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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

最高気温32.7度の長野市。21度の妻女山の陣場平で撮影と山椒の実を採る真夏日。縮緬山椒を作る(妻女山里山通信)

2022-05-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野市の最高気温は、最高気温32.7度だったそうです。ということで、妻女山の陣場平へ撮影に行きました。麓は既に28度でしたが、陣場平の木陰は21度でした。湿度も低くて快適です。ただ日差しは強く、日向に出るとジリジリと肌が焼ける感じがしました。撮影の前に、縮緬山椒を作るために山椒の実を1時間半ほど摘みました。

 森の中から見る陣場平の貝母群生地。先日の強い雨で倒れたものもかなりあります。ハルゼミとエゾハルゼミの合唱がもの凄い。先日の作業の日と違ってクロメマトイが五月蝿い。まだヤブ蚊がいないのが救い。淡竹の筍を食べに熊が来るので、熊鈴やホイッスル、大きな音をたてるは必須です。先日はそれで聖山の熊を追い払いました。

 枯れた貝母の間に繁茂してきたのは、ヒカゲイノコヅチ(日陰猪小槌)ヒユ科イノコズチ属の多年草。秋に花穂がひっつき虫(バカ)になり、茎に丸い赤紫の虫こぶ(虫えい・ゴール)ができる植物です。若葉は天ぷらやおひたし、胡麻和えなどで食べられるそうです。でも美味しかったら皆採って食べますよね。まあ、そういうことでしょう。多年草で根を張り巡らすので、貝母の繁殖を阻害しますが、どうも見ていると貝母の方が強いので、放置しています。
 虫こぶは、イノコヅチクキマルズイフシといい、イノコヅチウロコタマバエによって作られます。虫こぶを切ってみると、小さなタマバエの黄色い幼虫がたくさん入っています。

 陣場平の下の入口からの小道。オオブタクサがたくさん出る場所なので要注意なのです。里山保全は賽の河原に石を積む様な作業の繰り返しです。諦めたら終わり。人生は有限なのになぜそんなことをするのと思われるかもしれません。宇宙はなるようにしかならない。その通りです。それがレーゾン・デートル(存在理由)の証と思っているからでしょうからですかね。意識も物質の電気信号のひとつでしかない。存在を考えると宇宙とか、マクロの原子とか。その存在理由は何かと考えますね。たぶん大本の宇宙がその存在理由さえないのかも知れませんが。星が綺麗な信州の夜空を見ると、そんなことも思うのです。

 陣場平ではハルジオンはすべて抜きますが、周囲ではウスバシロチョウが吸蜜するのである程度残しておきます。交尾をした印のスフラギスを付けたメスが吸蜜していました。元気な子孫を残すためにせっせと吸蜜して栄養を蓄えます。

 この時期のメスは、吸蜜に夢中で近づいても逃げません。有害帰化植物のハルジオンを残すのは痛し痒しなのですが、この時期ほかに吸蜜できる花がないので仕方ありません。ウスバシロチョウが消えたら除草します。

 蜘蛛の巣に引っかかったウスバシロチョウ。自然の営みには関与しないのが基本ですが、この巣は主が不在。放棄したものらしいので逃してあげました。自然にどこまで人間が関与していいのか、非常に難しい問題です。欧米ではこれを人間対自然の世界観で。日本、東洋は人間も自然の一部と。近年は後者がポピュラーですが、ではそのコンセプトは確立し普及していますか。意識の改革はそう簡単ではありません。

 翅を広げても10ミリぐらいのマドガ(窓蛾)。この面白い名前は、ギリシア語の窓や入り口からで、翅の中室にある半透明の白色斑を窓に見立てたものだそうです。

 山蕗の葉にヤマザクラかカスミザクラのサクランボ。渋くて食用にはなりません。ケバエの一種でしょうか。来ています。

 ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)スイカズラ科スイカズラ属。赤い実は甘く食べられます。子供の頃の山のおやつでした。田舎なので1円キャラメルぐらいしかなかったですから。後はハイカラな明治生まれの「おはなはん」が大好きだった祖母の作るどこで覚えたのか中華菓子の麻花兒(まーふぁーる)とか、じゃがいも餡の饅頭とか。おはぎやこねつけ、よもぎ餅。甘い葛湯もよく作ってくれました。

 湧き水の出る沢に下ってみました。ユキノシタ(雪の下)ユキノシタ科ユキノシタ属。虎耳草、鴨脚草、鴨足草、金糸荷などの別名があり、利尿作用のある硝酸カリウムや塩化カリウムを含み、むくみ解消に効果が。その他にきょ風、清熱、解毒などの効能がある民間の薬草です。葉は天ぷらで。

 ワサビ(山葵)の葉。花が咲くのはこれからです。在京時代は山梨の秘密の谷へ自生の山葵を採りに行って妻にワサビ漬けを作ってもらいました。

 フタリシズカ (二人静)センリョウ科チャラン属の多年草。静かは煩いの反対語ではなく、源義経の愛した静御前のことです。フタリシズカは、静御前の霊が取り付いた菜摘み女と霊が同じように舞うという、能の「二人静」から来ています。

 ガマズミの花にコアオハナムグリ。体長は10ミリぐらい。妻女山山系ではよく見られます。前回撮影したのも遠くで分からなかったのですが、コアオハナムグリかも知れません。

 ナヨクサフジ(弱草藤)マメ科ソラマメ属。ヨーロッパ原産です。元は飼料として輸入され、日本で帰化したもの。里山や河原などに普通に見られます。何か小さな蛹がついています。なんでしょう。

 キバネツノトンボの生息地へ。一匹だけいました。メスでしょうか。交尾しそこなった個体でしょうか。自然というのは忖度なしの世界です。世襲とかタレントで有名とかありません。個の実力と運が全てです。

 ニガナの上にキリギリスの仲間のヤブキリの幼虫が。ヒシバッタの幼虫も見かけました。

 善光寺地震の松代藩が立てた罹災横死供養塔の下にもニガナの群生地があります。最近あちこちで地震が頻発しているので心配です。首都直下型地震の心配もあります。備えだけはしておきたいものです。

 ヤマホタルブクロ(山蛍袋)キキョウ科ホタルブクロ属。昔、ホタルを入れて遊んだからの名前だそうですが、本当かなと思っていたら、生前父が子供の頃そうやって遊んだと言っていたと聞いて、へえ!って納得しました。

 妻女山展望台からの松代方面の眺め。清滝から林道経由で尾根に登り、30mの崖を奇妙山へ登るコースは拙書でも紹介しています。奇妙山は行基にまつわる歴史の深い里山で、古い山城の遺構もあります。根子岳と四阿山の残雪もほとんど消えた様です。

 山椒の実で縮緬山椒。佃煮にするのではなく薄味で煮物にします。採りたてでアクが少ないので一度茹でこぼすだけ。実も枝も柔らかく葉も入っていますが構いません。いつもはコウナゴですが、今回は食べる煮干しを使いました。干し椎茸とだし昆布、鰹出汁といりこ出汁に本味醂と友人が作った手作り醤油で煮ます。薄味で、これで素麺や蕎麦をいただいても絶品です。ピリピリと痺れる辛さがたまりません。梅雨時の食欲不振にぴったりです。こんな料理は、料亭でも出ることはないでしょうから貴重だと思います。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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妻女山の陣場平で貝母の球根の移植作業と有害帰化植物の除去。淡竹と鯖の水煮缶詰の味噌汁(妻女山里山通信)

2022-05-28 | アウトドア・ネイチャーフォト
 5月1日以来の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業は、陣場平で貝母(編笠百合)の球根の移植作業と有害帰化植物の除去作業でした。今回は、農作業で忙しいメンバーが休みで参加者は三人でした。麓は最高気温が25度の夏日でしたが、森の中は涼しくて本当に快適でした。

 貝母は枯れていますが、雨で倒れているものもありますが、ほとんどは立っています。シジュウカラやオオルリの鳴き声がします。たくさんのウスバシロチョウが舞っています。湿度が低く、ヤブ蚊もクロメマトイもいないので、快適に作業ができました。

 南側の森の中に散ってしまった貝母の球根を掘り起こします。

 5月1日にも移植作業をしました。その後、私も撮影の合間に移植作業をしたりしています。

 貝母の球根です。これを粉末にして咳止めの薬にしたのでしょう。奈良時代に入ったと言われ、万葉集に一句あることは、満開の時の記事で紹介しました。

 今回も20株ぐらいを移植しました。球根は来年には咲くので楽しみです。植物園や4月の茶花として栽培する畑はありますが、里山でこれだけの群生地は日本でここだけです。

 休憩しようと丸太のベンチに行ったら、おびただしい数の羽蟻に占拠されていました。羽が大きいことや頭と胸部の色や形から、ヤマトシロアリですね。

 移植作業の後は、オオブタクサ(クワモドキ, アサノハブタクサ)の抜き取り作業です。根を残すとまた出てくるので抜き取ります。北アメリカ原産の帰化植物で、抜いても抜いても出てくる厄介者です。放っておくと高さ4mにもなります。根から他の植物の成長を阻害する物質を出すアレロパシー作用があります。また、花粉症の原因植物です。

 貝母の実も大きくなってきました。梅雨明けぐらいまで大きくなり続けます。熟し切ると枯れてホウセンカのように種が弾け飛ぶさく果です。その時に東風(こち)が吹いていることが多いので、西へ増えていくのです。

 貝母を案内する時に必ず話すのが、貝母を発見するきっかけとなった菱形基線測点です。記事にもしているので、右上のブログ内検索で調べてください。茶臼山の菱形基線測点も紹介しています。今回は、小さな子を連れた4人家族が登ってきました。私の読者でした。著者ですと言うとすごく驚かれましたが、けっこう読者とは邂逅しています。陣場平を案内しました。鞍骨山から下りてきたご夫婦にも邂逅。陣場平を案内しました。

