モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

晩夏から初秋へ。里山にも移ろいの季節。(妻女山里山通信)

2012-08-31 | アウトドア・ネイチャーフォト
 8月が終わろうとしているのに一向に猛暑は止む気配がありません。昨夜の雷雨は凄いものでした。平地では60ミリほど、妻女山では80ミリほど降ったようです。心配で見てきました。幸い土砂崩れ等はありませんでしたが、林道がずいぶんとえぐれてしまいました。雨後の酷い蒸し暑さにクロメマトイが大発生。ゴーグルをしていないと歩けないほど。鼻の穴にも入ってきます。

 そんな信州の里山ですが、確実に季節は移ろってきています。まず、オオムラサキのオスは先週末で姿を消しました。残ったメスももうわずかで、あと数日もすると姿を消すでしょう。オスはメスより一週間から10日ほど早く出現し、同じ位早く姿を消すのです。残ったメスは産卵をしてから消えますが、必ずしも交尾を終えているとは限りません。交尾しなくても無精卵を産みつけます。もちろん孵化することはありませんが。

 多くの蝶が夏眠したり消えて行く中で、ツバメシジミが盛んに飛び交い交尾をしています。透明で美しいウスバハゴロモやベッコウハゴロモも大発生。クモもあちこちで巣を張り巡らしています。葦の葉の間には何百というクモの子が。指でつつくとあっという間に散る様は、まさに「蜘蛛の子を散らす」そのまま。葉の上を走り、レインジャー部隊さながら地面に糸で下り立ち、大脱走。まあ、しばらくすると戻ってきますが。

 シオカラトンボが、大発生したツマグロオオヨコバイを捕らえては食べています。葉に捕まってジッと動かないのは、純白に紅の脚が鮮やかなシロヒトリ。昼寝中なのか触っても動きません。樹液バーには、もうお客の姿はほとんどありません。アオカナブンもカブトムシも、オオスズメバチも姿を消しました。オオスズメバチは女王蜂の世話で忙しいのでしょう。もう少しするとまた出てきますが、そのときは働き過ぎのストレスでかなり凶暴になっています。

 紅白の水引が風に揺れだすと「秋だな・・」と思います。純白の仙人草がガマズミの樹上で咲き誇っています。ほのかな実にいい香りがするのですが、以外に虫が寄ってきません。毒草ではあるのですが・・。足下ではヤブランの薄紫色の花が。黄色いアキノキリンソウも咲き出しました。キツリフネが揺れています。

 ピーッという鳴き声に見上げると、ギャップの空に、ノスリの親子が三羽、円を描いていました。子が母親に餌をねだっても逃げて与えないのは、そろそろ自立する時期が近づいているためでしょうか。最近見かけませんが、昨年夏生まれたニホンカモシカの双子も、もう一人歩きをしているはずです。

 今年は山栗(芝栗)は、まあまあの出来のようです。信州には有名なブランド栗がありますが、一度この野生の栗の旨さを知ってしまうと止められません。粒が小さいのが難点ですが、これで作った栗餡は絶品です。栗きんとん、栗饅頭、モンブラン等々。まだまだ暑い妻女山ですが、それでも秋は確実に近づいているようです。

 月末には、「妻女山 里山デザイン・プロジェクト」の作業があります。今回はオオムラサキが産卵する榎周りの整備です。葛やノイバラで覆われたものを伐採します。覆われていると、産卵できなかったり、天敵のアリやカメムシが来易くなるのと。樹下に幼虫の布団となる榎の落ち葉が積もらないからです。本当は梅雨前にやりたかったのですが、あまりに酷い薮のため周りの伐採にすらかかれなかったため遅れてしまったのです。
 夏に設置したカブトムシの産卵ボックスには、いくつか穴を掘った跡がありました。来夏たくさん幼虫が生まれるといいのですが。猪やモグラに食べられない様に対策を考えないといけません。

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■「プルトニウム製造軍需工場が原発」を理解しないと原発問題の核心は見ない。原発=原爆、核ミサイル=宇宙開発。六ヶ所村の再処理設備には、年間800tの使用済燃料を再処理する能力があり、稼働すれば純粋プルトニウムを毎年8t(核弾頭1000個分)生産、原発1300基分に匹敵する核廃棄物を放出する。
兵器搭載可能プルトニウム量は 世界一の国 「日本」   プルトニウム生産拠点は「電力各社」  ミサイル実験は「宇宙開発の名で」 アメリカ 国家安全保障通信社の論文より。原発=原爆、核ミサイル=宇宙開発である史実を知らなければならない。非核三原則を米は嘲笑し、核を持ち込んでいた。もちろん日本政府と官僚は知っていたが、いっさい記録にのこさず証拠隠滅を謀った。
■TPPは、アメリカが破綻しそうなのを、日本の資産乗っ取ることで解消しようというアメリカの戦略以外の何ものでもない。米国公電をウィキリークスが暴露
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口吻の切れたオオムラサキは元気に生きていた!(妻女山里山通信)

