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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

中尾山・茶臼山ハイキング 2014。自然と歴史の山歩き(妻女山里山通信)

2014-10-29 | アウトドア・ネイチャーフォト
 10月26日の日曜日、毎年恒例の中尾山--茶臼山ハイキングが行われました。今年も私は、里山インタープリターとして、皆さんと歩きながら樹木や菌類など、茶臼山の生態系の説明をしました。当日参加も含めると100名以上となったため、三班に分かれて出発しましたが、途中で追いついてしまい大渋滞になったり、その後は間を空けすぎて最後が正午にお昼の会場に着けなかったりと、まあ色々大変でしたが、天気もよく楽しいハイキングができたと思います。茶臼山トレッキングコース地図(今回歩いたコース以外も載っています。)
 この時期は、スズメバチが攻撃的になるので、ハチの天敵の熊と同じ黒い色の服は、着てこないでください。香水や化粧品の甘い香り、フルーツのキャンディなどもハチをおびき寄せます。ミント系は大丈夫です。ハチに威嚇されたら悲鳴をあげたり手で払うと刺されます。姿勢を低くして速やかにその場を立ち去ることです。できれば、万が一刺された時のために毒抜き器、ポイズンリムーバーを携帯してください。

 8時半から開会式です。インストラクターのSさんが、歩く際の注意事項とストレッチを。私がキノコがあった場合の注意事項などをお話しました。9時に出発。リンゴ畑の道を中尾山温泉に向かって登っていきます。ここ共和のリンゴは美味しいんですよ。ここで、後方からペースが速過ぎるよとクレームが。かなり遅く歩いていたつもりなんですが、それでも初心者には速過ぎた様です。遅く歩くのは、結構難しいものですね。お見合い風呂で全国的に有名になった中尾山温泉の松仙閣を過ぎて、山道に入ります。

 9時50分頃、第一班が山の神に到着。すると、第二班、第三班も追いついてしまい、大渋滞になってしまいました。そこで、間を空けて順次出発。ウルシの赤い紅葉が鮮やかです。ここから、私は第二班、第三班を待って、順次山の説明をしました。そして、10時20分頃、一本松に到着。急な登りはここまで。小さな女の子も、途中の休憩でしゃがみ込んでいたので大丈夫かなと思いましたが、しっかり登ってきました。

 なだらかな尾根道を歩いて、10時40分頃に新しく作られた東側の善光寺平が見える展望台へ到着。見える角度は広くありませんが、立ち位置を変えると、志賀高原の笠ヶ岳や横手山から四阿山まで見ることができます。眼下には登り始めの松仙閣や、老人ホームの豊寿苑、今井駅、ホワイトリングなどが見えます。真ん中のカットは、根子岳と四阿山。皆さんは、見える大きな建物などを同定していました。

 続いて11時10分頃に、西側の北アルプス展望台へ。この日は白馬三山、仁科三山と、北アルプスのスカイラインが綺麗に見えました。雪はまだ少なめですが、大寒波が来ると一晩で真っ白になります。

 右から白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳の白馬三山。左へ天狗ノ頭に続いてW字型に切れ込んだ不帰ノ嶮。その手前は、右の虫倉山から続く尾根。点在する集落は、長野市中条(旧中条村)。その手前に犀川の流れる深い谷。一番手前は、山布施の集落。長閑な山村風景が広がっています。

 11時25分に茶臼山山頂。展望はありません。ここに高い展望台があれば、もっと訪れる人も増えるのでしょうね。崩れている南面を回って植物園に下ります。

 茶臼山自然植物園の上部は、ずいぶんと綺麗に整備されました。藤のトンネル、アスレチックを過ぎて展望台まで下ります。その下には、レッサーパンダで全国的に有名になった茶臼山動物園。そして恐竜公園

 展望台から東の風景。善光寺平(長野盆地)が広がっています。ここの標高が550mと低いので、横手山と根子岳の間にある草津白根山は、手前の山に隠れて見えないようです。あの群馬県との境にある2000m級の山々が、放射性プルームをブロックしてくれたのですが、軽井沢や北信にある1000m級の峠を越えて、一部がこの信州にも流れ込んだのです。

 美味しいキノコ汁が振る舞われた昼食後は、まずインストラクターのSさんの講演の後で、次に私。昨年は郷土史研究家として茶臼山の歴史について絵図を使ってお話しましたが、今回はナチュラリストとして茶臼山のキノコについて、私が撮影したキノコの写真をお見せしながら、話をしました。どちらも里山インタープリターの範疇なんです。世界三大猛毒キノコが普通にあることや、皆さんが知らない夏キノコの話などをしました。実際に採ってきた方から、シロノハイイロシメジをお借りして、毒キノコであることを説明しました。キノコの同定というのは、本当に難しいものなのです。と、こんな話をしたわけですが、来年はもっと里山の根源的な話を、私の体験を元にお話したいと思います。毎回、初めての方が半分以上いるので、歴史についても話しましょう。
 交流会は1時半頃にお開きになり、共和のリンゴ畑の中を出発地の黒木学園カレッジオブキャリア共和校の校庭へと戻ります。結構日差しが強くて汗ばむほどでした。リンゴ畑の農道から、今日歩いた中尾山から茶臼山の尾根が見えます。その後、参加した友人のSくんと松仙閣の温泉に入り、疲れを癒やしました。夜は、実行委員のNくんも交えて、篠ノ井の村さ来で慰労会をしたのでした。

 数日後、用事のついでに中尾山と茶臼山に寄りました。最初のカットは、松仙閣から右の花井神社の方へ登ったリンゴ畑の上から撮影した中尾山です。裾花凝灰岩の白い崖がよく見える場所です。右後方の山頂が、村史にある中尾山の山頂ということになります。ついで下って茶臼山動物園の方へ。信里小の向かいを入った旗塚の駐車場から見た大池とその向こうに冠着山(姨捨山)。左奥へ八頭山、大林山と続きます。どちらも山頂からの見晴らしがよく、登ってとても楽しい山です。旗塚では、ダンコウバイの黄葉が輝いていました。

◉この中尾山や茶臼山も掲載の拙書『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazonで。カラー668枚の写真と分かりやすいと評判のコース地図とガイド。初心者からベテランまで38山、74コースを収録。信濃毎日新聞の記事と書評に次いで新潮社『SINRA』の本のコーナーでも高い評価を頂きました 。

◉以下は、以前に茶臼山の歴史についてブログに記述したものですが、再び編集してみました。
 茶臼山は双耳峰でした。信玄が布陣したと伝わるのは南峰で、地滑りで崩壊してしまった有旅茶臼山(うたびちゃうすやま)なのです。江戸時代後期の『甲越信戦録』を元にしたと思われる『松代町史』には、こう記してあります。
 「武田晴信は同月十八日嫡子太郎信義、武田逍遙軒、同左典厩信繁を初めとし家臣長坂、飫富、山縣、山本、両角、馬場、真田、跡部等二万余人を引具して甲州石和城を発して信濃に入り更級郡茶臼山に陣を取り機を見て二十八日広瀬渡を渡りて海津城に入れば総勢実に二万五千に達すという。」ただし、江戸初期の小幡景憲の『甲陽軍鑑』には、信玄の茶臼山布陣の話は全くでてきません。恐らく、武田信玄茶臼山布陣は、後世の作り話でしょう。上杉謙信斎場山布陣図

 その茶臼山という名称ですが、茶臼岳、茶𥓙山、茶磨山などとも書かれ、全国に200以上あるもっとも多い山名です。茶臼(茶𥓙)とは甜茶を抹茶に挽く石臼です。抹茶が日本に入ってきたのは鎌倉時代。茶道が武将の間に広まったのは戦国時代にかけてといいますから、茶臼山という名称も室町時代以降といえるのではないでしょうか。戦国当時、名だたる武将は陣を張るとまず幕内に茶臼をしつらえ、抹茶を立てて一服するのが習わしだったそうです。抹茶を飲む事は、精神を落ち着けるとともに、相手を粉々に粉砕するという意味も含まれていました。

