モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

樹液バーで衝撃の場面に遭遇! なぜ起きた。オオスズメバチとアオカナブン(妻女山里山通信)

2016-07-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 関東甲信越地方が梅雨明けしました。しかしこの先の週間予報を見ても傘マークがずらり。天気図を見ても太平洋高気圧がありません。東高西低の様なおかしな気圧配置図。エルニーニョが終息していないのでしょうか。そんなで撮影もままならずストレスが溜まっていましたが、やっと3日ほど日中がそこそこ晴れたので撮影に没頭しました。そして目撃した衝撃のシーン。既に会得したと思っていたリテラシー(読解力)が、いとも簡単にひっくり返されることもあるのです。

 ウバユリが咲き始めました(左・中)。例年なら8月上旬の花なんですが咲き急いでいます。鏡台山や虫倉山で見られる高さ2mもあるオオウバユリに比べると、1.2mから1.5mで小振り。花の色も純白ではなくやや緑がかっています。若葉は山菜ですが、発芽してから開花まで7年もかかるので、私は採りません。
 オトコエシを撮影したら、小さなマドガが吸蜜していました。黄色いオミナエシ(女郎花)に対し男郎花といわれます。花瓶に挿した時は、頻繁に水を取り替えないとうんこの臭いがします。

 全く見られなかったミヤマフキバッタが次々続々出てきました(左)。『次々続々』アンジュルム。オオムラサキもそうですが、季節の進行が早いので早い出現かと思ったら遅かったのが以外でした。でも安心しました。この個体は何かに襲われたのでしょうか、左の後ろ脚が欠損しています。でも大丈夫でしょう。
 ゴミムシダマシの仲間のキマワリ(中)。成虫は枯れ木やキノコを、幼虫は朽木を餌にします。都市郊外の公園や雑木林でもよく見られます。トゲアリがオオムラサキのオスの翅を運んでいました(右)。このオオムラサキには何があったのでしょう。こんなものも餌になるのですね。ただ手伝ってくれる仲間が現れず(来たのですが帰って行きました)、相当苦労していました。餌としての価値は低いのかも知れません。

 樹形バーに到着(左)。オオムラサキ、オオスズメバチ、チャイロスズメバチ、コガタスズメバチ、アオカナブン、カナブンなどがお客さんです。樹液を吸うのに疲れたのか、オオスズメバチが休んでいました(中)。まぶたがないので、眠っているのかこっちが見えているのか分からないのが不気味。チャイロスズメバチが飛来しました(右)。盛んに後ろ脚を擦りあわせています。何があったのでしょう。キイロスズメバチと共にスズメバチの仲間ではかなり攻撃的な種類です。昨年は群れに襲われて車に避難しましたが、ウィンドウに体当りしガチガチ顎を鳴らしました。

 アオカナブンが吸汁しているところへやってきたオオスズメバチ。頭突きをしたのですが、アオカナブンは取り合いません。見ていると相当苛立っているのが分かります。結局激しく頭突きして落としました。そして、この50分後にその惨劇は起きました。同じ固体かは分かりませんが、胴体の模様を見ると違う個体の様です。

 始めはオオスズメバチがアオカナブンを追い落とそうとしていると思ったのですが、放しません。おかしいなと思いよく見るとどうも捕食しているようです。これには驚きました。樹木バーに来るオオスズメバチは樹液を吸いに来るのです。したがってアオカナブンが邪魔ならば頭突きで追い落とすのが普通です。もちろんオオスズメバチは肉食もします。セミやクモも食べます。色々な昆虫の幼虫も食べます。しかし、樹液がある季節に樹液バーでわざわざアオカナブンを襲って食べるのは初めて見ました。いったい何があったのでしょう。最後は肉団子にして持ち帰って行きました。

 蝶の研究家で昆虫にも詳しい友人も、この写真には驚いていました。上の左のカットで分かりますが、すぐ上では別のアオカナブンが交尾しながら吸汁していました。捕食されているアオカナブンは、頭がなくなっていましたが、脚はピクピク動いていました。捕食する直前の行動が見たかったですね。図鑑では得られない生態。自然の奥深さを感じます。