2012-08-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今年、オオムラサキのオスの初見は、6月29日でした。メスが7月11日。実際は、それより2、3日早く出ているはずですが、旧盆を過ぎる頃になると、縄張り争い(実際は縄張りはなく力比べ)で、特にオスは翅がボロボロになってきます。そればかりか、樹液を吸うために大事な口吻が切れた個体を目にする様になります。

 写真の口吻の切れたオスを発見したのは、8月の13日でした。そのオスの口吻は本来の長さの3分の1ぐらいしかありません。しばらく観察していましたが、どうにも吸いにくそうで、これは長い事はないかなと思っていました。

 ところがその後も何度か見かけ、16日には吸う所はみられなかったものの、切れた口吻の先に樹液のしずくがついているのを撮影しました。それが最初のカットです。そして、19日の日曜日には、元気に樹液を吸う姿を撮影することができました。下の3枚です。

 口吻が切れて5ミリほどになっているため、樹液の出る溝に頭まで突っ込んで吸っていました。口吻は筋肉と神経などでできた管ですが、左右に分かれた顎が変形したものなので、ストローの様に丸いチューブではなく、雨樋がふたつ合わさった様な格好をしています。羽化したときにファスナーの様に閉じて管になるのです。

 ですから、稀に合わさり方が悪くて、吸った樹液が途中から漏れているのを見たこともあります。一種の羽化不全と考えられます。

 この口吻が切れた原因ですが、恐らくオス同士の戦いが原因ではないと思います。切れた瞬間を見たことがないので断定はできませんが、カブトムシやカナブンなどの甲虫が原因と思われるのです。

 カブトムシは樹液バーでは最強のお客で、一度吸い始めたら誰がきても席を譲りません。めったに動かないためオオムラサキにとっては安心かもしれませんが、オオスズメバチに邪魔されて脚を振るととばっちりで切れる可能性はあります。

 一番喧しいのがカナブン達。互いに場所取り合戦が激しく、突然脚を振ったり、羽撃いたり、転げ落ちたりと激しく動きます。そのとばっちりを受ける可能性が最も考えられるのですが。オオスズメバチは、顎で咬む事はなく、樹液バーの座席争いには常に頭突きを使います。

 口吻が切れたオスは、頭を溝に突っ込んでまるでスズメバチの様に樹液を吸っていましたが、やがてお腹がいっぱいになったのか、飛び立って木漏れ日の森に消えて行きました。

 7月に「今年初見のオオムラサキのメスは三途の川の畔にいた」の記事でも書きましたが、野生生物は、命尽きる瞬間まで諦めず、その時の100パーセントの力を出すものなのです。

★オオムラサキの話は、昨年の7、8月の記事にもたくさんあります。特に樹液バーに関しては、昨年の方が賑やかで色々な出来事がありました。

■生物と核
 地球の年齢は46億年です。約39億年前に海ができて原始生物が誕生しても、地球は太陽や雨中からの放射線や宇宙線が降り注ぎ、陸上で生物が棲める環境ではありませんでした。誤解を恐れずに言えば、太陽は最も巨大な原発であり原爆なのです。
 5.5億年前に海藻が酸素を大量に作り始め、オゾン層ができて、やっと陸上で生物が生きられる環境が整いました。
 そして、人類が誕生したのがわずか450万年前。地球の歴史を1年とすると、人類の歴史はたった8時間余り。その人類が、膨大な時間をかけてやっと生物が棲める様になった地球を、自ら放射能で汚しています。原発=原爆=核は、生物学的には、最も反動的なものなのです。


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豪雨の後の飯縄山では、高山植物のお花畑が輝いていた(妻女山里山通信)

2012-08-13 | アウトドア・ネイチャーフォト
MORI MORI KIDSに飯縄山トレッキング・フォトルポをアップしました。お花畑とパノラマ写真をご覧ください。