 その茶臼を使わない時に布をかぶせると富士山のような形になります。その形に似ている山ということで、全国各地に茶臼山という山があるのですが、大阪の茶臼山(大阪夏の陣で真田幸村が布陣)のように武将が好んで布陣した山でもあります。武将にとって縁起のいい山名だったのでしょう。そのため、茶臼山には山城が築かれたところも多くあります。また、それより遥か昔には古墳だったところもあります。円墳や前方後円墳の後円部は茶臼の形をしています。そう考えると、武田信玄が茶臼山に布陣したというのも、そう荒唐無稽な話ではないかもしれません。
 実際に茶臼山の頂上北側には、深くて長い堀切があり、郭(くるわ)のような段も見られます。鎌倉時代の土豪の山城があったのかもしれません。また、茶臼山という名称の語源は、アムール川流域のチャムス(佳木斯)に源を持つという説もあります。

 その南峯の有旅茶臼山は善光寺地震で崩壊が始まり、大正時代末期から昭和にかけてに大崩壊して山頂がなくなってしまったのです。ですから現在茶臼山といわれているのは、標高730mの北峯です。ちなみに南峯は720mだったという説と、元々は740mだったという説があります。現在は地滑り防止の工事も終わり、跡地はレッサーパンダで有名な茶臼山動物園や恐竜公園、自然植物園などになって市民に親しまれています。

 有旅茶臼山の南の尾根には、九基の塚(古墳)が、信玄茶臼山布陣の石碑の近くにあります。旗塚といって信玄が旗を埋めた塚と俗にいわれていますが、実際は古墳時代末期の墳墓で、群司や県司の墓といわれています。同じようなものが上杉謙信の布陣したと伝わる斎場山の円墳から続く尾根にも七基あります。また、同様な塚が川柳将軍塚古墳にも付随して六基あります。その類似性には興味深いものがあります。そう考えると有旅茶臼山の山頂にも、崩壊する前には、斎場山と同じように円墳があったかもしれないのです。里俗伝では、崩壊する前の山上には山城の跡があり、堀切もあったということです。江戸後期の『甲越信戦録』には、「茶臼ヶ城」と書かれています。

 現在の茶臼山(北峯)は、木々に囲まれ眺望は全くありませんが(そのためハイカーにもうひとつ人気がでないのかも。松本の芥子坊主山のように展望台が欲しいところ。)、古い山城と思われる跡が見られます。山頂でには、南北に長く平坦地があり、東西と特に南側は急峻な構えになっています。北側では、大きく二段に分かれており、腰郭の跡かと思われるような広い段差があります。その北側には東西に長く掘切があります。現在の深さは2mぐらいですが、元々はかなりの深さがあったのではと思われます。戦国時代以前に、大塔合戦などもあったので、崩れてしまった南峰と共に、山城があったとしても不思議ではありません。

 有旅茶臼山から川中島に下る中腹の柳沢集落に「耕心庵(甲信庵)」という古刹があります。「川中島合戦後に信玄が巡国の時、この地に立ち寄り、川中島合戦場を見下ろして、この處はまさに景勝地であると感嘆し、ここに禅寺を建立し、法性山甲信庵と名づくべしと高坂弾正に命じた。」と看板にあるのですが、有旅茶臼山に布陣したなら、川中島に下る際に、ここは既に通っているはずなんですが…。猿ケ馬場峠(旧北国西街道にある麻績宿と桑原宿の間の峠)から有旅茶臼山へは、またかなり登り返さなければならず、5日ばかりの布陣と考えると、実際は石川茶臼山(川柳将軍塚古墳)に布陣し、その後すぐに謙信のいる斎場山の千曲川対岸の横田城跡に移ったのではという説が現実的かもしれません。

★以下は、茶臼山関連の私のリンク集です。
10月26日(日)の中尾山--茶臼山ハイキングの下見に。黄金色の棚田で見つけた信州の秋:ワレモコウ、ノコンギク、アキアカネ
2013年の中尾山--茶臼山トレッキング
2011年の中尾山--茶臼山トレッキング
2010年の中尾山--茶臼山トレッキング
4月、満開の桜とショウジョウバカマの咲く中尾山--茶臼山:トレッキング・フォト・レポート
5月、リンゴの花とマルバアオダモの花が咲く中尾山--茶臼山:トレッキング・フォト・レポート
10月、旗塚から紅葉狩りとキノコ狩りの茶臼山:トレッキング・フォト・レポート
34度! 猛暑の茶臼山で真夏のキノコ狩り
早春の雪景色の茶臼山で地名考
★茶臼山や妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。

【追記】『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。茶臼山への行き方や写真も載せています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。その山の名前の由来や歴史をまず書いているので、歴史マニアにもお勧めします。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。

★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
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信州の秋はジコボウはじめキノコ三昧。キノコ料理のレシピ。放射能除染方法も(妻女山里山通信)

2014-10-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 信州の秋といえば、それはもうキノコです。でも、実は秋だけではないのです、四季折々に出るキノコがあります。そんな信州で採れるキノコの中から、私が実際に撮影して採ったものを紹介します。紹介順は、ほぼ発生順となっています。食菌27種類と、猛毒のキノコ1種類を掲載しました。もちろん、これ以外にも食べられるキノコはあります。
 それらは、私のネイチャーフォトのサイト【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】のキノコの欄をご覧ください。昨今は、福一の放射能汚染で、信州でも汚染されたキノコが見つかっています。詳細は、長野県のHPの「放射線等関連情報」のページをご覧ください。県内産林産物等に載っています。特に菌根菌には要注意。
 キノコ狩りは、藪山に入ります。熟知している山以外は地形図やコンパス、熊鈴、ホイッスル、携帯電話、遭難した場合の食料や水などが必須です。キノコごときで無駄死にしない様に。どんな猛毒キノコも一度は食べられますが、二度目はありません。

 まず、ハナビラタケ(花弁茸:Sparassis crispa)。ハナビラタケ科ハナビラタケ属。一科一属のキノコ。直径25センチほど。ベータグルカンが、あのアガリスクの3倍とかで近年注目され栽培もされている高価なキノコです。主に標高1000m以上の山地に夏発生するため天然ものは幻のキノコといわれています。風味には癖がなく歯切れがいいため、天ぷら、和え物、炒めものなどどんな料理にも合います。
 アカヤマドリ(赤山鳥)イグチ科。特にバターやベーコン、卵との相性がよく、バターソテーやオムレツは定番料理です。シチューやカレーにも合います。ベーコンや生ハムと合わせてパスタも絶品です。コンソメにするとタマゴタケと同じくスープが黄金色になります。大きくなると25センチ以上になりますが虫が入りやすいので、食べ頃は直径10センチぐらいまでの傘が開く前の幼菌です。
 これも夏のキノコ。アカジコウ(赤時候)イグチ科 イグチ属。夏に出るイグチ科の大型の美味しいキノコ。紅色の傘は20センチほどにもなります。傷つけると群青色に変わります。ニセアシベニイグチなど近似の毒キノコがあるので同定は慎重に。バターソテーや煮ものなどで。

