モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

秋色めく3年ぶりの里山でキノコ狩り。クリタケ200本。燃える秋も(妻女山里山通信)

2021-10-29 | アウトドア・ネイチャーフォト
 3年ぶりにある山へキノコ狩りに出かけました。昨年と一昨年は、今の時期は、秋山郷や上越、糸魚川、宇奈月温泉などに車中泊の撮影の旅に出ていましたから。ここは標高1000m前後の里山です。

 山は色づき始めています。曇から晴れの予報ですが、小雨が降り始めました。ただ森の中なので濡れません。気温は8度。空気が澄んでいて気持ちのいい森です。月の輪熊の生息域真っ只中なので熊鈴をつけました。実はこの山では3回ほど熊と遭遇しています。一度は追い払いました(笑)。里山は野生動物のテリトリーなので、お邪魔しているという謙虚な姿勢が大事です。と同時に彼らの生態や感情も考慮しないといけません。それは拙書の「猫にマタタビ、月の輪熊に石油」という不思議に思われるでしょうタイトルのコラムで詳細に記しています。

(左)早速クリタケを発見。何度も書いていますが、クリタケと分かっていても必ず噛んで確認します。猛毒のニガクリタケの可能性があるからです。クリタケは無味。ニガクリタケは、本当に嫌な苦味があります。(右)大きな赤松の倒木の根っこからクリタケ。これは老菌なので採りませんでした。食菌でも老菌を食べると食中毒になることもあります。

 ここから左下の暗い森に入っていきます。普通は右の広葉樹の森を探すでしょうね。しかし、この暗い森の向こうにキノコのシロがあるのです。それを知っているのはおそらく私だけでしょう。

(左)スギゴケ(杉苔)の一種ですね。苔のテラリウムでも使われる人気の苔です。(右)マムシグサ(蝮草)の実。誤って食べると口内が激しくただれます。毒草ですが、薬草です。

 薄暗い森を抜けてクリタケを発見。ハラタケ目モエギタケ科モエギタケ亜科クリタケ属のキノコです。細胞が球形なので壊れにくく、旨味を引き出すには冷凍するといいといわれています。おすすめは炊き込みご飯や鍋、煮込みうどん。

 こんな風に株で出ます。これでひと株です。根本でつながっています。

 こんな風に栗色のものもあります。なぜ違いが出るのかは分かりません。日当たりの違いでしょうか。

 少し顔を出していたので木の皮を剥ぐと出てきました。こんな風に根本でつながっているので、小さなキノコを残しておくということができません。ですから本当に小さなものも無駄にせずありがたくいただきます。

 360度こんな風景の森を抜けて登山道に戻ります。知らないと必ず迷うでしょう。この後で、チャナメツムタケ(ジナメ・ジナメコ)のシロに行きましたが出ていませんでした。10月の高温が影響していると思います。紅葉もやや遅めです。木肌が出ている倒木は、虫を探してイノシシが剥いだものです。

(左)やっと見つけたハナイグチ(じこぼう・時候坊)。結局2本しか採れませんでした。(右)山を下ります。黄葉が美しい。

 下って帰りの林道から見る景色。北アルプスは雲の中でした。向こうの里山のあちこちに集落があるのが見えます。これが信州の里山です。高齢者が多いのですが、若い夫婦や子供達もいます。都会から移り住んだ人もいます。街までは車で30分以内で行けるので、想像するほど不便ではありません。空気が綺麗で星空が素晴らしい。こんな山間部に世界的なミュージシャンが住んでいたり、都会では味わえない地元の食材を使った美味しい蕎麦屋やベーカリーがあったりするのです。
 移住希望の県に信州は一番だそうですが、いいことばかりではありません。移住自治体の移住者支援を調べること。諏訪の様に御柱の様な伝統的大祭があるところはそれなりに大変です。保守的で閉鎖的になりがちな村にどう溶け込むかはあなた次第です。でも、溶け込んだら家族以上の付き合いになったりもします。遠くの親戚より近くの他人の世界です。
 古典的な共同体が残っている地域もあります。ただ盆地の平坦部は都市部に勤める人が多く、地域への結びつきは薄く、東京とあまり変わりません。私は高校卒業後上京し、40年の東京生活で帰郷しましたが、今は心地よい”よそ者”でいます。近所のおじいちゃんおばあちゃんは昔を覚えていて、親しく声をかけてくれます。地域の役職とかには参加しませんが、地方にはない経歴からアドバイスを求められたり、里山保全や講演、インタープリターなどで地味に故郷に貢献していると思います。

 少し下って標高800mぐらい。紅葉や黄葉が始まっています。左の落葉松林が黄色に染まるのは、11月中旬過ぎです。散り始めると、チリチリと雨が降るような音がします。ただ、枯れ葉はスリップします。雪より怖いのです。地元の人はそれをよく知っています。

 今回最も鮮やかだった紅葉。ハウチワカエデです。朝の雨に濡れて儚く哀しく美しい。しばらく佇んで観ていました。ハイ・ファイ・セットの『燃える秋』という曲が脳内を流れました。調べると、1978年12月23日に公開された五木寛之の同名小説を映画化したもので、作詞は彼で作曲がなんと武満徹。主演は真野響子。どんな映画だったのでしょう。

■ハイ・ファイ・セット 燃える秋 19781127



(左)コナラの黄葉。(右)ヤマドリ(山鳥)のつがい(番)がいました。売買が禁止されているので、食べるには知り合いの猟師から分けてもらうしかありません。キジ(雉)より美味です。山中で出会うと、巣が近い時はメスが自傷行為をして歩き回り、気を引いて子がいる巣を守ります。

 今回の成果。真ん中がハナイグチ。ボウルの深さが20センチはあるので数えてはいませんが200本はあるでしょう。天然キノコはこの後の掃除が大変なのです。慣れているので30分足らずで済みましたが、ビギナーなら1時間はかかるでしょう。今夜食べる分以外は冷凍保存します。

 煮込みうどんにしました。二つのハナイグチとたっぷりのクリタケ。肉はジンギスカンのラム肉。在京時代から何十年も天然キノコを食べてきましたが、どうしてこんなに美味しい出汁が出るのだろうと思います。樹と腐葉土や大地の深い旨味なのでしょう。まさに自然の恵みをいただく。そういうことですね。我々は生きている。生かされている。決してひとりではない。だれもが存在のすべてが自然と宇宙とつながっている。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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天然舞茸ゲットで大逆転のキノコ狩り。小春日和のログハウスでバーベキュー(妻女山里山通信)

