モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

クリタケ城発見!(妻女山里山通信)

2010-10-31 | アウトドア・ネイチャーフォト
 久しぶりの雨上がりにいてもたってもおられず里山へ。途中山仲間のKさんに遭遇。きのこ情報を交換して山へ。忙しいので、ポイントだけを走る様に巡りました。11月目前というのに山は錦秋どころか夏山の様。今まで見た事のない不思議な風景です。ハチ、ハナバチ、ハナアブの異常に少ない状況が、来春以降どんな影響をもたらすのか非常に心配です。

 そんな中、灌木の奥の奥で切り株に一面に生えたクリタケを発見。その様はさながら「栗田家城」という感じです。傘はやや大きくなっていたものの、虫はまったく入っていません。そのキノコ虫が異常に少ないというのも気になるところです。別のシロでは、地面からはえた傘の直径が12センチもあるクリタケを発見。一見するととてもクリタケには見えませんが、クリタケなんです。

 隣には猛毒のニガクリタケが。ほとんどのニガクリタケは、黄色で一見してそれとわかるのですが、このリンクの写真のようにクリタケとそっくりなものが稀にあるのです。しかもクリタケと混じって生えている事もあります。ですから、クリタケ採取の際には、必ずかじってみます。これは必須です。ニガクリタケは、すぐに吐き出さずにはおられない嫌な苦さがあります。噛んだキノコはもちろん吐き出しますが、何度も口を濯ぎたくなるほどの本当に嫌な苦さです。

 ニガクリタケは、時に死にも至る毒キノコですが、クリタケも近年、ネマトリンなど殺虫成分の毒性があることが分かりました。欧州では毒キノコに分類されている国もあるとか。そういうわけで過食はしないほうがいいでしょう。山菜やキノコなど天然のものは、栄養も高いかもしれませんが、アクや毒性も強いものなのです。しかし、微毒の場合は食べる量に正比例してリスクが高まるわけではなく、ある量以上大量に食べると危険が突然増大する(閾値)ので、常食、あるいは過食をしなければいいのです。クリタケは、軸の鱗片がある下の部分は硬くて食べられません。この上で切って採取します。クリタケの細胞は球形で壊れにくいため、そのままでは旨味が出にくいそうで、冷凍すると壊れて旨味が出てくるそうです。鶏や油揚げ、ヒジキやニンジンなどと炊き込みご飯が定番です。

 写真のシロノハイイロシメジは、信州の里山には普通に見られるキノコで、ホイル焼きにして食たり、茹でこぼしてから塩漬けにして食べる人も少なくないのですが、保健所等では毒性分があるので食べない様にと指導しているようです。さらに森の奥に入ると、枯れ葉に隠れた森の貴婦人・ムラサキシメジがありました。枯れ葉の下に隠れていることが多いので、シロを知っていることが採取のポイントです。ムラサキしめじは輪菌を作るので、あったと思って近づくとミツバアケビの実が落ちていたなんていうこともあります。

 信州の秋の顔といえば時候坊です。全国的にはハナイグチですが、信州ではジコウボウ、ジコボウといいます。このキノコを食べないと秋が来た気がしないという人は少なくありません。ところが、今年は私の地元では近年にない不作でした。去年、我が家の山だけで700本も採れたのとは大違いです。菌は、安定しているとキノコになりません。菌の状態で延命できればいつまでもそのままでいます。急激な気候の変化や、なにか刺激が加わって危機感を持ってキノコになり胞子を飛ばして子孫を残そうとするのです。

 雨上がりの湿った森を歩いていると山桜の幹に何か光るものを見つけました。ゼリー状で透明です。触ると柔らかくプルンプルンしています。樹液かなと思いましたが、手で少しすくって舐めてみると無味無臭です。樹液ではないようです。おそらくシロキクラゲの幼菌ではないかと思います。しばらくして時間があったら確かめに来てみようと思い撮影しました。

 倒木に黄色い点々が。粘菌(変形菌)の変形体かな、ススホコリかなと思い触ってみると溶けません。プルンプルンしています。変形体なら形が崩れて溶けます。よく見ると丸い形をした小さなキノコです。モエギビョウタケでした。帰り道、11月というのに錦秋のきの字もない奇妙な風景の森を歩いていると、久しぶりにニホンカモシカに出会いました。冬毛に変わろうとしていました。この辺りでも熊の出没が相次いだため、キノコ狩りのシーズンというのに山はいつになく静かでした。

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★妻女山(斎場山)について研究した私の特集ページ「「妻女山の真実」妻女山の位置と名称について」。「きつつき戦法とは」、「武田別動隊経路図」など。このブログでも右下で「妻女山」でブログ内検索していただくとたくさん記事がご覧いただけます。
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保基谷岳が初冠雪!(妻女山里山通信)

