モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

貝母が枯れた陣場平で里山保全作業。花と蝶とハナアブと(妻女山里山通信)

2016-05-29 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前回のヨシの除去作業の仕上げとして集まったのですが、突然の知らせだったのでメンバーは3人だけとなりました。前回にクワで掘り返してあるので作業は楽かなと思ったのですが、さにあらず。26日から27日にかけての雨で、新芽が続々と出ていました。まあそれが地下茎がある印なのでそこを掘ればいいのですが、地上には出ていない芽もあり、結局全部掘り返さないといけないわけです。暑いし重労働でした。以前出会った千曲市の野草の愛好家の人達が訪れてくれて、ニラのおやきとオレンジを振る舞ってくれました。ありがとうございました。

 その人達にも話した林道入口の不明な花が2株。黄色いアザミ? 左2枚は同じものです。右はすぐ近くにあった別の似た花。帰って調べて判明しました。ノゲシの様です。ヨーロッパ原産で、世界中に帰化植物として分布しているそうです。しかし、左と右では微妙に違います。左はオニノゲシに近いですね。畑作とともに帰化した史前帰化植物で、若葉は食用になるそうです。平安時代の「本草和名」や「倭名類聚抄」に「苦菜」として出てくるのですが、和歌などには詠まれていない様です。

 スイカズラ(吸葛)の花(左)。白花と黄色の花がありますが、白色の花が受粉すると黄色に変わるそうです。生薬名で金銀花といい、解毒、解熱作用があるそうです。甘い香りの花は忍冬酒という果実酒になるとか。ヤマホタルブクロも咲きました(中)。例年なら6月の花です。桐の花が落ち始めました(右)。そこら中に甘い香りが充満しています。

 妻女山へ車を走らせると地面からプチプチと音がします。ソメイヨシノやヤマザクラのさくらんぼが潰れる音です。これはたぶんソメイヨシノ(左)。唱歌「夏は来ぬ」で卯の花と歌われるウツギも咲きました(中)。先日はカッコウとホトトギスが鳴いていました。
【ザ · ピーナッツ, 夏は来ぬ 】

 右はノイバラの花。以前の記事で、「童は見たり野中のバラ」という記事を書きましたが、一番は清らかですが、二番三番はなかなか意味深で激しい歌詞です。

 クサフジで吸蜜するツマグロヒョウモンのオス。クサフジは蜜の量が少ないので、すぐ飛び立ってしまうため非常に撮影に苦労しました。できればメスも出現して欲しいものです。

 ツマグロヒョウモン(左)。体の大きさと翅のあまりの小ささから航空力学的に飛べないといわれてきたクマバチ(中)。羽音が大きく近くに来ると驚きますが、刺すことはめったにありません。ハルジオンで吸蜜するミナミヒメヒラタアブかと思ったのですが、(右)。体長が8ミリなさそうなので、ホソヒメヒラタアブの様です。小さすぎてまず発見するのが至難の業です。尾部についているのはタカラダニでしょうか。セミにつくことが多いのですが、こんな小さなアブについているのは初めて見ました。希少なカットです。このタカラダニはまだ小さく0.5ミリぐらい。メスしかみつからないので単為生殖するといわれています。花粉を食べるともいわれていますが、セミやハナアブにつくのはどういう理由があるのでしょう。その生態はあまり分かっていない様です。

 ヒョウモンチョウの一種なんですが、メスグロヒョウモンのオスでしょうか(左・中)。仲間の蝶の専門家に聞いてみようと思います。ツマグロヒョウモンのオスと壮絶な縄張り争いをしていました。イボタノキで盛んに吸蜜。これはヒラタアブの仲間なんですが、複眼が離れているのでホソヒラタアブのメスでしょうか(右)。

 夏の香りがする陣場平。手前は菱型基線測点。右向こうに掘り出したヨシの山が見えます。暑い日でしたが、湿度が低いので日陰に入ると気持ちのいい日でした。こういう場所で鳥の声や虫の声を聞いていると心が鎮まります。じっとしていると野生動物が現れることもあります。ニホンカモシカやヤマドリ、ノウサギやタヌキ、キツネなどなど。上空をトビが旋回していました。

