モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

オオムラサキは土を食べるのだろうか・・(妻女山里山通信)

2013-06-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 オオムラサキの生態については、飼育している人もたくさんいるし、研究もされているので、たいてい分かっているつもりでいましたが、自然の中で観察していると、通常書かれている事とは違う場面に遭遇したりして驚かされることがあります。求愛の際には、オスが求愛しメスが受け入れると交尾に至ると思われていますが、受け入れたメスをオスが足蹴(実際は翅でたたき落とす)にして別のメスに求愛するという場面に遭遇したことがあります。
 そんな週末にとんでもない場面を見てしまいました。それが最初の写真です。このオスは、神社の礎石の脇の乾き切った地面に口吻を刺し込んで20分以上も何かを吸っていたのです。いったい何を吸っていたのでしょう。粒子の細かな土でしょうか。そんな事はどこにも書かれていません。不思議です。

飛び去った後、その場所をさらって見ましたが、やはりカラカラに乾いた非常に細かい砂だけです。他に何もありません。かなり長い時間吸っていたので間違えて口吻を突き刺したわけではないようです。

ネットで色々調べてみましたが、こんな生態はどこにも載っていませんでした。新発見でしょうか。

 別のオスは、神社の格子戸にしみ込んだ水分を吸っていました。これは分かります。極わずかな水分なので、これも長時間このままの体制で吸い続けていました。見つけた樹液には一発で来るオオムラサキも、水分の場所を見つけるのは苦手な様です。観察していると結構行き当たりばったりで、わざわざ水気のある場所を通り過ぎて、乾燥した土や落ち葉の上で口吻を盛んに突き立てている場面を見ます。樹液に比べて強い匂いがないからでしょうか。

 こちらは湿った地面に口吻を突き刺して吸っています。これが通常見られる光景です。まだ羽化したてなので翅も奇麗です。これが10日も経つと縄張り争いやニホンカナヘビにかじられたりして傷んできます。樹液も出始めたので、今まで一カ所に集まっていたオス達も、分散するようになってきました。今年は初め空梅雨でしたが、その後順調に降ったので樹液の出も悪くはないようです。縄張り意識は強いので、今日も二頭で燕を追い掛けるところを見ました。幼虫の時に、仲間が次々に鳥に食べられてしまった仕返しというわけではないでしょうが。

 6月はまだ樹液があまり出ていないので、このように土の中のわずかな水分を吸ったり、イノシシの柔らかい糞を吸ったりします。熟した桑の実が落下して潰れたものも吸います。

ヒメウラナミジャノメが、葉の上で交尾していました。
 樹液の出が悪いと、所謂「樹液バー」は、席の取り合いが激しくなります。今回はオオスズメバチが吸汁している所へ、最初オオムラサキのメスが来ました。このメスはやや小さくオオスズメバチに呆気なく追い払われてしまいました。その後やって来たのがヒオドシチョウ。横へ入り込んで吸い始めたのですが、結局オオスズメバチに追い払われてしまいました。先にオオムラサキの、特に大きなメスがいるときは、オオスズメバチを追い払う事もあります。勝負は五分五分というところでしょうか。そんな彼らを全く問題にしない昆虫がいます。さてなんでしょうか。

 それはカブトムシです。樹液バーで最強の席取りは、なんといってもカブトムシです。オオスズメバチが数匹で襲いかかってもびくともしません。その顛末は、下のリンクの写真をご覧ください。カブトムシの横で吸汁するのは危険を伴います。脚や角で振り払われたら、オオムラサキの口吻などすぐに切れてしまいます。実際そういう個体は毎年目にします。
樹液バーでの昆虫同士のバトルとその顛末
 今日は日曜だったので、小さな子供達も来ていました。4歳位の女の子にオオムラサキがいるよと教えると、地上すれすれに飛んだり、地面に留まって水分を吸う姿を興味深げに見ていました。メスもそろそろ羽化し始めたので、やがて求愛のシーンも見られる様になるでしょう。
オオムラサキなど、信州の里山で夏に見られる蝶の色々


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ネオニコチノイド系農薬が生態系を壊す。ミツバチを殺し人間をも・・(妻女山里山通信)