2021-10-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 インディアン・サマー (Indian summer)と呼ぶにふさわしい穏やかな日曜日。妻女山里山デザイン・プロジェクトのメンバー3人を連れてキノコ狩りにでかけました。ここのところ全く雨が降っていないので、不安を抱えつつ車で山へ。案の定、途中の林内には毒キノコさえ見当たりません。これは厳しいキノコ狩りになるぞと思いました。

 実際そのとおり、キノコが全く見当たりません。もっと奥山へ連れて行くつもりでしたが、諦めて小一時間林道を歩いて藪山に入りました。予想通りほとんどありませんでしたが、最後の最後に私が大きな舞茸を発見! 皆も大歓喜の雄叫びをあげました。横幅は40センチぐらいあります。採取するとずっしり重く3キロはあるでしょう。仲間が場所を覚えたというので、いやここからは4年は出ないよ。4年後に必ず出るとは限らないと説明。そう、天然舞茸採りは簡単ではないのです。今回、下山中に顔見知りの二人の男性に出会ったので少し舞茸をあげました。少しですがじこぼうも採れた様です。雨が降らないと駄目ですね。本格的にキノコ狩りをするなら標高1000m以上をおすすめします。ただ遭難には要注意。

(左)最初に入った森で見つけたのは、死亡例もある猛毒のニガクリタケ。クリタケと思っても必ず噛んでみることです。クリタケに苦味はなく、ニガクリには嫌な苦味があります。右上の黄色いのはモエギビョウタケ。(右)山桜の枯れ木にツガサルノコシカケ。制癌作用があるといわれる硬いキノコ。N氏がノコギリで切り落として持ち帰りました。ノミで細かく割って焼酎漬けにしたり、煮出して飲んだりします。キノコ狩りのプロやベテランなら分かるはずですが、キノコが大量発生している時は、森に入った瞬間に菌の匂いが鼻を突くのですよ。今回はそれがありません(涙)。

 清々とした森ですが、そういうところを選んで案内したのです。この後で、大きな落葉松の倒木がたくさんある森を越えなければならないのですが。この夏の集中豪雨で、コナラなどの巨木が何本も倒れていました。それらも何年かすると、キノコが発生し始めます。そして長い時間をかけて栄養を取られ分解されて土に戻っていくのです。巨樹の倒木でできたギャップでは、ニッチのせめぎ合いが始まり、色々な植物が我先にと出てきます。このメカニズムは非常に複雑で、色々な学説があります。
「多様な種が共存するのは偶然か必然か?」国立環境研究所 竹内やよい:中立モデルとニッチモデル

(左)舞茸の老菌。(右)N氏が見つけたじこぼう(ハナイグチ)。傘がこれぐらいが一番食べごろです。

(左)綺麗なハナイグチ。石づきの上からハサミで切ると余計な菌を持ち帰ることもなく、掃除も楽です。(右)A氏が見つけたスッポンタケ。3本ありました。グレバは臭いのですが、白い軸は食べられます。中華スープの具に。幼菌は真っ白で卵の形。なんの卵だろうと勘違いしたことがあります。

(左)結構大変な思いをして今回借りるKさんのログハウスへ。近くの谷にある蟹沢(がんざわ)の泉。川中島の戦いで上杉軍の陣用水だったといわれる由緒ある泉です。(右)今回の収穫。しかし、最後にサプライズが待っていました。

(左)N氏が持ってきた海老の頭。塩焼きで。(右)信州のバーベキューには欠かせないジンギスカン。遠山郷のすずきやの鹿ジン。遠山郷のラムジン。ジビエも必須です。

 焼き肉には、S氏が持ってきた山葵をすりおろしてつけながらいただきます。気温も17度で小春日和の気持ちのいい午後です。ノンアルコールビールで。A氏が作っているシナノスイートとシナノゴールドがデザート。私もウィスキー漬けのイチジクを持っていきました。

(左)赤魚とシマホッケを焼いています。(右)七輪で天然舞茸を焼きます。粗塩をふっていただきます。栽培ものとは味も香りもまったく違います。皆が唸るほどの旨さです。何回も焼いて余った分は持ち帰ってもらいました。

 寒風もなく本当に穏やかで気持ちのいい日でした。見えているのは篠山ですが、その右には仁科三山も見えました。

 帰りに陣場平に立ち寄りました。もちろん貝母(編笠百合)は消えてありません。7月にN氏と球根の植え替えをしたので、来春が楽しみです。4月10日から20日頃が見頃になると思います。開花情報は当ブログにアップしていきます。満開の様子は、毎年の4月の記事をご覧ください。
妻女山陣場平の貝母は満開。オオヤマザクラにカスミザクラも満開です(妻女山里山通信)

(左)陣場平下のギャップで、A氏が山椒の赤い実を採取。これを細かく砕いて料理に使います。香りが豊かで爽やかです。(右) 大日如来像の向こうで椎茸のホダ木を見ています。かなり傷んできたので、この冬に新しいコナラを伐倒します。来春に1000駒ぐらい打ち込む予定です。この後、ひょんなところにハナイグチがたくさんあるのを発見。最後に結構なサプライズが待っていました。

 妻女山(旧赤坂山)展望台から北の眺め。善光寺平(川中島)が広がります。眼下では名産の長芋を掘る作業が始まっています。左に茶臼山。右奥に虫倉山。右へ陣場平山、富士ノ塔山、旭山。奥に雲がかかった飯縄山。ちなみにここは上杉謙信の本陣ではありません。左後方にそびえる513mの斎場山(旧妻女山で古墳)が本陣と伝わっています。

 展望台から東の眺め。松代の向こう左に奇妙山、右に立石山。奥に根子岳と四阿山が見えます。菅平の紅葉は今が見頃でしょう。

 展望台から西の眺め。茶臼山の右奥に虫倉山。その左奥に白馬三山がそびえています。手前の茶臼山動物園では二頭のレッサーパンダの赤ちゃんが生まれて公開されています。中腹の林檎畑ではシナノゴールドやシナノスイートが鈴生りで、出荷の最盛期です。

 まず夜に舞茸の天ぷらうどんを作りました。翌日は舞茸の炊き込みご飯。実を言うと若干老菌モードに入っているので、食感がややボソボソし始めていて歯切れはやや劣ります。しかし、味や香りはまったく問題ありません。炊きあがって蓋を開けたとたんに天然舞茸の香りに包まれました。餅米を3割ほど入れてあります。おにぎりにしても美味です。味が濃いのでビーフシチューやハヤシライスにも最適です。チーズドリアも作ろうと思います。ガーリック炒めして業務スーパーで買った葱抓餅(ツォンジュワビン)にのせていただこうとも思っています。