 ノコギリクワガタのオスが、吸汁中のメスに覆いかぶさって守っています(左)。交尾を終えるとカブトムシの仲間がする習性です。子孫を残すために時にはオスが犠牲になるのです。主な天敵はカラスやタヌキ、アオゲラやヘビなどです。
 オオムラサキのオス(中)。翅が色あせていますが、これは翅そのものの色ではなく構造色。縄張り争いなどで構造体が傷むとこの様に色あせてきます。
 吸汁中のオオムラサキ(右)。昆虫なのに四本脚に見えるのは、前脚が退化して胸にくっついているからです。

 交尾器のゲリタニアで下のメスを捕獲しようとしているオス(左)。ただ成功することはないようです。飛んでいるメスを追いかけて翅で叩き落としたりもしますが、これも成功しない様です。触覚を擦りあわせてからする通常の求愛行為がやはりもっとも成功する確率が高いのでしょう。普通はメスが受け入れて成立するのですが、オスが拒否する場合もあります。
 カブトムシのメスですが、甲が傷だらけです(中)。何に襲われたのでしょうか。鋭い牙で咬まれた様な痕です。ヘビでしょうか。ノコギリクワガタの口のアップ(右)。匂いを感じる触覚と、オレンジのブラシの様なものは小顎で、普段は収納されていますが、これで樹液を舐めるのです。カブトムシの仲間は大きさに個体差がかなりありますが、これは幼虫時代に栄養が豊富だったかどうかで決まる様です。

 アオカナブンの団体さんが樹液バーを占拠していて、オオムラサキは様子見です。木漏れ日の具合が悪い時は、撮影は中止ですが、その間は生態観察をします。席順をめぐってのいざこざやヒエラルキーなど、見飽きません。今回の様にとんでもないことも起きますしね。しかし、オオスズメバチが飛び交う樹木バーは、大変危険なのも事実で、集中力と体力が必要です。そして、マクロ撮影では、撮影中に突然飛び立って顔に激突したり、撮影中に戻ってきて耳元で羽音が聞こえて、瞬時にしゃがんで退散したりと、緊張の連続です。撮影中は息も止めています。もちろん万が一の時のために、ポイズンリムーバーは必携です。

この8月11日は、初めての国民の祝日「山の日」となります。それに先立ち、7月の第4日曜日(今年は24日)が「信州山の日」でした。私も関連でお仕事を頂きましたが、写真を使った記事や、講座・講演なども承ります。お気軽にお問い合わせ下さい。
 妻女山展望台の南にある大きな駐車場の奥には、清野氏の鞍骨城への地図や、登山ノート、拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』の見本誌とパンフレットなどが置いてあります。お問い合わせやお仕事のお申し込みは、当ブログのメッセージを送るからお願いします。

妻女山の位置と名称について」妻女山と赤坂山と斎場山について。『真田丸』で訪問者が激増中。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。


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妻女山山系の里山で繰り広げられる生と死。自然の営みを観る日々(妻女山里山通信)

2016-07-22 | アウトドア・ネイチャーフォト
 私は主に長野市から千曲市に跨る妻女山山系と、長野市の茶臼山山系をメインフィールドとして撮影や保全活動、自然観察をしています。定点観測をすることで、非常にデリケートな自然の生態系の経年変化も観ることができるからです。そして、観続けることで里山リテラシー(読解力)も鍛えられます。野生獣や昆虫だけでなく、植物から菌類までありとあらゆるものに目を向けています。そうすることで、里山の全貌、共生関係、相互連関、人為的な破壊などが詳細に見えてくるのです。そういう目で観ると、今年は異常に昆虫が少ないのが非常に気になります。特にミヤマフキバッタが全く見られません。夕方になるとヒグラシの物悲しい鳴き声がするようになりました。

「ひぐらしは 時と鳴けども 恋ふらくに たわやめ我(あれ)は 定まらず泣く」〔詠人不知 万葉集 第10 1982〕
(ひぐらしは時を決めて鳴くけれども、恋のせいでか、弱い私は時を定めず泣いてばかりいます)
 セミの中でもヒグラシは、漢字で書くと「蜩」「茅蜩」「秋蜩」「晩蝉」「日晩」「日暮」と色々あるように、その物悲しい鳴き声からか万葉の昔から日本人好みの昆虫でした。俳句では秋の季語ですが、実際はニイニイゼミなどと同じく梅雨から鳴き始めます。季節的には秋のセミではありません。
 しかし、カナカナカナと鳴く薄暮の森に佇んでいると、不意にとてつもない寂寥感に襲われます。どこか物悲しいヒグラシの鳴き声は古代から日本人の琴線に触れるものがあったのでしょう。古代中国の敗残兵の末裔が、故郷を偲んで落涙したのでしょうか。虫の鳴き声を左脳で聞くのは日本人(ポリネシア人も)の特性です。他国の人には音にしか聞こえないそうです。虫の音であり、虫の声ではないのです。
 万葉集の中に蝉の歌は10首ありますが、ヒグラシが9首。もう一首は単に蝉と書かれています。