2010-10-28 | アウトドア・ネイチャーフォト
 27日、所用ででかける車中から保基谷岳の初冠雪が見えました。そこで帰りに妻女山展望台へ立ち寄ってみました。保基谷岳は、写真の様に頂上付近だけが白くなっていましたが、地元の人がたかやしろと呼ぶ高社山以北の山々は、かなり下まで白くなっていました。一気に冬の到来です。しかし、なんだか変です。ご覧の様に山が緑のままなのです。ほとんど紅葉していません。まるで夏の山に雪が降った様です。

 その後、我が家の山へ栽培しているクリタケを見に行きました。思った通り、数日前の雨でニョキニョキと出ていました。傘がすっかり開いたものより、写真ぐらいが食べごろです。しかし、変です。例年なら赤や黄色の枯れ葉に埋もれているはずのクリタケが、青々としたミツバアケビの実生の中にいます。見た事のない異常な風景です。ソメイヨシノがやっと色づいて散り始めましたが、早いはずのヌルデがまだ一部しか紅葉していません。

 一見そっくりなニガクリタケが側にありましたが、確認のために咬んでみると、やはり吐き出さずにはいられない苦さです。これさえ行えば誤って食べる事は絶対にないのですが・・。ほとんどのニガクリタケは、黄色ですぐに分かるのですが、まれにクリタケそっくりな色のものがあるのです。変だなと思ったら、こうやって確認することです。ニガクリタケは死亡例もある毒キノコです。

 一応、秋の花も咲いています。ノコンギク、アワコガネギク、ミズヒキ、クサノオウなどなど。でも数が異常に少ないのです。シロヨメナや秋咲きのオオジシバリは見られません。温かい日には比較的遅くまでハナバチも見られるのですが、それも皆無。本来ならば錦秋の中にシロヨメナやノコンギク、ノハラアザミやヤマラッキョウが咲き乱れるはず・・。

 妻女山の麓では、名物の長芋のつる焼きが始まりました。しかし、天候不順で作業はなかなかはかどりません。国連が、今年の日本は雪が多いと予測しました。豪雪になるのでしょうか。猛暑の後は厳寒と豪雪の冬? 異常気象はまだまだ続きそうです。

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中尾山・茶臼山ハイキング2010(妻女山里山通信)

2010-10-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野市篠ノ井の「中尾山・茶臼山ハイキング・一本松コース(中尾山一周)」のインストラクターをしました。100名ほどの参加がありました。開会式、準備体操の後、まずは中尾山に向かって出発。赤い実がたわわに実ったリンゴ畑に沿って登ります。お見合い風呂で有名な松仙閣を過ぎて山道へ。驚いたのは、7月の集中豪雨によって大量の土砂が流れたり沢を削っていたことでした。改めて裾花凝灰岩でできた中尾山のもろさを実感しました。それと10月も下旬というのにほとんど紅葉していない森にも驚きました。

 途中、植物の説明などをしながら一本松へ。登山道は、地元の「茶臼山トレッキングコース愛護会」の人たちによってきれいに整備されていました。一本松からの尾根道は、高低差のあまりない散歩道。カエデの種類が多い今井財産区の山の特徴などを説明しながらゆっくりと歩きました。最後尾の役員の中には、ちょっとといって森の中へキノコ狩りに入る人もいらして、里山ならではのハイキングという感じです。そういう私もある場所で、10mほど下の谷にある白樺の(信州では500mほどの低山にも白樺があります)倒木に、なにやら黄色い大きなキノコがたくさんあるのを発見。

 どれどれとインストラクターそっちのけで下りてみると、ヌメリスギタケモドキでした。ムキタケも少し。そそくさと採取して戻りました。それではインストラクターとしての立場がないので、このスギタケの仲間は、木に生えているものは食べられますが、土から生えているものは毒です。姿形がそっくりなので必ず現場で確かめて同定してください。確認しないでうかつに持ち帰ると危険ですと、一応うんちくをお話ししました。ちなみにこのヌメリスギタケは、キノコうどんの具になりました。ナメコの様にぬめりがありとても美味しいキノコです。

 私をインストラクターに推薦してくれた、このハイキングの実行委員会の副委員長である友人が、とんでもない急斜面を苦労して伐採し作ったアルプス展望台へ。曇り空なので展望は無理かなと半ば諦めていたのですが、靄(もや)っているとはいえ鹿島槍ヶ岳から白馬三山まではっきりと見えたのは幸運でした。ここから見る里山の風景は、源日本の風景ともいうべきもので、郷愁をかきたてられずにはいられないものです。これを見た参加者の心にも色々な複雑な想いが駆け巡ったのではないでしょうか。

 展望の効かない茶臼山の山頂を過ぎると、後は茶臼山自然植物園の下りです。途中の展望台からは、やはり靄っている根子岳と四阿山が見えました。眼下には川中島(善光寺平)が広がります。墨絵のような風景です。恐竜公園であそぶ幼子を見ながら交流会場へ。ほぼ予定通りの下山でした。会場では着いた人から昼食タイム、お母さん達が作ってくれた美味しいキノコ汁を堪能しました。