 わずかに採れたハナイグチ(じこぼう・時候坊)を使って豚汁を作りました。豚こま、親芋、薩摩芋、じゃがいも、人参、牛蒡、大根、冬瓜、長ネギ、蒟蒻です。ごま油で軽く炒めます。出汁は鰹出汁に手作りの塩麹、酒粕、手作り信州麹味噌を少々、鷹の爪。ハナイグチと冬野菜から出る出汁と甘みが充分にあるので味醂は入れません。体が心から温まる滋味豊かな郷土料理です。七分づきの米に15穀米のご飯で食べましたが、煮込みうどんやほうとう、すいとんにしても美味しいと思います。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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1970〜80年代に私が夢中になった音楽。新宿・渋谷・原宿・青山・赤坂・六本木。ロック編(妻女山里山通信)

2021-10-23 | BABYMETAL・LOVEBITES・ジャズ・宮本佳林・クラシック
 前回はディスコサウンズを中心にまとめましたが、今回は洋楽ロックで。これもありすぎて迷いますが独断と偏見と思いつきで。順不同です。EAGLES とか、デヴィッド・ボウイとかブラック・サバスとかきりがないです。

T̲alking H̲e̲ads - R̲e̲main In L̲ight (Full Album) 1980

 なんで最初がトーキング・ヘッズなのって、まあそうですよね(笑)。好きなんです。

Wordy Rappinghood

 でなんで次がトム・トム・クラブなのよってごもっともです。好きなんです。

Rydeen - YMO

 やっと知ってるバンドと曲が出たでしょうか。歴史的名曲ですね。ちったららったった〜つうリズムとメロディーが妙に和風なんですよね。高橋氏のドラムが絶妙です。南麻布に住んで参宮橋でデザイナーしながらカフェバー&レストランやってました。

King Crimson - 21st Century Schizoid Man (Including "Mirrors")

 涙ちょちょぎれます。

Deep Purple - Smoke on the Water (Live 1972)

 煙が目にしみる。これが出た頃は、吉祥寺の近くに住んでいて研究所からよく「ファンキー」「サムタイム」「西洋乞食」などジャズ喫茶に行きましたが、ロック喫茶にも行きました。「赤毛とそばかす」とか覚えている方もいるでしょう。すべて故野口伊織氏の店でした。

Led Zeppelin - Whole Lotta Love (Official Music Video)

 大好きだった曲です。懐かしすぎる。

Santana - Black Magic Woman - 8/18/1970 - Tanglewood (Official)

 セルジオ・メンデスとかラテンにはまった一曲。『ラストタンゴ・イン・パリ』のガトー・バルビエリとか。1984年の春にブラジル、ボリビアの放浪の旅から帰国するときには、35枚のラテンアルバムをかかえてきました。サンパウロの空港の出国時に税関のおじさんが一枚一枚LPを見て、これいいねとか論評して後ろにたくさん並んでいるのに。振り返ってごめんねとジェスチャーしたら皆仕方ないわねと慰めてくれた思い出。

MOVE OVER by Janis Joplin

 ジャニスといえばこの曲ですね。ブルースの女王。渋谷道玄坂のロック喫茶サブを覚えている人はいるでしょうか。草の臭いがして、二階はほぼ真っ暗ぐらい証明が暗くて、信州の田舎から出てきたばかりの私には、信じられない居心地のいい異空間でした。
 
Jimi Hendrix Purple Haze Live lyrics

 ジミヘンがいなかったら、私はロックにはまることもなくエレキギターを買うこともなかったかも知れない。そういう人です。そして、今はBABYMETALの大ファンです。
[BABYMETAL] 矢沢もヒッキーも成し得なかった世界へのハードルを軽々と超えてしまった美少女達。1970年代からの検証:著作権の関係で視聴できなくなった動画もあります。再検索してください。

The Band - The Last Waltz Credits/Outro

 1976年11月25日に米国カリフォルニア州サンフランシスコのウインターランド(Winterland Ballroom)で行った解散ライブの名称、およびそのライブ・アルバムと記録映画。 この映画は、断片的に色々アップされているが、素晴らしい。友人がこの曲と演奏を絶賛していました。この頃は、ムサビの美大生で村上春樹さんのジャズ喫茶、国分寺の「ピーター・キャット」でアルバイトをしていました。そんなで毎日ジャズ漬けでしたが、アパートに帰るとハードロックやメンフィスサウンドやレゲエ、カントリーミュージックも聴いていました。左の、『国分寺・国立70sグラフィティ』のブログで、当時のことを綴っています。
『国分寺・国立70sグラフィティ』:村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルまたはスラップスティック

Live Aid- Queen- Full Set HQ

 1977年、私がイースターの休暇にロンドンに住んでいた時にボヘミアン・ラプソディが流行っていました。BIBAでメアリーオースチンに遭っていたと思います。
わが青春のQueen。ロンドンで過ごした5週間。BIBAでメアリーに遭ったかも。フレディ・マーキュリーよ永遠に。北アルプス絶景(妻女山里山通信)

Air à Danser - Penguin Cafe Orchestra

 最後に癒やされるペンギン・カフェ・オーケストラ。1976年にブライアン・イーノの主催するオブスキュア・レーベルからアルバム『ようこそペンギン・カフェへ』でデビュー。サブカルチャー・環境音楽の旗手として一世を風靡しました。アンビエントミュージックの代表曲。
 次はシンガー・ソングライター特集で行きましょうか。ニール・ヤングとかキャロル・キングとか。高田渡も入れちゃいましょう。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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信州の里山と畑の秋の恵み。天然キノコ、果樹、伝統野菜。伝統料理、新信州郷土料理(妻女山里山通信)

2021-10-23 | 男の料理・グルメ
 信州も秋真っ盛り。紅葉は高原が真っ盛りで、里山は11月に入ってからですが、秋の恵みは今が盛りです。天然キノコに山栗、秋野菜。そして信州は果実天国です。林檎に梨に葡萄。そんな信州の個人的な秋のグルメを紹介します。新信州郷土料理は、そんな食材を使って私が提案しているオリジナルレシピです。
MORI MORI RECIPE・男の料理レシピ集・新信州郷土料理は、和洋中華があります。

 私が採ってきた天然舞茸とクリタケ、ハタケシメジと豆腐の煮物。いつもと違うカラメルの濃い醤油を使ったので塩辛そうな色ですが、割と薄味です。なにより天然キノコの出汁が物凄いのです。特に舞茸は栽培ものとは味や香りの濃さがまったく違います。尾籠な話で申し訳ないのですが、翌朝のトイレは舞茸のいい匂いで満たされます。