 里山の海藻イシクラゲ(食用)の上で休むコミスジ(左)。明るい林道脇にクサイチゴ(中)。酸味が強いが美味しい。交尾しながら吸汁するアオカナブン(右)。この時期良く見られる光景。

 コナラの大木で樹液を吸うオオムラサキのオス。昨年の千曲市による空中散布の影響も確実にあるのですが、全般に昆虫が激減しています。ミヤマフキバッタに至っては全く見られない。右にいる小さな虫は、どうもヤセバエの一種の様ですね。
 写真で分かると思うのですが、オオムラサキの口吻はストローの様にチューブではなく、U字形の樋(とい)の様なものが羽化の際に合わさって筒状になるのです。そのため中央に筋が見えます。

 口吻はカブトムシの脚の一撃で簡単に切れます(左)。そういう個体も時々目にしますが、しぶとく生きながらえるのです。頭を削岩機の様に激しく振って吸汁するオオスズメバチ(中)。今回もいきなり飛び立って驚かせてくれました。樹液バーでは、カブトムシやミヤマクワガタの次に位置するのですが。オオムラサキのメスに追い出されることもあるのです。オオスズメバチとの緊張関係に疲れてしばし林道を散策して見つけたオナガシジミ(右)。オニグルミの木がある周辺に現れます。

 戻ってオオスズメバチ。この後2頭が来たが追い払いました。おそらく別の巣の個体なのでしょう。レンズフードの先端からは20センチもない。この撮影は緊張の連続。樹液が多い時には、顔を拭ってから飛び立つのですが、この様に少ないといきなり飛び立つので顔に激突することもあるのです。100m追いかけられたこともあるので、もう心臓バクバクです。どこを見ているか分からない勾玉型の目が怖い。

 オオスズメバチの吸汁を見ながら、吸汁の機会を伺っているオオムラサキ(左)。それにしても樹液バーに集まる昆虫が少ない(中)。2011年、12年、13年のブログのアーカイブスを見て下さい。樹液バーは考えられないほど大盛況でした。昨年までのネオニコチノイド系農薬の空中散布が原因ですが、今年は散布のない長野市側でも昆虫が異常に少ないのが気掛かりです。
 今回は山仕事や里山保全もあり、道具が必要なため車で上りました(右)。こんなところで撮影しています。木漏れ日と緑が美しいのですが、始終クロメマトイや藪蚊がまとわりつきます。藪蚊に刺されるのを気にしていたら撮影は不可能です。先月末はこの先の陣馬平に子熊も現れました。

 ふと足元を見ると、キリギリス(脚の長さからヤブキリか)の死骸にたくさんのトゲアリが群がっていました。トゲアリは、社会寄生という生態を持つ面白いアリです。また、エライオソームという餌になる物質がついたカタクリの種を巣まで運ぶアリ散布という種まきの生態も持っています。背中の鋭い棘でその名前の由来が分かると思います。

 クルマバナの群生地(左)。次々と咲き始めました。ウバユリの蕾も成長中(中)。やがて横に開き開花します。斎場山(旧妻女山)へ寄りました(右)。現在の妻女山は本来は赤坂山といい、512,8mのここが本来の妻女山で、本名が斎場山。謙信の本陣と伝わるのはここです。下の妻女山の長野市の看板にもそれが明記されていないため混乱を引き起こしています。山頂は古代科野国の円墳です。山頂のベンチにハチが営巣していて危険なのでひっくり返しておきました。ハチが営巣するので使用後は横倒しにしておいてください。

 妻女山展望台(赤坂山)からの善光寺平。眼下の長芋畑もつるが伸びて青々としてきました。AC長野パルセイロのホームスタジアムの向こうにそびえる飯縄山。飯縄神社の祭神の飯縄権現は、白狐にのった烏天狗。上杉謙信の兜の前立てがそれです。東京の高尾山薬王院の祭神もこれです。夏は信州の里山においで下さい。歴史、自然、スポーツ、癒やし。目的はなんでもいいのです。

