に 散る夜かな」
 何度、遠花火を見たことでしょう。記憶の底に色々な記憶が蘇ります。
「君の名を 呟いてみる 遠花火」 林風
 亡き妻と見た遠花火。


 27日は満月でした。空気の澄み切った冬の満月は清々しい。望遠を手持ち撮影なのでクリアではありませんが、久しぶりに月を沁み沁みと観ました。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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久しぶりに堂平大塚古墳へ。モミジの紅葉と落葉松の黄葉。クマノミズキの珊瑚色の実が落ちる陣場平へ。イワシ雲(妻女山里山通信)

2023-11-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 先週ロケを行い22日にSBCの「ずくだせテレビ」で、手相見芸人の島田秀平さんを案内して斎場山と陣場平を歴史解説しながらご案内したものが放映されました。ご覧になった方もおられるかも知れません。『甲陽軍』の編者といわれる小幡景憲の合戦絵図を初公開できたのが何よりの収穫でした。あけて23日は案内できなかった堂平大塚古墳へ久しぶりに行きました。

 堂平大塚古墳の脇に、今は亡き山仲間のKさんが昔植えたモミジが今年も見事に紅葉していました。

 見上げるとイワシ雲の空に落葉松の黄葉が映えています。もう少し冬まって茶色になると木枯らしが吹く度にチリチリと落葉松の葉の雨が降るようになります。

 古墳脇の柿。昔からあるのですが渋柿なのか熊が食べに来たことはありません。藪の中を近づいてくる熊は音で分かるので追い払ったことが3回ぐらいあります。拙書のエッセイに載せている鏡台山の例。他に根子岳、聖山で追い払っています。戸隠自然植物園では横の笹薮の中に熊がいて私に向かって唸っていたのでその時はおとなしく去りました。下の陣場平では、5月中旬に子熊と鉢合わせ。私もですが子熊も驚いて逃げていきました。その向こうには母熊が確実にいるので、その日はおとなしく山を下りました。この古墳脇にはログハウスがあるのですが、デッキで昼を食べていたら上の山で子熊がギャーギャー鳴いていました。でも母熊が子熊を置いて崖を下って蟹沢の泉に水を飲みに行ったのだろうと分かったので待っていると、10分ぐらいで母熊が戻ってきた様で深山へ帰って行きました。

 薮山へ登って倒木にムキタケ。例年なら大袋に入りきれないほど採れるのですが、今年は小袋一杯だけ。ハナイグチもムラサキシメジも全く見られません。本当にキノコが凶作の秋でした。唯一ハタケシメジが大量に採れたのは奇跡の様でした。

 島田秀平さんを案内した陣場平。今日は象山から鞍骨山経由で来られた男性と、その後で天城山(てしろやま)から下りてきた女児を連れた夫妻を案内しました。来春の貝母が満開の時期にぜひまたおいでください。開花は4月初め、見頃は10日から20日頃です。同時にカスミザクラ、ヤマザクラ、オオヤマザクラが咲き、ウグイスが鳴き、運が良ければサンコウチョウも月日星ホイホイホイと鳴きます。エンゴサクの群生地や希少なハナヤスリの群生地もあります。

 番組で紹介した『甲陽軍鑑』の編者と言われる小幡景憲彩色の「河中島合戰圖」(部分)。マスコミ初登場です。陣場平に陣小屋が七棟建てられた図が描かれています。かなり大雑把な絵ですが、それでも大体の地名は当てはめることができます。上杉軍は赤で、武田軍は白で描かれています。上杉謙信は、短い布陣でも必ず陣城を構築したといわれています。築城前には、「乱取り」といって麓の寺社や家屋を壊して建築材料や食料を得ていました。合戦後50年位に描かれた絵ですから、正確な描写は無理としても、内容はかなり信憑性が高いかも知れません。小幡景憲の祖父虎盛と叔父光盛は、海津城で春日虎綱の副将を務めました。そういう経緯から景憲は『甲陽軍鑑』原本を入手しやすい立場にいたということでもあり、実際に合戦当時の話を聞いていたのではないかと思われます。この絵図は、東北大学狩野文庫に所蔵されているもので掲載の許可を得ています。