 昨年漬けた味噌漬けがあまりにも美味しかったので、信州丸茄子とキュウリ、地大根の味噌漬けを作りました。まず、3%の塩に浸けて一晩置きます。翌日洗って塩抜きして半日陰干しします。翌日、仲間と作った信州糀味噌に酒粕を少し混ぜて漬けます。ジップロックに入れて冷蔵庫へ。一週間で食べられますが、美味しくなるのは半年後。一年経つと古漬けになって、おにぎりの具やお茶漬けに。色々使えます。
 右は、里芋の親芋、人参、仲間と作った干し椎茸、ヒジキ、凍み豆腐、蒟蒻を、鰹出汁、炒り子出汁、昆布、鷹の爪、酒、味醂、醤油で作った煮物です。馬鹿旨。

 畑のイチジクが熟し始めました。気に入っている朝食の一品。ライ麦パンのバタートーストにチェダーチーズ、発ガン性をいわれる発色剤を含まない無塩せきロースハム(信州ハム)をのせて完熟イチジクをつぶしてのせます。ユウキ食品の刻みハラペーニョを少し。チーズとハムの塩味とイチジクの甘み、ハラペーニョの酸味と辛さがベストマッチです。これとモカコーヒーがよく合います。

 山栗のご飯。拙書でも紹介している聖山で拾ってきました。栽培栗とは味も風味も違います。小さいので処理が大変。まず洗って冷凍します。その後熱湯に浸けてふやかします。妻は魔法瓶を使っていました。野趣豊かな味です。右は、先に紹介した煮物とほぼ同じです。地鶏のもも肉を入れました。地大根も入っています。今回は醤油ではなく、仲間と作った信州麹味噌と酒粕で味付け。体が温まります。信州の里山と畑の滋味がつまった料理です。

 以前、仲間と作った黒大豆が大量にあるので、自家製のきな粉を作りました。豆がまだら模様のものがあるのは、おそらく普通の大豆と交配したからでしょう。新品種を生み出してしまいました(笑)。豆を鉄のフライパンか焙烙で10分ほど炒って、粗熱と水分を飛ばしたら、ミキサーで粉砕します。金ザルで濾してジップロックに入れて保存。カスは味噌汁にします。市販のものより香ばしく、豆の旨味もしっかりしています。安倍川餅やきな粉団子、色々な料理にも応用できます。なにより遺伝子組み換えではなく、農薬や化学肥料もほとんど使っていないので安全です。

 秋の恵みの天ぷら。左上からプランターで作ったゴーヤ。苦味が少ない種なので、綿と種も一緒に輪切りにして天ぷらに。粗塩でいただきます。右は薩摩芋の天ぷら。祖母がそうしていた様に、ウースターソースでいただきます。手前は納豆と玉葱のかき揚げ。添付の出汁醤油と辛子も入れたので、醤油を少し垂らしていただきました。たくさん作ったので、翌日に天ぷら蕎麦にしました。

 冬瓜と干し椎茸とカニカマのあんかけ中華煮。溶き卵をまわして。味付けは、台湾のホァンウェイ・カキソース・鶏がら出汁・醤油・味醂です。冬瓜は5分煮こぼして、さらに15分茹でてから他の具材を入れます。カニカマが余っていたので作りましたが、余裕があればズワイガニとか紅ズワイ、毛ガニで作りたいですね。

 最近入手して読んでいる本です。いずれも古書です。『倭人・倭国伝全釈』倭とは、漢に滅ぼされ渡来した呉や越の中国における卑称だった。その末裔は日本だけでなく東南アジアに分布。倭族論の集大成。『魏志倭人伝』以外に記述された倭とは。私がずっと追い求めているテーマです。出雲族、越の国、倭国大乱とは、諏訪大社と善光寺、古代科野国、縄文と弥生。『人口から読む日本の歴史』旧石器時代、縄文から弥生、古墳時代までの人口動態から歴史が見えるのです。
 さて明日は仲間を連れてキノコ狩りです。そんなシロを教えて大丈夫なのと思われるかも知れませんが、道もない長い藪山歩きなので覚えられないでしょう。熊も出るし。昔、親戚が遭難しそうになったところですから。

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1970〜80年代に私が夢中になった音楽。原宿・青山・六本木(妻女山里山通信)

2021-10-19 | 50's60's70's グラフィティ
 ありすぎてアップしきれません。ディスコサウンズを中心に、とりあえず思いついたものだけ。ロックバージョンもいつか。

Bee Gees - Stayin' Alive (Official Video)

 流行りましたね。この頃、友人と南麻布の仏大使館の隣のマンションにシェアして住み、南青山のデザイン事務所にアロートレーディングの自転車で通っていました。六本木のスクエアビルのディスコ、フーフーとかネペンタに自転車で行ったことも。ジョン・トラボルタは一世風靡しました。

ABBA - Dancing Queen (Australia) 1976

 武蔵野美術大学の学生時代に、男女の友人達とドライブで福生のニコラへ。VOAからこの曲が流れてきました。福生基地脇の米軍ハウスに住んでいる知人のとこへも行きました。連れて行ってくれた友人は、国立と立川の間にある米軍ハウスに住んでいて、そこはムサビの美大生のたまり場になっていました。

アラベスク/ハロー・ミスタ・モンキー Hello Mr Monkey

 ディスコの名盤ですね。ムサビの芸祭で女の子たちが生き生き踊っていたのをよく覚えています。

Flashdance • What a Feeling • Irene Cara

 この映画を観たのは、実は日本ではなくブラジルのアマゾンの劇場でした。ダンスシーンになるとみんな歓声をあげて踊りだすのです。これぐらいのダンスは現在ではプロなら誰でもできると思いますが、当時は驚異的でした。

BOY TOWN GANG - Can't Take My Eyes Off You ''MELODY DISCO 1982.divx

 名曲です。両側で踊っているダンサーのゆるいダンスが今となっては笑えます。いやナウかったのですよ。

the stylistics - can't give you anything but my love

 スタイリスティックスのこの曲は、もう歴史的定番ですね。

宇宙のファンタジー  アース・ウィンド & ファイアー

 原題はFantasyなんですが、宇宙を付けた人は天才ですね。イントロ聴いただけで当時を思い出すし鳥肌が立ちます。

Stevie Wonder - I Just Called To Say I Love You (Live in London, 1995)

 スティービー・ワンダーは大好きでLPも持っています。カーラジオから流れるといつも一緒に歌っていました。

Bob marley "no woman no cry" 1979

 女がいなくても俺は泣かないと誤訳した人がいましたが(笑)、普通は泣かない女はいないですが、本当は「泣かないで女性達よ」だそうです。レゲエも大好きでアルバムも持っています。ワールドミュージックのアルバムもたくさん持っています。

Janis Joplin - Ball and Chain (sensational performance at Monterey)

 上京して渋谷の道玄坂上のロック喫茶サブで初めて聴いたのがジャニス・ジョプリンでした。彼女のアルバムは何枚も持っています。ブルースの女王。

Queen – Bohemian Rhapsody (Official Video Remastered)