 昼は、ログハウスを借りて。この時期の信州名物「淡竹と鯖の水煮缶詰の味噌汁」サバ缶の汁も入れるので出汁は要りません。タマネギと山椒の葉も入っています。味噌は仲間と作った信州糀味噌。安定の旨さです。飯山などでは根曲がり竹で作ります。

 バナメイエビとホタテとシメジ、タマネギのアヒージョ風。ケイジャンスパイスの味付けで。北アルプスもクッキリと。湿度が低く快適でした。クマバチが、ログハウスの横木の丸太の下に穴を開けていました。これまずいです。強靭なアゴで木材などに直径1.5cm程度の穴を開け、深さ20~40cm程まで掘り進み巣を作ります。

 お開きの後、私は撮影のために再び陣場平へ。写真は陣場平から出て林道へ出る小道です。木漏れ日が爽風でゆらぎます。梅雨入り前の今の里山はおすすめです。

 山椒の実。もう少し大きくなったら採って縮緬山椒を作ります。

 林道脇にある低木のイボタノキ(水蝋樹・疣取木)モクセイ科イボタノキ属の落葉低木。ウラゴマダラシジミ、イボタガ、スズメガ類が食草にしている樹木です。まだつぼみですが、まもなく咲き始めるでしょう。樹皮上に寄生するイボタロウカイガラムシの分泌する「いぼた蝋」は蝋燭の原料や家具や生糸製品、日本刀の手入れに用いられます。

 もう一品、私が持参した山蕗とホタルイカの煮物。ホタルイカは出汁の出る干物を使います。山椒の葉と実を入れました。信州の里山と富山湾の味覚のマリアージュ。絶品です。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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妻女山は昆虫の季節。ウスバシロチョウ・ミナミヒメヒラタアブ・コジャノメ・トラフシジミ・コミスジ(妻女山里山通信)

2022-05-27 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山山系は昆虫の季節到来。色々な昆虫たちが現れていました。希少な昆虫もいれば、ちょっと危険な昆虫もいます。春とは違う花も咲きます。雨上がりには粘菌も出てきます。里山は一年中ありとあらゆることを観ることで、その全貌が分かるのです。相互連関、共生関係を知ることも大事です。そこそこの知識に加えて好奇心と観察が一番の肝。なので同じ場所に何度も通うことが非常に重要なのです。

 ニガナで吸蜜するウスバシロチョウ。食草のシロヤブケマンの群生地が増えたため、妻女山山系のあちこちで見られるようになりました。この時期、彼らの天敵はジョロウグモなど。蜘蛛の巣に引っかかって絶命する個体も少なくありません。

 ウスバシロチョウを撮影していたら、隣にドクガの幼虫が。この時期、山仕事や山菜採りなどをする時は、暑くても必ず長袖を着て手袋をします。ドクガの見えない毒毛に触れたら、2,3週間は痛みが続きます。ヤブ蚊もそろそろ出てきます。クロメマトイも五月蝿いですね。しかし、それ以上に森の中にいると癒やされるのです。自然対自分ではなく、自分も自然の一部なのだと思えるようになります。

 翅を閉じて吸蜜中のウスバシロチョウ。右は別の個体ですが、羽を閉じている時は簡単につかめます。見るとスフラギス(交尾後付属物)がついているメスでした。オスは交尾をすると、そのメスにスフラギスという貞操帯の様なものをつけます。他のオスと交尾ができないようにするためです。

 タチツボとかヒナとか上になにもつかないスミレ(菫)。妻女山では最後に咲くスミレです。

 ヤブジラミの花で吸蜜中のミナミヒメヒラタアブ。撮影よりも見つけるのが非常に困難な昆虫です。体長が10ミリに満たないサイズなので、その気になって探さないと目に入りません。毎年出現する生息地を知っているので撮影できるのです。こんな小さな命も宇宙船地球号の大事な乗組員なのです。

 コジャノメ。人の気配に敏感なのでなかなか撮影させてくれません。そっと後から忍び寄って撮影。日陰を好む蝶です。地上付近をヒョイヒョイと飛び回ります。

 ガマズミの花には色々な昆虫が吸蜜に集まっています。トラフシジミにシロテンハナムグリ(白点花潜)とシラホシハナムグリ(白星花潜)かな。この二つは見分けが難しい。もっと近づきたいのですが、手前に深い溝があるので不可能です。残念。しかし、改めて見ると大きさからこれはコアオハナムグリですね。

 ジョウカイボン(浄海坊)。この時期あちこちで見られます。甲虫なので飛ぶのが下手で、近くなら飛んでいるのを手で捕まえられそうです。花の蜜や小昆虫を餌にします。時には自分より大きな蛾も捕らえます。

 雨上がりなので粘菌(変形菌)のマメホコリも見られました。右はまもなく胞子を飛ばし始めるかもしれません。
妻女山は貝母だけではないのです。雨上がりには粘菌が出現。かの南方熊楠が夢中になり、中国の歴代皇帝が求めた不老不死の薬?(妻女山里山通信):粘菌リンクもご覧ください。

 ミスジシリアゲ。シリアゲムシ目シリアゲムシ科。死んだ昆虫の体液などを吸います。2億5000万年前のベルム期から生息していたシリアゲムシ目に属する非常に起源の古い昆虫なのです。

 コミスジ(小三條)。これも人の気配に非常に敏感でなかなか撮影せてくれません。幼虫の食草はクズ、ヤマフジ、ニセアカシアなどのマメ科の植物です。作年の5月には交尾中を撮影しました。

 キツネアザミ(狐薊)。アザミとつきますが、アザミではなくキク科キツネアザミ属の2年草です。消炎などの薬草です。週末は、妻女山SDPの作業で貝母の球根の移植と有害帰化植物の除去作業をしますが、虫対策と暑さ対策をしっかりしないといけません。

 妻女山展望台から陣場平山の眺め。中腹に集落が見えます。手前は茶臼山から北に続く尾根。手前は篠ノ井の市街地。千曲川では、台風19号で堆積した土砂の運び出し作業が続いています。非常にいい土質なのでいい値段で売れるのです。もっともこの上流で大量の農地とかの土砂が失われた結果なのですが。治山治水はお金も手間もかかるのです。全国の里山保全も多くがボランティアの手で行われているのが現状です。ちなみにボランティアというのは無償奉仕と思われていますが間違いです。世界では有償ボランティアも普通です。そもそもボランティアは無償奉仕という意味ではありません。デモクラシー。実は民主政治という政治手法なのに、民主主義と誤訳(わざと?)したことと同じぐらい酷いものです。空気が湿り気を帯びてきました。午後にはポツポツと。豪雨にならなければいいなと思いながら下山しました。

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キバネツノトンボ。体の構造と生態を観察する夏日の草原。複眼にダビデの星? 16都道府県でレッドリストに指定されている昆虫(妻女山里山通信)

2022-05-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前回に続き、妻女山山系で希少なキバネツノトンボ(黄翅角蜻蛉)を追いました。アミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科ツノトンボ亜科の昆虫で、16都道府県でレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されている昆虫です。今回は二日間に渡る観察と撮影の記録です。摩訶不思議なことに遭遇しました。

 初日は夏日で湿度が低く、キバネツノトンボは10時前から群舞を始め、12時まで続きました。5枚目までは、その時撮影したあるオスの一匹です。前翅は透明で後翅より長くそのため翅を閉じると後翅の黒と黄色の模様がよく見えます。トンボはその透明な翅は、体重のたった2%しかありません。キバネツノトンボはそれよりは重そうですが、それでも甲虫よりは遥かに軽いと思います。

 オスの尾部には丸いハサミが見えます。これでメスの尾部を掴んで交尾をするのです。どの昆虫でもそうですが、すべてのオスやメスが交尾して子孫を残せるわけではないのです。人間含め哺乳類でもそうですが。

 このカットで分かるように、ハサミは別れていて開閉できます。

 よく見ると、口先の鋭い顎(あご)が出ていて何かをくわえている様にも見えます。

 普段は仕舞われている鋭い顎が出ています。赤茶色の物は捕らえた餌でしょうか。もうひとつはっきりしません。しばらく観察していましたが、咀嚼して飲み込む様子はありません。このまま飛び立っていきました。なんだったのでしょう。モヤモヤします。

 翌日。9時半ごろからオスとメスが一匹ずつ来ました。活性は低く草に止まっています。メスを追うことにしました。午後から雨の予報で湿度は高くなってきました。10時半頃に見限って陣場平に登り帰化植物の除去など保全作業を。正午には、千曲市から「ふるさと」、長野市から「子鹿のバンビ」のメロディが流れます。ハルゼミとエゾハルゼミの鳴くログハウスで昼食後に下山しました。

 動かないので頭と胸のアップ。毛むくじゃらです。トンボの背中とは構造が異なります。昆虫が翅を動かして飛ぶ構造は主に二つあり、トンボの翅は4枚が複雑な動きをしてホバリングや少しなら横移動、後退もできます。筋肉が4枚の翅の基部につながっていて、それぞれを別々に動かせます。これを直接飛翔筋型昆虫といいます。蜂のように、筋肉が翅ではなく外骨格につながっていて、筋肉を交互に収縮させて、外骨格全体を変形させて飛ぶのを間接飛翔筋型昆虫といいます。外骨格の反動を使うので1秒間に1000回以上の羽ばたきができるのです。

 複眼は二段になっていてその先のものにはダビデの星の様な模様が見えます。これはどういうことなのでしょう。画像検索しても、こういう画像はなかったので非常に不思議です。オオムラサキなどだと偽瞳孔という瞳に見える黒い点があるのですが、これはそれとも違います。これはマクロレンズで5センチぐらいまで近づいて撮影しています。ここまでアップにして初めて気づきました。なんじゃこりゃ。

 つぶさない様に気をつけて掴んで、口元を撮影しました。鋭い顎が見えます。足先の二つの鋭い爪も見えます。撮影を終えてすぐに草の茎に戻しました。危険を察知して飛び去るかなと思ったら、そのまま草にしがみついていました。以外に人に対する警戒心が薄いので驚きました。