 貝母は枯れ始めています(左)。実のつかない球根が小さなものから枯れます。実がつくものは球根が大きいので最後に枯れます。今年は実を採取して、ヨシの根を掘り出したところに蒔いてみようと計画しています。ヨシの根を掘り出す作業は本当に重労働でした。江戸時代にヨシ原を開梱して新田を作るという時はこんなだったのでしょうね。先人の苦労が偲ばれます。今回は最も根が多い箇所をやりました。まだ半分が残っています。
 ミヤマウグイスカグラの赤い実(右)。甘くて美味しいのですが、たくさん採って冷やした方が旨いですね。昔はナツグミや桑の実と共に、田舎の子供のおやつでした。

 午後2時に作業を終えて下山。妻女山展望台へ行くと、信濃毎日新聞に載った私の記事を2枚持っている車3台でいらした年配の方々が大勢いました。その記事は私が案内しましたと言ってガイドをしました。喜んでいただけた様です。もう100人以上にガイドをしていると思います。晴れの日はいつも里山保全と撮影で妻女山のどこかにいます。会いたいな会えるかなという方もいらしゃるので、メッセージを送るからご連絡いただければ、都合が合えばご案内もできるかもです。妻女山 花と歴史のハイキングに来られた赤坂山で出会った方も、一人で鞍骨山まで行かれないのであれば、スケジュールが合えばご案内できますよ。それにしても全国から訪れるようになりました。今日も福島から来た方を斎場山に案内しました。
 展望台からの景色はすっかり夏色に染まりました。麓では、長芋の種芋の植え付けが盛んに行われています。それにしても今日は疲れました。
 6月5日に「全国植樹祭ながの2016」が開催されます。植樹なので植林地の話が主なのですが、里山の保全や豊かな自然に多大な貢献をしているのは、むしろ広葉樹林や混合林です。そんな里山の豊かな自然の共生関係や共進化の話を面白いエピソードと共に書籍化したいと企画中です。ビジュアルも文章も、たぶん今までにはなかった本になると思います。

妻女山の位置と名称について」妻女山と赤坂山と斎場山について。『真田丸』で訪問者が激増中。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 長野県シニア大学や自治体などで公表だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。

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ウスバシロチョウとアオバセセリが舞う陣場平で里山保全作業と撮影(妻女山里山通信)

2016-05-22 | アウトドア・ネイチャーフォト

 拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』でも紹介している妻女山奥の陣場平の貝母は、松代夢空間主催の「妻女山 花と歴史のハイキング」が行われた4月27日が最後の見頃で、28日の雨と突風で散ってしまいました。現在はご覧の様に枯れ始めています(左)。右下に土が見えますが、ヨシがはびこり貝母にかなり侵入してきたので、妻女山里山デザイン・プロジェクトの面々を集めて5月8日に除去作業を行いました(中)。除去したヨシとその根っこを積み上げると小山ができました(右)。
 その後何度も地下茎の除去作業に撮影がてら行っているのですが。太い根だと10センチもあれば芽が出ることが分かりました。つまりみな掘り出さないとダメなわけです。結局、ザルで20杯分以上を掘り出したでしょうか。このところ、10時頃から昼まで除去作業をし、休憩の後で撮影。2時半には妻女山駐車場で撮影の日々。それを2週間近くやって体力の限界を感じています。ヨシは本当に手強いです。

 枯れてきた貝母ですが、これはたくさん実がついています。球根も相当大きいのでしょう(左)。種が入っているさく果の中心がかなり膨らんできました(中)。弾ける頃に採取してヨシを除去した場所に蒔いてみようと思っています。実に艶があるヤブヘビイチゴの赤い実(右)。ヘビイチゴは艶がありません。どちらも無味無臭で美味しくはありません。もちろん蛇も食べませんが、薬草です。