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幻のハナビラタケ。樹液バーにたった一頭のオオムラサキ。カブトムシとアオカナブン(妻女山里山通信)

2016-07-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今年の梅雨は雨が多めです。妻女山から長坂峠への林道も大雨で随分とえぐれてしまいました。蒸し暑い中をクロメマトイに纏わり付かれながら登って行くと、10mぐらい先をまるで道案内するかの様にキセキレイが行きます。歩きながらたまに餌をついばみ、私が近づくと飛び立ち先へ。また尾を振りながら先導します。車の先導をすることもあります。面白い習性ですね。

 長坂峠分岐(左)。右手が斎場山で、左へ歩くと陣馬平です。高い木がコナラで、その下の木はオオムラサキの幼虫の食草となるエノキ。オオムラサキが全く見られません。昨年の松枯れ病の空中散布の影響でしょう。今年は中止になったので昆虫も復活してきましたが、少ない。特に十数種類いたゼフィルスは全滅状態です。
 ひとつの樹液バーにはカブトムシとアオカナブン、カナブンにオオスズメバチ。もうひとつのにはオオムラサキがいました(中)。昨年はなにもいなかったことを考えると一安心ですが、たった一頭とはあまりに寂しい。
 中尾山-茶臼山ハイキングに参加されたご夫婦と邂逅したので、陣馬平と堂平大塚古墳へ案内しました。喜んで頂けたと思います。出会った方には必ず声を掛けます。特に貝母の時期は必ず。戻ると別の樹液バーで吸汁中(右)。これがカブトムシやミヤマクワガタだとオオムラサキにとってはかなり危険。脚の一振りで口吻が切断されたりするのです。まあ、たいていはそれでも生きられますが。口吻はチューブではなく、U字型の樋(とい)の様なものが羽化する時に合わさるのです。たまにそれが上手くいかなかったのか、樹液が口吻の途中から漏れている個体を目にすることもあります。

 曇ってきたのと、小雨も降ってきたので帰ろうとして、長男がハナビラタケをもらったということを思い出しました。そうだ、その季節だと反転して森の奥深くのシロへ。落葉松の根本に幻のハナビラタケを発見(左)。しかも大きい! これは三分の二を収穫した後(中)。胞子を飛ばしてもらうためです。喜々として帰る途中に今度はシロキクラゲを発見(右)。

 ハナビラタケ(Sparassis crispa)は、担子菌門ハラタケ綱タマチョレイタケ目に属し、ハナビラタケ科のハナビラタケ属に分類されるキノコの一種。これは幅が40センチ以上、高さが30センチはありました。βグルカンが豊富で栽培もされていますが、大変高価なキノコで、これぐらいだと5000円は下らないと思います。腐朽菌なので、右側にある落葉松の仮導管の壁を貫通して菌糸が蔓延しているはずです。
 天ぷら、湯がいてサラダ、クリームパスタ、アヒージョ、豚肉と中華炒めなどに。冷凍保存や乾燥保存もできます。幻といわれるのは、発生時期が梅雨時でいわゆるキノコ狩りの季節でないこともあるでしょう。また、舞茸などと同じくシロを知らないと採れないキノコというのもあるかも知れません。妻女山山系の放射能汚染はかなり低いのですが、念のため塩水に浸け、一度茹でこぼしてから調理します。

 シソ科トウバナ属クルマバナ(車花)が咲き始めました(左)。クマノミズキの実が大きくなり始めました(中)。秋には濃紺の色になり、軸は鮮やかな朱色になり、それは美しいもので、私は森の珊瑚と呼んでいます。ヌスビトハギの群生があちこちで咲き始めました(右)。実はいわゆるひっつき虫で、ズボンのあちこちにたくさん付く厄介な植物です。

 上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたという陣馬平(左)。貝母に侵食し始めたヨシの根の除去はほぼ終わりました。梅雨明け後に仲間に集まってもらい最後の仕上げをします。その貝母の現在(中)茎は枯れ、さく果も弾け始めました。さく果をヨシの根を掘り起こした部分に蒔いています。信濃毎日新聞で三回も取り上げていただいたので、訪問者が200人位になったのではないでしょうか。ヨシのあった裸地に貝母が増えるといいのですが。
 多雨のために苔の胞子嚢も元気です(右)