 最後に止まったオスを撮影しました。オスはメスより一回り小さいのが特徴で、人気にはメスより敏感な様です。近づくとすぐに逃げます。午後1時ごろになると、何匹ものキバネツノトンボが現れ舞い始めました。午後から激しい雷雨になる予報なので私は帰りましたが、彼らの行動基準がよく分かりません。日向が好きで、草原でも日が当たる横20m、幅6m、縦4mぐらいの間で群舞しています。環境が変わればこのラブゾーンも変わるのでしょうけれど。
 実はずっとこの撮影をしているわけではないのです。いなくなったり、活動が活発すぎて撮影が不可能になったり。陣場平の里山保全作業もしないといけないので。そして、ほかの昆虫たちも色々出始めました。それは、次の記事でまとめて掲載します。発見すら困難なミナミヒメヒラタアブも。ゼフィルスも出始めました。里山の昆虫天国はこれからです。

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希少なキバネツノトンボの乱舞と飛翔交尾を目撃。ハリエンジュにウスバシロチョウ。貝母の今(妻女山里山通信)

2022-05-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山山系のある場所で、希少なキバネツノトンボ(黄翅角蜻蛉)に遭遇しました。トンボといいますが、実はアミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科ツノトンボ亜科の昆虫。大きな目のその愛くるしい姿は、一度見たら忘れられません。16都道府県でレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されている昆虫ですが、長野県ではあちこちに生息地がある様です。それだけ信州は自然環境がいいということなのでしょう。

 大きな目と触角の先の玉、黄色い翅が印象的です。この個体は、この直前に飛翔交尾をしていました。交尾を終えて休息しているところなのでしょう。しばらくして飛び立って行きました。ツイッターで情報を頂いたのですが、空中で交尾を中止したということは、交尾は完全にはできなかった可能性があるということです。実際は草に止まって交尾を完遂するそうですから。このメスはまだ未熟と判断されたのでしょうか。未熟なメスがオスを拒絶した可能性もあるとか。オオムラサキでも追いすがるメスをオスが足蹴にしているのを見たことがあります。恋の成就はなかなか難しいのですね。

 これと次のカットは、2013年5月22日に撮影したものです。そうなんです、なんと9年ぶりの邂逅なのです。もしかしたらこれまでも遭遇していたのかもしれませんが、なにせ小さいし飛翔も速いので気が付かなかったのかもしれません。それにしても可愛い。飛びながら小さな虫を捕らえて食べます。

 実物はまだ見たことがないのですが、幼虫は体が棘だらけで鋭く大きな顎を持っています。幼虫を見ると、ああアリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)の仲間だなと分かります。卵はイネ科の植物に産み付けられますが、若齢幼虫はそこで集団を作ります。

 陣場平へ保全活動のために登る前に、妻女山松代招魂社へ寄りました。ニガナとハルジオンが咲いています。

 ニガナ(苦菜)キク科の多年草。花びらのようなもの1枚1枚が舌状花と呼ばれる1つの花です。ロゼットで越冬します。本当に苦く、生薬名を黄瓜菜(オウカサイ)といい、健胃、消炎、消化不良、食欲増進、副鼻孔炎への効能があります。なお、沖縄料理で野菜として利用する「ニガナ(ンジャナ)」はホソバワダンという別種です。

 ハリエンジュ(針槐)が咲き始めました。北米原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木で、ニセアカシアともいいます。千曲川河川敷にもたくさんあります。花は蜜が豊富で蜜源として有用です。葉、果実、樹皮は有毒で、棘が刺さると腫れてしびれが出るそうです。刺さったら抜いてステロイド軟膏を塗るといいそうです。何度か千曲川河川敷で伐採をしましたが、堅木で薪としてはいいのですが、棘があるので大変でした。花は無毒で、天ぷらなどで食べられます。

 そのハリエンジュにとまるウスバシロチョウ。妻女山山系のあちこちで大量に舞っています。

 あちこちでヒレアザミ(鰭薊・翼薊)が咲き始めました。ウスバシロチョウも吸蜜に訪れます。

 茎にもひれがあることからヒレアザミ。非常に古く入ったといわれる史前帰化植物で、アザミ属ではなくヒレアザミ属です。欧米ではハーブの一種。

 陣場平へ。貝母(編笠百合)は、かなり枯れてきました。有害帰化植物のオオブタクサを100本ぐらい抜きました。数本のハルジオンも。毎年抜いているのですが、必ず出てきます。オオルリとサンコウチョウの鳴き声がします。

 枯れても倒れずに立っているものがほとんどです。梅雨入りして激しい雨が降ると倒れます。

 実がなっているものは、実が熟して枯れ始めるまで緑色です。茎や葉が枯れて黄色くなっても実は緑のままです。近々、遠くに種が飛んでしまった株を掘り起こして中央に植え替える作業を仲間とする予定です。

 最後に妻女山展望台の裏にある四阿へ。手前に茶臼山、右奥に虫倉山。北アルプスは薄っすらと見えます。畑では、野菜の苗の植え付け作業が始まっています。ただ、土手中(堤防の手前)にも耕作放棄地が増えてきました。土手外(千曲川河川敷)は、耕作放棄地だらけです。昔は、自民党の議員も農漁村の子供が多かったのです。今は、親の七光りの世襲議員や馬鹿なタレント議員がはびこり、食料は金で海外から安いものを買えばいいという議員だらけになった結果が、第一次産業の衰退につながりました。しかし、ウクライナ戦争で、食料を海外に依存している危うさが顕になりました。政治に対する長年の無関心の結果です。GDPも世界24位。年収でも米国の半分、韓国にすら抜かれ、すでに先進国ではありません。円安誘導のアベノミクスは完全に失敗しました。このまま国民が覚醒しないと日本は確実に滅びます。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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皐月の妖精ヒメギフチョウを求めて聖山に登ったのですが…。ヤマシャクヤク(妻女山里山通信)

2022-05-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 結論から言うと出会えませんでした。遅かったかな。ここのところ梅雨のはしりで天気が悪く、遅くなってしまったのです。GW明けの晴れの日に行けばよかった様です。それでも色々な初夏の生物に出会えました。拙書でも紹介の、三和峠からのコースです。登るだけなら1時間もあれば山頂ですが、ヒメギフチョウを探すために、ゆっくりと時間をかけました。

 今回最も感動したのが、このヤマシャクヤク(山芍薬)でした。聖山は何度も登っていますが、ヤマシャクヤクを見たのは初めてでした。まだ開ききっていませんが、清楚で美しい。周りを見ましたがこのひと株だけでした。ヤマシャクヤクは、ボタン科ボタン属の多年草。絶滅危惧種のひとつで、信州では危惧種です。昔、山梨県のある山の人が行かない谷で群生地を見つけましたが、なかなか群生地にはお目にかかれないと思います。貴重です。

(左)チゴユリ(稚児百合)ユリ科。薄暗い針葉樹林の林下に群生します。俯いて咲く可憐な小花。(右)エンレイソウ(延齢草)ユリ科。もう結実していました。

 最初の急登をこなすと、山頂直下までは尾根の散歩道。白樺も散見されます。鳥はウグイスとシジュウカラの鳴き声。

(左)ムラサキケマン(紫華鬘)ケシ科。ケマンというのは仏具だそうですが、日本の草花は仏具から取った名前を持つものがあります。本来は糸で結んだ花環のことだそうです。アリ散布植物です。(右)聖山に非常に多いツタウルシ。触ったら酷くかぶれます。そのため今回は手袋をして登りました。

(左)ハウチワカエデ(羽団扇楓)の花が咲いていました。小さなハエの仲間が吸蜜中。(右)クサボケも咲いていました。

(左)聖峠付近で見られたヤマブキ(山吹)。(右)クリンユキフデ (九輪雪筆)の残花。タデ科イブキトラノオ属の多年草。

(左)クルマバソウ(車葉草)アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属の多年草。小さな群生地がありました。(右)タチツボスミレ(立坪菫)はあちこちに咲いています。

(左)ミヤマエンレイソウ(深山延齢草・シロバナエンレイソウ)。(右)ウスバサイシン(薄葉細辛)。ウマノスズクサ科カンアオイ属に分類される多年草。ヒメギフチョウの食草です。生薬名は細辛で、めまい、冷え性、便秘などに。

(左)ミヤマセセリの日向ぼっこ。(右)猛毒のヤマトリカブト。

 コケリンドウ(苔竜胆)リンドウ科。ハルリンドウやフデリンドウと比べるとひとまわりもふたまわりも小さい。高さ2センチあるかないかです。

(左)この大ブナが見えたら山頂はすぐそこ。(右)聖山山頂。少し早いお昼にします。独り占め。

 山頂から南峰の眺め。左に大林山。中央に四阿屋山。間に修那羅峠と向こうに子檀嶺岳。更に向こうに独鈷山。四阿屋山のずっと向こうには美ヶ原。右には、古い善光寺街道(北国西街道)が越えていた立峠があります。江戸時代には、立峠の石畳を通って多くの信者たちが善光寺へ参詣に行きました。眼下は麻績村。

 山頂から北西に下っての展望。北アルプスの仁科三山。左から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳。

 白馬三山。まだまだ雪は多い。

(左)タカトウダイ(高燈台)トウダイグサ科トウダイグサ属。トウダイグサ科は、約300属7500種以上を含む大きな科です。(右)モミジイチゴ(紅葉苺)。梅雨明け頃に実るオレンジ色の木苺は美味です。

 オオカメノキ(ムシカリ)の残花。スイカズラ科ガマズミ属の落葉小高木。

 眼下の麻績村の風景。山頂から下ってすぐ。撮影中に20mは無い下から大きな足音。間違いなくツキノワグマです。木の枝を打ち鳴らして大きな音を出し、大声でクマを追い払いました。