 花粉まみれになりながらヒレアザミで吸蜜するウスバシロチョウ。氷河期の生き残りといわれます。シェルランプの様な、はたまたステンドグラスの様な透けた翅が美しい。翔び方は不器用で、ヒラヒラ舞うというよりも、パタパタ舞ってスーッと滑空する様な舞い方をします。今年は2週間も早く出現しました。
 よく見ると尾部に交尾を終えた後にオスによってつけられる交尾板(受胎嚢)が見えます。交尾したオスが、メスがもう交尾できないように、分泌物の粘液でできた殻をメスの腹部につけるのです。言わば貞操帯。つまり、このメスは既に交尾が済んでいるということです。

 アマドコロの花が咲き始めました(左)。根は黄精といって強壮剤。毎夜の交合を記していた小林一茶が黄精酒を愛飲していたのは有名です。イボタノキの花も咲き出しました(中)。林道脇に生えることが多いので、除草で刈られてしまうこともあるのですが、シジミチョウの食草なので場合によっては何百という卵が死滅してしまいます。行政は業者に委託する時に、こういうところにも気を配って欲しいものです。ウバユリの葉もかなり大きくなりました(右)。夏に咲く白く長いユリの花は魅惑的です。

 アオバセセリを始めて撮影しました。ハルジオンで忙しなく吸蜜しています。留まっている時間がかなり短いので、撮影には苦労しました。ハルゼミとエゾハルゼミの鳴き声がクレッシェンド、デクレッシェンドで森に響きます。クロメマトイが五月蝿いので、ゴーグルは必須です。カッコウが鳴き始めました。遠くからはアオバズクの恋歌も聞こえます。下界は28度でしたが、山上は爽風もあって26度ぐらいで快適でした。里山に来ませんか。

 山椒の実も例年より早く成り出しました。たくさん摘んで縮緬山椒を作ります。私のレシピは一回しか茹でこぼさないのでかなり強烈です。そのため、ジャコではなく苦味のあるコウナゴを使います。現在はレシピより更に薄味にしています。
 帰りに「妻女山 花と歴史のハイキング」でも皆さんをお連れした猪のヌタ場(泥浴び場)へ(中)。かなり水量は豊富です。昨夜浴びた足跡はありませんでした。やはり案内した斎場山へ(右)。旧妻女山で、ここが地元で謙信の本陣と伝わる場所です。現在の妻女山は、本来は赤坂山といい斎場山の尾根の肩です。

 妻女山展望台から、松代城(海津城)方面と根子岳、四阿山の眺め。長野市の方にも言いましたが、左の案内図が間違いだらけで、どうにもなりません。下の説明や招魂社の説明にも、謙信本陣はここではなく、更に100m高い斎場山であるという説明がないため、たまたま私のガイドを聞いた人や、私のサイトを見てきた人以外は、皆誤解したまま帰ってしまうことになります。これは由々しき問題です。原因は、国土地理院が赤坂山に三角点を置いた時に、妻女山の名称を勝手に下ろしてしまったからなのですが。現妻女山は、すでに知られているので、本来の妻女山を本名の斎場山と呼ぼうと拙書やブログ、ホームページで啓蒙しています。
 疲れきって帰った後はシャワーを浴びてまずビール。その後畑で作っているカモミールでアイスティー。ドクダミも乾燥してドクダミ茶に、ドクダミは十薬といって優れもの。全草をちぎって酢に漬けて茶色くなった液を足に塗ると、水虫が完治します。足の臭いも取れます。ワキ臭や加齢臭にも効果あり。売薬など買う必要がありません。

 妻女山里山デザイン・プロジェクト(妻女山SDP)は、様々な分野の専門家の集まりになりつつあります。長野県政への提言もできる里山をフィールドとするシンクタンク(政策立案・政策提言する研究機関)になれると思っています。目指すところはそこでしょうか。大企業のシンクタンクは、詰まる所自社への利益誘導が目的で、よく発表される経済効果など全く信用に足らないものですが、我々は金を生み出す植林地だけではなく、里山の生物の多様性を担保する広葉樹林や混合林を特に保全、観察の対象としていくつもりです。

「妻女山の位置と名称について」妻女山と赤坂山と斎場山について

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。

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全国植樹祭2016が行われる茶臼山自然植物園と静かに佇む棚田へ(妻女山里山通信)