 翌々日の樹液バーには、大雨だったのでオオムラサキの姿はなく、カブトムシがいました。お分かりでしょうか。よく見るとオスのカブトムシの下に別のカブトムシが見えます。メスのカブトムシです。ペアになり交尾したオスは、メスが吸汁中はずっと覆いかぶさってメスを守るのです。クワガタも同じ行動をします。
 樹液バーのヒエラルキーでは最上位に位置するカブトムシですが、主な天敵はタヌキやカラスで、これに狙われるとその樹液バーに来るカブトムシがほぼ全滅することもあります。右にいるアオカナブンのメスは後部しながらオスをおんぶして吸汁することもよくあります。こんな感じで、撮影だけでなく生態や相互連関、共生関係などを注意深く観察するのが私のスタイルです。定点観測をすることで、微妙な里山の変化も見えてきます。

 そのカブトムシのオスを別の角度から撮影した一枚(左)。カブトムシの色が保護色であることが分かります。吸汁中のカナブンとアオカナブン(中)。こちらのカブトムシは吸汁に夢中です(右)。この後すぐにオオスズメバチが飛来しましたが、難なく排除撃退しました。

 ヌルデ白膠木)ウルシ科ウルシ属(左)。別名は、フシノキ。生薬名は、塩麩子(えんふし)/塩麩葉(えんふよう)/五倍子(ごばいし)。小葉と小葉の間に翼(つばさ)があるのが特徴。 ヌルデにできる虫こぶ(虫えい・ゴール・GALL)のことを五倍子といいます。これは、ヌルデの若芽にアブラムシ科のヌルデノミミフシが寄生し、枝の翼に卵を産み付け、それが耳状にふくれたものです。
 エノキ(榎)ニレ科(中)。幹周り1m、高さ20mになる落葉高木。これも葉に小さなブツブツがたくさん。やはり虫コブで、エノキハイボフシといいます。フシダニ(ダニ目フシダニ科)の一種によって作られる不規則な形の袋状の虫えい。体調は0.2ミリ以下のウジ虫状。また、エノキには先の尖ったエノキハトガリタマフシもできることがあります。形成者はエノキトガリタマバエ(ハエ目タマバエ科)。各々の虫こぶには幼虫が1匹ずつ入っています。年1世代で成虫は3~4月に羽化をして、エノキの新芽付近に産卵します。5月~6月に幼虫と虫こぶは成熟し、成熟した虫こぶは落下します。幼虫は地上に落下した虫こぶの中で翌春まで過ごして蛹になるのです。
 エゴノキの実 エゴノキ科エゴノキ属(右)。別名は、ロクロギ(轆轤木)、チシャノキ。エゴノキにも、エゴノネコアシアブラムシによるエゴノネコアシという虫コブができることがあります。但し、近くにイネ科のアシボソという草があることが必要条件。果皮にはサポニンが含まれ天然の石鹸として使えます。下向きに鈴生りに咲く白い花は、芳香があります。散り始めると地面が真っ白になるほど。

 クロアゲハに似ていますが、尾状突起が長く、内側に湾曲しているのでオナガアゲハでしょうか。どこかから飛来して休憩中(左)。幼虫は、コクサギ、サンショウ、カラスザンショウ、ツルシキミなどの葉を食べます。
 ヨツスジハナカミキリ(四條花天牛:Leptura ochraceofasciata)カミキリムシ科ハナカミキリ亜科(中)。交尾をしながらメスがヒヨドリバナの花粉を食べているところを邪魔してしまいました。翅の模様はハチの擬態。
 小雨模様なので帰ろうと車を出すとボンネットにタマムシが(右)。そうっと停車して静かにドアを開けて撮影。アオカナブンと共に、森の宝石と呼びたくなる様な美しい甲虫です。

 妻女山展望台から茶臼山。右奥が神城断層地震で山頂が4割も崩壊した虫倉山。茶臼山手前は自然植物園や動物園。その手前は篠ノ井の市街地。さらに手前の千曲川の手前では長芋畑のつるが伸びて青々としてきました。雨は止みましたが、この後かなりの本降りになりました。
 今回、山の日にちなんで斎場山と茶臼山を紹介する記事を監修しましたが、里山にもっと興味を持っていただけるといいなと思います。講座やインタープリターの仕事も徐々に増えたらいいなと思っています。