(左)マムシグサ(蝮草)のつぼみ。(右)多孔菌科のキコブタケの仲間でしょうか。

 ウワミズザクラ(上溝桜)は、バラ科ウワミズザクラ属。落葉高木。別名は、花が強い杏仁に似た香りがあるため杏仁子(あんにんご)といい、実は食べられます。果実酒にも。総状花序の下に葉がつきます。上溝とは、亀甲占いのために上溝桜に溝を掘って燃やし、亀甲のひび割れで占ったため上溝桜が転訛してウワミズザクラになったということです。

 拙書でも紹介の三峯山と聖湖。聖湖は、へらぶな釣りのメッカです。

 403号の姨捨サービスエリア上の千曲川展望台から。千曲川の向こうに五一山脈。その向こうに、私のホームグラウンドの妻女山から斎場山、天城山、鞍骨山から鏡台山まで続く戸神山脈。

 更に右へ、手前に五一山脈。その向こうに、鏡台山。左奥に根子岳と四阿山(あずまやさん)。眼下には田植えを待つ姨捨の棚田が。

 聖高原は山菜やキノコの採種が禁止なので、帰りに禁止ではないとある山に寄りました。少しのコシアブラとウドをゲット。コシアブラは大きなものは天ぷらに、小さなものはコシアブラ飯に。ウドも太いところは自家製味噌をつけてまるかじり、先を天ぷらに。大満足です。

花の聖山へ。北アルプス含め360度の大展望が魅力。ヒメギフチョウとの邂逅(妻女山里山通信):ヒメギフチョウの写真はこちらで。山座同定もこちらで。

春に似合うアルバム。私の一推しはこれ。『April in Paris』:村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルまたはスラップスティック 「木の芽時の乗り越え方。」私のもうひとつのブログ。その一節から…
               ◆
 春は新生活が始まり希望の季節だが、同時に精神が不安定になり易い。寒暖の差が激しく自律神経が乱れるからだ。春眠暁を覚えずとか5月病とかいうが、気候変動の激しい春から初夏にかけては、体だけでなく心も疲れるものだ。その上、日本では春に新学期や入社、転居などを迎えるため、余計に精神のバランスを崩しやすい。そういう知識を持って、臨むといい。昔の人は、それを知っていて、「木の芽時」といって備えたものだ。そういう季節なんだと思えば、心も体も少しは軽くなる。肉や炭水化物の量を減らし、野菜や発酵食品を多めに摂る。砂糖や乳製品もできるだけ控えた方がいい。心も体もデトックスが必要な季節。蕗などの苦い山菜や抗酸化作用のつよいコシアブラなどの山菜やノビルやヨモギなどの野草を食べるのもいい。それが野生動物や先人の知恵だ。もちろん放射能汚 染されていないものを。
               ◆
 春は恋の季節でもあるが、そもそも恋というのは、精神のホルモンバランスが崩れること。快楽を司るドーパミンの大量分泌が恋愛を支配する。しかし、支配するのは恋愛だけではない。想像力や創造力も喚起する。脳は訓練次第で、経験からやりがいという報酬を得てドーパミンを放出し、それを糧とすることができることが既に分かっている。自然界はうまく出来ていると思うべきだろう。按ずるべからず。恋せよ乙女。あっ、熟年熟女もね。私もです。精進しましょう。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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妻女山は貝母だけではないのです。雨上がりには粘菌が出現。かの南方熊楠が夢中になり、中国の歴代皇帝が求めた不老不死の薬?(妻女山里山通信)

2022-05-13 | アウトドア・ネイチャーフォト
 たくさんの人が訪れてくれた妻女山陣場平の貝母は散りましたが、ヤマツツジ、ガマズミ、ホタルカズラ、ギンランが咲き、ウスバシロチョウが舞っています。サンコウチョウやオオルリの鳴き声も聞こえます。まもなくカッコウやブッポウソウの鳴き声も聞こえ、何種類ものゼフィルスも舞い始めるでしょう。そして、それ以外にもほとんどの人が知らない生物が現れるのです。それは粘菌(変形菌)。
 拙書でも『怪しくも美しい「粘菌」も宇宙船地球号の乗組員』というエッセイを載せています。粘菌は、動物のように体を変形させて移動したり大きくなりながら、キノコのように胞子を飛ばして増える不思議な生物。しかも、脳も神経もないのに迷路を抜けられる。北大の中垣教授のチームがイグノーベル賞を受賞したのは有名です。そして粘菌といえば、やはり南方熊楠。そんなことをエッセイでは詳しく面白可笑しく書いています。
 以前、国立科学博物館で粘菌展の時にモジホコリをいただいて、「もじ太郎」と命名して育てたことがありました。餌は、それしか食べないというクウェーカーのオートミールでした。私は仕事で忙しく、粘菌課長に任命した長男も勉強で忙しく、目を離した空きに、結局胞子となって雲散霧消しました。

 キフシススホコリ。モジホコリ科ススホコリ属。子実体形成は、雨上がりの夕方から始まり深夜に終了。明け方の太陽を待って乾燥させ、胞子を飛ばします。原形質流動は1秒に1ミリ、一進一退を繰り返し、波打つように成長します。三歩進んで二歩下がるような感じです。変形菌の餌はというと、植物の遺骸を腐らせるカビとかバクテリア、微小藻類や原生動物など。細胞膜がむき出しの状態で、どこでも口になり胃になって消化します。

 マツノスミホコリ。 ムラサキホコリ科 ススホコリ属。赤松の丸太に発生。ヤマザクラの花びらが。胞子は真っ黒な粉状で、触ると指が真っ黒になります。粘菌に毒性は無いようですが、キノコの胞子を大量に吸い込むと危険な様に、粘菌も胞子を大量に吸い込むと危険です。なお食べてもおそらく無害です。経験ではたいてい木の味がします。中国では古代に太歳(たいさい)といって食用にしたとか。歴代の皇帝が、不老不死の薬として探させたとか。徐福伝説も、失われたユダヤ民族の一部族が、秦の始皇帝に太歳を探すことを口実にして来日し、3000人ともいわれる村人全員が帰らずそれが大和王権の元になったとか。「粘菌 太歳」で検索するととんでもない画像が出てきます。近年、中国で発見されて大騒ぎになりました。

【信州の里山】妻女山の変形菌(粘菌)その1 Japanese Myxomycetes vol.1

 妻女山を中心に、茶臼山や鏡台山などで撮影しています。以下の3つのBGMは、大好きなエリック・サティ(866-1925)です。彼はフランスを代表する作曲家です。音楽会の異端児などといわれましたが、現在は西洋音楽の革新者と評されています。
アリス= 紗良・オット。これを観て好きになれなかったら、あなたは病院へ行ったほうが良い。心がすさみがちな今こそ彼女のピアノを(妻女山里山通信):3つ目の動画のアンコールで、エリック・サティを弾いています。本当に感動的な癒やされる野外コンサートです。素晴らしい!こういうコンサートが日本でもできないものでしょうか。サイトウ・キネンも一日だけでも野外で行うとか。

◆Alice Sara Ott and Others (Playing and Practicing)

 なんで突然アリス= 紗良・オットの練習風景なのと。いや、これ最高なんです。面白すぎて、激しくて真剣で楽しすぎて。見ないと損します。クラシックは難しくて?それは誤解です。これを観れば分かります。私にクラシックの素晴らしさを教えてくれたのは、若い頃恋人だった英国王立音楽大学に留学したピアニストでした。左のブックマークの国分寺・国立70sグラフィティの記事に、ロンドン遊学の記事があります。彼女とは別れましたが、本当に才能ある美しい人でした。

【信州の里山】妻女山の変形菌(粘菌)その2 Japanese Myxomycetes vol.2


【日本の里山】森の変形菌(粘菌)Japanese Myxomycetes

 山梨県小菅村の大菩薩峠へ続く、牛ノ寝通りの大マテイ山周辺の変形菌です。粘菌を食べに来たてんとう虫の幼虫の貴重な画像も見られます。

【甲州の里山】大マテイ山・粘菌ハンティング Myxomycetes Hunting at Mt.Ohmatei

 大マテイ山の続編。家族で粘菌ハンティングに登った可笑しなトレッキング。BGMは、世界的なジャズピアニスト、オスカー・ピーターソンのサマータイムとオーバー・ザ・レインボーのアルバムから。

粘菌(変形菌)図鑑。妖しく奇妙で美麗なマクロの世界。ツノホコリ、キフシススホコリ、マメホコリ、クダホコリetc(妻女山里山通信):中垣教授「単細胞だから単純などというのは、とんでもない誤解です。粘菌が持っている脳も神経も使わない情報処理システムは、原理的にすべての生物が持っている基本的な土台です。その意味で、あらゆる生物は知的である。これが単細胞生物の物理エソロジーに挑戦する、私の基本的な理解です」

MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery変形菌(粘菌)Jpanese myxomycetes の図鑑ページです。粘菌のバリエーションの多さとそのカラフルさに驚くと思います。

 これ以外の動画やスライドショーは、YouTubeのsaijouzanのサイトでご覧ください。トレッキングや自然、歴史など、海外からのアクセスもあり、再生回数27万回のものもあります。信州の自然や歴史が満載です。


 初夏の山菜料理二品。まず「ウド飯」。採れたてのウドを使います。ご飯を炊いて生のウドを輪切りにして塩をまぶし、炊きたての御飯に乗せて蒸らすだけ。採れたてが肝。タラの芽やコシアブラの葉が開いていない新芽でもできます。もう馬鹿旨です。ただ、アク抜きが必要なワラビやフキではできません。
 右は山蕗の「伽羅蕗(きゃらぶき)」。伽羅とは古代のインド語で、香木の一種の黒沈香のこと。サンスクリット語のカーラーグルが語源。里蕗は太く水分が多いので、山蕗でないと作れません。私は体に悪い白砂糖や三温糖を使わないので、奄美大島産サトウキビ100%のキビ糖と、友人手作りの醤油と焼酎だけで作ります。山椒の実がまだ無いので若葉を使いました。非常に奥深い佃煮に仕上がりました。山椒の実がなったら、縮緬山椒を作ります。里山の恵みです。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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氷河期の生き残りウスバシロチョウ舞う陣場平。貝母の実はスクスク。シナノタンポポ咲く古墳に倒れる大杉(妻女山里山通信)