 その後、インストラクターのお話があり、私は、なぜ茶臼山と呼ばれる様になったのか、また、地元の人が山頂はないという中尾山は本当に山頂がないのか。あるという話や中尾山の古名。西山と東山の植生の違い、採ってきたキノコの話などミニ講演をしました。なかなか好評だったようで安心しました。そして、歌を歌って解散です。私は友人と松仙閣へ汗を流しに行きました。夜は友人に誘われて慰労会へ。交流会ではお話しできなかったことなどを、また語ってしまいました。実行委員会のみなさんのきめの細かい配慮で事故もなく楽しいハイキングができたことを感謝します。

★去年の私の茶臼山トレッキングは、【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】の2009年に三回アップしてあります。ご覧ください。

◉この中尾山や茶臼山も掲載の拙書『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazonで。カラー668枚の写真と分かりやすいと評判のコース地図とガイド。初心者からベテランまで38山、74コースを収録。信濃毎日新聞の記事と書評に次いで新潮社『SINRA』の本のコーナーでも高い評価を頂きました 。2015年7月10日初版

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中尾山・茶臼山ハイキングに参加しませんか!?(茶臼山里山通信)

2010-10-22 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今週末の24日(日)に長野市篠ノ井で、「中尾山・茶臼山ハイキング」が行われます。その「一本松コース(中尾山一周)」のインストラクターをすることになりました。当日参加もできるそうですので、興味のあるかたはご参加ください。

●集合場所:黒木学園【共和校】グラウンド(駐車場あり・しなの鉄道今井駅徒歩20分)
 入り口にある受付においで下さい。
●集合時間:8時-8時30分--8時30分より開会式--9時出発--12時に交流会の恐竜公園着予定(交流会12時-2時)現地解散
●コース:黒木学園--中尾山温泉--一本松(峠)--茶臼山展望台--茶臼山--茶臼山植物園--恐竜公園(昼食・ふれあい交流会)--黒木学園
 約8キロの道のりです。
●交流会では昼食の後、インストラクターのお話や合唱があります。キノコ汁がでるそうです。
●準備:昼食とハイキングの用意が必要です。

 私は、みなさんと歩きながらポイントで茶臼山の自然や地理史、歴史についてガイドをしたいと思います。里山の自然というのは郷土史と切っても切れない深い関係にあるので、歴史的観点からの考察は必須なのです。武田信玄が布陣したと伝わる茶臼山(南峰)と上杉謙信が布陣したと伝わる斎場山(旧妻女山)は、千曲川を挟んで対峙する山ですが、自然においても対照的で比べるととても面白い山なのです。そんなことや、なぜ茶臼山と呼ばれる様になったのか、また、地元の人が山頂はないという中尾山は本当に山頂がないのか。楓の種類が非常に多いわけは。茶臼山の樹木と昆虫などについて色々とお話しできればと思っています。

 写真は、去年の10月31日の茶臼山です。今年は秋が遅れているので写真のような紅葉は望めませんが、落葉し始めた気持ちのいい森の散策が楽しめると思います。天気がよければ、鹿島槍ヶ岳や白馬三山の大パノラマも堪能できます。
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ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケ(妻女山里山通信)

2010-10-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野県は、毒キノコ食中毒注意報を発令しました。キノコの判別依頼が去年の10倍になっているそうです。ニガクリタケ、ツキヨタケなどの事件が起きましたが、今年大豊作のウラベニホテイシメジと毒のクサウラベニタケの見分け方は、プロや経験者でも迷う事があるほど難しいものです。直接的には死には至らないものの、胃腸障害を引き起こす毒キノコで、激しい嘔吐、腹痛、下痢が起きます。軽症の場合もあるので、実際は報告されているよりもずっと多く中毒事故が起きていると思われます。

 掲載の写真は、そのウラベニホテイシメジとクサウラベニタケですが、この写真を見ても分かる通り、判別は非常に困難です。また、見分け方として図鑑やサイトに載っている内容も、必ずしもそうでない場合があり、鵜呑みにはできません。同じ場所に生えていることが多いので同定は慎重に確実に行わなければなりません。生えている場所や状況、変色があるので、キノコは持ち帰って判別ではなく現地で同定が基本です。今回も、途中で何本ものウラベニホテイシメジが放ってありました。同定できずに放ったのでしょう。中に一本クサウラベニタケもありました。分からないキノコは採らないことです。

 キノコは、標高800m以上1500m位までがよく採れます。理由は、朝晩霧に包まれることが多いからです。もちろん低山でも採れますが、乾き易いためポイントが限られ、いわゆるシロと出るタイミングを知らないと、まず一本も採れません。それから、月の輪熊との遭遇にも気をつけなければいけません。私も三度ほど出逢っています。