この8月11日は、初めての国民の祝日「山の日」となります。それに先立ち、7月の第4日曜日(今年は24日)が「信州山の日」で、色々な行事が行われます。私も関連でお仕事を頂きましたが、写真を使った記事や、講座・講演なども承ります。お気軽にお問い合わせ下さい。
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炎天下の農作業。久しぶりの陣馬平や妻女山、斎場山。オオムラサキがいない(妻女山里山通信)

2016-07-13 | アウトドア・ネイチャーフォト

 五つ前の「カッコウの鳴く日曜日、一反の畑に大豆を蒔く。私はだだちゃ豆も」の6月上旬の記事で書いた一反(10アール)の畑の大豆ですが、雑草がはびこってえらいことになりました。そこで除草作業。画面の左が除草終了、右の緑が今回の作業場所(左)。これ麦ではないです。この中に大豆があるのです(中)。条間は耕うん機で除草。株間の雑草を抜いて行くのですが、炎天下での重労働(右)。ネオニコチノイド系の除草剤とかベトナム戦争の枯れ葉剤ですからね。使えません。大豆はほとんどが輸入品。遺伝子組み換えも普通。私たちはほとんど使いませんが、平地では無農薬で商品化できる大豆を作るのはまず不可能です。この写真を見たら分かると思います。30度を超える炎天下の中、5時過ぎまでやってやっと終わりました。

 翌日はほぼ10日ぶりに妻女山奥の陣馬平へ(左)。ヨシの新芽はほとんど出ていませんでした。除去は成功したといっていいでしょう。問題はここにどの植物が寡占するかということ。貝母なら問題ないのですが。
 中尾山・茶臼山ハイキングに来てくれたご夫婦と邂逅。陣馬平と堂平大塚古墳にご案内しました。歴史と自然を解説。喜んで頂けた様です。こんな風に、時間が許せばご案内します。
 蟹沢(がんざわ)の泉に謎の卵?(中)。そうですサワガニの卵です。産卵した母蟹は役目を終えて亡くなっていました(右)。子供の頃はたくさんいて、採って帰って祖母に唐揚げにしてもらい塩をふって食べました。

 堂平大塚古墳からの千曲川。この美しい風景が実は汚染されているのです。去年と同様にオオムラサキやゼフィルスがほとんど見られません。昨年の千曲市によるネオニコチノイド系農薬。エコワン3フロアブルの空中散布の影響です。成分はベトナム戦争の枯れ葉剤と同じ。実際に千曲市では人的被害も出ています。水俣病等に匹敵する犯罪的行為といっていいでしょう。今年は暫定的に中止する様ですが、自然が回復するには何年、いや何十年もかかるかも知れません。信濃毎日新聞の一面下のコラムでも、空中散布を止める勇気をという記事が以前出ましたが、こんな犯罪的行為は絶対に止めるべきです。

 コナラの樹液バー(左)。まだ樹液はほとんど出ていません。昨年は上記の理由によりなにもいませんでしたが。今回はカブトムシ、オオスズメバチ。アオカナブン、カナブンがいました。左の虚(うろ)ではカブトムシが吸汁。右でオオスズメバチが吸汁(中)。オオスズメバチは寄ってくるアオカナブンを頭突きで撃退。満腹で巣に戻った後で再来。カブトムシの虚に入りましたが、撃退されてあえなく降参。他の木へ飛んでいきました。オオムラサキが全くいません。気掛かりです。総苞が粘るノアザミの花(右)。秋になるとノハラアザミが咲き出します。

 斎場山(旧妻女山)の西側、御陵願平にあるイノシシのヌタ場。昨夜泥浴びに来たのでしょう。イノシシの足跡がありました。少し前に象山で子熊三頭を連れたは母熊が目撃されました。私も陣馬平で子熊を目撃。淡竹の筍を食べに来たのでしょう。今年生まれた子熊は小さいので(4〜5キロ)。母熊は逃げられないと思うと待って人を襲います。熊鈴も役に立ちません。遠距離からも聞こえるホイッスルや爆竹を鳴らすことが必要です。

 ヒヨドリバナが咲き始めました(左)。言われるようにすぐ上でヒヨドリが喧しく鳴いていました。葉を見てこれはトウダイグサ科だなと思ったのですが種名がわかりません(中)。ウバユリ(右)。咲くのは旧盆頃でしょうか(右)。楽しみです。