2022-05-12 | アウトドア・ネイチャーフォト
 梅雨のはしりの曇り空。時々日もさします。枯れて実がなり始めた貝母(編笠百合)の状況を見るために妻女山の陣場平へ登りました。途中で鞍骨山へ向かう夫婦と邂逅。ツキノワグマが淡竹の筍を食べに下りてくる時期なので注意してくださいとアドバイス。

 陣場平では、ウスバシロチョウ(薄羽白蝶)が舞い始めました。これからどんどん増えていきます。シロチョウといいますが、シロチョウ科ではなくアゲハチョウ科です。ウスバアゲハといった方がいいかも。ウスバシロチョウ属は,ユーラシア大陸や北アメリカに広く分布する寒冷な気候に適応した蝶で、氷河期の生き残りといわれます。まだ吸蜜できる花が少ないのが可愛そう。

 貝母の群生地がある陣場平は、第四次川中島合戦の際に、上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる平地です。周りの雑木林を切り払うとかなり広い場所で、海津城も間近に見えて本陣としては最適な場所だったのでしょう。

 貝母はかなり枯れて黄色くなってきました。山蕗も大きくなって採り時です。サンコウチョウとオオルリの鳴き声がします。

 貝母の実。これは一番大きなもので、直径が15ミリぐらいあります。その向こうに見える実は5ミリぐらい。作年ほどではありませんが、たくさん実がなっています。

 妻女山山系のあちこちでギンラン(銀襴)が咲き始めました。これはまだ蕾。ラン科キンラン属で、特殊な菌根菌と共生関係にあるため、移植しても繁殖できません。環境省の絶滅危惧II類(VU)で、長野県では準絶滅危惧種に指定されています。

 蕾に見えますが、これで満開の状態です。妻女山山系には各地に見られますが、大きな群生地はありません。気をつけて探さないと見つけられないでしょう。

 ホタルカズラ(蛍葛)。ムラサキ科ムラサキ属の多年草。つぼみや咲き始めは赤紫で、開くと青くなります。蛍の光に見立てた名前は素敵です。家族でよく登った神奈川県の生藤山を代表する花です。

 満開のツツジを見ようと堂平大塚古墳へ行ってビックリ。古墳に大杉が倒れていました。鞍骨山に登った8日(日)は、強い北風が吹いていたので倒れたのでしょう。古墳は大丈夫の様です。

 古墳を越えてアプローチの道まで覆いかぶさっています。折れた太い枝を何本も片付けました。これの伐採は困難です。グラップルで先の方を掴んで切らないと跳ねます。ダウンバーストでもあったのでしょうか。

 日陰のリュウキュウツツジ(琉球躑躅)も咲きました。

 レンゲツツジ(蓮華躑躅)は、しぼんだのもありますが、まだ見頃です。長野県には、湯の丸高原をはじめ群生地が各地にあります。見頃は6月中旬からです。レンゲツツジは、花、蜜、葉に毒があります。嘔吐、痙攣、麻痺、呼吸困難などの症状を起こす神経毒で大変危険です。 この蜜を吸った蜂のハチミツでの中毒例もあります。致死量は体重1kgあたり0.3mgで、なんと青酸カリの約15倍の強さ。吸うのはもちろん庭木では絶対に植えてはいけません。

 ウスバシロチョウは、交尾するとオスがメスにスフラギス(交尾後付属物)を付けます。交尾をしたメスが、他のオスと交尾できないようにする貞操帯の様なものです。このブログでは、何度かスフラギスの写真を載せています。ブログ内検索で探してください。今年も撮れるかもしれません。

 長坂峠のシナノタンポポ(信濃蒲公英)。シナノタンポポは、在来種カントウタンポポの亜種で、ともに染色体数が2倍体なので受粉しないと種子ができません。外見上は、写真のように総苞片全体の大きさが太く、外総苞片と内総苞片の先端の小角突起とが全く無く、緑色した外総苞片と内総苞片の色の濃さが薄いなどの特徴があります。昔、レイ・ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』を読んだ時にどんな味のお酒なんだろうと思いました。

 妻女山の林道倉科坂線を少し入ったところから松代方面。左手前は桐の花。岩沢登山口からは、尼厳山、奇妙山への登山道があり、拙書でも載せています。両山とも山城の遺構があります。

 妻女山のあちこちにある広葉樹。実はこの木の正確な種名が分かりません。色々調べているのですが。かなり長い花穂が特徴的なので、すぐに分かると思ったのですが。図鑑でも全く同じものが出てきません。強いて言えばサワグルミ(沢胡桃)が一番近いのですが。沢胡桃の実は小さすぎて食用になりません。この木なんの木気になる木。
 どうやら、サワグルミで間違いない様です。

 戊辰戦争以降の戦没者を祀る「妻女山松代招魂社」。戊辰戦争の後で、松代藩が建立したもので、本殿の後に戊辰戦争での戦没者の石碑があります。以前このブログで、その名簿を載せたことがあります。妻女山展望台で、訪れた三組ほどの方に案内をしたのですが、設置してある絵図があまりにも酷くて実際の風景と全く照らし合わせができないと不評でした。しかも位置が間違っているのです。以前も何人もの人に苦情を言われました。現在の技術なら、実際の地形図から三次元に展開して作成できるはずです。看板屋に丸投げした長野市のあまりに杜撰な仕事ぶりには呆れます。壊れた床板や階段も修理されていません。多くの観光客や歴史マニアが訪れるのでなんとかして欲しいものです。

 仲間と栽培した黒大豆で作ったハンバーグ。黒大豆を電気圧力鍋で茹でてから半分ぐらい潰します。信州ではこれを半殺しといいます。別に自家製切り干し大根、ヒジキ、ニンジン、長ネギ、自家栽培椎茸を炒めて、創味のシャンタンと牡蠣ソースで味付け。これを黒大豆に合わせ、信州麹味噌、片栗粉、パン粉、全卵、干し小エビを入れて混ぜます。やや多めの油で揚げ焼きしたら出来上がり。余った分は、翌日に幻の小麦粉いがちくオレゴン5とゆめちから1をブレンドして手打ちうどんに。小松菜を入れていただきました。ソイミートは市販もされていますが、大豆や黒大豆があれば簡単に作れます。冷凍もできるので便利です。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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清野氏の鞍骨城跡のある鞍骨山へ。登山道整備をしながら登るGWの最終日◆その1(妻女山里山通信)

2022-05-09 | 歴史・地理・雑学

 陣場平の貝母は散り実がなっています。5月下旬には直径2センチぐらいになり、6月に入ると枯れた実から種を飛ばし始めます。保全作業も一段落したので、久しぶりに鞍骨山(鞍骨城跡)へ登りました。5組ぐらいのハイカーと出会いました。何組かは拙書の読者でした。コースの整備も兼ねているので、剪定ばさみとのこぎりを携帯します。その1と2に分けて掲載します。

 林道から左へ天城山(てしろやま)への登山道を登ります。新緑の緑にヤマツツジの赤が映えます。その昔、松枯れ病の薬剤を入れた青いプラスチックのタンクがあちこちの枝に差してあるので帰りに全部回収します。プラゴミですし、猛毒の薬剤が残っている可能性もあります。最終的に20個ほど回収しましたが、前回は25個ほど。それ以前にも何度も回収しているのですが、どんどん出てくるのです。もう公害レベルです。当時の長野県の対応がいかに杜撰だったかが分かります。ベトナム戦争の枯葉剤を製品化したモンサントのラウンドアップや草退治などは絶対に使ってはいけません。欧米では製造使用禁止が広がっています。「ネオニコチノイド系農薬一覧」や「グリホサート剤」で検索を。このブログでも特集記事を何本も載せています。ネオニコチノイドでブログ内検索してください。あなたとあなたの愛する人達を守るために。
ネオニコチノイド系農薬一覧:主成分は、ベトナム戦争でベトちゃんドクちゃんを生み出した枯葉剤です。こんなものを除草や殺虫剤として使ったらどうなるか猿でも分かる。それが今の日本の現状です。

 直登すると5分ほどで天城山山頂(694.6m)。坂山古墳があります。鞍骨山へは左の巻道をたどります。登山道のヤマガシュウを何十本と切っています。根本を切るので、そのたびにしゃがんだり立ったりで疲れます。

 陣場平から1時間で二本松峠。登るだけならこんなにかかりません。右へ倉科へ下る清野坂。ひだりへ清野へ下る倉科坂。倉科の人が清野へ行くために登った坂なので、倉科側が清野坂なのです。鏡台山までは鞍骨山、御姫山、大嵐山(杉山)を経て6キロです。

 二本松峠から鞍骨山までは850m。

 道は尾根の南側をたどります。この時期は、鏡台山から親子連れの月の輪熊が山際にある淡竹の筍を食べに来ます。ホイッスルと熊鈴を必ず携行してください。見通しの悪いところではホイッスルを鳴らして。

 やがて駒止といわれる深い堀切が現れます。

 更に進むと、妻女山展望台からも見える高圧線の鉄塔をくぐります。2009年にこのコースを整備した時は、エビガライチゴとヤマガシュウで塞がれていました。毎年3月上旬に伐採を続けました。千曲市の緑を守る会や標識を立てている倉科のMさんなどが整備をしてくれて、やっとまともな登山コースになりました。

 鉄塔のすぐ向こうに二条の堀切。今回もバラをたくさん切りました。普通のハイカーは剪定バサミは持っていないので、バラで塞がれたら引き返すしかないですから、整備は必要です。

 堀切を超えると城内で、両側に特に南側に顕著な削平地があります。尾根の上には猛毒のヤマトリカブトの群生地があります。山菜の似ているニリンソウの群生地と混じっているので、要注意です。間違えたら命も危ないです。