 私が大好きだったのは、ビートルズでもローリング・ストーンズでなくQUEENでした。映画『ボヘミアン・ラプソディ』は七回観ました。DVDも持っています。

マリア・マルダー「ドーナツショップのウェイトレス」 (1) Maria Muldaur - Waitress in a Donut Shop

 国分寺の行きつけのスナックでよくかかっていました。一度聞いたら忘れられない魅力ある歌声です。

山下洋輔トリオ変遷史/タモリ ~演奏「グガン」(2009年)

 学生の頃からフリージャズが大好きで、山下洋輔トリオのコンサートには何度も行きました。

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お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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「全盛期の縄文土器」ー圧倒する褶曲文ー 長野県立歴史館:尽きない縄文の魅力(妻女山里山通信)

2021-10-13 | 歴史・地理・雑学
 長野県立歴史館で11月23日(火)まで開催されている、令和三年度秋季企画展「全盛期の縄文土器」ー圧倒する褶曲文ーを息子と見に行きました。キャッチコピーが「人びとはなぜ こんなにも土器を華やかに そして大きくしていったのだろう」というもので、縄文時代の中の約5000年前からの100年間に激しく土器装飾が複雑化した経緯が分かるようになっています。案内パンフレットにあるように、土器は生活の道具であると同時に、アイデンティティーや集団間の関係を映し出す鏡でもあります。非常に感動的で興味深い展示でした。空前の縄文ブームで来場者も大勢でした。写真撮影も可能です。
※アンダーラインのある単語や文をクリックするとリンクに飛びます。右クリックでリンクを新規タブで開く。

「動物装飾付釣手土器」富士見町札沢遺跡(縄文時代中期)。取っ手の上に3匹、縁に一匹、蛇のような動物があしらわれています。底が焦げているのでランプらしいです。藤森栄一氏(考古学者、諏訪考古学研究所所長、元長野県考古学会会長)は『縄文の八ヶ岳』という本の中で、縄文中期一番シンボル的なものはヘビ(マムシ)ではないかと記しています。マムシ(蝮・真虫)は、蛇神として大地母神などの土地の霊性を示す女神であったのではと。

「展示資料の時期と地域」時期の縦軸と地域の横軸をつぶさに観ていくと、変化と相似律が非常に面白い。ミランコビッチ・サイクルという天文学・気象学があります。地球の公転軌道の離心率の周期的変化、自転軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動という3つの要因により、日射量が変動する周期のこと。それによると、氷期と間氷期といった気候変動には2.3万年、4.1万年、10万年の周期変動が認められており、地球の公転軌道の揺らぎに伴った日射量の変化が原因とされています。現在は、温暖化の時代にあり(温暖化はCO2が原因ではないという学者もいます)、これからゆっくりと寒冷化に向かうとされています。
 縄文時代は、7000年前から温暖化が始まり、縄文海進が始まって関東平野に住んでいた縄文人は、現在の甲州街道を遡って諏訪湖周辺に移り住んだといわれています。諏訪の近くの和田峠には、本州最大の黒曜石の産地があったため、各地からそれを求めて人が集まったはずです。土器の流通もあったと思われます。5000年前は1000年周期の温暖化のピークだったそうで、現在より2度ぐらい高かったようです。そのため、食料が豊富で文明も栄えたのでしょうか。縄文土器の複雑化や進化にその理由があるのかも知れません。
 中期の繁栄では、青森の三内丸山遺跡が有名です。狩猟と採集が主といわれていましたが、栗やヒョウタン、ゴボウ、豆などを栽培していたことも分かっています。漆塗りの器も見つかっています。長さ32m、幅10mの大きな住居跡も見つかっています。これはアマゾンのヤノマミ族の共同住宅を思わせます。アマゾンの先住民は縄文人の子孫達なのでしょうか。その三内丸山遺跡は4200年前に消滅します。海底の堆積物から、突然の地球規模の寒冷期で消滅したと判明しました。同時期の長江周辺やメソポタミアでも文明が衰退しています。縄文晩期の人口減少も、小氷河期の襲来がいわれています。

■縄文時代の人口動向「人口から読む日本の歴史」鬼頭宏著
草創期 約12,000~9,500年前(2,500年)
早 期 約9,500~6,000年前(3,500年) 人口2万人
前 期 約6,000~5,000年前(1,000年) 人口11万人
中 期 約5,000~4,000年前(1,000年) 人口26万人
後 期 約4,000~3,000年前(1,000年) 人口16万人
晩 期 約3,000~2,300年前(700年)  人口8万人(弥生時代になると、春秋戦国時代で敗れた呉や越の人びとが渡来し、人口は59万人にまで増えました。古墳時代にかけて大規模な移入が続きます)

 こんな風に、形象学的な分類方で展示されています。パネルでの説明も多くて非常に分かりやすい。櫛形文土器。

「動物文突起付人体文深鉢」岡谷市目切遺跡(縄文時代中期)。中央に蛇が立ち上がっています。頭の下に太い背骨があり、その下の眼文は骨盤?下に二本の脚みたいなものが見えます。蛇の仮面をかぶった人でしょうか。両脇には両手両足を広げた崇めるような人体文が。縄文人の豊かな呪術性を感じます。

「箱状突起付深鉢」原村居沢尾根遺跡(縄文時代中期)。箱状中空の突起が4つ。カエルを表しているようです。中空の造形は難しそうです。

「文様のいろいろ」人や動物などをシンプルな線で描くことを「便化(便宜的転化:文様史で使われてきた用語)」といいますが、旧石器時代の人も縄文人も現代人も、表現はそう変わらないのです。歌舞伎の背景画とか、子供の絵とか、洗練されてはいますがピクトグラムなどもそうですね。ある種の普遍性を持っているものなのでしょう。形而下における形象心理学で説明できるのでしょうか。

 褶曲文。特に渦巻(スパイラル)というのは、自然界で度々見られる現象であり、植物や動物にも見られます。 多くの古代文明で、冥界や死と再生、輪廻転生の循環の象徴とみなされ、縄文土器や古墳などにもしばしば描かれました。生命の持つ力動的な回転の象徴なんでしょうね。渦巻が三次元に展開すると螺旋(ヘリックス)となり、これも自然界や建築や彫刻などの造形で見られます。台風や竜巻や螺旋階段など。宇宙も渦巻銀河といいますし、分子レベルでもあります。存在の本質なんでしょうか。

「褶曲文深鉢」塩尻市剣ノ宮(つるのみや)遺跡(縄文時代中期)長野県宝。現代人の私の感想ですが、現代人の感性にも通じるお洒落な造形ですね。繊細且つ伸びやかで緻密です。驚きました。どんな人が作ったのでしょうか。想像が膨らみます。下方に穴がありますが、欠損ではなく空いていたものだとか。なぜでしょう。