 主に7月と9月に出る猛毒のドクツルタケ(毒鶴茸)テングタケ科テングタケ属。激しい下痢、嘔吐、腹痛の後に、内蔵が破壊され死に至るという猛毒のキノコですが、里山でも普通に見られます。欧米では「死の天使 death angel」と呼ばれるキノコです。柄にささくれがないと、やはり猛毒のシロタマゴテングタケ。白いキノコは要注意! ただ、7月に採れたドクツルタケをぽっとんトイレに砕いて5,6本入れておくと、ひと夏ハエが発生しません。自然分解するので環境も汚しません。また、秋に出るシロノハイイロシメジを、シロシメジと勘違いして採る人がいますが、毒キノコです。
 チチタケ(乳茸)ベニタケ科チチタケ属。傷つけると白い乳液を出します。とても美味しい出汁がでるキノコ。肉質が固くボソボソしていますが、茄子と炒めてうどんや蕎麦のつゆに入れると絶品。
 アイタケ(藍茸)ベニタケ科ベニタケ属。藍茸と書きますが、実際は緑青(ろくしょう)色に近い。食菌です。キノコらしからぬお洒落な色合いで、特に幼菌は美しい。とても虫がつきやすいキノコです。

 アンズタケ(杏茸)ヒダナシタケ目アンズタケ科アンズタケ属。松茸とか椎茸は、いわゆるカビ臭があるので嫌う欧米人も多いのですが、このキノコは本当に爽やかな杏の香りがします。知らない人は驚くでしょう。これも似た毒キノコがあるので、きちんと同定できるひとがいないと危険ですが、杏の香りが目安にはなります。
 ヤマドリタケモドキ(山鳥茸擬)ハラタケ目イグチ科ヤマドリタケ属。これは、天ぷらにしました。イタリアではポルチーニ。フランスではセップ。英米ではサマー・セップといって珍重される高級キノコです。少ない本数でも重量感があり量もあるので、残りはパスタにしました。味も良く、甘い香りと歯ごたえがいいキノコです。ただ、ドクヤマドリとか、苦くて食べられない他のイグチ科の紛らわしいキノコがあるので注意が必要です。
 ニオウシメジ(仁王占地)ハラタケ目キシメジ科キシメジ属。ひとつの株から大きなキノコがいくつも出ています。有機質に富んだ土壌にはえるとか。群馬県より南に生える熱帯性のキノコらしいのですが、信州でも生えるんですね。食用です。

 ウスヒラタケ(薄平茸)ヒラタケ科ヒラタケ属。木材腐朽菌。北信濃では、春から秋まで見られるキノコです。美味しい食用キノコで、バター炒め、天ぷら、煮込みと応用がききます。ヒラタケは、晩秋から。
 ハタケシメジ(畑占地/畑湿地)キシメジ科シメジ属。木材腐朽菌で地中の腐木から発生します。菌根菌のホンシメジに分類学的には最も近く、味、食感ともに非常にいいキノコです。βグルカンが豊富で近年注目されています。春と秋に発生し、林道の縁や畑、庭先にも出ます。
 コフキサルノコシカケ(粉吹猿之腰掛)ヒダナシタケ目マンネンタケ科。広葉樹の根元にはえ、傘の表面にはココアパウダーのような胞子の粉が堆積しています。下の面は白色で小さな管孔があいています。断面は二層で、チョコレート色。抗ガン作用や免疫力を高める効果があり、薬用に用いられます。樹に非常に堅固についているため、採取にはナタやノミなどの道具が必要です。味がないので煮出して、薬用として料理に使います。焼酎漬けも。

 タマゴタケ(卵茸)テングタケ科。セイヨウでは、帝王のキノコと呼ばれるほど美味です。和風よりバターやクリームに合います。テングタケ科のキノコは致命的な毒を持つキノコが多いので同定は慎重に。タマゴタケモドキは猛毒です。
 ウラベニホテイシメジ(裏紅布袋占地)ハラタケ目イッポンシメジ科イッポンシメジ属。初秋を代表する大型のキノコ。毒きのこのイッポンシメジやクサウラベニタケと間違えやすく、要注意のキノコ。傘のかすり模様と中実の軸。そして匂いが決め手です。イッポンシメジやクサウラベニタケは、毒キノコ特有の嫌な臭いがあります。長野では、これをイッポンシメジという所があるので、更に注意が必要です。やや苦味があり、薄塩漬けにして煮ものや天ぷらにすると美味。
 毎年秋になると私のブログ記事の「ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケ」の記事のアクセスがグンと増えます。同定の難しいキノコです。
 オニフスベ(鬼燻・鬼瘤:Calvatia nipponica Kawam. ex Kasuya & Katum.)担子菌門ハラタケ目ホコリタケ科。写真のものは、直径34センチ、周囲74センチ、高さ18センチ、重さ1229グラム。
 別名は、薮玉(ヤブダマ)、薮卵(ヤブタマゴ)、馬屁包、馬糞包、灰包菌、地煙などといい、方言も多数あるようです。一見深山にはえる希少なキノコのように思えますが、さにあらず。庭先や畑などにも出て人を驚かせることがよくあります。1712年(正徳2年)頃出版された江戸時代の百科事典『和漢三才図会』巻九十七苔類では、馬勃(ぼうべいし)として紹介されています。「煮て食べると味は淡く甘い。老熟したものは、はなはだ大形で、死者の首に似て醜い。」と書かれていますが、馬勃とは馬のおならのことです。ホコリタケの仲間は、成熟すると胞子を飛ばしますが、人が蹴ったりつぶしたりすると、勃(ボッ)と胞子が吹き出ます。その様を馬の屁(あるいは馬の糞)にたとえたのでしょう。美味しくありませんが、薬効があるようで、清肺、利咽、解毒、止血作用があるとして、漢方薬として用いられたようです。

 ヒラタケ(平茸)ヒラタケ 科 ヒラタケ 属。優秀な食菌です。ヒラタケは、傘の裏に小さな白いコブがたくさんできることがあります。キノコバエの一種(ナミトモナガキノコバエ)が伝播する線虫の一種(ヒラタケシロコブセンチュウ)が作る虫こぶです。キノコバエに運ばれてきたセンチュウをヒラタケが食べてしまうのだそうです。その結果できたこぶだとか。見た目は悪いですが、食べるのになんら問題はありません。
 チャナメツムタケ。信州では、ジナメコといいます。長野県産のチャナメツムタケからセシウムを1キログラム当たり1700ベクレル検出した例があります。菌根菌は要注意です。
 ヤマブシタケ(山伏茸)は、サンゴハリタケ科サンゴハリタケ属の食用キノコ。薬効成分が豊富で、中国では歴代皇帝が探し求め続けたといわれており、熊の手、ナマコ、フカヒレとともに「四大山海珍味」のひとつとして古来より珍重されています。

 ササクレヒトヨタケ (ささくれ一夜茸) ヒトヨタケ科ヒトヨタケ属。草原や道ばた、畑などに出ます。幼菌は、傘が長い卵形で白く褐色のささくれがあり、成長すると傘が開いて黒褐色、黒紫色になります。その後すぐに黒インク状に溶けてしまいます。そのためなかなか食べ頃のものに出会えません。コクのある旨味はありませんが、あっさりしてバター炒めなどに最適。写真のキノコは、畑の生ゴミ捨て場の土の斜面に生えたもので、バター炒めになりました。
 ホンシメジ(本占地)。エリンギではありません。匂い松茸、味占地と言われるように、旨味成分は松茸の二倍以上あり、極上の出汁が出ます。松茸が泣いて逃げ出す旨さですが、天然物は極希少です。食べたことがある人はほとんどいないと思います。
 マイタケ(舞茸)。見つけたら思わず踊りだすというキノコ屋垂涎のキノコ。栽培舞茸と基本的に味は同じですが、比較にならないほど味も香りも極めて濃厚。同じ種類とは思えないほどです。ホンシメジと共に、松茸以上に私が好きなキノコです。天ぷら、煮込みうどん、炒め物、茶碗蒸し(舞茸にはタンパク質を固まらなくする成分があるので茹でてから入れてください)、なんにでも合います。洋風にしても美味。バターやクリーム、チーズとも合います。もちろん秘密のシロは絶対に人には教えません。