 飯縄山は、長野市民の山。都民ならたいてい高尾山(高尾山薬王院は飯縄大権現を祀る)に登る様に、長野市民ならたいてい一度は登る山。ほとんど学校の遠足でですが。1917mなので「低いな」なんて言われますが、長野市のほとんどの場所から見える山なので(長野市街中心部からは見えない)、親しみを持っている人が多い山です。

 今回は、次男が保育園の年長の時に登って以来なので12年ぶりの飯縄山登山でした。前回は南面の一の鳥居から往復したので、今回は中社から、西登山道(中社尾根)を登り、帰路は瑪瑙山から怪無山へ下るというループのコースを組んでみました。

 戸隠の中社の右手にある「うずら屋蕎麦店」を右に入ります。しばらく行くと左手に戸隠スキー場の中社ゲレンデが見えてきます。その駐車場へ車を止めます。駐車場下の広い舗装路を歩き、「神告げ温泉」、「チビッコ忍者村」を過ぎてメノウ橋を渡ると登山口。落葉松、白樺、ブナの森を登って行きます。

 樹林帯を過ぎ、お花畑に出た頃に山頂付近が真っ黒な雲に覆われ始め、豪雨になりました。仕方なくカエデの木の下で休憩。様子を見る事にしました。雷が鳴るかもしれないので、下手に動く事もできません。

 20分位待ったでしょうか、雨は止む気配もなく激しくなる一方。山頂から男性がひとり下りてきました。これは無理かなと引き返そうと30mほど戻ると、ほとんど降っていません。アレッと空を見ると、まるでシャワーの様に雨の境界線が見えます。山頂付近のみ雨雲に覆われているようです。北西の空には青空も見えます。

 しばらくすると、雨雲は南東に去り、全くなかった視界も開け、眼下の飯綱高原や善光寺平も見えてきました。お花畑の花達は雨に洗われ光っています。こうなると花の撮影タイム。なかなか前に進めません。ようやっと登り始めると、道は南登山道と合わせ、急登をこなすと飯縄大権現の鳥居と祠前を通り南峰広場に着きます。

 雨で水たまりのできた鞍部を10分ほど歩いて登り返すと飯縄山山頂です。信大教育学部の学生に引率された小学校3、4年生がたくさんいました。あの豪雨の中を登って来たそうです。いい経験になったでしょう。周囲をヒョウモンチョウやキアゲハが舞う中で昼食。

 一時間少しで瑪瑙山に向かって出発。ノリウツギの森を急下降します。鞍部について登り返すと瑪瑙山1748m。ここからは戸隠連峰の絶景が一望できます。今回は雲で見えませんでしたが、北アルプスのスカイラインも堪能できます。

 瑪瑙山先からはゲレンデを下りて行きますが、いつも目の前に戸隠と高妻山の絶景が望め、それは気持ちのいいものです。このループコースは、左回りをおすすめします。ゲレンデはセイヨウノコギリソウのような帰化植物も見られますが、花の宝庫です。

 怪無山への分岐で左の森へ下り、谷の分岐で用水に沿って美しい木漏れ日の森をトラバースすると、15分ほどで中社ゲレンデの上に出ます。眼下の駐車場に戻ると登山は終わりです。用水は、幅1mもない小川ですが、なんとヤマメかイワナと思われる魚影もありました。

 飯縄山は山岳信仰の多くの場合、白狐に乗った剣と索を持つ烏天狗形で表され、五体、あるいは白狐には蛇が巻きつくことがある。一般に戦勝の神として信仰され、足利義満、管領細川氏、上杉謙信、武田信玄など中世の武将たちの間で盛んに信仰された。特に、上杉謙信の兜の前立が飯縄権現像であるのは有名。(wiki)

 飯縄権現については、現存最古銘の飯縄神像は永福寺の神像です。応永十三(1406)年の南北朝時代頃には信仰として確立していたのでしょう。しかし、室町頃には、魔法、外法といった捉えられ方がされ始めていたという史実もあります。烏天狗ということから、古くは秦氏のように古代ユダヤから持ち込まれた信仰とも考えられます。我々が思う以上に、古代から人は世界を動いているのです。

 日本でも豊臣秀吉の国替えでは、信州川中島の武将一族は、上杉景勝の会津転封(てんぽう)に伴って家族家来諸共移り住んでいます。戦国時代の川中島合戦では、戦後甲州から多くの農民が移住させられました。古くは日本人もポリネシアから海を越えて来たり、雲南や中国大陸や半島から来たわけです。放射能で汚染された東北関東から、やがて人々がディアスポラ化し世界へ出ていく日もそう遠くないのかも知れません。




◉追記
『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。もちろん飯縄山も詳しく紹介。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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