 100mほど進んでいよいよ鞍骨城本郭へ登ります。2016年にトラロープとかまぼこ板の矢印をつけました。左から回り込んで上へ。

 かなり崩れた石の道を登ります。写真の上部で分かる様に、ここにはもっとちゃんとした石積みがあったのかも知れません。長野市や千曲市は、この山城の保存をどう考えているのでしょう。坂城町の葛尾城跡は、木道や木の階段を設置して保護しています。

 登ると大ケヤキのあるかなり広い郭(くるわ)。ここで向こう側(南面)へ回り込みます。

 見上げるとずっと上に本郭の石積みが小さく見えます。

 南面の細い道を登っていきます。滑落に注意が必要です。山城の雰囲気がたっぷり伝わってきます。

 凹みのある南面の郭。向こう側に回り込んでつづら折りで虎口へ。かなり狭い道なので慎重に。

 本郭下の狭い郭。

 本郭直下の石積み。善光寺地震や松代群発地震を乗り越えてきた石積みです。

 南面の虎口から見る本郭。
清野氏と戦国時代:清野氏が信濃国の記録に残されているのは、室町時代に入ってからで、十五世紀の半ば永享の乱の前後から十六世紀の終り、上杉景勝が豊臣秀吉の命により、越後から会津に移るまでの百五十年余りの間と思われる。清野氏の歴史。
小春日和の週末は、鞍骨城跡のある鞍骨山へ登山道整備しながらトレッキング(妻女山里山通信)

 ◆鞍骨山その2へ続きます。↓

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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清野氏の鞍骨城跡のある鞍骨山へ。登山道整備をしながら登るGWの最終日◆その2(妻女山里山通信)

2022-05-09 | 歴史・地理・雑学
 鞍骨山その1からの続きです。

 本郭からの松代城の眺め。中央の梢の間から松代城が見えます。展望を得るには、落葉期の12月から4月上旬がおすすめです。上信越自動車道の上に金井山城跡。その奥にエム・ウェーブが見えます。

 鞍骨城跡本郭。標高798mの鞍骨山山頂。鞍骨城は、旧埴科郡の山城の中で最大。本郭は、西辺20m、南辺17m、北辺9.7mの不整方形。西方に脇郭と副郭、さらにその西に大郭と狭長な郭があり、堀切を隔てて平坦部が続きます。本郭の北東には土塁があり、外側は石積みになっています。南面に比べて北面は険しく傾斜が急です。このため南面が大手とされたようです。この城は、清野氏の要害であったことは間違いありませんが、永正年中(1504-1520)清野山城守勝照の築城説については明証がありません。

 清野村誌によると、「村の北の方、字中沖にあり。往古本村領主清野氏数代之に居す。年月不詳。清野某海津に移り、該地に倉庫を建つ。此時より禽の倉屋敷と称す(現在の松代城の場所)。天文、弘治中、清野山城守武田氏に敗られ、越後に逃走するに及び武田氏の有となり、天正十年三月武田勝頼滅び、織田信長の臣森長可の有となり、六月信長弑せされ長可西上するに至り、七月上杉景勝の所有となり、某幕下清野左衛門尉宗頼、該地に移り居住すと言う。管窺武鑑に七月四郡(埴科・更級・水内・高井)上杉景勝の有となり、清野左衛門尉を、猿ケ馬場の隣地、竜王城に移とあり。一時此処に居せしか不詳。後真田氏領分の時に至り寛永中焼亡す。後真田氏の臣高久某此域に居住し、邸地に天満宮を観請す。弘化二乙己四月村民清野氏の碑を建つ。」と記されています。

 信濃の小領主であった清野氏は、村上義清の配下でしたが、天文22年(1553)8月、村上義清が上杉謙信を頼り逃れると、清野氏は、道寿軒と長子清秀が上杉方に、次子信清(清寿軒)は武田方にと、親子兄弟敵味方に分かれて戦いました。どちらが勝っても一族が生き延びるという苦肉の策。その後、武田が滅びると上杉の会津移封に伴って清野を去ったのです。信濃の小領主たちは、甲越どちらかにつくか、親子兄弟別れるかして、いずれにしても信州先方衆として真っ先に戦わなければならなかったのです。

 武田氏滅亡後、鞍骨城は『景勝一代略記』によると、 1582(天正10年)7月に上杉景勝が「清野鞍掛山の麓、赤坂(現妻女山)と云所に御馬を立てられ…、鞍掛山へ御上がり云々」との記録があり、景勝と北条氏政が川中島四郡支配を争った際に、上杉方がこの一帯に陣取った様子が記されています。そういう経緯から、今の鞍骨城は、景勝時代の姿ではないかともいわれています。そんな城跡を500年前の石垣かと思って触れると、色々な事を思います。なぜ人は戦ばかりするのだろうとか…。いずれにせよ山城マニア、戦国マニア必見の山城です。

 本郭から土塁を越えて下ると小さな郭があります。本郭では、鋭い棘のあるノイバラやヤマガシュウをたくさん切りました。

 そこから20mほど痩せ尾根を進むと二箇所展望岩があります。まず西側の展望岩。岩場にはネズミサシの木があるので葉に触れると痛いです。

 西展望岩からの眺め。標高800m近いので、新潟焼山の山頂が見えます。

 少し先に東側の展望岩。北風が強いので木の葉が激しくなびいています。

 東展望岩から戸隠西岳を望む。

 その右に戸隠富士と呼ばれる高妻山(2353m)。

 左には白馬三山が。白馬岳(2932m)の大きな山容が印象的。

 正面には御開帳で賑わう善光寺。右手前には武田信玄が本陣としたと伝わる八幡原(はちまんぱら)。

 陣場平ではすでに散ってしまったズミが満開でした。

 林床に妖しく咲くマムシグサ(蝮草)。サトイモ科テンナンショウ属の多年草。薬草で毒草です。

 鞍骨山から妻女山へ戻る際に気をつけなければいけない天城山(てしろやま)手前の分岐。左へ巻道を行くと倉科将軍塚、鷲尾城跡を経て倉科に下りてしまいます。正面は、天城山を越えて芝山、明聖霊神、唐崎城跡を経て雨宮に下ります。妻女山に戻るには右の巻道を進みます。

 清野古墳のある尾根の西面の樹間から爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳が見えました。

 2時少し前に陣場平に戻りました。山仕事はしていましたが、山登りは使う筋肉が異なるので、久しぶりで脚の筋肉がパンパンになりました。というかバラを切るたびにしゃがんだり立ったりを百回以上したのが原因でしょう。いい運動になりました。北風に吹かれて体が冷えたので温泉へ向かいます。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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27度の炎天下で稲の筋蒔き作業に勤しむGWの週末。妻女山のイカリソウ、ガマズミ、山藤の花(妻女山里山通信)

2022-05-08 | 男の料理・グルメ
 最高気温は27度というのですが、昼に車の温度計を見たら30度でした。やれやれ。米作りの基本は、まず苗作りです。筋蒔き作業をしました。この時期、農家は野菜の苗の植え付けやらで大忙しなのです。その野菜もほとんどF1種になりました。採種ができないハイブリッド。伝統野菜の様な不揃いだけれど旨味や奥深い複雑な味はありません。スーパーに並んでいる野菜は、伝統野菜以外はほとんどが偽物です。その違い知らない人がほとんどでしょう。特に早生種は栄養も半分以下しかありません。長野県は伝統野菜を奨励しています。
信州の伝統野菜

 培養土に殺虫剤を入れてよく混ぜます。使わないのが最善ですが、ネキリムシなどの最小限の対策です。ネオニコチノイド系やグリホサート剤を使うのは以ての外です。畑や庭にラウンドアップなどのベトナム戦争の枯葉剤由来の猛毒の農薬を撒くのは自殺行為です。奇形、癌、脳の発達障害、多動性障害など、ありとあらゆる疾病を引き起こします。欧米ではすでに製造販売が禁止されています。日本政府は国民の命を守るという使命を放棄しています。薬害事件で検索してみてください。サリドマイド. スモン. 薬害エイズ. CJD(薬害ヤコブ病). 接種禍. クロロキン. ソリブジン。そして新型コロナワクチン。自分で調べないと我が身も愛する人も守れません。

 ポットに培養土を入れていきます。作年は124枚でしたが、今年は190枚弱と増えました。米は縄文時代後期から日本人の生命を支える要でした。

 ポットに籾を入れて覆土をかける機械です。できたものをトラックに積み込みます。

 苗床に運んで、まずまず根切シートを敷きます。その上にポットの種籾を並べていきます。腰に負担のかかる作業です。

 保湿、遮光のラブシートを被せます。これをピンで止めていきます。暑いです。安全で美味しい米ができますように。

 アーチを作り、寒冷紗をかぶせてクリップで止めていきます。これで作業はほぼ完了です。学習能力がある様で、毎年作業が手際良くなっています。作年より60枚増えたのに、作年とほぼ同じ時間に終了しました。

 ポンプで用水から水を汲み上げます。タイマーをセットしてあるので、早めの昼食にラーメン大学へ。てんほうと共に信州ローカルのラーメンチェーン店です。

 妻女山ではイカリソウが咲き始めました。漢名はインヨウカク(淫羊霍)といいいますが、その昔、一日に何回も交尾するヤギが、この草を食べていたという故事によります。イカリインという強精強壮成分を含みます。

 ガマズミの花もあちこちで咲き誇っています。作年は作り損なったガマズミ酒を今年は作ろうと思います。山ではオオルリの鳴き声も聞こえます。まもなくカッコウやブッポウソウも鳴くでしょう。陣場平ではウスバシロチョウが舞い始めました。アサギマダラも。

 山藤の花もあちこちで咲き誇っています。陣場平では樹木保護のためにすべて切っていますが、咲く姿は美しい。ただ取り付かれた木はたまったものではありませんが。藤の花の砂糖漬けやジャムに、豆も炒って食用になりますが、マメ科の植物はレクチンの有毒成分を含むので、過食は禁物です。大豆にも含まれています。