「水煙文土器の隆盛」。前述の藤森栄一氏が「雲龍というか、水煙といおうか、くねりながらせり上がっていく曲線の持つ無限の量感」と讃えた水煙文土器。
【直線のない時代】現代は、建築、道路、道具などほぼ全てに直線が用いられています。しかし、縄文時代に直線はありません。バルセロナのサグラダ・ファミリアの設計で有名なアントニ・ガウディに、「自然界には直線は存在しない」という名言があります。縄文時代がまさにそれです(道や溝などに一部直線はあります)。直線は、技術が進歩し効率と合理性を求めて生まれたものです。そして新たな美意識が生まれました。現在JAPANDIという北欧と日本を融合した建築やインテリアが隆盛しています。しかし、失われたものもあるのです。縄文土器から感じる情動やエネルギーは、かなり失われたと思います。現代人が縄文土器に惹かれるのは、その内なる根源的なものを呼び覚まさせられるからではないでしょうか。

「水煙文土器(ドーム型)」甲州市安堂寺遺跡。ダイナミックな装飾のかなり大型の土器。なぜか取っ手を破壊する儀礼があったようで、100年後に千曲市屋代でも発掘されています。こんな土器を作れるなんて、縄文人の生活はかなりゆとりがあったのではないでしょうか。ギリギリカツカツだったら、絶対にこんな面倒くさい土器なんか作れませんから。ただ、縄文人の平均寿命は30歳ぐらいといわれています。成人男性の平均身長は162センチぐらい。乳幼児の死亡率も高かったと思います。縄文土器が破壊されて発見されることが多いのは、自然と一体化して生きる縄文人の死生観の現れでしょうか。生と死、誕生(再生)と破壊がセットになっていたのではないでしょうか。本能的に輪廻(食物連鎖)、自然との共生関係を知っていたのではと思います。

「橋状把手付深鉢」新潟県十日町市笹山遺跡(縄文時代中期)国宝。解説に、非常に洗練されているとあります。縁の四方にある造形はどうやって作るのだろうと思います。十日町市博物館では、レプリカを触れるコーナーが有って、触ると穴に人差し指がピッタリ入ったりして、ああこうやって作ったのかなと想像できます。

「王冠型土器」新潟県十日町市笹山遺跡(縄文時代中期)国宝。4つ飛び出た平らな波頭部の下につけられた眼鏡状突起から伸びた隆帯が、口唇部に沿って弧を描く構成は、水煙文土器(円環型)に共通すると解説にあります。胴部のS字文も美しい。縄文土器は、情熱だけでなくかなり緻密に計算された知的なものだとも思われます。三内丸山遺跡の木柱列は巨大な日時計だったとか、秋田大湯の環状列石もそういう説があります。

「火焔型土器・王冠型土器からの文様伝達」。鋸歯文を伴って鶏頭冠が生まれたわけです。火焔型とか鶏頭とかいわれていますが、実際これを作った縄文人達は、何を表現していたのでしょう。この時代にニワトリはいなかったそうで、魚とか動物とかいわれています。私には猪に見えるのですが。

「火焔型土器」新潟県十日町市笹山遺跡(縄文時代中期)国宝。十日町市博物館でも見た国宝です。岡本太郎が絶賛したのはこれではないでしょうか。火焔部は何に見えるでしょうか。口唇部の鋸歯文は、レプリカを指で触ると人差し指で形作ったのかなと思います。縄文といいますが、縄で模様をつけたのではなく、紐状のものを貼り付けています。

「南限の火焔型土器」。火焔型土器は、信濃川を遡って千曲川沿いへ。川と共にあった縄文人の暮らし。

「全盛期の終わり 唐草文系土器の誕生」。流行が伝播したのか、人の移住があったのか。我々には馴染み深い唐草文様が、すでに縄文時代にあったというのは感慨深いですね。

「大型突起付深鉢」新潟県十日町市笹山遺跡(縄文時代中期)。口縁部の透かし彫り状の隆帯装飾が特徴。突起側面が飛び出す形態は、その後屋代遺跡群などで盛行する双翼状突起の原型となったそうです。

 その隆帯装飾のアップですが、中が空洞で非常に複雑な形です。非常に技術レベルの高い造形です。これを作りなさいと言われてもできませんね。穴は指と細く丸い棒で作られたものと思われます。縄文土器は、粘土だけでなく鉱物や繊維を混ぜて強度を高めています。また、外や内部に焦げ跡があることから、実際に煮炊きにも使われたようです。私はこんな鍋使うの嫌ですね(笑)。それだけ余裕も時間もないということでしょう。

「今回の展示の時期」隆盛を極めた140年間を扱っています。実は我々が縄文時代と認識しているのは、縄文時代中期の100〜300年ぐらいの間なのです。
 縄文時代は、今から約1万5000年前。日本列島の温暖化が始まった旧石器時代終盤から弥生文化の直前まで、1万3000年ほど続きました。縄文土器は、800〜1000度の低温で野焼きし、粘土が溶けることで硬くなるという化学変化を利用した土器です。人類最古の土器といわれる「微隆起線文土器出土」は、須坂市博物館にあり、このブログでも紹介しています。

 昼は東福寺にある自家製粉のそば処「安心(あんじん)」を予約しておきました。この日から新蕎麦ということで、人気の店なので予約を入れたのです。安心そば(十割そば)の中盛りをいただきました。本返しのつゆと、ごまくるみタレが付きます。最初は蕎麦だけで、次につゆで、そしてごまくるみタレ。十割そばにはコクのあるこのタレがとても合います。香り高く味のある新蕎麦に充分満足しました。午後は、リニューアルした松代文武学校へ。火縄銃と大砲をぶっ放しました。
 最近の博物館は、撮影可能であることが多くなっています。長野県立歴史館の企画展は、国宝の土偶展とかキャッチーで展示も洗練されているのでおすすめです。十日町市博物館、糸魚川市のフォッサマグナミュージアム、信州大鹿村の中央構造線博物館、富山県魚津市の埋没林博物館などは、非常に秀逸です。当ブログでも紹介しているのでブログ内検索でぜひ御覧ください。行きたくなるでしょう。左のカテゴリーから、展覧会・イベント・コンサートをクリックすると該当する記事が表示されます。