●同定について
 ウラベニホテイシメジは、左上の傘の写真が典型的なものです。放射状の霜降り模様に指で押したような斑紋があれば、間違いありません。時間が経つと傘に艶が出て来ます。しかし、この丸い斑紋はすべてのウラベニホテイシメジにあるわけではありません。むしろない場合の方が多いと思います。時間が経てば消えて艶が出ます。クサウラは、霜降りではなく放射状の絹目模様で艶があります。色は、ウラベニが黄褐色に対し、クサウラはやや赤褐色ですが、これも確実ではありません。黄褐色のクサウラベニタケもあります。だから難しい。
 傘の裏は、いずれも初めは白ですが、成熟して胞子を飛ばす様になると薄桃色から灰桃色、茶褐色へと変化します。裏が茶褐色になったものは老菌なので食べられません。
 ウラベニホテイシメジの軸は、幼菌でも太くがっしりしています。クサウラは細くもろいのですが、まれに太いものもあります。ウラベニも稀に細いものがあります。私は軸の細いウラベニは、同定できても万が一を考えて採りません。ウラベニは中実、クサウラは中空と書いてあるものが多いのですが、ウラベニでも大きくなると下方が中空になります。クサウラでも中実かなと思えるものがあり、これも決め手にはなりません。また、毒のイッポンシメジは、軸が太くウラベニホテイシメジとそっくりです。傘は放射状の絹目模様で艶があります。傘はやや灰褐色。
 ウラベニホテイシメジの軸は、ほとんどの場合枯れ葉からさらにのびて地中にまで達しており、非常に長い。それに対し、クサウラベニタケの軸は写真の様に枯葉の部分までなので短いのが特徴。ただ枯れ葉の部分がないとウラベニも軸が短いものも。しかし、よく見ると土の中から出ているのでクサウラと区別ができます。
 後は臭いです。これは同時に嗅ぎ比べてみるとよくわかります。クサウラベニタケとイッポンシメジは、なんとも嫌な臭いがします。この嫌な臭いは、ある種の毒キノコ特有の臭いなので、覚えておくと大変有効ですが、こればかりは経験がものをいいます。ウラベニホテイシメジもちょっと嫌な刺激臭がありますが、塩漬けにすると抜けます。
 プロでも迷う理由は、クサウラベニタケに似たウラベニホテイシメジはあまりないのですが、ウラベニホテイシメジに似たクサウラベニタケがあるからなのです。どうやら地域による変異が大きいようなのです。また、食菌のウラベニホテイシメジは苦く、毒のクサウラベニタケは苦くないというのも同定をややこしくしています。さらに、信州ではウラベニホテイシメジをイッポンカンコウといいますが、イッポンシメジという場合もあるので注意が必要です。いずれもイッポンシメジ科ですが、一本で出るわけではなく株でも出ます。迷ったら採らない食べないこと。保健所に持ち込んで鑑定してもらうことです。初心者が図鑑で同定するのは、もっとも危険な行為です。
絶対に当たらない方策は、ウラベニと同定できても、軸が細く短いものは絶対に採らないこと。キノコ狩りの達人は皆そう言います。

★見分け方が分かったでしょうか。 では、「ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケの見分けクイズ!!」に挑戦してみてください。


●食べ方
 ウラベニホテイシメジは、特有の苦みがあります。そのため、鍋にしたけれど苦くて不味いとか、食べられなかったとか、好きではないという声を聞きます。しかし、食べ方を知っている人は、ホンシメジより美味いという人もいます。
 基本は塩漬けにすることです。塩漬けにすると苦みが和らぎ、余計な水分が抜けて旨味が凝縮します。浅漬けならそのまま、塩が多めなら塩抜きして使います。おすすめは、バター炒め。中華風に牡蠣ソース炒めや鮑ソース炒め。天ぷらも美味。秋なす、鶏肉、厚揚げなどと煮物にも。おろし醤油もさっぱりして美味しい。秋ナスと味噌汁もおすすめ。煮込みうどんも大好きです。
 生の場合は新鮮なうちに塩、酒をふってホイル焼き。特有の苦みとシャキシャキした歯応えは、日本酒にぴったりと合います。
 今年のウラベニホテイシメジのシーズンは、もう終わりです。秋の深まりともにキノコも晩秋のキノコへと移っていきます。

 以前は上記の方法でしたが、3.11福島第一原発事故以降は、除染をしています。
まず、やや濃いめの塩水に2~3時間浸けます。泥やゴミを除去した後、茹でこぼします。その後水分を切ってタッパーかジップロックに入れ薄塩をして保存します。かなり水分が出てきますが、これは捨てます。食べるときは水洗いして調理します。濃い塩漬けの場合は塩抜きしてから。
 塩水につける茹でこぼすで、7~9割の放射性物質を取り除く事ができますが、高汚染地のものは食べるべきではありません。


 こちらの記事もお読みください。ウラベニホテイシメジの軸が長いのが分かります。ただ、落ち葉の厚さが薄いと、軸も短くなります。
信州は、ウラベニホテイシメジの季節。菌根菌なので除染を念入りに(妻女山里山通信)