2013-06-26 | アウトドア・ネイチャーフォト

 千曲市の農薬空中散布のことを蝶の研究家のTさんにメールしたところ、散布の事実を知らなかったようで、怒りのメールが帰って来ました。ゼフィルス以外にも、ちょうど幼虫期のアゲハ類が壊滅的な被害を受けるのではないかというのです。そればかりか受粉してくれる蜂や花虻を全滅させ、果樹農家や野菜農家に壊滅的な被害を与えるのです。前回書いた様に、千曲市と坂城町が実施しました。理由は松茸栽培業者のためです。それだけのためなら、業者の山だけを地上でやればいいのです。他の赤松は、枯れても問題はありません。本来ザレ場の様な所に自生するものを、桑畑の跡に植林したので過栄養でひょろひょろに育ち、材も病気に弱く柔らかいので建材にもならないのです。少しの強風でも折れます。うちの山にある父が植えた赤松も何本も枯れたり折れたりしていますが、気にしません。それでいいのです。枯れて倒れればギャップができ、いずれ広葉樹が生えます。Tさんは、「長野県は生物保護にうるさい! 特に採集行為には新聞含めて犯罪的な見方としていますが、生息地破壊による絶滅行為は大歓迎の様です。」と、書いています。全くその通りです。農家は、自分の畑は自分で農薬散布します。自己責任です。松茸業者も自分の山は自分でそこだけ散布すればいいのです。税金を使う理由はないのです。

 以前は有機リン系の農薬を散布していたのですが、危険と分かったので、安全性の高いエコワン3フロアブル(ネオニコチノイド系)に替えたと行政はいうのです。しかし、このネオニコチノイド系農薬というのは、ベトナム戦争で使われたベトちゃんドクちゃんを生んだモンサントの枯れ葉剤と成分が同様のものです。蜂が全滅し発癌性があり(蜂の大量死と関係がある事を、金沢大学が突き止めました)、脳発達障害、流産、自閉症、注意欠陥多動性障害、うつ病、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、化学物質過敏症などを引き起こすといわれています。欧州では危険なために発売禁止になっている国もあるのですが、日本は野放しどころかホームセンターはもちろん、なんと100円ショップでも同タイプである神経毒のグリホサート系除草剤が売られているのです。製造元の住友化学会長が経団連会長だから? ホームセンターにあるラウンドアップは、まさにそれ。こんなものを空中散布するなど、狂気の沙汰です。長野県自体は中止の方向へ動いているというのに、両市町の議員や担当職員の無知さが伺い知れるというものです。自分の子や孫も被害に遭うというのに。放射能と同様に、被害が顕在化してからでは遅いのです。危険を示すエビデンスは既に各国からいくつも出ています。日本の農薬摂取量は、欧州の500倍! この記事を読むべし。ミツバチが一瞬にして死ぬ…世界一危ない「ネオニコチノイド系農薬」
有人ヘリ松くい虫防除の問題点とコメント
新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間
ネオニコチノイド系農薬 諸外国の状況と対応

 全く見られないゼフィルスや激減したハチやハナアブはともかく、オオムラサキは順調に羽化していますが、これも空中散布がなかった長野市側が主です。妻女山上の境界の長坂峠はまだ数頭しか確認できていませんし、千曲市側の堂平では一頭も確認できていません。この時期は、まだ樹液が出ないので、オオムラサキは雨後の地面に口吻を刺して地中にしみ込んだ水分を吸うのです。土に含まれるミネラルなどが栄養になるのでしょう。また、ヤマザクラやヤマグワの熟した実が落ちて潰れた果汁を吸ったり、イノシシの糞が雨に当たって柔らかくなったものを吸ったりします。つまり地面に農薬が散布されると、直ちに影響を受けるわけです。もちろん放射性物質、特にホットパーティクルがあったら致命的。羽化不全による奇形というのは、蛹期の物理的刺激でも起こり得るのですが、一カ所で大量に奇形が発生した時には、放射能や環境ホルモン、農薬の影響を考えるべきです。