縄文時代(ウィキペディア):非常に高度な技術や豊かな精神性を持った成熟した社会。
縄文時代の画像検索結果
なぜ1万年も平和が続いた? 今注目される「縄文時代」のナゾ:小学生でも分かる縄文時代の解説
縄文 その魅力の根源:2018年夏、東京国立博物館で開かれた展覧会には、35万人が訪れました。俳優、京都橘大客員教授・苅谷俊介氏・考古学者・大島直行氏・「土偶女子」・譽田亜紀子さんの縄文への想い
日本考古学史上最大の謎「土偶の正体」がついに解明ー「土偶は女性モチーフ」の認識が覆った!驚きの新説ー:斬新だが非常に興味深い考察。読み物としては面白い
「誰のタネかなんてどうでもいい」縄文時代は性的パートナーも平等に分配してた?縄文人vs弥生人、文化を徹底比較!:無茶苦茶面白い考察です。でもあながち間違いではない。弥生の戦争は農耕文化故とありますが、春秋戦国時代に敵同士の呉と越が来訪したからと私は考察します。魏志倭人伝の倭国大乱がそれです。また一説には、高句麗の侵入が原因とするものもあります。その高句麗は滅亡するのですが、関東に多くが移住します。東京の狛江市などはその名残り。狛は高句麗の別名です。また、長野市篠ノ井の地名は、高句麗の豪族が朝廷から篠井性を賜り、それが篠ノ井の地名の元となったといわれています。高句麗はツングース系の騎馬民族で、日本に馬産を伝えました。魏志倭人伝には日本には馬がいないと記されていますが、5世紀になると古墳から馬具がたくさん出土してきます。春秋戦国時代に滅亡した呉、その後滅亡した越、古代ユダヤの一族といわれる徐福一族の来日と定着。『中国正史 倭人・倭国伝全釈』鳥越憲三郎著をオススメします。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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天然舞茸を発見! しかし喜び三割、悲しみ七割。その訳は…。クリタケ、ハタケシメジ。高貴な小紫の実(妻女山里山通信)

2021-10-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 天然マイタケを求めてとある山奥に入りました。道無き森を、最低でも往復3時間は歩かないといけません。知っているシロを数カ所めぐるからです。今年はキノコ狩りでの遭難が非常に多いのですが、原因は知らないルートを歩くからです。闇雲に歩き回るのは危険ですし効率が悪いのです。無駄な体力も使います。ただ今回は、やや遅すぎるかなと思いました。しかし、10月下旬に採れたこともあるので入りました。

 最初のシロへ。ここ何年も出なかった場所ですがありました。乾き始めていてカビてもいますが、掃除すれば食べられます。栽培ものと違ってずっしり重く香りが強烈です。尾籠な話で申し訳無いのですが、天然マイタケを食べた翌朝の便はもの凄く舞茸の香りがするのです。美味しそうな匂いのうんちって、これだけでしょうね。

 幹を90度回ったところに少し小さな株がありました。これも食べられます。そして、周囲の樹を探しましたがありませんでした。更に遠いシロもあるのですが、今回は体力も考えてパス。

 獣道すらない急斜面の森を長い距離歩きます。ミンミンゼミの鳴き声は消えました。わずかにツクツクボウシの鳴き声が聞こえます。土中の芋虫を求めてイノシシが掘り返した跡があちこちにありました。ここにもツキノワグマは出没します。ただ生息地はさらに6キロほど山奥で、今年は栗やどんぐりが豊作なので、この時期は出てこないでしょう。来るのは冬ごもりに入る前のクリスマスの頃です。

 やっと次のシロに到着。ガッカリです。結構いいサイズの株なのに老菌です。こうなるともう食べられません。

 その上には二株が。これももう駄目ですね。

 そして、幹の下側に回ると。もう溶けかかった株が二つ。結構大きな株です。残念無念。

 このコナラの巨樹の周りになんと五株もありました。1週間か10日前だったら全部採取できたかもしれません。全部取れたら七株になったわけです。そんなでしたら、もう森の中でブレイクダンス踊っちゃいますね(踊れませんが)。まあ仕方がないです。体調不良が続きましたから。今年出たこの樹からは、2〜4年は出ません。周囲の樹も確認しましたがありませんでした。

 少し、いやかなり気落ちして森を歩くと。おお!クリタケの株が。充分食べられます。クリタケと分かってはいるのですが、必ず噛んで確認します。もし猛毒のニガクリタケだったら、はっきり分かる嫌な苦味があります。普通はより黄色みが強いので分かるのですが、稀に栗色に近いものがあるのです。死亡事故もある毒キノコなので要注意です。クリタケの細胞は球形で壊れにくいので、一度冷凍するといいのです。旨味成分が多いキノコなので、ゴボウやニンジン、油揚げなどと炊き込みご飯にすると最高です。

(左)マルバフジバカマ。吸蜜していたはずのアサギマダラは、南へ旅立ちました。(右)有毒の蝮草の実。観賞用として育てる人もいます。毒草ですが、薬草としても用いられます。

(左)猛毒のヤマトリカブト(山鳥兜)。花粉も有毒なので、花の香りを嗅いだりしないように。(右)ミツバアケビの大きな実が落ちていました。食べるなら9月中旬過ぎですね。
アケビのブルーチーズ入りミソバーグ:オリジナルレシピです。味噌風味にブルーチーズを合わせたところが、まさにミソです。ミソとブルーチーズのはんなりとしたコクのある香りが漂ってきて食欲をそそります。

 この大きなギャップは、3本ぐらいのコナラが倒れてできたものです。倒木には、二、三年後にはウスヒラタケ、ヒラタケ、ナラタケ、ムキタケなどのキノコが発生するでしょう。手前のうねった幹は、山藤です。すぐ向こうに見える山藤に絡まれて倒れたコナラは、巻き付かれて10年ぐらい前に倒れたものです。山藤は、成長期には一日8センチも伸びます。大きなものは幹の直径が50センチを越え樹に巻き付いて葉で覆い、光合成をできなくし枯らしてしまいます。やがて山藤は枯れた樹と一緒に倒れギャップができるのです。その瞬間から色々な植物のニッチのせめぎ合いが始まります。

 今年は山栗が豊作です。ほとんどの栗は、タヌキやリス、イノシシなどの野生動物に食べられて空でした。栗拾いをするなら標高にもよりますが、9月中旬に来ないといけません。

 あるかなと思って立ち寄ったハタケシメジ(畑占地/畑湿地)のシロ。たった一株ですが大きなものがありました。幻に近いホンシメジに最も食味が近い非常に美味しいキノコです。ウラベニホテイシメジと同様に、毒のクサウラベニタケと間違えないようにすることが大事です。有毒のイッポンシメジもハタケシメジのような艶があるので要注意です。

 コムラサキ(小紫)がたわわに実をつけていました。小紫の枝は垂れ下がります。平安時代の女性作家「紫式部」を連想させる高貴な紫色が印象的です。本来は、「紫重実、紫敷き実(むらさきしきみ)」と呼ばれていたそうです。ただ不思議なことに、万葉集にも源氏物語にもこの樹木は登場しません。
「ムラサキシキブ 最も早く 実を持てど 最も早く 鳥の食い去る」昭和の歌人・土屋文明