 ほぼ中央にあるクマノミズキの珊瑚色の実がたくさん落ちています。紺色の実は森の動物や昆虫の大事な餌になります。

 陣場平の入り口に設置したインセクトホテル。昆虫の越冬用の棲家です。まだ暖かいので宿泊者はいません。

 林道から見る陣場平。貝母(編笠百合)の群生地はあの落葉松林の向こうになります。

 陣場平の北東の角にある高句麗人の積石塚古墳。高句麗から帰化した豪族が篠ノ井の地名の元という話は、春の夢空間主催のハイキングで必ず説明しています。

 ゴヨウアケビの葉は冬でも緑なので、ニホンカモシカの餌になります。

 アサギマダラが花で吸蜜していたマルバフジバカマは種ができています。

 陣場平の北東にチカラシバが繁茂してしまいました。この夏に貝母の球根を植えたところなので、もうすぐ行われる妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業で全部掘り返します。帰化植物だけでなくイネ科の植物も厄介です。

 そこにあある菱形基線測点。松城群発地震の時に大活躍した地球の歪みを測る機器を置く台です。ブログでも紹介しています。菱形基線測点でブログ内検索を。

 陣場平の出口から林道を見たところ。天気の良い日には鞍骨山へ向かうハイカーもよく見られます。マウンテンバイクやトレランの人も来ます。

 見上げるとオニグルミ。今年は猛暑と少雨で実があまりなりませんでした。

 下って妻女山展望台へ。先週の13日と15日に清野の林道倉科坂線で熊が目撃されたので立てられました。麓の柿を毎年食べに8キロ先の鏡台山から来るのです。いつもならクリスマスの頃なんですが、一ヶ月以上早く下りてきました。やはり実が不作なのでしょう。ハイキングには熊鈴とホイッスルを携行してください。

 妻女山展望台から白馬三山と茶臼山と右奥に虫倉山。眼下の畑では長芋堀りが盛んです。野沢菜の濃い緑も見えます。

 北の飯縄山と戸隠富士の高妻山。暖かい日でした。展望台とその周辺は県外ナンバーの車やカメラの三脚がたくさん。そうです今夜は長野えびす講煙火大会なのです。5キロほど離れていますが、遠花火もまたいいものです。

「スペアリブと天然ハタケシメジの中華炊き込みご飯」スペアリブはオイスターソース、中国醤油、ごま油、五香粉、胡椒で味付け。天然ハタケシメジ、椎茸、れんこん、人参、白葱、干しエビ。自家栽培の干し椎茸をもどしてその汁でご飯を炊く。味付けはシャンタンスープの素、牡蠣油、醤油、本味醂、姜葱醤。スペアリブは豚バラや鶏肉でも。ラムにするとモンゴル風に。天然ハタケシメジと干し椎茸の旨味がスペアリブとご飯に染み込んで超絶美味です。

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『ゴジラ-1.0』「ゴジラ」生誕70周年記念作品。予告編・初日舞台挨拶・トークショー「映画監督 山崎 貴の世界」・ゴジラ第1作(妻女山里山通信)

2023-11-07 | シネマ・テレビ
「ゴジラ」生誕70周年記念作品『ゴジラ-1.0』。「戦後、日本。無(ゼロ)から負(マイナス)へ。」敗戦後に焦土と化した東京をさらに無慈悲に破壊するゴジラ。「生きて、抗え。」とある様に史上最悪の絶望に人々は立ち向かう。朝ドラ『らんまん』で人気を博した神木隆之介と浜辺美波の主演が光る。小津安二郎のローアングルは、見ている人をまるでその家に飼われている猫の様な気分にさせてくれる。このゴジラは現場にいる人間の目線で作られており、見上げるゴジラの大迫力は恐怖を覚えるほど。体感・体験のコンセプトが見事に具現化されている。フルCGの完成度の高さといい終戦後の物語の重厚さといい見事で、映画史に残る名作といえるかも知れない。