 昼頃までは盛んに低空飛行して、地面の水分を吸っていたオオムラサキですが、お腹がいっぱいになったのか、午後になると皆神社の鬼瓦に集まって昼寝を始めました。たまに元気のいい個体が、お腹がすいたのか地上に降りて来ます。その一頭が私の周りを舞った後、ズボンに留まりました。汗に含まれる塩分が目当てでしょう。これはよくあることで、ある時は撮影中の手に留まって汗を吸い始めたことがありました。もの凄くくすぐったかったのですが我慢しました。それにしても、この時期現れるはずのゼフィルスが全く見られないというのは、Tさんならずとも非常に気掛りです。今後も観察を続けていきます。この時期に山仕事や撮影をすると、ありとあらゆる虫に刺されまくるのですが、免疫力アップと諦めていますw。

 妻女山展望台から見る川中島(善光寺平)も緑が濃くなってきました。眼下の長芋畑のつるが伸びてくれば、辺り一面緑一色になります。ここから見える低山には、どこでもオオムラサキが発生しています。ただこんな梅雨時にわざわざ山に行く人などいないので知らないのです。オオムラサキは里には下りて来ない蝶ですから。ただ山村の人達は知っています。畑仕事に行くと舞っていますからね。気がつく人は気がついています。昔の人は、自然界の営みを観て農作業の目安としたのです。そういう知恵はほとんど失われてしまいましたが。

★Youtubeスライドショー(BGMは、GarageBandで作曲したオリジナルです)
■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 1of3【オオムラサキ】


■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 2of3【オオムラサキ】


■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 3of3【オオムラサキ】


■Suminagashi butterflies in Japan 2011 Part 1of2【スミナガシ】


■Suminagashi butterflies in Japan 2011 Part 2of2【スミナガシ】


*ツイッターやブログ、ホームページの昆虫に最接近したマクロ写真はどうやって撮るのですかとよく聞かれます。気配を殺す。木や石になる。生態を熟知して、来る場所でひたすら待つ。視線を感知するので近くでは直接見ない。あとは精進あるのみ。上手く撮影できた時は、ありがとうと言う。

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23日、梅雨の晴れ間にオオムラサキ初見(妻女山里山通信)

2013-06-24 | アウトドア・ネイチャーフォト
 日曜の昼、久しぶりに山に向かうと、上から蝶の研究家のTさんが下りて来ました。ゼフィルスの確認に来たけれど、まったくいないということでした。彼は100頭以上のウラゴマダラシジミを放蝶したのですが、まったく確認できないと。雨上がりの晴天なので、舞っていてもいいのですが、今年は外れ年かなあと。いつも見られる数カ所に行ってみたけれども一頭も確認できなかったそうです。二日前に千曲市が、松枯病の農薬を空中散布したせいでないといいのですが。長野市や上田市は、健康被害が出たことや、思ったほどの効果が得られないということで中止しているのですが。
 それでも、時間帯もあるかなと、いつも現れる森の奥へ行ってみたのですが、やはり一頭も見られませんでした。

 少し気落ちして歩いていると、突然耳元にバサバサッと大きな羽音をたてて飛びすぎる大きな蝶が。あっという間にコナラの樹上に消えて行きました。今年初のオオムラサキです。まもなくスーッと下りて来て高速で飛び去りました。後を付けて行くと、石灯籠に留まっていました。早速撮影。すると背後で羽音が。振り向くとなんと4、5頭が舞っています。もちろん全てオス。一週間後ぐらいには、メスも羽化し始めるでしょう。

 オオムラサキは、みな低空飛行をしていました。そして、地面に舞い降りると口吻を地面に差して吸っています。数日前に降った雨が地中にあるのでしょう。それには地中のミネラル等が含まれているはずです。この時期は、まだ樹液が出ていないので、オオムラサキはこのように地中の水分を吸ったり、ヤマグワなどの果実が落ちて潰れた果汁や、時にはイノシシの糞を吸っています。

 羽化したてなので、翅は傷んでおらず非情に奇麗です。見た限りでは羽化不全での奇形は見られませんでした。これから次々と羽化が始まり、森は賑やかになります。やはり、オオムラサキというとオスのこの鮮やかな青紫なんですが、茶色いメスも私は好きです。メスはオスよりひとまわり大きいので、羽音も迫力があります。樹液バーでは、後から来たオオスズメバチを追いやることもあります。もっとも一番強いのはカブトムシで、だれもかないませんが。