 信州ではジコボウ(時候坊)と呼ばれるハナイグチ。イグチ科のキノコの総称ですが、ハナイグチのことを指すのがほとんど。信州人に最も好まれ、親しまれている秋の味覚でしょう。父が長く放置していた我が家の山を私が除伐したら、ジコボウが700本採れたことがあります。採取ははさみで石突きの上を切ると掃除が楽で、菌を持ち帰ることもありません。老菌や持ち帰った石突きがある場合は、細かく砕いて水を入れたバケツに浸しておき、雨の前日に落葉松林に撒いてやると、ジコボウが発生します。豆腐と共に和風出汁でしょう油、酒、本みりんと煮込むと、とろとろの美味しい汁ができます。煮込みうどんにしても最高に美味。
 クリタケ(栗茸)モエギタケ科クリタケ属。秋から晩秋にかけて広葉樹や希に針葉樹の倒木や切り株に発生します。やや黄色みがかったものもあるので、猛毒のニガクリタケと間違えないように注意が必要。迷ったときはちょっと咬んでみると分かります。ニガクリタケは本当にいやな苦味があります。クリタケは、冷凍保存すると旨味が増します。欧米では毒性分が発見されたとかで毒キノコになっています。日本のものが同じ毒性分があるかは不明ですが、過食は禁物です。炊き込みご飯がおすすめ。クリタケの細胞は球形なので壊れにくいため、旨味を充分引き出すには塩湯で洗って茹でこぼして冷凍するといいです。
 スッポンタケ(鼈茸)スッポンタケ科スッポンタケ属。幼菌は卵状で、森に転がっていると、本当になにかの卵と見間違えます。グレバはもの凄く臭いのですが、軸は中華料理のスープに使われます。

 ムキタケ(剥茸)キシメジ科。傘は粘性があり繊毛があります。表皮の下にゼラチン質があり皮がツルッと剥けるのでムキタケ。バター炒め、鍋物、煮込みうどんなどに。旨味のあるキノコです。毒のツキヨタケと間違えないように。
 ムラサキシメジ(紫占地)キシメジ科。大きな菌輪を作るキノコ。根元が大きく丸くふくれています。豆腐と澄まし汁にすると最高です。フランスでは、ピエ・ブルーといって高級食材です。バターやクリームともよく合います。
 エノキタケ(榎茸)キシメジ科エノキタケ属。秋から春にかけて、広葉樹の切り株や倒木に発生。天然の榎竹の傘はぬめりが非常に強く、軸は天鵞絨状で黒っぽい色です。とても甘い香りがして、鍋や蕎麦、うどんに入れると絶品です。榎茸というとスーパーで売られている淡いクリーム色のヒョロヒョロした例のものを思い浮かべるでしょう。ところが、天然の榎茸は写真のように似ても似つかぬ風貌で、風味もまったく違います。市販品はいわば榎茸のもやしのようなものなのです。この榎茸の人工栽培の発祥の地は、長野県長野市松代町です。旧制屋代中学(現在の屋代高等学校)の教員であった長谷川五作の指導で始められたものです。

 最後はシロシメジ。これは傘の直径が15センチ、軸の太い所は5センチもあります。4本採って鍋にしましたが、苦味もなく絶品でした。こんな大きなものは、ホンシメジ以上に幻のキノコかもしれません。旨味はホンシメジと同様。松茸の2倍以上で、鍋や煮込みうどんにすると絶品です。但し、そっくりで臭くて不食のシロノハイイロシメジと間違えると史上最大の悲劇になります。他には、サクラシメジ、マツタケ、チチアワタケ、ホウキタケ、オニイグチモドキイロガワリオオズキンカブリタケカバイロツルタケ等など。
 ざるの中は、収穫の一例です。ジコボウ、ムラサキシメジモドキ、クリタケ、ハツタケ、キクラゲ。
 次は、晩秋のキノコ。ムキタケ、エノキタケ、ヒラタケ、ムラサキシメジ。
 あれ松茸は?と思われた方もいるかも。松茸が高級キノコになったのは70年代ぐらいからですかね。なぜ? それは田舎でもプロパンガスが普及して焚き付けのための松林の松葉さらいをしなくなったからです。松茸は落ち葉が積もった栄養豊富な松林には出ません。昔は我が家の山にもたくさん出ました。まったく高級品ではなく普通のキノコでした。「匂い松茸味しめじ」という様に、父はウラベニホテイシメジやムラサキシメジの方が絶対に旨いと言っていました。ほぼ幻のホンシメジは、松茸の2倍以上の旨味がありますが、まず売られていません。晩年には、松茸ブームで他のキノコを雑キノコという風潮に激怒していました。加えて松枯れ病の蔓延でさらに松茸が稀少なものになりました。松枯れ病の原因はマツノマダラカミキリがもたらすマツノザイセンチュウといわれていますが、実際は2割でその他は排気ガスなのです。当ブログでも何度も記事にしています。そして空中散布のネオニコチノイド系農薬(ベトナム戦争の枯葉剤と同成分:ラウンドアップなど)がさらに追い打ちをかけて絶滅に追い込んでいます。農薬や殺虫剤は劇薬です。それを庶民は知ら無さ過ぎます。

 キノコ料理のオリジナルレシピを紹介します。料理の記事や料理本をたくさん作ったお陰で、オリジナルレシピ集も作りました。男の料理レシピ集「MORI MORI RECIPE」です。そこからキノコ料理のレシピをピックアップしてみました。材料が手に入ったら、作ってみてください。
 ◉「キノコうどん」。 色々なキノコを入れると旨味が増します。うどんは、もちろん地粉を手打ちで。
 ◉「ハナイグチの和風パスタ」。ぬめりがあるキノコは、なかなか洋風料理には向かないのですが、味付けを和風にすると結構いけます。
 ◉「タマゴタケのクリームパスタ」。このキノコは、和風出汁と相性がよくありません。帝王のキノコというように、バターやクリームとよく合います。スープにすると、黄金色のコンソメができます。

 ◉「アカヤマドリのプロヴァンス風オムレツ」。このキノコも和風より洋風が合います。エルブ・ド・プロヴァンス(ミックスハーブ)を使ってオムレツにしました。バターソテーやベーコン炒め、パスタやグラタン、シチューやカレーにも。
 ◉「ムキタケとポテトのグリル」。チーズをたっぷりかけてオーブンで焼くだけの簡単な料理です。牛乳で煮たジャガイモを使うのが、コクがあるのに軽やかな味になるコツですね。
 ◉「キノコのキッシュ」。アカモミタケをメインに、ムラサキシメジ、クリタケ、チャナメツムタケが入っています、アカモミタケは、油との相性がいいので、サラダ油かバターで炒めると食感がよくなり旨味も増します。天然キノコで作ったキッシュは、格別の味です。
 その他、天然キノコを使ったレシピを載せておきます。
 ◉「キノコすいとん」カボチャやニンジンを入れて熱々で、風邪の予防にも。小麦粉が決めてなので、ユメセイキやイガチクオレゴンなどの地粉を。
 ◉「ジコボウのおろし醤油」ダイコンは、生食用の青ダイコンを使いましたが、青首ダイコンや辛い地ダイコンでも美味。
 ◉「キノコ汁」天然のキノコから、甘く美味しい出汁が出るので、出汁は昆布のみです。甘みの乗った冬野菜と合わせて。
 ◉「エノキダケ入りきんぴらゴボウ」エノキダケが入ると旨味が増します。
 ◉「ブナハリタケ炊き込みご飯」柑橘系の香りがする美味しいキノコです。炊き込みご飯にすると松茸ご飯のような香りがします。
 ◉「マスタケのフライ」鶏肉のような食感で、なかなか美味しいキノコです。材料を調達するのが難しい、ディープなレシピです。
 ◉「エビとポルチーニのクリームパスタ」ジンでフランベするのが、私オリジナルのレシピです。キノコは日本のヤマドリタケモドキやシメジやマイタケなどでもOKです。
 信州の寒い冬には、びん詰にしたキノコを肴に熱燗で、シメに郷土料理の「おしぼりうどん」を食べるのがおすすめです。