2016-05-15 | アウトドア・ネイチャーフォト
 全国植樹祭ながの2016が茶臼山自然植物園でも行われるということで、昨年から園内の大改造が行われています。6月5日に植樹などの行事が行われるようです。久しぶりに茶臼山へと週末の2日の午前中のみ撮影に出かけました。といっても私が向かうのはまず植物園とは反対側の青池方面の棚田です。こちらの方が日本の里山の原風景が残っていて生態系も豊かなのです。

 崩壊してしまった茶臼山の南峰(左)。この空間に山頂があったのです。山城と古墳の遺構があったといいます。北アルプス展望台(中)。北アルプスの稜線は雲の中でした。ハルゼミ、エゾハルゼミの鳴き声が森に響きます。虫倉山が見える棚田(右)。拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』でもこのコースを破線で紹介していますが、日本の里山の原風景が堪能できるコースです。シオカラトンボが舞っていました。
 茶臼山で二人の山ガールに出会いました。どういうコースを歩くのか必ず聞きます。そして地図は持っているかも。イラストでした。それで迷ったことはないですかと聞いたら迷いましたと。イラストは楽しいけれど地形図の代わりにはなりませんよと。迷った時に全く役に立ちませんと。ベテランの人は分かっているのですが、初心者ほどそれが分からず遭難騒ぎになるのです。また、女性は歩きながらのお喋りに夢中になり、間違った枝道に入ってしまうこともあります。やはり地形図や、拙書の様な地形図にコースが記載された本を携帯すべきです。
 彼女達には、拙書を見せましたが、「わあ、綺麗!」と。それは有り難いのですが、拙書の地形図とコンパスを使うやり方を教えてあげました。実は北アルプスより奥多摩や丹沢で遭難する人の方がずっと多いのです。里山でも10mどころか100mの崖もあります。エベレストにも登ったベテランのクライマーが、冬の里山で遭難死した例もあります。読図力も鍛えましょう。

 キンポウゲ科の黄色い花の同定は難しいんです。これはウマノアシガタでしょうか(左・中)。こちらのキンポウゲの仲間で見ても同定はかなり難しそうです。葉や茎に苦味のあるニガナ(苦菜)ですが、これは頭花が多いのでハナニガナ。

 変種のシロバナニガナ(左)。数株だけ咲いていました。アカネ科のクルマバソウ(車葉草)。小さな花なので見落としがちな野草です。最深部の耕作放棄地の田んぼの畦道に蕨(ワラビ)がたくさん出ていました(右)。こんなところに来る人はいません。採ったら袋がいっぱいになりました。重曹と苦汁を入れて茹でこぼして冷蔵しました。

 茶臼山自然植物園の最上部。ここまで登って来る人は僅かです。綺麗なトイレもあります。ウスバシロチョウやツバメシジミ、ベニシジミが舞っていました。出会った人には拙書を見せてパンフレットも渡しました。ここからすぐに茶臼山へ行けることを知らない人が多いのは残念です。中央に見える濃い緑の丸い山が茶臼山の山頂です。写真左のトイレを右手に歩くとゲートがあります。そこを出て左へ登ると、すぐに右へ茶臼山への標識があります。そこから山頂までは10分ほど。山頂へ行く前にまっすぐ進むと左に北アルプス展望台があります。

 ツツジの向こうに見えるのが茶臼山の山頂です。ここからは15~20分ほどで登れます。歩き慣れていれば幼児でも大丈夫。子育ては小さい頃から歩かせておくことが大事です。野生動物は歯がなくなったり歩けなくなったら死にます。それが自然の摂理です。歩きましょう。山登りはインナーマッスル(大腰筋)も鍛えます。

 茶臼山自然植物園のヤマフジのプロムナード(左・中)。訪れたご婦人も言っていましたが、例年なら満開の見頃なのですが、散り始めていました。園芸種のヤマオダマキ(右)。私は慎ましやかな野生種が好きです。NASAが、今年の夏は今までにない猛暑になるかもしれないと警告しています。異常気象は続くのでしょうか。