 まとまった雨も降ったので、森は少しずつ色付いてきました。ムラサキシキブの仲間のコムラサキの花が咲き始めました。ヤマザクラの実が鮮やかに色付いています。見上げるとオプチカルアート(視覚芸術)の様なネムノキの葉が。足下にはイタチタケがたくさん生えていました。撮影の合間に、ちりめん山椒を作るために、山椒の実を採りました。虫に喰われるのは仕方がありません。薮の中を進むと、この時期はアオダイショウに出くわすこともあるのですが、向こうから逃げて行きます。雨が降りそうな日は、アマガエルが鳴くのですが、するとヤマカガシが出て来ます。こいつは猛毒なので気をつけましょう。威嚇すると体が裏返しになりそうなほど大口を開けて威嚇します。毒牙が奥にあるからです。

 駐車場まで戻って見た菅平方面の山に立ち上る雲は、もう夏の様でした。2011年の3月15日には、あの四阿山と根子岳が放射性プルームをブロックしてくれたのです。四阿山のカルデラは、直径が4キロほどありますが、米子大瀑布を起点として一周することができます。23キロほどの行程で、かなり長く一部不明瞭な箇所や夏場は薮になるところがあるので、経験者向きです。それとどこにホットスポットがあるか分からないので、線量計は持って行った方がいいでしょう。

■2010.8.14米子大瀑布から四阿山カルデラ周回コース フォトルポ色々な花が見所。パノラマカットも。
 ジャズをBGMに使ったスライドショーもあります。


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ネジキの白い花が、小さな鈴の様に咲き乱れる雨上がりの森で(妻女山里山通信)

2013-06-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 空梅雨で、全くといっていいほど降雨のなかった妻女山山系ですが、やっと恵みの雨が降りました。といっても、作物がぐんぐん育つにはまだ足りませんが。この時期、山は最も花が少ないのですが、ネジキの白く小さな花が一斉に咲きました。ツツジ科なので、鈴のような花は、ドウダンツツジに似ています。アセビと同様に有毒植物です。別名をカシオシミ(貸し惜しみ?)というそうですが、なぜなのでしょうか。

 ネジキ(捩木)は、その名の通り樹皮がかなりねじれています。樹皮どころか材もかなりねじれているので、なかなか使い物にならないそうです。では、その他の樹木はねじれていないかというと、そうではないのです。落葉松などは、樹皮をよく見るとねじれています。「旋回木理」とか、英語では「スパイラル・グレイン」”spiral grain” というそうです。
 なぜねじれるかということは、色々研究により説があるそうです。太陽を追い掛けるとか、風の影響とか。私は天体の旋回を初めとして、スピンというのは存在が安定を求めてする根源的、必然的な動きなんではないだろうかと思ったりしています。螺旋状のフラクタル。回って回って回る。ウィトゲンシュタインを思い出しました。

 樹木のねじれというのは、樹種により色々なパターンがあるようで、樹皮が下右から左上に太陽の動きと同じ様にねじれるものと、反対にねじれるものがあるそうです。また、樹皮と中の材が反対にねじれるものもあるそうで、なかなか面白いものです。たいていは、若木の時には左上に回る様にねじれ、ある年から逆向きに変わるのだそうですが、中にはそのままねじれ続けるものがあるそうで、それがネジキなのでしょう。昔から、左ねじれの木材は割材に向いており、右ねじれのものは梁や接合部分に向いているというそうです。建築家や木材工芸家は、こういうことをよく理解していないと材を使いこなせないということですね。

 ニワトコの赤い実が目立ちます。シモツケが咲き始めました。林下ではヤマホタルブクロが咲いています。明るい落葉松林の中にイチヤクソウの群落がありました。ミヤマウグイスカグラの赤い実が風に揺れています。ノアザミも咲き始めました。恵みの雨で、森は一気に活性化した感じです。