 斎場山(左)。私のブログやサイトをご覧になっている方はご存知でしょうが、ここが地元で上杉謙信が本陣としたと伝わる妻女山です。妻女山は松代藩が江戸時代につけた俗名で本名は斎場山で古代科野国の円墳です。いつきなるば、ゆにわと称して単なる斎場ではなく、祀りごとを行う神聖な場所でした。
 現在の妻女山(右)。地元では赤坂山という場所です。国土地理院が勝手に名前を変えました。よってここを謙信の本陣と勘違いして変える歴史家や歴史マニア、観光客が絶えません。長野市の看板にも明記されえていません。非常に不親切です。
 神社は招魂社。戊辰戦争以降の戦没者を祀っています。例年ならこの社の瓦でオオムラサキがたくさん昼寝をしているのですが、今年は一頭も見られません。間違いなく千曲市による空中散布の影響でしょう。昆虫が絶滅すれば次は人間です。

 畑に灌水に寄りました。アマポーラ(雛芥子)の向こうに藪萱草(左)。ニッコウキスゲの仲間です。カンゾウ、ヤブカンゾウの蕾は金針菜といって中華の高級食材です。鉄分も多く女性の味方。横浜中華街では乾物が結構な値段で売られています。アマポーラ(中)。太陽が登ると開花します。すごく好きな花です。選定をしたお陰で今年も柿が鈴生りになりました(右)。また柿酢を作りましょう。
 今日は、篠ノ井の77号見六橋付近にイノシシが出没。春が異常に早く、季節の進行がおかしいので野生動物の動きにも例年とは違う変化が出ているのかも知れません。

この8月11日は、初めての国民の祝日「山の日」となります。それに先立ち、7月の第4日曜日(今年は24日)が「信州山の日」で、色々な行事が行われます。私も関連でお仕事を頂きましたが、写真を使った記事や、講座・講演なども承ります。お気軽にお問い合わせ下さい。
 妻女山展望台の南にある大きな駐車場の奥には、清野氏の鞍骨城への地図や、登山ノート、拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』の見本誌とパンフレットなどが置いてあります。お問い合わせやお仕事のお申し込みは、当ブログのメッセージを送るからお願いします。

妻女山の位置と名称について」妻女山と赤坂山と斎場山について。『真田丸』で訪問者が激増中。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。


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梅雨の晴れ間に妻女山へ。ネムノキ、ゼフ、ミツバチ、カブトムシ、キノコ(妻女山里山通信)

2016-07-02 | アウトドア・ネイチャーフォト

 林道脇にエビガライチゴの実(左)。甘酸っぱい美味しい木苺ですが、これが両側から繁茂すると登山道が塞がれるので、春に鞍骨城跡まで切りに行きます。マルバハギの花が咲き始めました(中)。ゼフィルスが好む花ですが、今年はゼフがほとんど見られません。天女の様なユキノシタの花(右)。薬草であり山菜。

 ネムノキの花はそろそろ終わりです。花は樹冠で咲くので、なかなか間近で見られないのですが、この木は林道の下の斜面に生えていたので丁度花が目の高さにありました。花弁は発達していませんが、線香花火の様な雄しべが可憐で美しい。

 木漏れ日のスポットライトを浴びて輝くネムノキの花。マメ科なので、秋には長いさやの豆がなります。葉は夕方になると閉じてしまいます。マメ科なので窒素根粒菌のコブを根に形成します。根粒バクテリアが窒素を変換してネムノキに与え、ネムノキがバクテリアに栄養を与える共生関係を作っています。アメリカでは、その豆を猿が食べるためモンキーポッドというそうですが、日本のネムノキは食べられるのでしょうか。山藤の実は炒って食べたことがありますが。

 カブトムシを発見(左)。すぐ近くに我々(妻女山里山デザイン・プロジェクト)が作った産卵所があります。まだ樹液が出ていないので餓死しないといいのですが。熟して落ちた桑の実などを吸っていると思われます。吸蜜中のヤマトシジミ(中)。小さなシジミチョウよりさらに小さな黄花ですが、未同定。
 シロツメクサで吸蜜するセイヨウミツバチ(右)。以前はニホンミツバチもいたのですが、松枯れ病の空中散布で全滅しました。このセイヨウミツバチは養蜂家のものです。気になるのは、その影響か、オオムラサキのオスとメスをそれぞれ一頭しか確認していないのです。こんなことは今までありませんでした。非常に心配です。