『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。キノコのコラムも。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。

★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。
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金太郎伝説の大姥山へ。鎖場と絶景の北アルプス大パノラマを堪能した穏やかな秋日(妻女山里山通信)

2014-10-20 | アウトドア・ネイチャーフォト
 金太郎伝説のある大町市八坂(旧八坂村)の大姥山(1003m)に登りました。金太郎の出生地は五ヶ所ほどあるそうですが、この大姥山(おおうばやま・おおばやま)もそのひとつで、金時山ともいいます。標高が、1006.4mと1003mと書いてあるものがありますが、所謂アンテナと四阿のある山頂が1003mで、その600m西の三角点の場所(左右前山城跡)が1006.4mなのです。国土地理院の三角点は、必ずしも地元の人が昔から言う山頂にはないことがあるのです。北面はすぐ牧場があるほどなだらかなのに、南面は絶壁の対照的な地形が魅力の歴史ある里山です。

 国道19号線から県道469号線に入り、山姥の滝へ。滝の前の四阿のある空き地に駐車します。近くにはトイレと案内看板が。今回は、ループコースを組みました。山姥の滝から1キロほど下り(写真中)、旧八坂村の看板写真(写真左)の赤い矢印の遊歩道を登ります。ところが、ネットの検索でこの上上篭(かみあげろ)の遊歩道は廃道であることが分かりました。しかし、事前の下見で途中まで登ってみたところ、昔の農道の様でしっかりしていたので、地形図も見て大丈夫だろうとここを使うことにしました。廃屋のある脇を登ります(写真右)。入り口に祭りの幟旗を立てる石柱が2本あることから、昔はこの道も大姥神社への参道のひとつだったことが推測できます。

 ジグザグに登って行くと、小尾根に乗ります(写真左)。先の看板を見ると、旧道は畑地に沿って大きくくの字に曲がっているようですが、酷い草薮なので、構わず小尾根に取り付いて稜線を進むと、左手の畑地だったろう開けた場所から目指す大姥山の山頂が見えました(写真中)。更に進むと、檜林を経て薄暗い竹林に入りますが、登り口にあった様な石柱があり、道筋がはっきり分かるようになります。

 薄暗い竹林の道を抜けると、気持ちのいい山道。ここまで来ればもう迷うことはありません(写真左)。ほどなく大姥神社の参道に出ます(写真中)。とにかく、小尾根に取り付いたらその稜線から外れないことです。このループコースは、非常に魅力的なので、大町市は、この廃道になっている遊歩道を再生すべきだと思います。
 参道を登って行くと、まずトイレ。ついですぐに大姥神社の鳥居が見えてきます。その先には大姥神社(写真右)。登山道は、この裏に続いています。神社には、いつのものでしょう。花火を打ち上げたと思われる大筒が三つありました。

 神社の裏手を登って行くと、まず最初の鎖場(写真左)。鎖を使わず三点確保で登れる様な岩場です。ヤセ尾根を登って二番目の鎖場(写真中)。なにかの花粉症なのか鼻がつまり、私は呼吸が苦しくて困りました。先導は、ここを登ったことがあるKさんにお願いしました。ベンチで休憩。工程が短いので、急ぐとすぐ山頂だというので、楽しみつつゆっくり登ることにしました。

 三つ目の鎖場です(写真左)。岩場もですが、ヤセ尾根で両側共に急斜面なので、鎖場を越えても息が抜けません。標高が高くなるに連れて、紅葉がチラホラと。樹種は豊かです。漆の木が散見されます。

 逆光に透けるハウチワカエデ。山頂手前200mで、山姥が住んでいたという大穴との分岐。ここで小休止してザックをデポして大穴に向かいました。急斜面をトラバースする道ですが、ここが以外に厄介でした。道が細く、カラカラに乾いた枯れ葉が滑るのです。滑落したら恐らくただでは済まないでしょう。メンバーも、ここは改修した方がいいねと。最後に鎖場を登ると大穴です。砂岩洞でしょうか。足元は細かな砂です。天上には、水によって侵食されただろう穴がいくつも見られます。

 戻って最後の鎖場です。ここが一番急で大変かもしれません。昔の人が、岩にステップの刻みを入れてくれているので、それを上手く利用するのがいいでしょう。所々、赤松の根などを掴まないといけない所もありますが、大丈夫かどうか確かめるのと、全体重をかけないようにすることが肝心です。両側はとんでもない急斜面なので、慌てずゆっくり確実に登ることです。速く上手に登るより、確実に安全に登ること。そして、余裕があったら足元の自然にまで目を配る。今回もオケラやウルシ、ハウチワカエデ、コシアブラ、カツラの甘い芳香、ツルリンドウなどが、五感を楽しませてくれました。南面と北面で植生が異なるのも見逃せません。

 最後の鎖場を登って、アンテナが見えるとそこが山頂です。その山頂手前から東の展望(写真右)。左奥に飯縄山。右奥に根子岳と四阿山が見えます。中央奥は、志賀高原の山々。左の町は、信州新町。山頂からは、樹木が邪魔になって、この景色は見られません。

 山頂からは、丸い気象観測のアンテナがあるたらら山とその左奥へ続く幾つものアンテナのある聖山。手前は長野市大岡(旧大岡村)の山村。黄金色に輝く棚田が見えます。都会の人は、こんな山の中でよく生きていけるなと言いますが、本来山は豊かなのです。いずれ分かります。東京一極集中がいかに危険であるか。その日は、そう遠くありません。パンデミックとカタストロフィーに襲われるでしょう。真ん中の恐竜の背中の様な山塊は、GWに咲くヒカゲツツジで有名な京ヶ倉と大城です。この山も、鎖場あり、ミニ蟻の戸渡りありと、非常に魅力的な山です。そして白馬三山。

 雄大なパノラマを堪能しながら昼食です。私は鴨のパストラミと十穀クラッカーなどを持って行きました。N氏は得意の沖縄グルメ。ミミガー、ラフテー、島らっきょにジーマーミ豆腐。K氏はフリーズドライ食品で有名なアマノフーズのビーフシチューなど。風もなく穏やかな山頂で昼餉を楽しみました。山頂の空間放射線量は、0.04マイクロシーベルト。
 北アルプスは、まだ積雪は少なく、谷筋は靄っていましたが、槍ヶ岳の穂先がくっきりと見えました。左に大天井岳、右に燕岳。山頂にはTV局のアンテナがあるのですが、電磁波が凄まじく、コンパスが狂ってNが南を指していました。人口電磁波は放射線と同じく人体に非常に有害なのです。