 葉の上で、キリギリスの幼虫がジッと日向ぼっこをしていました。鬱蒼とした森には、テングチョウ、コミスジ、イチモンジチョウ、ヒメウラナミジャノメ等が舞っていますが、長旅をしてきたアサギマダラも見かけるようになりました。そろそろゼフィルスも舞い始める頃です。雨上がりなので粘菌を探したのですが、見つかりませんでした。

 渇水で6月上旬に行った菅平ダムなどは底が見えそうなほどでしたが、今日の千曲川の水量はやや少ない程度。上流部で降ったからでしょう。山上から見える川面は泥色に濁っていました。こういう空梅雨の梅雨明けには、集中豪雨が起きたりするので、少し心配しています。


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スズランが咲きカッコウが鳴く菅平高原へ(妻女山里山通信)

2013-06-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 空梅雨でまるで真夏の様な暑さの善光寺平から菅平高原の大松山へ登りました。ところが、若穂川田で403号線から34号線に入ると、菅平まで全面通行止めの看板が。愕然として近くのコンビニのおばさんに聞くと、道路の拡幅工事で6月30日まで通れないということです。長野市からは、松代の地蔵峠を超えて真田町から登るルートがありますが、渋滞で時間が押したので、長野ICから上田ICまで高速に乗る事にしました。上田ICを下りて144号線から大笹街道を登っていくとすぐに菅平高原。大原学園の横を登って行き、ゲレンデ下のT字路に出ると、そこが登山口です。適当な場所に駐車します。

 ここの標高が、1370mぐらい。目指す大松山が1648.7mですから標高差は、300m足らず。ハイキング程度のものですが、さにあらず。登山道がなくゲレンデをひたすら登るのですが、上に行くと上級者コースでかなりの急傾斜。今回はコブだらけのアルペンコースを登りました。カッコウが鳴き、時折キジのケーンという甲高い鳴き声も聞こえます。夏の花はまだですが、あちこちにスズランの群生が見られます。大松山の頂上からは、正面に三角の四阿山と丸い根子岳がそびえています。眼下には高原野菜のマルチが白く光っています。この風景がたまりません。2010年の夏に息子達と、あの山の向こうに広がる直径3-4キロのカルデラを一周したことを思い出します。今は群馬県側の放射能汚染があるので行く気にはなりませんが。

 大松山の山頂には特になにもありませんが、ちょうどズミの花が七分咲きでした。コリンゴと呼ばれるズミの花はバラ科リンゴ属なので、花もリンゴそっくりです。妻女山のズミはずっと前に咲き終わっていますが、大松山は今が盛りでした。落葉松の下では、アマドコロの花が揺れていました。可憐なツマトリソウは、咲いていませんでした。

 山頂を少し北へ下ってリフト乗り場に出ると、樹間から北アルプスの絶景が見えます。善光寺平は少しもやっていましたが、北アルプスの稜線は、白く光っていました。妻女山の展望台からは、この大松山の三角の山頂が地蔵峠から保基谷岳への尾根越しに見えるのですが、大松山からは妻女山から天城山、鞍骨城跡、御姫山から鏡台山への戸神山脈の稜線がよく見えます。そしてその向こうには西山山系の茶臼山も。

 リフト乗り場からさらに北へ下るとスズランの群生地がありました。花があれば分かりますが、スズランは猛毒なので、山菜のギョウジャニンニクと間違えない様にしないといけません。『古事記』の天の岩戸で天宇受売命(アメノウズメノミコト)がたすきがけにしていたというヒカゲノカズラも群生してます。
「見まく欲り 思ひしなへに かづらかげ かぐはし君を 相見つるかも」(大伴家持:万葉集)。--逢いたいと思っていたら、ちょうど折りしも、かずら飾りを着けた美しい君にお逢いすることができました--。万葉集には四首詠まれています。ヒカゲノカズラの胞子は、石松子(せきしょうし)という淡黄色の粉。湿気を防ぐので丸薬・花粉増量剤・火薬の衣などに利用されます。