 ホコリタケ科のノウタケの幼菌(左)。大きくなると脳みそみたいなシワができるので脳茸と書きます。中が白い幼菌は食べられます。てんぷらやフライ、オリーブ油炒めなどで。クセはあまりありません。美味しい方です。これもホコリタケ科のタヌキノチャブクロ(中)。キツネノチャブクロより大きくなるようで、後日見たら直径が6センチ位になっていました。これも中が白い幼菌なら食べられます。味噌汁に入ったものを食べたことがありますが、特に不味くも美味でもありませんでした。
 ヤマザクラの倒木に鮮やかな朱色のヒイロタケ。タマチョレイタケ科(右)。もちろん食べられません。

 艶のあるヤブヘビイチゴの実(左)。ヘビイチゴは艶がありません。クサイチゴはブツブツの間の空間がなく甘酸っぱく食べられます。ヤブヘビイチゴは無毒ですが、無味無臭。薬草です。
 この小花が分かりません(中・右)。凄く小さな花ですが、草高は50〜60センチ位あります。葉は右の様で、茎には細かな繊毛が生えています。お分かりでしょうか。思い出しました。ヌスビトハギです。

 上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる陣場平。クマノミズキの花も満開から結実へ。手前は貝母(編笠百合)の群生地ですが、現在はほとんど枯れて蕗やカナムグラが繁茂しています。キツツキの激しいドラミングが聞こえてきました。右の地面は、貝母に侵入してきたヨシとノイバラの地下茎を掘り出した跡。右奥に掘り出した根が積まれています。梅雨明けに最後の仕上げをします。両者ともここが藪だった時には生えていなかったものです。最近は帰化植物のブタクサも侵入してきたため、それも抜いています。

 貝母のさく果も枯れました(左)。梅雨明け頃には弾けて種がこぼれるでしょう。林の明るい縁に咲くクララの花(中)。ルリシジミやオオルリシジミの幼虫の食草。クララの数が減っているので心配です。
 妻女山展望台から左後ろへ振り返ると、本当の妻女山、本名斎場山が見えます。地元で妻女山と呼んでいた山は斎場山のことです。展望台のある所は、地元では赤坂山と呼んでいた場所で、謙信本陣ではありません。赤坂山に三角点を設置した時に国土地理院が勝手に妻女山の名前を下ろしてしまったのです。長野市が建てた説明看板にもそのことは書かれていないので、多くの人が誤解したまま帰ってしまいます。ウィキペディアの妻女山には諸説あるようなことが書いてありますが、全くの出鱈目です。

 展望台から見る茶臼山(左)。写真中央の丸い山です。手前は観光客に非常に評判の悪い看板。地図と照らし合わせられないほどこれも出鱈目で、間違いも多い。下部にある写真の説明も間違いがあり、また山名の表示が少なすぎて不明朗。観光客には山座同定をしてあげています。
 帰りに畑に寄ってヤブカンゾウの蕾を採りました(中)。右後ろに見えていますが、蕾は金針菜といって中華料理の食材。炒めてよし、天ぷらでも美味、煮物にも使えます。晴れの日にはヒナゲシ(雛罌粟・雛芥子、別名は虞美人草)が咲き乱れます(右)。英語だとポピー、スペイン語はアマポーラ、フランス語はコクリコ。
 虞美人草という名は、秦末の武将・項羽が劉邦に敗れて垓下に追い詰められた時に、垓下の歌を死を覚悟して詠い、合わせて虞という愛人が舞ったという中国の伝説に基づくもの。80年代に車のCMにも使われたギリシャのナナ・ムスクーリの『アマポーラ』は大好きです。


この8月11日は、初めての国民の祝日「山の日」となります。それに先立ち、7月の第4日曜日(今年は24日)が「信州山の日」で、色々な行事が行われます。私も関連でお仕事を頂きましたが、写真を使った記事や、講座・講演なども承ります。お気軽にお問い合わせ下さい。
 妻女山展望台の南にある大きな駐車場の奥には、清野氏の鞍骨城への地図や、登山ノート、拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』の見本誌とパンフレットなどが置いてあります。お問い合わせやお仕事のお申し込みは、当ブログのメッセージを送るからお願いします。

妻女山の位置と名称について」妻女山と赤坂山と斎場山について。『真田丸』で訪問者が激増中。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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