山頂からの北アルプス方面のパノラマ。左に目をやると、中央アルプスも見えました、さらに左には美ヶ原の王ヶ頭。いつまで眺めていても見飽きません。
 帰路は大姥の散歩道へ。キノコ狩りをしたり、蝶の卵を探したり、廃屋探訪をしたり。のんびりと下りました。K氏は、ここで熊に遭遇しています。熊鈴は必携ですよ。途中、昔は養蚕をしていたと思われる立派な廃屋を見学して無事に山姥の滝へ帰還。その後、犀川沿いの「ふれあいセンターさざなみ」へ。トレッキングの疲れを癒やしました。眼下の犀川では、釣り人がニジマス釣り。穏やかな日だったので、川面ではカゲロウのスーパーハッチが見られました。入浴後はゆっくりと善光寺平へ、今回所要で参加できなかった可哀想な二人の待つ慰労会場へと向かったのでした。大姥山、高所恐怖症でない方なら、間違いなくおすすめの里山です。ただ単に登って面白い山ではなく、連綿と続く人々の歴史を感じられる奥深い里山です。さて、来週の日曜日は、中尾山-茶臼山ハイキングのインタープリターをします。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。大姥山は、ループコースを紹介しています。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

この大姥山トレッキングを、トレッキング・フォトレポートのMORIMORIKIDSにアップしました。大パノラマ写真が圧巻です

●ハイビジョンなのでYouTubeで見るをクリックしてフルスクリーンでご覧ください。


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10月26日(日)に、中尾山--茶臼山ハイキングが行われます。
受付:午前8時から
集合場所:黒き学園グランド(旧共和小学校校庭)
出発式:午前8時半から9時
出発:午前9時
中尾山--茶臼山の一本松コースと山麓アップルコースがあります。
私は一本松コースのインストラクターをします。昨年は100名ほどの参加でした。
交流会:正午から。恐竜公園内「童謡の森」昼食、ミニ公演、歌の後、解散となります。
◉お問い合わせ:026-292-6009(中尾山ハイキング実行委員会)

必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。

★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan
】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
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村上春樹さんノーベル賞騒動と、山栗ひろいと、柿酢作りの秋日(妻女山里山通信)

2014-10-13 | アウトドア・ネイチャーフォト
 先週末にかけては、ノーベル文学賞を村上春樹さんが取るかもということで、マスコミからの問い合わせや取材依頼が来て大変でした。村上春樹さんの国分寺のジャズ喫茶「ピーター・キャット」のことを綴った私のブログ『国分寺・国立70sグラフィティ』のアクセスが、例年よりもグンと増えたので、戦々恐々としていましたが、事前取材はテレビ一局のみだったので一安心。しかし、もし受賞していたら一ヶ月は取材申し込みが続きますよと、ある方に言われました。私自身、在京中はマスコミの仕事をしていたので分かりますが、その一ヶ月で終わるのであれば、早く受賞して欲しいと思うのですよ。
 取材は、一昨年とは別の局でしたが、同じ妻女山にしてもらいました。レポーターのお姉さんのパンツにヒッツキムシがたくさん付いて、思わず笑ってしまいました。椅子はこんなこともあろうかと、私がアウトドア用の折りたたみ椅子を二脚用意して、それを使ってもらいました。私自身業界人だったので、ついつい絵面を考えるのです。
 しかし、ダイナマイトのノーベル賞に、文学賞と平和賞は不要だと思うのです。毎年、極めて恣意的に政治的に利用されているのが明らかだからです。建築賞も芸術賞もないのだから、なくていいです。実際サルトルは受賞を辞退しました。物理学賞、化学賞、医学生理学賞の3部門だけでいいでしょう。イグノーベル賞の方がまだましです。春樹さんは、チェコの「フランツ・カフカ賞」、ドイツの「ウェルト(ヴェルト)文学賞」を受賞しているのですから、それで充分でしょう。ノーベル賞に最も近い経済学者と海外では評価の高い割に日本では、マスコミも経済学者も無視するために一般的にはほとんど知られていない東京大学名誉教授の宇沢弘文氏(故人)も、「日本は米国に搾取されている植民地である」と公然と主張していたために受賞できませんでした。結局、その程度の賞です。
村上春樹 未公開インタビュー「まじめで強い日本人には、原発をなくすことができる」。これは強烈です。必読。

 これ見てすぐに唐箕(とうみ)と分かる人がどれだけいるでしょう。唐と付くので中国由来の農具というのは想像がつくと思います。中国では風扇車と言うらしいです。日本には佐瀬与次右衛門の『会津農書』(1684年刊)で紹介されたのが最初だそうで、結構古くから使われていたんですね。これを十数年ぶりに引っ張り出しました。上から選別する豆を入れ。ファンを回してゴミを左へ飛ばし、豆は下の箕の中に落ちる仕掛けです。ブラジルのフェジョン・プレッタ(黒豆)を作ったので、その選別に使いました。この黒豆は、ブラジル料理では、有名なフェイジョアーダやブラジル人がほぼ毎日食べるフェジョンの煮込みに使います。ブラジル人のソウルフードと言っていいでしょう。私もブラジル放浪中は、ほとんど毎日食べていました。

 取材が終わった週末はキノコ狩り。台風18号の雨でキノコも出ただろうと思ったわけです。羽根つきの羽根の様なクサギの実。次はコムラサキの実。最後は帰化植物ですが、マルバフジバカマの純白の花です。他には薄紫のノコンギクやヤクシソウなども。そろそろ花の季節も終わりです。

 林下に咲く全草が猛毒のヤマトリカブト。ここは森の中の群生地で、辺り一面この花です。真ん中は積石塚古墳。渡来人のものと言われています。林道から外れた道もない森の中にあるので、知っている人は僅かです。訪れる人もいません。最後は直径1.5センチぐらいの信濃柿。豆柿ともいいます。この状態では渋柿なんですが、木になったまま干し柿になると、極甘になります。森の動物達の晩秋から初冬の重要な餌です。この豆柿を青いうちに採って水に浸けておくと柿渋ができます。

 キノコは全くありませんでした。毒キノコさえないのですから。雨が降っても以外に最高気温が高かったのが原因かもしれません。そこで最初の写真ですが、辺り一面山栗です。ほとんどは既に動物によって食べられています。ここの山栗は、特別に大きいのです。キノコは諦めて山栗を拾うことにしました。山栗は、ブランド栗より濃厚で美味です。これは栗ご飯にします。栗の渋皮に含まれるタンニンは、セシウムと結合しやすいので、放射能汚染には要注意です。

 私が某テレビ局からインタビューを受けた妻女山から西方の眺めです。中央に茶臼山が見えます。あの中腹に、レッサーパンダで有名な茶臼山動物園があります。この日は残念ながら北アルプスが望めませんでしたが、晴れていれば、白馬三山から仁科三山が見られます。右の畑は長芋畑なんですが、レポーターの女性は、水田と勘違いしていました。まもなく蔓焼きが始まります。昔は、燃やすとダイオキシンが出ると騒がれましたが、いまや比較にならないほど猛毒の放射性物質が日本中に飛散しました。

 上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる陣場平。草が枯れ始めました。猪が掘り返した跡があちこちにあります。今年の信州は、山栗やドングリが不作で熊に襲われる被害が頻発しています。真ん中は妻女山松代招魂社。戊辰戦争以降の戦没者を祀っています。現在はここを妻女山として地形図にも載っていますが、本来の地名は赤坂山です。昭和47年(1972)国土地理院地形図に、旧赤坂山を妻女山と誤って記載されてしまい、それが定着しました。ヤマザクラやソメイヨシノ、ヌルデの紅葉が始まりました。

 翌日、今度は畑にある鈴生りの柿で柿酢を仕込みました。念入りに剪定をし、根本に炭とキノコの培地をたっぷりと撒いたら豊作になりました。とても食べきれないので、柿酢を作ることにしました。柿もタンニンが豊富なので、汚染地のものは食べられません。特に干し柿は濃縮するので危険です。本当に厄介な時代になりました。無知であったり、安全性バイアスにかかっていると、犠牲になるのは我々です。人類は、原発=核とは共存できないのです。秋桜が揺れる信州の秋の嵐の前の静かな週末でした。さて台風19号は今夜信州を直撃です。大被害が出ないことを祈ります。