 クリタケと死亡例もある猛毒のニガクリタケの判別も見た目だけでは危険です。栗色のニガクリタケもあれば、黄色っぽいクリタケもあるからです。最も確実で簡単な判別法は、傘を噛んでみることです。クリタケは無味ですが、ニガクリタケはすぐに吐き出さずにはいられないほどの嫌な苦味があります。隣合わせで生えていることもあるので、同定は慎重に。

◉キノコの話も掲載の『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazonで。単なるガイドブックではなく、山の歴史や生態系にも言及。カラー668枚の写真とコース地図。レアなバリエーション・コースも。驚愕と発見の面白いコラムも10本掲載。信濃毎日新聞や新潮社のSINRAの書評欄でも高い評価をいただきました。

■【信州の里山】キノコの汚染と除染について
 菌根性のキノコと腐性性のキノコに分けて解説しています。文章が長くて読みきれないときは、ポーズボタンをクリックしてください。文字が小さい時はフルスクリーンで。



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熊が出るか蛇が出るかキノコ狩りに鏡台山へ!(旧埴科郡里山通信)

2010-10-15 | アウトドア・ネイチャーフォト
 各地で月の輪熊が出没し、被害が出ています。その上、クサウラベニタケ、ツキヨタケ、ニガクリタケの事故も頻発。おまけにこの夏の異常気象でキノコの季節が半月以上遅れ気味。そんなこんなでキノコ狩りもなかなか厳しい状況ですが、姥捨山からの鑑月で有名な鏡台山へキノコ狩りに出かけました。鏡台山といっても山塊が大きく、松代町、千曲市、坂城町、上田市に跨がっています。しかも、鳥獣保護区があり月の輪熊の大生息地です。

 昨年は、鏡台山の登山道で排泄したばかりの大きな 熊の糞を発見、その後には前方を横切る熊と遭遇という経験をしました。今年はヤマグリやドングリが異常に不作で、鏡台山の熊が里まで下りてきています。松代町西条、千曲市の土口で目撃例があり、倉科では猪の檻にかかった一頭が駆除されました。また、最近では千曲市森の岡地で親子連れの熊が目撃されています。山に入れば、いつどこで遭遇してもおかしくない状況です。

 熊鈴と笛を携行して山に入りました。キノコの出方は今年の異常気象を象徴するかのように極めて異常です。10月中旬になるというのに9月のムラサキアブラシメジモドキが大量発生。このキノコはいい出汁がでるのですが、なぜか地元の人は知らないのか昔から採らないようです。そして、最盛期であるはずの時候坊(ハナイグチ)は、わずかしかなくしかも朽ちている有様。さらに晩秋のキノコともいえるムラサキシメジとクリタケが出ていました。遅れて出てきた松茸は一転して豊作の様ですが、秋が短いためかキノコ全体を見ると不作といっていいようです。

 熊の通り道になっている笹の尾根を超えると一面にムラサキアブラシメジモドキが生えていました。新しいものを選んで採ります。小さくてぬめぬめしているので結構面倒です。はさみで切っていきます。こうすると石突きが残り、菌糸を持ち帰ってしまうことがありません。帰ってからの掃除も簡単です。去年は大量に発生した時候坊のシロにはほとんど発生していませんでした。

 そして、初めて入る赤松と広葉樹の混合林。毎年食菌のウラベニホテイシメジと間違える事故が発生するクサウラベニタケが大量に出ていました。そして、あまり見た事がない灰緑褐色のキノコをたくさん発見。ミネシメジに似ていますが、近縁種のミドリシメジのようでもあります。どちらも食菌とありますが、臭いもよくなくあたる人もいるらしいので採りませんでした。その他、サクラシメジモドキ、クリタケ、ハナビラニカワタケ、出始めのムラサキシメジなどが採れました。幸い熊には遭遇しませんでしたが、緊張のキノコ狩りでした。

 帰りにオオカサモチの群生がある場所へ。時期は遅れていますが咲いていました。しかし、大量に咲き乱れていた昨年と比べるとあまりに寂しいこと。セリ科なので熊やニホンカモシカによって花のいくつかが食べられていました。去年はあれだけ咲き乱れていてもほとんど食べられていなかったことを思うと、やはり餌が圧倒的に少ないのでしょう。栗のみを食べた熊の糞は灰色、栃の実を食べた糞は黄色ですが、その栃の実もほとんど落ちていませんでした。ドングリもほとんど見られません。これでは里に下りてくるはずです。

 帰りの林道の崖面にリュウノウギクが秋の陽射しをいっぱいに受けて咲いていました。去年の同じ頃の山の色を見るとまったく違います。コバノガマズミがたくさん実をつけているところがありましたが、たった一カ所だけでした。冬は早いということですから、今年の秋は異常に短くなりそうです。森の昆虫や動物にとっては近年前例のないほどの苦難の冬になるかもしれません。