 全国植樹祭2016のために園内は新たな遊歩道や花壇ができて様変わりしました。なんか人工的過ぎる。色んな木が切られて残念という人にも複数出会いました。この下にスミナガシの舞う森があるのですが、それは大丈夫なのでしょうか。少し心配です。オオムラサキの繁殖飼育を始めたようなんですが。他の蝶、ゼフィルスにも気を配って欲しいものです。茶臼山は自然が豊かな里山ですから。

 午後は2日とも妻女山の陣場平の貝母の保護のためにヨシの芽切りに行きました。大変な作業です。真田丸で訪問者も増えているので、展望台のある妻女山は謙信の本陣ではなく、更に100m高い円墳のある斎場山が地元では謙信の本陣と伝承されているところですと、時間があればボランティアで説明もしています。長野市の設置した絵図や看板にはその表記がないので、知らない人は誤解したまま帰ってしまうのです。これは由々しき問題です。展望台のあるところは地元では赤坂山といい、妻女山は往古は斎場山といい、山頂は古代科野国の円墳です。拙書ではそのことを詳しく説明しています。
 写真は妻女山展望台から松代城(海津城)方面の眺め。奥に根子岳(左)と真田の山家神社奥宮がある四阿山(右)が見えます。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。

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■『国分寺・国立70Sグラフィティ』村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の想い出。はてなブログに移動しました。
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今回の妻女山SDPは陣場平のヨシの根の除去。重労働でした(妻女山里山通信)

2016-05-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 5月2日の信濃毎日新聞の一面下の「斜面」でも紹介していただいた陣場平の貝母(編笠百合)ですが、ノイバラとヨシが急速に増えだしてしまいました。4月2日にノイバラの除去をしたのですが、ヨシはほぼ手付かずでした。8日の妻女山SDPは、そのヨシの根を掘り出してしまおうという作戦でしたが、これがとんでもない重労働でした。

 まずN氏制作の登山者ノートボックスを妻女山駐車場の最奥に設置しました(左)。これは登山届ではありません。斎場山や鞍骨山への登山道の状況や動植物や人との遭遇、感想や要望を書いていただくためのものです。お気軽に書いてください。どんな些細な情報でもあなただけが見た貴重な情報なのです。
 作業の二人を残して我々は陣場平へ(中)。ヤマグワやクワ、スコップなどでヨシの根を掘り出します。地面が固いところも多く、根も絡み合って非常にきつい作業でした(右)。掘り出した根は集めて山にしました。高さ1メートル以上の小山ができました。しかし、完全な除去は不可能で、後日芽切りに何度も来なければなりません。あちこちにブタクサが生え出して、これも除去しないといけません。突風での倒木処理や落枝の処理もしました。里山保全は本当に大変です。

 2時間半格闘し、やっと昼餉(左)。まずノンアルコールビールで乾杯。重労働過ぎて、みんないつもより口数が少なめ。私は山蕗の煮付け、コシアブラの卵焼き、蕨のお浸し、自家製の大根の酢辛子漬けととろろを持参(中)。今回はK氏が育てたイガチクオレゴンと夢ちからをブレンドした手打ちうどんがメインです(右)。色も漂白された白ではなく、薄い栗色。ツユはS氏のお手製。さらに胡桃のペーストも作ってきてくれました。これらを入れて食べましたが、絶品でした。こんなうどん他ではお金を出しても食べられません。

 K氏が持ってきたベーコンも焼きます。(左)。T氏のアスパラも茹でました。うどんは1.5キロを3回に分けて茹でましたが、少々食べ過ぎました。今回の作業道具(中)。重労働過ぎて腰痛が取れません。N氏が作った立派過ぎる登山者ノートの箱も設置しました(右)。我々は疲れ果てて2時過ぎにはお開きにしましたが、その後訪れた女性二人がいたようで最初の書き込みがありました。拙書のパンフレットも置いていますのでご自由にお持ち下さい。
 晴れの日は、11時前後から午後3時ぐらいまで、妻女山山系で撮影や陣場平の芽切りなどをしています。出会ったらお気軽に声を掛けてください。