『ゴジラ-1.0』は単なるエンターテイメント、娯楽映画ではない。1954年の初代ゴジラは、同年にビキニ環礁での水爆実験があり水爆が原因で巨大した太古の恐竜という設定だった。反核と反戦が根底にあった。その後、単なる娯楽映画に堕落していったが、今回の生誕70周年記念作品は、原点に戻ったともいえる作品だった。キャッチコピーの「生きて、抗え。」は、与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」に通じる。200万人が犠牲になり、特攻隊や餓死、東京大空襲や原爆などで多くの死人を出した太平洋戦争。「生きて、抗え。」はゴジラに対してだけ向けられている言葉だろうか。

 村上春樹原作の『ドライブ・マイカー』のブログ記事で書いた文章。ーー偶然とは人間が計り知れない必然のことをいう。と私は思う。一枚の枯れ葉が落ちる場所も、実は計り知れない必然の重なりでできている。それを因果という。物事には必ず原因と結果がある。その連続。その偶然を受け入れるか拒絶するかで、人生はドラスティックに変わる。諸行無常。会者定離。どんな幸せな人生も、(大事件や大災害だけでなく)ほんの小さな事件や潜在的なトラウマで崩壊する危うさを持っている。諦めと再生する愛ーー。美大生時代に村上春樹さんのジャズ喫茶でアルバイトしていた頃のブログは、「国分寺・国立70Sグラフィティ」をご覧ください。32本の記事に世界中からアクセスがあります。
「生きて、抗え。」は非常に深淵で厚みのある言葉だと思う。
映画『ゴジラ-1.0』公式サイト

 下の予告編は、見るYouTubeをクリックしフルスクリーンで。サウンドイコライザーのアプリを使って低音と高音を上げ、ヘッドフォンで視聴するのがお勧め。
GODZILLA MINUS ONE Official Trailer


GODZILLA MINUS ONE Official Trailer 2


映画『ゴジラ-1.0』公開記念特番 Behind the scenes -No.30-ト云フモノ
 神木隆之介・浜辺美波・山崎貴監督へのスペシャルインタビュー、そして膨大なメイキング映像から、現代日本映画史上最大規模で放たれる令和初のゴジラ最新作に迫る。:単なる怪獣映画と思って観に行った人は号泣するかも。浜辺美波は昭和の大女優を彷彿とさせる。


Godzilla Minus One TRAILER 2 BREAKDOWN (This Looks INCREDIBLE!):オフィシャル以外のトレイラーではこれが珠玉だと思う。残念ながら日本のテレビ局ではできないレベル。ネタバレも微妙に回避して、歌舞伎町の画を入れたり上手い!


【トークノーカット】『ゴジラ-1.0』より神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、安藤サクラら登壇!初日舞台あいさつ


【山崎貴×庵野秀明】第4回山崎貴セレクションゴジラ上映会トークショー


長野県ローカル放送「映画監督 山崎 貴の世界」ゴジラ-1.0メイキング映像公開(?)


『ゴジラ』 | 予告編 | ゴジラ 第1作目(1954年)

ゴジラ(Wikipedia):初代ゴジラのポスターなど

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晩秋の米子大瀑布へ。権現滝(男滝)と右に不動滝(女滝)の夫婦滝。根子岳山荘カフェで至極の絶景コーヒーを(妻女山里山通信)

2023-11-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 米子大瀑布は、根子岳、四阿山、浦倉山が形成する大カルデラの最北部の秘境にあります。古くから不動信仰、山岳信仰の聖地として有名です。また、主に硫黄を産出する鉱山としても古くから知られていました。
 米子鉱山の起源は古く、江戸初期ともいわれています。日本三大不動尊のひとつ米子不動尊(瀧澤山家原院如来寺→米子瀧山威徳院不動寺)は、奈良時代に行基により開山された古刹といわれています。また、奇妙滝のある奇妙山は仏教用語の「帰命」が転訛して奇妙となったもので、木食信仰遺跡があることからも、深山でありながら人の出入りはかなりあったと考えられます。8世紀の「続日本紀(しょくにほんぎ)」に、当時信濃国から朝廷へ石硫黄の献上があったことが記されているのですが、これは米子鉱山のことと推察されます。