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武田信玄布陣の茶臼山へ!(茶臼山里山通信)

2010-10-13 | 歴史・地理・雑学
 今月下旬に行われる茶臼山トレッキングのネイチャーガイドを依頼されたので、所用のついでにフィールドワークも兼ねて久しぶりに茶臼山に寄りました。いつもの様に信里小学校から入った林道の駐車場に車を止め、旗塚へと歩きます。雲一つない南の空の下には鏡台山、五里ケ峯、冠着山。五里ケ峯と冠着山の間に流れる千曲川の彼方には蓼科山のシルエットが望めます。

 妻女山よりは、冷たい北風が吹き付けるため紅葉が早い山なのですが、10月とは思えない緑の森です。わずかにヌルデの紅葉が見られるのみ。ウリハダカエデやハウチワカエデはほとんど色づいていません。そして秋の花が異常に少ない。赤とんぼもほとんど見られません。森の奥でウスヒラタケを見つけましたが、まったく虫が入っていません。蜂ばかりかキノコ虫まで少ないのです。

 この茶臼山は双耳峰でした。信玄が布陣したと伝わるのは南峰で、地滑りで崩壊してしまった有旅茶臼山(うたびちゃうすやま)なのです。『妙法寺記』には、こう記してあります。
 「武田晴信は同月十八日嫡子太郎信義、武田逍遙軒、同左典厩信繁を初めとし家臣長坂、飫富、山縣、山本、両角、馬場、真田、跡部等二万余人を引具して甲州石和城を発して信濃に入り更級郡茶臼山に陣を取り機を見て二十八日広瀬渡を渡りて海津城に入れば総勢実に二万五千に達すという。」ただし、『甲陽軍鑑』には、信玄の茶臼山布陣の話は全くでてきません。

 その茶臼山という名称ですが、茶臼岳、茶𥓙山、茶磨山などとも書かれ、全国に200以上あるもっとも多い山名だそうです。茶臼(茶𥓙)とは甜茶を抹茶に挽く石臼です。抹茶が日本に入ってきたのは鎌倉時代。茶道が武将の間に広まったのは戦国時代にかけてといいますから、茶臼山という名称も室町時代以降といえるのではないでしょうか。戦国当時、名だたる武将は陣を張るとまず幕内に茶臼をしつらえ、抹茶を立てて一服するのが習わしだったそうです。抹茶を飲む事は、精神を落ち着けるとともに、相手を粉々に粉砕するという意味も含まれていました。

 その茶臼を使わない時に布をかぶせると富士山のような形になります。その形に似ている山ということで、全国各地に茶臼山という山があるのですが、大阪の茶臼山(大阪夏の陣で真田幸村が布陣)のように武将が好んで布陣した山でもあります。武将にとって縁起のいい山名だったのでしょう。そのため、茶臼山には山城が築かれたところも多くあります。また、それより遥か昔には古墳だったところもあります。円墳や前方後円墳の後円部は茶臼の形をしています。そう考えると、武田信玄が茶臼山に布陣したというのも、そう荒唐無稽な話ではないかもしれません。
 実際に茶臼山の頂上北側には、深くて長い堀切があり、郭(くるわ)のような段も見られます。鎌倉時代の土豪の山城があったのかもしれません。

 アルプス展望台からは、残念がら鹿島槍ヶ岳の頭しか見えませんでしたが、当日、白馬鑓温泉へ登山入浴に行った息子の話では、午前中はガスの中だったようですが、午後は晴れて紅葉真っ盛りの景色を堪能したそうです。
 
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異常にキノコが! その2(旧埴科郡里山通信)

2010-10-10 | アウトドア・ネイチャーフォト
 家人が大量のキノコを採ってきたことに刺激されて、先日朝から山の整備とフィールドワークも兼ねて山に入りました。急に気温が下がった事と雨が降ったことで、キノコが大発生したようです。不作といわれていた松茸も時期が遅れて大発生したとか。山の整備をしていると、下の林道を早くもキノコ狩りを終えた軽トラックが下りてきました。荷台のカゴを見ると茶色のキノコが大量に入っています。時候坊(ハナイグチ)でしょうか。標高1000m辺りでは発生しましたが、500m以下ではまだのはず。

 整備もそこそこに山に分け入りました。この秋は猛暑の影響で、ヤマグリやドングリの実なりが悪く、月の輪熊が里まで下りてきています。先日も千曲市の水田や畑で親子連れの熊が目撃されました。親子連れの熊に遭遇するのは極めて危険です。しかも、キノコ狩りの人たちは、自分のシロが見つかるのを恐れて熊鈴をつけない人が多いのです。そういう私も、途中見晴らしの悪い危険な場所では、笛を吹いたりしますが、森に入ると鈴は鳴らしません。その代わり、絶えず周囲には注意を払います。出会い頭に遭遇しないことと、相手より先にこちらが気がつく事が重要です。