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★10月26日(日)に、中尾山--茶臼山ハイキングが行われます。
受付:午前8時から
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出発式:午前8時半から9時
出発:午前9時
中尾山--茶臼山の一本松コースと山麓アップルコースがあります。
私は一本松コースのインストラクターをします。昨年は100名ほどの参加でした。
交流会:正午から。恐竜公園内「童謡の森」昼食、ミニ公演、歌の後、解散となります。
◉お問い合わせ:026-292-6009(中尾山ハイキング実行委員会)

◆この度、「信州 山の日」制定に伴い、「信州 山の達人」の募集がありましたが、私がそのひとりに選ばれました。妻女山SDP(里山デザイン・プロジェクト)の活動や、ブログ「モリモリキッズ」や当サイトでの情報発信活動が、「独自性」「継続性」「有効性」「発信力」の観点から優れていると認められ、選考されたということです。今後も、里山保全活動や、里山インタープリター、ネイチャーフォトなどに力を入れていくつもりです。
妻女山SDPの活動記録は、■MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryのインデックスの妻女山SDPか当ブログ「モリモリキッズ」をご覧ください。

必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。

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シドニー五輪代表・鈴木雷太さんのバイクショップ「バイクランチ」探訪記(妻女山里山通信)

2014-10-08 | ジョブ
 とある用事で松本のバイクランチさんにお邪魔しました。R19と奈良井川に挟まれたシドニー五輪代表、ロンドン五輪のコーチとして活躍した知る人ぞ知る、鈴木雷太さんのバイクショップです。台風18号が抜けた松本盆地は、低く雲が垂れ込めて残念ながら北アルプスは見えませんでしたが、お店は平日にも関わらず次々とお客さんが訪れていました。バイクランチのキャッチフレーズは ”ハッピーライド&LOVEトレール”。私達の仕事は自転車販売業でなく、スポーツバイクライフ提案業だと考えています、という鈴木さんのコンセプトや人柄に惹かれて遠方からわざわざ訪れる人も多いのもうなずけます。スタッフのみなさんも、皆プロフェッショナルで、優しい人ばかりです。

 このお洒落な建物はイギリスのチューダー王朝様式(15~17世紀)の木造建築ですね。15世紀後半、建築用木材が高価になったことなどから材木のサイズが小さくなり、それぞれのパーツを近くに置きながら家を建てるようになったことから生まれた建築様式です。縦に連続する黒い柱と漆喰の白のコントラストがなんとも美しい。ショップの外にもバイクが飾られていて、国道を走っていても非常に目立ちます。

 ずらっと並んだMTB。私の大注目は、ファットバイクです。写真でも分かるように、今までのマウンテンバイクと比べると、タイヤの太さが尋常ではありません。しかし、この太いタイヤが得も言われぬ心地よい乗車感を生み出すのです。それは「浮遊感」と言えばいいでしょうか。ファットバイクが生まれたのは、冬にもなると大雪が降り積もるアメリカ北部のミネソタ州。オフシーズンの冬でもバイクに乗りたいということで生まれたんですが、春夏秋も楽しいバイクです。つまり一年中楽しめるバイク。昨冬は、妻女山でもこのタイヤ痕を見つけました。写真のモデルは、スペシャライズドFATBOY。欲しいです。

 もちろん、ロードバイクやクロスバイクもたくさんあります。初心者のかたは、経験豊富なスタッフに相談するといいですよ。真ん中は、ビアンキのミニベロ(小径車)。お洒落ですね。タウンユースやちょっとしたポタリングに最適。前に籐籠や後ろに皮のサドルバッグなんか付けて乗りたいですね。私は30年も前のビアンキのクロモリのMTBに乗っているのですが、愛着があり手放せません。お店にはキッズ用の可愛い自転車もあります。

 お店の奥にはカウンターがあり、その奥のメカニックブースではスタッフ(プロメカニック)の方が、バイクのメンテナンスをしています。しっかりしたサポートがあると安心です。一番右は、長男が学生時代に鈴木さんにプレゼントした鈴木雷太さんプロデュースのMTBフレーム「INSPIRAIL」で作ったペーパークラフト。その製作過程はこちらをご覧ください。彼が乗っていたアラヤの曲がってしまったフォークを直していただいたのがきっかけでした。

 ヘルメットやウェア、アクセサリー類、サングラス、シューズも豊富です。それにしても私がプジョーのロードレーサーに乗っていた昔と比べるとカラフルでデザインもいいですね。隔世の感がします。最近は女性のライダーもよく見かけますしね。バイクランチは、女性や初心者でも入りやすいお店だと思います。自転車は環境にいいし、健康的だし、でもママチャリじゃお洒落じゃないし腰が痛いし、なんかいい自転車ないかなという方は、ぜひ一度訪れてみてください。年齢は関係ありません。いくつからでも始められます。

 ウッディでアンティークな香りが漂う店内は、ちょっとバイクショップとは思えないほど。居心地がいい空間です。ライドイベントや試乗会もよく行われています。

 お店の後ろは奈良井川沿いに、プロムナードの様なロードがあります。この道を川沿いにぐるっと一周1.6キロの試乗ができるそうです。晴れた日には北アルプスも見える最高の環境です。
 後ろ髪引かれつつお店を後にして403号線へ。以前から寄りたいと思っていた旧篠ノ井線の跡地へ。ここは現在遊歩道として整備されています。自転車・バイク・車は禁止ですが、ここを一日だけ開放してサイクリングをしたら楽しいでしょうね。真ん中の写真は、潮沢信号場跡で、スイッチバック式の信号場がありました。昭和47年に、ここの老人たちが善光寺と戸隠神社に参拝するために、特別に列車を停めてもらったという看板がありました。この旧篠ノ井線の開業は、1902年(明治35年)6月15日 で、廃止は1988年(昭和63年)9月10日です。私も学生の頃、ここを普通列車に乗って通った記憶があります。
旧国鉄篠ノ井線廃線敷遊歩道

 あちこち立ち寄って猿ヶ馬場峠の聖湖に着いた頃には、かなり薄暗くなっていました。ここもヒルクライムで、サイクリストがよく登って来る場所です。ここから南東へ498号線を行けば、冠着山(姨捨山)を巻いて戸倉上山田温泉街へ下りることもできますし、北西に別荘地の中を登り、三和峠を超えると旧大岡村経由でR19に出ることも可能です(ちょっと長いですが北アルプスの絶景が)。私も千曲川の土手を、愛車の古いビアンキのMTBでポタリングしますが、つくづく信州は、サイクリストの天国だなと思います。長野電鉄屋代線跡地がサイクリングロードとして生まれ変わるそうですが、私は隣接の里山はバリルート含めほとんど登っていますので、このサイクリングロードを起点として歴史探索や自然探索のヒルクライム・ルートの開発を提案してみようと思っています。
(お店の取材は、鈴木雷太さんの許可を得て行ったものです)

”ハッピーライド&LOVEトレール” 入門者を手厚くサポートする鈴木雷太さんのバイクショップ|cyclowired.jp
鈴木雷太さんがプロデュースするスペシャライズドプレゼンツ『アルプスあづみのセンチュリーライド

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★10月26日(日)に、中尾山--茶臼山ハイキングが行われます。
受付:午前8時から
集合場所:黒き学園グランド(旧共和小学校校庭)
出発式:午前8時半から9時
出発:午前9時
中尾山--茶臼山の一本松コースと山麓アップルコースがあります。
私は一本松コースのインストラクターをします。昨年は100名ほどの参加でした。
交流会:正午から。恐竜公園内「童謡の森」昼食、ミニ公演、歌の後、解散となります。
◉お問い合わせ:026-292-6009(中尾山ハイキング実行委員会)