 陣場平の貝母は結実し、下から黄色く枯れ始めました(左)。今年は種を採取して、ノイバラとヨシを除去したところに蒔いてみようかと思います。貝母の実(中)。果(さくか)といって、最後は割れて種が飛び散ります。その時に東風が吹くことが多いので西へ増えて行くのです。貝母は薬草ですが、かなり強い毒草です。球根はラッキョとよく似ています。最近も毒草を間違えて食べた事故がニュースになりました。死亡事故もありました。決して持ち帰らないでください。
 6日には小3、4年生の遠足に出会ったのですが、追い越しざまに毒草のクサノオウを触った子を見たので、先生に知らせました。拙書を見せると何かお話して下さいと突然のお願い。拙書を見せながら毒草やオオムラサキ、スズメバチや毒キノコの話などを10分ほどしました。結構キャッチーな質問をしてくれる男の子もいて、皆目をキラキラさせて聞いてくれてとても可愛かったです。
 氷河期の生き残りといわれるウスバシロチョウも例年より早く、4月中に舞い始めました(右)。シナノタンポポで吸蜜中。

 あちこちでギンランも咲いています。小さいので見落とすことが多い花です。里山が藪だらけになると絶滅する種です。菌根菌と共生関係をもつ植物なので、持ち帰っても育ちません。環境省の絶滅危惧II類(VU)です。これも決して持ち帰らないでください。

 蕾のように見えますが、これで満開(左)。フデリンドウ(中)。これも小さいので見落とす方が多いでしょう。私も出会ったご婦人に教えていただきました。ツクバネウツギ(右)。和紙の様な質感の可愛い花です。

 ヤマツツジも例年よりかなり早く満開になりました(左)。ホタルカズラも満開です(中)。苔の花。先端には胞子嚢(右)。

 天狗の団扇の様なハリギリの葉(左)。若芽は山菜ですが、今年は一気に開いてしまいました。ウバユリの艷やかな葉(中)。山菜ですが芽が出てから開花するまで7年ぐらいかかるので私は採りません。以前一枚だけとってお浸しにしましたが、そう美味しくもなかったから採らないというのもあります。歩いていると枯葉の上をカサカサと逃げていくニホンカナヘビ(右)。
 里山を見るときに、蝶とかある特定の生物だけを見るのではなく、共生関係とか相互連関とか、歴史や地理史なども含めて見るのが私のスタイルです。目指すのは、ホール・マウンテン・カタログという様なものなのです。そういう姿勢により、里山の全貌が見えてくるのです。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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子檀嶺岳 花と歴史のトレッキング(妻女山里山通信)

2016-05-02 | アウトドア・ネイチャーフォト
 1日に拙書の表紙にもなっている信州青木村の子檀嶺岳に登りました。山頂は里宮三社の奥宮があり、また真田の山城跡でもあります。上田から見ると烏帽子の形に、道の駅あおきから見ると崖がそそり立つ奇っ怪な台形の形に見え、一見するとどこからどう登るのだろうと思える山です。

 今回は車を二台用意し、村松西洞コースを登り、当郷管社コースを下ります。ゲートを明けて入るとすぐに駐車場(左)。ゲートに車で入ってはいけないと思う方が多く、これはゲートに表示が必要と思います。143号からの曲がり角にも子檀嶺岳登山口への表示が必要です。林道を登り登山道へ。フデリンドウが咲いていました(中)。更に登るとヒトリシズカの群生地が(右)。ヒトリシズカといいますが、大勢で賑やかに咲く花です。

 仏岩の手前で山頂が見えます。荒々しい崖と春紅葉も目立つ新緑が目を惹きます。

 仏岩(左)。ここから厳しい急登が始まります。一応細かくつづら折れにはなっていますが、かなりの急登(中)。滑りやすいのでゆっくりと確実に登ります。キジムシロがちらほら散見されます(右)。春に咲くバラ科の黄色い花は同定が難しいのですが、前日に陣場平で出会った千曲市の植物を研究している団体の方から、見分け方を教わりました。でも難しい。