 妻女山展望台からの長め、右に飯綱山、左に戸隠富士の高妻山。手前に南長野運動公園。8日は、松本山雅と長野パルセイロの信州ダービーが行われます。熱い熱い戦いが繰り広げられるでしょう。私も昔はサッカー小僧だったので、胸が踊ります。地元のパルセイロを応援しますが、松本山雅も最初は応援していたので頑張って欲しいです。在京時代はFC東京を応援していました。息子たちもサッカークラブに在籍していたので、家族でよく日本代表の試合を観戦しに行きました。信州が、こんなサッカー県になるとは、当時は全く考えられませんでした。両チームともにJ2に、J1に上がり、そこで信州ダービーをしてくれたらというのが私の夢です。そして日本代表に選ばれる選手が出る夢も。

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顔見知りのニホンカモシカの子供と邂逅。ツツジが満開。貝母の移植作業。ミツバツチグリ。アサギマダラ初見(妻女山里山通信)

2022-05-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温が夏日の日、貝母の移植作業や帰化植物の作業にと妻女山の陣場平へ。湿度も低く日陰は快適ですが、日向で作業をすると汗が吹き出します。そんな中で、このところ顔見知りのニホンカモシカの子供と邂逅しました。

 作業を終えて帰ろうかと思ったら、妻女山里山デザイン・プロジェクトで管理している椎茸のホダ木に顔見知りのニホンカモシカの子供がいました。大きさと角の小ささから作年の夏に生まれた子供でしょう。何度も出会っているので私を認識しているみたいです。声をかけながらゆっくりと近づきました。ニホンカモシカは、雄と雌の区別が難しい。おしっこをする場面を見れば分かります。雄は立ったまま脚を少し広げてします。雌はお尻を下げてします。それで分かります。

 しばらく気を引いていたのですが、飽きて帰り始めました。ちょっと待ってと言うと振り返りました。ニホンカモシカは鹿ではなく牛科なので好奇心が強いのです。じつはこの個体のひいおばあさんから追いかけています。この母親はブランカ、その母親はシロ。拙書で鞍骨山のページに冬毛が抜けた日の写真を載せています。その母がマダム。不思議なことに彼女からずっと雄雌の双子を生んでいるのです。ただこの個体が双子かは確認していません。可能性はあります。
 特にマダムは、うちの山に塒(ねぐら)があったので、彼女が双子を生んで育てるまでずっと観察していて顔見知りでした。子供に近づくと走ってきてシュッと鼻息を鳴らして近づかないでと。大丈夫だよ何もしないよと言うと、安心して引き下がったこともありました。マダムと名付けたのは、なにかとても色っぽく風格があったからなのです。シロは夏毛が真っ白で美しいカモシカでした。私のツイッターのアイコンは彼女です。
 ニホンカモシカの子供は、寄ってくることもありますが、絶対に触ったり餌をあげたりしてはいけません。特別天然記念物なので、傷つけたりすると違法行為になります。
 拙書では、「森の哲人」ニホンカモシカの好奇心というエッセイを掲載しています。江戸時代の『遠山奇談』にまつわる話は、ニホンカモシカの本来の生態を推察したなかなか面白い考察になっていると思います。
ニホンカモシカの写真集:マダムやシロも写っています。

 移植作業や帰化植物除去の後で昼は、今は亡き友人で山仲間のKさんのログハウスへ。彼が拾ってきたかもらってきたという神社に咲くツツジが満開です。右に鎮座する勅命と書かれた謎の石碑は、調査してもらう予定です。

 彼が育てたレンゲツツジも満開です。美しい花には毒がある。有毒の植物はかなり多いので覚えておきましょう。

 猛毒なので蜜は絶対に吸ってはいけません。庭木で植えるのもタブーです。

 私が好きなリュウキュウツツジ。白いツツジは珍しい。大輪で清楚で美しいツツジです。300年ぐらい前から栽培されていた園芸品種。琉球といいますが、沖縄とは直接関係なさそうです。平戸ツツジともいいます。

 翌日、最高気温は28度になりました。さすがに半袖です。陣場平の貝母群生地への小道。こんな素敵なワクワクする小道もそうありません。何が待っているでしょう。コゲラのドラミングが響きます。ノスリが低空飛行で飛んでいました。

 氷河期の生き残りといわれるウスバシロチョウが二頭舞っていました。そして、今年初見のアサギマダラが一頭。残念ながらいいカットは撮影できませんでした。なにせ彼らが吸蜜する花がほとんどないのです。わずかにタンポポとミツバツチグリが。しかし、蝶は遠目が効きません。いきあたりばったりなので、なかなか吸蜜する花を見つけられないのです。

 貝母の移植作業は、遠くに散ってしまった株を掘り起こして、中央に植えます。前回は上の葉を切りましたが、今回はそのまま植えてみました。違いを見るためです。貝母はかなり強いので、実がなっているものが成長して種を飛ばせるか確認します。里山保全作業は、梅雨入り前と梅雨明け後に、有害帰化植物の除去作業を中心に行います。

 ミツバツチグリが咲き出しました。キジムシロはまだです。初夏のバラ科の黄色い花は、皆似ていて同定が難しいのです。ミツバツチグリ、キジムシロは、ヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴ、オヘビイチゴ、ツルキンバイなど。特徴があるので、花だけでなく萼や葉などもきちんと見なければなりません。

 ゴヨウアケビの花。実が大きく食用になるミツバアケビはもう少し標高の低いところにあります。

 ホタルカズラも一斉に咲きだしました。つぼみは赤紫で開花すると青色になります。花の直径は10ミリ足らずなので、よく探さないと見逃します。イカリソウも咲き始めました。

 クサノオウも咲き始めました。妻女山の登り口にたくさん咲いています。遠足で子供達が登る頃に咲くので、引率の先生に触らないでと言ったことがあります。それで、子供達に里山の話をしてくださいと言われて、拙書を見せながら色々話したことがあります。

 有害帰化植物のハルザキヤマガラシ。遠目で見ると菜の花に見えます。近年、堤防や野原、里山や高原にまで繁殖している問題の帰化植物です。見たら引き抜いて欲しいです。

 ヤマフジも咲きました。見ると綺麗なんですが、成長して根本が50センチにもなると、大木にも絡みついて枯らしてしまいます。そんなわけで、陣場平のヤマフジは全て除去しています。

 国道403号の妻女山入り口から見る妻女山(赤坂山)。上信越自動車道のトンネルをくぐって舗装路を登ると妻女山展望台と招魂社の奥に駐車場があります。陣場平や天城山(てしろやま)、鞍骨山(鞍骨城跡)には、そこから登ります。陣場平までは30分、天城山までは60分、鞍骨山までは90分が目安です。
 来週あたりから淡竹の筍を目当てに鏡台山から親子連れの熊が出てくるので、熊鈴とホイッスルを必ず用意してください。出会ったときは、悲鳴をあげず、だいじょうぶだからねと言いながら静かに後退りしてください。熊は本来臆病です。背中を向けて逃げたら必ず襲われます。拙書の「猫にマタタビ、月の輪熊に石油」のエッセイに詳しく記しています。

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貝母は実をつけ始め、クマノミズキの樹液は止まり、問題の帰化植物が出始め。山蕗と鰊の煮物(妻女山里山通信)

2022-05-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ここ3年ほど、ゴールデンウィークは観光地へ行ったり遠出はしない様にしています。わざわざ激混みのところへ行くこともないし、新型コロナのリスクもあるので。そんなわけで、近隣の古刹や里山巡りをしています。

 今年は本当にたくさんの方が貝母を観に来てくれました。と言っても皆同じ時間にくるわけでもなく、人数も少なめなので、混雑することもありませんでした。貝母の花は、25日の高温ですべてしぼみました。その後の3度の雨で花びらも散りました。現在は、小さな実が付き始めています。夏日になっても湿度が低いので、日陰は快適です。
 この陣場平は、第四次川中島合戦の時に上杉謙信が七棟の陣小屋を建てて本陣としたと伝わる場所で、『甲陽軍鑑』の編者といわれる小幡景憲がその絵を描いていて東北大学の狩野文庫に収蔵されています。このブログでは許可を得て掲載した記事があります。我が家の祖先は林太郎左衛門といい真田昌幸に使えた50騎の足軽を束ねる武将だったとか。息子は林源次郎寛高といい真田信繁(幸村)の7人の影武者のひとりで大阪夏の陣で討ち死にしたと伝えられています。その後生き残った7人で某所に林村を作ったとか。そのうちのひとり、林采女が真田の松代に移り住み帰農したと伝わっています。この妻女山麓の集落は、そんな激動の戦乱を生き延びた家ばかりなのだろうと思います。川中島には、「七度の飢饉より一度の戦(いくさ)」という言葉が残っています。度重なる飢饉よりもたった一度の戦の方が嫌だという重い言葉です。戦争は絶対悪です。正しい戦争など絶対にありません。

 貝母の花は俯いて咲くので、実も始めは下を向いています。これは直径5ミリぐらいで羽は6枚。

 これは直径10ミリ弱。これぐらいになると上を向きます。成長し、5月下旬には直径20ミリぐらいになります。種は羽の中心部に縦にぎっしりと並んでいます。初めは白ですが、飛び散る頃には黒くなります。さく果といって、ホウセンカのように種は飛び散り、多くの場合その頃吹く東風(こち)に乗って西へ飛びます。

 昨年に続き、今年もたくさん実がなっています。作年の様にたくさん発芽してくれるといいのですが。

 先日の妻女山里山デザイン・プロジェクトでは、遠くに種が飛んでできた株を掘り起こして、中央に20株ほど移植しました。球根を大きくするために、上部は切り落とします。種では開花まで数年かかりますが、球根の場合は翌年に花が咲きます。周囲にはゴヨウアケビの実生がたくさん見られますが、ほとんどは夏を越すことはできません。