◆この度、「信州 山の日」制定に伴い、「信州 山の達人」の募集がありましたが、私がそのひとりに選ばれました。妻女山SDP(里山デザイン・プロジェクト)の活動や、ブログ「モリモリキッズ」や当サイトでの情報発信活動が、「独自性」「継続性」「有効性」「発信力」の観点から優れていると認められ、選考されたということです。今後も、里山保全活動や、里山インタープリター、ネイチャーフォトなどに力を入れていくつもりです。
妻女山SDPの活動記録は、■MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryのインデックスの妻女山SDPか当ブログ「モリモリキッズ」をご覧ください。

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★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。


■『国分寺・国立70Sグラフィティ』春樹さんと本と学生時代に読んだ本について。僕は自転車と雑学が好きだった。村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の想い出。彼のカタルーニャ・スピーチは必見。日本を滅亡に導いた者達。最新の記事『秋に似合うジャズ』もアップしました。
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10月26日(日)の中尾山--茶臼山ハイキングの下見に。黄金色の棚田で見つけた信州の秋(妻女山里山通信)

2014-10-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今年も、中尾山--茶臼山ハイキングのインタープリター(インストラクター)をします。今回はその下見に茶臼山の尾根を歩いてみました。

 その前に、午前中は妻女山山系の奥へキノコの様子を見に行ったのですが、とにかく雨が降らないので山はカラカラ。毒キノコさえ出ていませんでした。諦めて、昨年急逝した山仲間のKさんのログハウスに立ち寄ると、煙が。Kさんの弟さんが伐倒して玉切りした落葉松の処理をしていました。しばらく色々なことを話しました。ログハウスからは、いつもの様に眼下に千曲川と、遥かに北アルプスの黒いシルエット。初冠雪が来る前の今の時期が、最も雪が少ないのです。急逝した彼と、薪ストーブにあたりながら、この風景を何度見たことでしょうか。弟さんとはもちろん、御嶽山の話も。それについては、ツイッターで発信していますのでそちらで。あらゆる天災は、常に人災を含むものです。亡くなられた方々には、心よりご冥福を申し上げます。

 次に山を下り、千曲川を渡って茶臼山へ。朝そそくさと作ってきた紅鮭弁当(紅鮭の塩焼き、自家製丸茄子の辛子漬け、自家製奈良漬け、海苔)を食べてから茶臼山へ。アルプス展望台へ。北アルプスは稜線が雲の中に隠れてしまいました。景色だけ見ると、まだ紅葉は少なく夏の様ですが、吹き抜ける風は乾いていて爽涼です。ここからは御嶽山は見えませんが、御嶽講はこの地にもあり、松代の奇妙山の崖上には、御岳の方を向いた神官像が奉納されています

 樹間に見える神話の山・虫倉山。望遠で撮るとそのモコモコした山容がはっきりと分かります。眼下の棚田では、稲刈りが終わった水田も見られます。私もスナップエンドウの栽培のために、親戚へ藁をもらいに行かなければなりません。籾殻で作るくん炭も毎年作っていたのですが、今年は忙しいので有機石灰と一緒に買いました。キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜、赤カブと聖護院カブ、ネギの種を蒔いて。大根は総太りと全部緑の中国青大根と美味しいおむすびっしゅ大根。辛味大根は、戸隠地大根灰原辛味大根ねずみ大根信州地大根の4種類の伝統野菜。奥多摩の伝統野菜野良坊菜と大玉ニンニクも植えました。仕事の合間にやるので大変です。

 妻女山SDPの仲間も参加して作った新しい展望台。上とは反対側の善光寺平が見えます。眼下にはお見合い露天風呂で有名な中尾山温泉の松仙閣や老人ホームの豊寿苑が見えます。奥にはホワイトリングも。昔は田畑に囲まれて集落が点在していたのですが、今は皆繋がってしまって、どこがどこだかすぐには分からなくなりました。

 茶臼山は、稜線に乗ってしまえば登山道はほとんど平らです。いわゆる西山地域の一番東になります。標高730mなんですが、妻女山山系より北の植物が繁茂しています。理由は、善光寺平を飯山方面から吹き付ける寒風が当たるためです。そのため妻女山山系では、800m以上にいかないとないような樹種が見られます。特にカエデの種類が豊富です。
 左はミネカエデの一種か。標高が低いのでナンゴクミネカエデでしょうか。真ん中はウリカエデかな。木肌もそんな感じでした。他にはウリハダカエデ、ハウチワカエデ、オオモミジ、イタヤカエデもあったでしょうか。右はコシアブラです。妻女山山系では、コシアブラは標高800mぐらいにならないと自生していません。

 秋の花、ワレモコウ(吾亦紅)にアキアカネが留まっていました。吾亦紅が秋風に揺れる様は、なんとも言えない趣と寂寥感があります。「吾亦紅 さし出て花の つもりかな」小林一茶。確かにワレモコウは、これ花なのかなと思いますね。一茶はいいところ突いています。「吾も亦(また) 紅(くれない)なりと ひそやかに」高浜虚子。密やかに。いい句ですね。真ん中はコウゾリナ(顔剃菜、剃刀菜)。面白い名前は、その茎などにある剛毛に由来します。右はシラネセンキュウで吸蜜するシロテンハナムグリ。

 陽だまりにオオカマキリ(大鎌斬)がたくさんいました。緑色のものや茶褐色のもの、両方が混じったものと個体変異が大きいのも特徴です。手で簡単に捕まえられますが、睨みます。気性はなかなか荒いのです。真ん中は、繁茂するとなかなか厄介なヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)。ヤマゴボウというので食べられると思いがちですが、毒草です。日当たりの良い草地にコスモス(秋桜)が揺れていました。『秋桜』というと、山口百恵さんの歌を思い出します。『いい日旅立ち』。これが流行っていた当時は、ジャズやロックばかり聴いていて、特にファンでもなかったのですが。いい歌はやはりいいですね。

 これはノコンギクかな。吸蜜するのは、キンケハラナガツチバチのメスです。真ん中はヤクシソウ(薬師草)。右はイヌタデ(犬蓼)。辛味も風味もないので蓼酢にはなりません。この後、茶臼山では珍しくハナイグチが採れました。茶臼山には落葉松林がないので、採れる時候坊はヌメリイグチなのですが、4本だけ落葉松がある場所があり、そこで採れました。

 黄金色に輝く棚田から見る虫倉山。森の向こう側の下の田んぼでは、コンバインで稲を刈る音がしていました。棚田の畦(あぜ)には、写真のような野草が咲き乱れています。アキアカネが音もなく飛び交っていました。

 帰りに旗塚の駐車場から見る妻女山方面。ちょうど中央手前に妻女山とすぐ奥に象山が重なっています。両尾根を右へたどった先が鏡台山。象山の奥にプリン型の皆神山。左へ御嶽講の神官像のある奇妙山で、その奥には雲に隠れて四阿山。

 山を下りて、千曲市の健康プラザへひと汗流しに。はぜ掛けされた稲の向こうに登った茶臼山が見えます。その奥は陣場平山。

★10月26日(日)に、中尾山--茶臼山ハイキングが行われます。
受付:午前8時から
集合場所:黒き学園グランド(旧共和小学校校庭)
出発式:午前8時半から9時
出発:午前9時
中尾山--茶臼山の一本松コースと山麓アップルコースがあります。
私は一本松コースのインストラクターをします。昨年、一本松コースは100名ほどの参加でした。当日参加も可能です。
交流会:正午から。恐竜公園内「童謡の森」昼食、ミニ公演、歌の後、解散となります。
◉お問い合わせ:026-292-6009(中尾山ハイキング実行委員会)


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必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。

★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
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