 尾根から143号の谷を挟んで向かいに十観山。その左奥は御鷹山。

 尾根の肩に乗ったところで小休止(左)。左下に下山地の当郷が見えます。赤松の急登をこなして山頂の稜線に乗り、右へ辿ると奥宮がある山頂が見えます(中)。山頂には里宮三社の奥宮がありますが、結構狭いです。南面は高い崖なので転落に注意(右)。

 麓に伸びる何本もの尾根。向かいには夫神山。左奥には独鈷山。右奥に霞むのは美ヶ原。霞んでいるのは黄砂のせいでしょう。四阿山や浅間山、白馬三山もこの日は見えませんでした。山頂で昼餉の宴。私はコシアブラの卵焼きなどを持参。拉麺にビーフシチューなどと、ちょっと食べ過ぎました。基本、私は一日2食しか食べません。肉は少なめで野菜や発酵食品が中心です。炭水化物も少なめ、砂糖はほとんど摂りません。在京時代は20キロも太っていましたが、ブックスダイエットで痩せて現在は56キロをキープしています。

 葉の形からたぶんジロボウエンゴサク(左)。あちこちに咲いていました。殆どが散っていたミヤマエンレイソウ。シロバナエンレイソウともいいます(中)。これが分かりません。赤斑の結構大きな葉です。なんでしょう。花が咲けば同定もし易いのですが。分かる方おられますでしょうか。

 登山道を横切って結構広い旧道が残っています(左)。おそらく修那羅峠辺りから来る牛馬道でしょう。ウスバサイシン(中)。葉の下に咲くウスバサイシンの花(右)。ヒメギフチョウの食草です。

 イタドリ(左)。仲間がかじっていましたが、かなり酸っぱい味です。シュウ酸が多いのでご用心。昔、調布の野川をサイクリングしていたら、前から来たご婦人がこれをかじりながら散歩していたので仰天したことがあります。バッコヤナギ(ヤマネコヤナギ)は既に結実していました。オケラの新芽(右)。山で旨いはオケラにトトキといわれる山菜です。

 石畳公園の岩に彫り物が(左)。公共とか山とか書かれていますが、判読できません。何が書いてあるのでしょう。
その畳石公園の板状節理(中)。溶岩ダイクですね。当郷の駐車場には、大きなウワミズザクラが見事に咲いていました(右)。
当郷管社コースの登山者休憩所があるT字路の角に新しく駐車場ができました。ここの方が駐車し易いです。

 下山後は大法寺の国宝三重塔、通称見返りの塔に寄りました。鎌倉時代の塩田平の栄華を今に残す名塔です。詳細については拙書でも詳しく書いています。その後、半過岩鼻の絶滅危惧種のモイワナズナを見に行きましたが、やはり今春は季節が早く、例年なら今頃が見頃なんですが、既に残花でほとんどが結実していました。
 今朝の信濃毎日新聞の一面の「斜面」で、私と陣場平の貝母の記事が載りました。先日電話取材を受けたのですが、まさか信毎の論説委員の方をご案内していたとは思いませんでした。現在は結実し解けていく段階です。記事を見て訪れてくれた人達がいましたが、薬草ですが強い毒草なので決して持ち帰らないでくださいと念を押しました。
 ここのところ、山菜での事故がニュースでいくつも流れていますが、「やはり野に置け蓮華草」、野草は毒草がほとんどです。安易に庭に植えてはいけません。自分は分かっていても、亡くなった後、それが伝達されて行くか考えると危険すぎます。野草は山で楽しみましょう。
 世間は大型連休ですが、私は妻女山山系の撮影や里山保全、雨の日は企画の立案やらブログ更新などで休みなしです。『真田丸』でハイカーや歴女、山城マニアも増えています。出会った方には必ず声をかけますので、なんでも聞いて下さい。左上のメッセージを送るからのメールでのお問い合わせにも、できるだけ迅速に返答する様に心がけています。ぜひ里山の素晴らしさを体験してください。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。松代の観光案内所、まち歩きセンターでも販売しています。

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