 鉱山跡地から左に権現滝(男滝:落差82m)と右に不動滝(女滝:落差89m)の二条の大瀑布が迎えてくれます。紅葉のピークは過ぎましたが、今年は暖かく冷え込みも浅かったためどこの山でも紅葉はイマイチで燃え上がる様な紅葉は見られませんでした。秋雨も少なく滝の水量も半分ぐらいでしょうか。そんな年もあります。

 1.まず駐車場を出てウラノ沢の熊野権現橋を渡ります。多くの人はそのまま川沿いに進むのですが、すぐ先から左へ山登り開始。ウラジロシャクナゲの群生地があります。 2.約30分で四阿のある仁礼小学校分校跡・鉱山事務所跡に着きます。 3.林道を歩いてほどなく鉱山製錬所・社宅・大浴場・食堂跡の広大な平地へ。向かいは泉坑山。 4.山の神の社。右手前に長男が5才近くに登った時ペシペシした木製の男根が腐って倒れていました。 5.滝を見ながら林道を下って米子不動尊奥ノ院へ。 6.米子不動尊。1743年(寛保3年)に、米子村の竹前氏によって本格的な採掘が始められたということですが、その竹前氏の墳墓が裏手に。 7.根子岳山荘カフェ。 8. 不動滝と権現滝を訪れて下山。台風19号で流された奥万橋は吊り橋になりました。 9.お昼少し過ぎに駐車場に戻りました。満車で待っている車も。9時半前に来ないとだめです。紅葉最盛期は自家用車規制があります。

 製錬所跡の広場から不動滝。滝だけでなく岩肌を観ても見飽きません。ここの広場の地名はお花畑。
「秋山の、黄葉(もみぢ)を茂み、惑ひぬる、妹を求めむ、山道(やまぢ)知らずも」柿本人麻呂 万葉集
 秋山の黄葉(もみぢ)が繁っているので、迷ってしまった妻を探そうにも、山道が分からない。(妻を亡くして哀しむ歌)


 V字に切れ込む大黒沢。拙書ではこの沢を登り右手へ滝上に登って根子岳へ。大隙間に下って四阿山へ。更にパルコールスキー場から浦倉山へ。この大黒沢へ戻るカルデラ一周23キロ、約10時間のコースを載せています。沢を左へ登るとソブ池(野猿田池)への分岐も。

 根子岳山荘カフェと、滝を背にして鎮座する米子不動寺奥ノ院の屋根が見えます。権現滝と不動滝。右に冬にはアイスクライミングのメッカとなる黒滝の黒いシミも見えます。

 北方の善光寺平方面。須坂市街地も見えます。ここに暮らしていた鉱山の1500人の家族は毎日この風景を見ていたわけです。しかもここから須坂まで索道(ロープーウェイ)がありました。人を乗せるためのものではなかったのですが、チャッカリ乗った人もいた様です。

 不動滝。手前に柵がありますが、直下まで行くのは自己責任で。滝行は許可がないとできません。見上げて撮影する時が最も危険。バランスを失うと転落の危険。

 滝の落ち口。

 滝壺はありません。水量が少ないので少し濡れる程度でした。

 不動滝の谷。

 権現滝。

 根子岳山荘カフェで美味しいコーヒーを絶景を観ながら。贅沢な至福の時間です。

 新しくできた不動滝の展望所。眼の前に覆いかぶさってくる様な大迫力。

 帰路で見られる坑道の大きな穴。

 様々な色合いが美しい落葉松の黄葉。

 お花畑にある米子硫黄鉱山跡の説明看板。見ない人が多いのが残念です。鉱山の経営者は度々変わり、1934(昭和9)年に中外鉱業(株)が本格的な営業採掘を始めました。労働争議も起きており仕事は過酷だった様です。1973(昭和48)年に全面閉鎖されました。

晩秋の米子大瀑布 2023.11.4


信州最古の不動霊場・日本三大不動尊の米子不動尊からレンゲツツジ満開の米子大瀑布へ(妻女山里山通信):満開のレンゲツツジ。

日本のギアナ高地、米子大瀑布へ。薄雪を踏んで幻のソブ池へ(妻女山里山通信):冠雪した滝の上部。

錦秋の米子大瀑布へ。瀑布の上にある幻のソブ池探索も。「続日本紀」に記述のある米子硫黄鉱山(妻女山里山通信):幻のソブ池へ。

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