 そんな中、深い薮を抜けて滑落しそうな急斜面に出ると、斜面一面にウラベニホテイシメジが出ていました。毒キノコのクサウラベニタケとよく間違うキノコです。先日も千葉県で事故がありました。軸が中実(大きくなったものは中空に見えるものあり)で傘に霜降り文様や指で押したような跡があれば間違いありません。ただクサウラベニタケに似た(なよなよした)ウラベニホテイシメジはないのですが、ウラベニホテイシメジに似た(しっかりした)クサウラベニタケがあるので要注意なのです。ベテランでも迷う時があるキノコです。最終的には石突きの臭いで判断します。この違いを知っておくと非常に役に立ちます。食べられるウラベニホテイシメジは苦みがあり、毒のクサウラベニタケには苦みがないというのも同定をややこしくしています。

 そして、真っすぐに立っていられないほどの急斜面で、サクラシメジ(赤ん坊)の群生を何カ所も見つけました。これもウラベニホテイシメジと同様に苦みがあるキノコで、天ぷらやゆでておろし醤油でいただきます。大きな袋ふたつ分ぐらいを採って持ち帰りましたが、とても採りきれる量ではなく、100本以上残してあります。しかし、地元の人もほとんど入らない場所なので、恐らくそのまま胞子を飛ばして朽ちて行くことでしょう。帰りにヤマグリの木の下を通りましたが、実はひとつも残っていませんでした。森の動物たちの食料になったのでしょう。山の食料が少ないので、この晩秋は冬眠前に熊が餌を求めて山麓の柿やリンゴを求めて下りてくるでしょう。今まで現れたことのない市街地にも現れる可能性が高いと思います。要注意です。
★月の輪熊に要注意!
●なるべく複数で行動し、熊鈴、笛、音の出るものでこちらの存在を知らせる。
●残飯、ジュースや缶コーヒーの空き缶やペットボトルを捨てない。
●熊を見かけたら、驚かせない様に静かに去る。小熊には近づかない。近くに必ず母熊がいます。
●昼夜問わず行動しますが、朝夕は特に注意。
 
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★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、地衣類、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。

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異常にキノコが採れました!(旧埴科郡里山通信)

2010-10-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 異常気象のせいで、季節が半月以上も遅れているのでしょうか、いまごろになってキノコがたくさん採れだしました。といっても私ではなく家人が旧埴科郡の深山で採ってきたものなのですが。まず鮮やかなサクラシメジ。当地では赤ん坊といいます。そして毒のクサウラベニタケとの間違いが最も多いキノコ、ウラベニホテイシメジ。当地ではイッポンシメジとかイッポンカンコウといいます。確かにイッポンシメジ科のキノコですが、図鑑のイッポンシメジは毒キノコです。そして、ハタケシメジ。名前の通り我が家の畑にも出るキノコです。見てくれは美しくないのですが、ホンシメジにつぐ美味さがあります。

 そして、今回なんといってもトリプルハットトリック級のキノコが、マイタケです。肉厚でなんと1.2キロありました。天ぷらにしましたが、その風味はおがくず栽培の市販品とは比較になりません。実に厚みのある奥深い味です。塩をつけていただきました。キノコうどんにもしようと思います。菌糸がたくさんついてきたので、駄目元で我が家の山にある栗の木の根元に埋めてみようと思います。舞茸の菌糸は非常にデリケートで弱いので、無理だとは思いますが、万が一ということもあります。

 ところで、このところクリタケと間違えて毒キノコのニガクリタケを売ってしまったという事件が続けて起きました。ちょっとキノコに詳しい人なら、今の時期にクリタケが出るはずがないと分かるはずなのですが。特にキノコが例年より半月以上遅れているとなればなおさらです。今回のサクラシメジ、ウラベニホテイシメジ、マイタケも9月のキノコです。それだけ異常気象で季節がずれているのです。

 クリタケとニガクリタケの見分け方をテレビでやっていましたが、個体変異が大きいので外見で見分けるのは無理です。クリタケにそっくりなニガクリタケを採ったことがあります。同じ倒木に両方が混じって生えていることもあります。最も確実な方法は、生のまま少し噛んでみることです。毒のニガクリタケには、すぐに吐き出さずにはいられないなんとも嫌な強烈な苦みがあります。間違って飲み込んだらなどと心配は無用です。とても飲み込める味ではありません。クリタケにはそのような強烈な苦みはありません。クリタケだろうと思っても念のため一度は噛んでみることです。ただ、ニガクリタケでも、すぐに強烈な苦味を感じるものと、ジワジワ来るものがあり、その日の体調などもあるでしょうから、同定は慎重に。死亡例があるので確実に同定できないなら食べてはいけません。