 陣場平の中央にあるクマノミズキ。大量に出ていた樹液は、ピタッと出なくなりました。グニュグニュだった樹液は乾いてカピカピになっています。やがて他の樹皮の色と同じ灰色になります。

 開花が遅かった林下の貝母は、まだ花びらが残っています。貝母は下の方から枯れていきます。実のついていないものは早く倒れますが、実が付いているものはずっと立ったままです。

 山蕗も大きくなってきました。帰化植物の除去などの作業の後で、大きめのものを採りました。ソフト鰊と煮物にします。間に白く見える花はヤブジラミ。

 そのヤブジラミ(藪虱)セリ科ヤブジラミ属の越年草。セリ科なので食べられます。果実は古くから蛇床子という漢方薬として皮膚の塗り薬として使われていました。 蛇床子という名は、蛇が食べるから。食べないと思います。実はヌスビトハギ・キンミズヒキなどと同じひっつき虫(バカ)です。キンミズヒキと同様に小さいので服に大量につくと厄介です。
ひっつき虫図鑑

 アカネ(茜)アカネ科アカネ属のつる性多年生植物。根が茜色で草木染めの原料になり、古代から使われました。東京の赤坂は、古くは茜が群生していたことから「茜坂」と呼ばれていたそうです。
「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」 額田王  萬葉集1巻20
「あかねさす 日並べなくに 我が恋は 吉野の川の 霧に立ちつつ」 車持千年 萬葉集6巻916


 これが問題の有害帰化植物のオオブタクサ(大豚草)。北アメリカ原産の帰化植物で、大きくなると高さ4m、茎も4、5センチになります。アレロパシー作用があり、他の植物の成長を阻害します。日本の侵略的外来種ワースト100。根が残ると再生するので、すべて引き抜きます。毎年7月に、メンバーを集めて引き抜き作業をします。

 前回メンバーがノイバラを伐採してくれた長坂峠。これでオオムラサキの食草のエノキが守られるでしょう。

 その左にあるクヌギの幼木。これも非常に重要です。ヤママユガ、オオミズアオ、ウラナミアカシジミ、アカシジミ、ミズイロオナガシジミなどの重要な食樹です。林道整備などで切らないで欲しいのです。色々な幼木は、昆虫の食樹であることも多いので、安易な伐採はしてはいけません。行政も業者もこういうことを学ぶべきです。里山保全には知識と知恵と技術が必要です。一番必要なのは里山愛ですが。
蝶と食餌植物(食草・食樹)

 帰りにソフトニシンを買って山蕗と煮物に。山蕗はアクが出なくなるまで茹でて、茹で汁を捨てて水洗いします。採ってすぐ調理しているのでアクも少なめです。鍋に山蕗とニシンを入れ、干し椎茸、出汁昆布、顆粒出汁、本味醂、醤油で薄味で煮ます。今の山蕗は柔らかいので、10分たらずで仕上がります。冷まして味を含ませます。

 地元出身で横浜在住のUさんから、ヤママユガとウスタビガの繭で作った根付が送られてきました。以前もいただいて、仲間や知人に配ったことがあります。可愛いので非常に人気があります。フクロウの根付は、安曇野の土産物屋で買える様です。フクロウは、昔は誤解から不幸鳥などと言われていましたが、現在では「不苦労」、「福老」という縁起物とされています。

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「真田家御霊屋公開と寺宝展」松代藩二代藩主 真田信政公の御霊屋のある清野の林正寺へ(妻女山里山通信)

2022-05-02 | 歴史・地理・雑学
 このゴールデンウィーク、信州の観光地は賑わっています。長野市も善光寺御開帳で大勢の方が訪れていますが、松代町では真田信之松代入部400年で静かに盛り上がっています。そして、5月8日(日)まで、「真田家御霊屋公開と寺宝展」が行われています。初代藩主真田信之御霊屋のある長国寺は、以前訪れて御霊屋内部の紹介もさせていただいたので、今回は二代藩主真田信政御霊屋のある清野の林正寺を訪れました。

 松代町清野の大村の奥に鎮座する浄土宗眞光山林正寺。後ろには妻女山から続く天城山(てしろやま)と左に清野氏の鞍骨城跡がそびえています。どちらも拙書でルートや歴史を紹介していますが、大河ドラマ『真田丸』のときは全国から大勢の歴史マニアが訪れました。現在も人気の里山です。

 林正寺本堂(長野県宝)。南北朝(1320〜)の頃に、この地に流された右大弁*信廣の菩提を弔うために創建されたと伝えられ、眞光(信廣)の山号があります。(*右大弁とは、律令制で、太政官右弁官局の長。従四位上相当)昭和27(1952)年に、長国寺より御霊屋と表門が移築されました。本堂は万治字三年(1660)に二代藩主真田信政御霊屋として建立されたもの。入母屋、千鳥破風、向拝唐破風屋根で、黒い漆塗りを基調に典型的な桃山様式の極彩色の装飾が施されています。

 木鼻には、貘(ばく)と唐獅子。創建当時にどんな塗りが施されていたかは分かりませんが、極彩色で彩られていたと考えられます。霊廟(御霊屋)は、起源は中国といわれ、王者や偉人の霊を祀る場所・建造物のことです。

 手挟(たばさみ)の木彫。向拝柱の斗栱(ときょう)と垂木(たるき)との間に取り付けられた板のことで、非常に高度な透かし彫りの技法が施されています。わずかに残った塗料から、これも創建当時は極彩色であったのでしょう。

(左)外陣(げじん)の格子天井には、花鳥風月の絵が金箔の下地に描かれています。(右)出組の下には和歌の額。

 欄間には天女の木彫。天女とは仏語で、欲界六天に住む天上界の女性。女性の天人。吉祥天女、弁財天女はその一つ。あまつおとめ。「にょ」は「女」の呉音のことで、古く春秋戦国時代の呉に起源を持つと思われます。滅亡した呉の豪族が日本に移民し、その後の中国への使者が、我らは大伯(呉の始祖)の末裔と述べたと中国の古代の文献にあります。先に渡来した旧石器人と縄文人に、呉と越の帰化、徐福伝説、高句麗の帰化と激動の古代史が今の日本を作ったのです。

 左右の天女像。中央の天女と違って羽があります。鳳凰の化身が中央の天女を守るの図でしょうか。

 須弥壇(しゅみだん)は創建当時のもの。本殿の後に飛び出ている構造です。右は信政公の位牌。

 中央に本尊の阿弥陀如来。右に観世音菩薩、左に勢至菩薩の像。

 内陣の花鳥風月の絵。この特別公開は、長国寺、大英寺、大鋒寺、林正寺、西楽寺の五ケ寺で行われています。お問い合わせは、信州松代観光協会へ。

松代藩の祖 真田信之の御霊屋と墓所のある長国寺へ。真田宝物館へも(妻女山里山通信)

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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陣場平の貝母は散って実がなり始め。妻女山里山デザイン・プロジェクトはノイバラの伐採と貝母の移植作業(妻女山里山通信)

2022-05-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山陣場平の貝母は、25日(月)の最高気温が27度でしぼみ、その後の二度の雨でほぼ散りました。これから実がなって、5月下旬には直径2センチほどの糸巻き状に成長します。

 4月30日(土)。前日にかなり雨が振りました、この翌日に妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業があるので、車で登れるかどうかの確認に歩いて登りました。なんとか登れそうですが、落枝や落石が多く片付けながら登りました。中野から来られた団体さんと邂逅。天城山へ登るというので陣場平を紹介しました。来年はぜひ貝母が満開の時においでくださいと。

 僅かに残っている貝母の花。クルッと丸まった葉先で手をつないでいる様が可愛い。花が散った陣場平は静かかと思ったら、山菜採りのグループや貝母を観に来た人達、鞍骨山へと登る人達と邂逅。天気が良かったのでハイキング日和でした。

 ガマズミとコバノガマズミの花が咲き始めました。秋になる赤い実は、ルビー色のお酒ができます。抗酸化作用があり老化防止にもなります。今年は作るつもりです。

 あちこちでヤマツツジも咲き始めました。ホタルカズラも一輪咲いていました。子供の頃、このツツジの蜜をすいました。しかし、レンゲツツジは猛毒なので絶対に吸ってはいけません。

 翌日、ノイバラの伐採をする長坂峠。向こうに見えるエノキ(榎)にノイバラが絡みつくと、この葉を食草にするオオムラサキの幼虫が登れなくなります。またエノキを枯らしてしまう恐れもあります。そこで伐採します。

 翌日5月1日(日)。妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業です。あいにくの天気ですが、なんとか昼ごろまでもちそうです。草刈り機三台で。残りのメンバーは移植作業へ。

 陣場平のいつも私が駐車している場所の立ち枯れのクヌギを伐倒してもらいました。受け口を作って切っていきます。最後に楔(くさび)を打ち込んで倒しました。

 その後、陣場平で周囲に散ってしまった貝母を掘り起こして、中央に移植します。球根に栄養を与えるため、移植したら上部は切り落とします。これをノイバラ伐採チームが作業を終えて来るまで続けました。ちょうど来た頃に雨が降り始めたのでログハウスへ。

 そぼ降る雨の音を聞きながら昼餉。気温は9度しかありません。寒いです。

 今回は、ホタルイカとコゴミとコシアブラのアンチョビーパスタ。殻付きホタテ焼き、ホッケの焼き物、もつ煮、アマゴの甘露煮、ラッキョウの甘酢漬け、乾き物やチーズなど。ノンアルコールビールで。

 昼食後はお湯を沸かしてコーヒーやカフェオレを。寒いです。掃除をして、ゴミを焼却炉で燃やして下山しました。温泉へ。貝母の移植作業は、帰化植物の除去などと一緒にまた行います。里山は保全作業をしないと維持できません。手がかかります。

 八重桜で作った塩漬け。自家製の柿酢を少し加えます。しっとり感が残る程度に天日干しします。桜茶やぼたもちのトッピング、アンパンのトッピングとか、炊き込みご飯とかにも。

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