 ムラサキシキブより実は小さいのですが、実はたくさんなるので華やかです。実は有毒ではありませんが甘みは薄く美味しくないので食用には普通しません。

 セイタカアワダチソウ(背高泡立草)で吸蜜するヒョウモンチョウの仲間。環境省が要注意外来生物リストに載せている植物で、都会の空き地から里山や耕作放棄地で見られますアレロパシーを持ち、根から周囲の植物の成長を抑制する化学物質を出しますが、最後は自分の出したそれで消えていきます。デトックス効果が高いので、薬草としても用いられます。

(左)マルバフジバカマでテングチョウが吸蜜していました。(右)ヤマツツジの残花。麓では最高気温が27度ぐらいになった様ですが、山中は24度ぐらいで快適でした。結局3時間半ぐらい藪山を歩きました。車に戻り、前回採ったクリタケとハナイグチの炊き込みご飯で作ったおにぎりを食べてから下山しました。

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信州はキノコの季節。ハナイグチ、クリタケ、チャナメツムタケ、ベニテングタケ(妻女山里山通信)

2021-10-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
 信州もキノコの季節になりました。一足早く出た松茸は豊作の様で、道の駅や直売所にはたくさん並んでいます。週末、とある標高1000m余りの高原へ出かけてみました。標高差300mもないのですが、急登は病み上がりの体には応えました。今回はキノコ狩りというより、撮影が主な目的です。一番撮影したいのは毒キノコのベニテングタケ。さて出会えたでしょうか。

 まず見つけたのはハナイグチ。信州ではじこぼう(時候坊)といわれて親しまれているキノコです。甘い香りとナメコより強いぬめりがあり、煮込みうどんや鍋にすると美味しいキノコです。落葉松林の林下に発生するので初心者でも見つけやすいキノコです。2008年に帰郷して、父が何十年も放置していた我が家の山を除伐したら、その秋にハナイグチが700本採れました。ぬるま湯で掃除して冷凍保存ができます。

 朽木にクリタケ。この右にも二株ほどありました。大きな株で出ることが多いので、人気のキノコです。ただ、似ている猛毒のニガクリタケがあるので同定は慎重に。死亡例もあります。クリタケだと思っても、必ず噛んで見ること。ニガクリタケは嫌な苦味があるので分かります。洗って生で冷凍保存ができます。

 チャナメツムタケ。地元ではジナメコやジナメといって人気のキノコです。ヌメリがありナメコ以上にコクのある旨味があります。

(左)ムレオオフウセンタケ。ヌメリがある大型のキノコ。和風以外に、バターやクリームとも合います。(右)ホテイシメジ。歯ごたえの良い甘い香りのキノコ。アルコールとの相性が悪く、これを食べる時はお酒は厳禁です。

(左)ヤマブシタケかサンゴハリタケでしょう。どちらも食菌です。両方とも味に癖がなく、中華スープの具などにします。(右)キシメジ科のキノコだと思うのですが、同定できません。

(左)激しく波打つ白い傘。群生していました。毒キノコのオシロイシメジだと思います。(右)立木に直径6センチぐらいの大きなホコリタケの仲間。ホコリタケは色々な種類があります。触るとゴムのように弾力があります。老菌になると頂部の孔から茶褐色の胞子が飛び出します。

 地上のホコリタケの仲間。直径3センチほど。中が白いのは食べられます。味噌汁や鍋や炒め物に。右上に山栗が落ちていますが、あちこちにたくさん落ちていました。栽培栗と比べると小さいのですが、その野趣あふれる濃い味は一度食べると虜になります。小さくて皮が向きにくいのですが、冷凍してから熱湯に浸けてふやかすと簡単にむけます。山栗で作るモンブランは別格の旨さです。

(左)傘が2センチぐらいの小さなキノコ。ハナオチバタケに似ているのですが。(右)やはり小さな桃色のかわいいキノコ。似ているキノコはあるのですが、同定できませんでした。

 マムシグサ(蝮草)の毒々しい赤い実。右下の茎で分かるようにマムシの柄をしています。誤って食べると口内が酷くただれます。毒草ですが薬草でもあります。観賞用としても人気がありますが、要注意です。

 この季節、里山から亜高山まで見られる猛毒のヤマトリカブト(山鳥兜)。全草が有毒ですが、特に根は最も猛毒です。花粉さえ有毒なので、不用意に触らないことです。若葉は山菜のニリンソウと似ていて、隣合わせで群生地があることもあり、要注意です。

(左)ガマズミの赤い実。抗酸化作用が強く、ルビー色の美しいお酒が作れます。(右)サルトリイバラの仲間のヤマガシュウの実。蔓性で、針のような鋭いトゲを持ち、これが登山道を塞ぐこともあります。

 キハダ(黄檗)でしょうか。冷え性、便秘などの生薬で、私は息子にもらったものを薬酒に入れています。

(左)ヤマボウシ(山法師)の赤い実が落ちていました。(右)見上げるとたくさんなっています。ツキノワグマやスズメバチの好物です。この実でジャムや果実酒が作れます。

 かわいいイヌセンボンタケ。枯れ木の根本に何百本、何千本と出ることがあります。毒キノコではないようですが、小さすぎて食べる人はいないと思います。

 栃の実がたくさん落ちていたので集めて撮影しました。10年ぐらい前に栃の実をたくさん拾って栃餅を作ったことがあります。アク抜きが大変でした。観光地で売られているものは完全にアク抜きされていますが、私は少し残っていて食べると舌がピリッとするぐらいが好みです。美味しくて亡き父にも好評だったのですが、あまりにも大変すぎて、もう作ることはないと思います。

 諦めかけていたのですが、最後に急斜面の森の中へ。ありましたベニテングタケ(紅天狗茸)。美しい。拙書では聖山のページに載せていますが、黒斑山に登った時にたくさん見ました。誤って食べると腹痛、おう吐、下痢、けいれんに幻覚症状が。信州の一部ではこれを塩漬けして毒抜きして食べるところがあります。ただ完全に毒が抜けるわけではありません。

 キノコではありませんが、突然食べたくなって臭豆腐を注文しました。かなりの中華料理通でもこれはだめという方が多いと思います。シュールストレミングかくさやかというほど臭いです。瓶を開けていないのに臭いです。ただ、酪酸菌を得られる数少ない貴重な食べ物なんです。妻女山里山デザインプロジェクトの納会に持っていって仲間に食べさせようと思っています(笑)。

信州の秋はジコボウはじめキノコ三昧。キノコ料理のレシピ。放射能除染方法も(妻女山里山通信):スライドショーもあります。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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