 また、ある山の直売所でクサウラベニタケがウラベニホテイシメジとして売られているのを見た事があります。これは正しい見分け方さえ知っていれば素人でも判別ができるキノコです。他にも毒のツキヨタケとシイタケ、ムキタケなど、間違えやすいキノコが何種類かあります。また、白いキノコは猛毒のものがあるので、相当のベテランでなければ食べるのは控えた方がいいでしょう。キノコによっては地域や山によって色などの個体変異が大きなものもあるので、図鑑も鵜呑みにはできません。

 ちなみに信州で中毒の多いキノコは、クサウラベニタケ、カキシメジ、ツキヨタケ、ドクヤマドリ、ネズミシメジなどで、いずれも毒キノコです。また、人によっては中毒を起こすキノコもあるので、基本的に天然キノコはそのキノコを食べた事のない人にあげることはしません。チチアワタケ、ハエトリシメジ、シロノハイイロシメジ、ミネシメジ、オシロイシメジ、コガネタケなどです。食べてもなんともない人もいますし、毒のベニテングタケを毒抜きして食べる地方もありますが、完全に毒抜きはできないのでいずれも止めた方がいいでしょう。食菌のアミタケもあたる人がいますし、信州では一番人気の時候坊(ジコボウ)、ハナイグチも人によってはお腹をくだす人もいます。また、老菌も食べるべきではありません。不安に思ったら保健所で同定してもらうことです。

 キノコ屋の言葉に「どんなキノコも一度は食べられる」というのがあります。しかし、猛毒のキノコを食べたら二度目はありません。ご注意を。
 
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里山の異常はキノコにも!(妻女山里山通信)

2010-10-02 | アウトドア・ネイチャーフォト
 蜂と蝶が異常に少ないという文を書きましたが、異常気象の影響は自然界のありとあらゆるところに出ています。蜂が異常に少ないのは、春の低温に加え、越冬した女王蜂が巣を作り始める5月初め頃、寒暖の差が激しい日が続いて弱ってしまったことが考えられます。さらに、蜂の好物の分泌液を出すアブラムシやカイガラムシの発生が少なく、多くの蜂が衰弱死したらしいのです。特に花粉を運ぶハナバチやハナアブの減少は、色々な植物の繁殖に悪影響をもたらしていると思われます。

 秋になっても異常気象の影響は続いています。やはり蜂や蝶が異常に少なく、山にはドングリがほとんど落ちていません。栗もイガは大きいのですが実はしなびています。そのため餌不足になった月の輪熊が里まで下りてきています。先日も千曲市倉科の猪の檻に熊がかかりました。キノコ狩りやハイキングの際は要注意です。熊鈴は、小さなカウベルタイプのではなく、真鍮色のキーンと高い音が出るものを二つ付けるのがベストです。それに緊急用のホイッスルがあればOKですが、さらに熊撃退スプレーがあれば万全です。

 週末に松代の深山にフィールドワークも兼ねてキノコ狩りに行きました。標高1000m以上というのに森はほとんど紅葉していません。紅葉の早いヌルデがやっとわずかに色づき始めたところ。風景はまるで真夏の森のようです。キノコを探しましたが、あるのはムラサキアブラシメジモドキとハツタケばかり。ジコボウ(ハナイグチ)は数本あったのみ。その後やっと群生を見つけましたが、季節が二週間から三週間も遅れている感じです。例年なら咲き乱れているオオカサモチやシロヨメナ、ノコンギクもほとんど咲いていません。

 群舞しているはずのアカトンボも少なく、アサギマダラも二頭見ただけでした。長期予報では冬は早めに来るようですから、秋が異常に短くなるということです。この異常気象の影響は、少なくて5年、長ければ10年は続くだろうといわれています。各方面に相当なダメージを与えるのではないでしょうか。心配です。

 採ってきた初物のジコボウは、アブラシメジモドキやハツタケと合わせてキノコうどんになりました。ウラベニオホテイシメジは、酒と醤油をふりかけてホイル焼きに。ハツタケは卵とじ、カラカサタケはソテーになりました。ウラムラサキシメジは、茹でこぼしてから調理すると食べられるという話もありますが、中毒した人もいるそうなので、毒キノコ扱いでいいでしょう。カラカサタケは、似た毒キノコが多いので確実に同定できなければ食べてはいけません。また、当地ではシロノハイイロシメジを食べる人も少なくないそうですが、毒性があるので食べない方がいいとのことです。

 未同定とある丸く白いキノコは、ホコリタケの一種の幼菌です。直径が5センチもあるのでなんだろうと思ってしまいました。その山にあるほかのホコリタケは、2センチぐらいで既に茶色になっていたので、別種でしょう。かなり希少かなと思います。幼菌は皮を剥いて煮たり焼いたりして食べられます。そう美味しいものではありませんが・・。
 
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★妻女山(斎場山)について研究した私の特集ページ「「妻女山の真実」妻女山の位置と名称について」。「きつつき戦法とは」、「武田別動隊経路図」など。このブログでも右下で「妻女山」でブログ内検索していただくとたくさん記事がご覧いただけます。
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