 長居する時間もないのでそそくさと下りましたが、帰路に少しだけドイツトウヒの森に寄りました。ドイツの「黒い森」
(シュヴァルツヴァルト)の主要樹種で、細長い松ぼっくりが特徴です。この森は林下が明るく、植生が豊かなので、来ると必ず立ち寄るのです。もちろんここも熊の生息域なので熊鈴は必須です。以前、ここで幻の?奇怪な形のオオシャグマタケを見つけたので探しましたが、ありませんでした。

 森の小さな流れの脇に、クリンソウが咲いていました。渓流沿いの森床にはニリンソウやクルマバソウ、シロバナオドリコソウの群生が見られました。シロバナオドリコソウは、アップにすると、白装束の女性が大勢で踊っている様に見えます。なかなか神秘的で妖艶。趣のある花です。

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■歴史は繰り返す:864年:富士山噴火/868年:播磨国地震(阪神)/869年:貞観地震M9・貞観津波(東北)/871年:鳥海山噴火/874年:開聞岳噴火/878年:相模武蔵地震(関東)M 7.4/887年:仁和地震(東海南海地震)M9(M=推定)

★妻女山(斎場山)について研究した私の特集ページ「「妻女山の真実」妻女山の位置と名称について」。「きつつき戦法とは」、「武田別動隊経路図」など。このブログでも右上で「妻女山」でブログ内検索していただくとたくさん記事がご覧いただけます。
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ホトトギス鳴く、飯綱高原の逆谷地湿原へ (妻女山里山通信)

2013-06-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野市北部の飯縄山山麓にある標高930mの逆谷地湿原へ、ボーリング調査のお手伝いに行って来ました。もちろん許可を得てのものです。この湿原は、10万年も前から湿原だったという日本はもちろん世界でも最古級のものだそうです。逆谷地というのは、飯縄山方向へ他の川の傾斜とは逆に流れていることからつけられたようです。周囲を10-30m程度の低い台地で囲まれていて水の流れ出る場所がなく、しかも大量の雨水等が流入するような地形でないことが、湿原を維持してきた要因なんでしょう。

 湿原は、泥炭と呼ばれる植物遺体の上に発達した湿った草原のことです。ですから、乾燥が進めば普通の草原や樹林に変わります。反対に水が多すぎると池や湖になってしまいます。水分条件がちょうどよいぎりぎりの環境が保たれてはじめて成立する、とてもデリケートな自然の姿なのです。それが10万年続いたのですから、これは奇跡的なことといっていいのでしょう。ゴルフ場にならなくて良かった。

 世界中の湿原の多くは氷河期が終わった約 1万年前以降のもの。有名な尾瀬ヶ原は約9000年前、釧路湿原は約3000年前にできたものです。ところが逆谷地湿原は、13m地下まで泥炭を主とした地層がたまっていて、10万年も前から湿原だったことが分かったのです。逆谷地湿原は、約4ヘクタールですから、普通のグラウンドぐらいと面積は小さいけれども、環境の変動を超えて、ずっと生きつづけてきた、きわめて特異で貴重な湿原なのです。

 今回は、ずっと晴天が続いた後だったので、湿原はカラカラに乾いていました。それでも、低い場所のオオミズゴケの下は湿潤。さらに低い場所には、ミツガシワの群落がありました。花期の終わりで、結実したものもありましたが、純白の花が咲いているものもありました。氷河期の生き残りといわれるミツガシワですが、花びらにあるモジャモジャの毛の様な突起が特徴的です。水滴を逃がさないためでしょうか。

 案内板によると、タチアザミ、サワギキョウ、オオニガナも咲く様です。痛いタチアザミは、まだ葉が茂った状態で蕾もまだできていませんでした。ミツガシワの葉の上には、モリアオガエルとミヤマフキバッタの幼生らしきものがいました。ギンイチモンジセセリが五月蝿い位に飛んでいました。
 樹木は、湿原に多いハンノキや乾燥した場所にはレンゲツツジが咲き、周囲にはイヌツゲの薮がありました。湿原西部のイヌツゲの薮の奥に株立ちした高い木があったので行ってみましたが、樹皮と葉を見るとズミのようでした。周囲の林床には、クルマバソウの群生地がありました、周囲の草原には、ヒメハギやニガナが咲いていました。夏の花はこれからですね。逆谷地湿原は、熊の生息域なので熊鈴は必携です。


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