太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

手放す

2023-02-25 15:06:16 | 絵とか、いろいろ
絵を売り始めた頃、オリジナル作品を手放すことに抵抗があった。
100時間以上もかけて作る過程で、作品に対して愛着がわいてしまう。
しかし、少しずつ、その気持ちを乗り越えて手放してきた。
絵の具を使った絵ならば、同じような作品を再び作ることができるかもしれないが、染めた紙で作るコラージュは、同じ紙は2枚とてないので、似たようなものはできても、同じものは2度と作れない。
だから、これを手放したらもう二度と会えない、などと感傷的になってしまうのだ。

ありがたいことに、ギャラリーに置けば、誰かが買ってくださる。
家で飾る場所にも限りはあり、殆どは屋根裏で寝かせてあるだけ。
そう思って、いくつも手放してきたのだが、それでもどうしても残しておきたいものが、いくつかある。

先日、そのうちの一つを欲しい、というお客様がいるとギャラリーから連絡があった。
少し逡巡したあと、父のアトリエが頭に浮かび、さらにそれが私の好きなラティーシャのお客様だったこともあり、売る決心をした。


父が亡くなったあと、油絵のキャンバスで埋め尽くされたアトリエを見て、姉と呆然とした。
父はアマチュアの油絵画家で、作品を売るのはチャリティの展覧会のみだった。
60年も絵を描いていたのだから、その数は膨大なもの。
それを見て、私はしみじみ思ったのだ。
いくら私にとって思い入れがあっても、その私が死んだらただの絵。
だから、潔く手放していこう、と。

今回売ることにしたのは、うちの近所にあるハイク ガーデン。

ハレイワジョーズというレストランの席から眺めるこの景色が大好きで、
ふと思い立って作ってみた。


手放したくないからと溜め込んで、いつかゴミになってしまうよりも、
欲しいと思ってくれる人の家で可愛がってもらえたらそのほうがいい。
この作品はなくなっても、また新たに好きな作品を創ればいいのだ。
今朝、ギャラリーに作品を置いてきた。
娘をオヨメに出す親の気持ちに、これは似たところがあるのかな。









紙を染める二人のワークショップ

2023-01-09 17:05:57 | 絵とか、いろいろ
ジュディスと二人で、コラージュに使う紙を染めた。

コラージュ仲間が年に1度集まって全員で染めるワークショップは、パンデミックを境に途切れた。
準備も場所の確保も大変なので、できればワークショップに参加するのが楽なのだが、いつ開かれるかわからないし、私たちだけでやってみよう、ということになったのが2年前。

だから、二人のワークショップは今回は2回目。
前回に使い残した絵の具もあり、新たに使いたい色や消耗品などを改めて揃えた。
場所はジュディスの家のガレージ



染める紙は、包装用の白いティッシュのラッピングペーパー。
染めた紙は、新聞用の紙にはさんで水気を吸い取らせる。
水を張ったバットに、布を染める用の染料を溶かし、その上にリンスシードオイルとテレピン油に溶かした油絵具を足し、ベビーオイルで色を浮かせる。
色を足してゆくと、思いがけないおもしろい色や模様が出てくる。

9時半から始めて、休憩をとって4時間。
2人でやるメリットは、自分が欲しい色をいくらでも染められること。
みんなで染めると、欲しくない色もたくさんできてしまうし、もっとこの色が欲しい、ということもできない。

家に帰って、染めた紙を乾かす。

今回は40枚ぐらいだけど、全員でやるワークショップだと100枚以上あって、乾かす場所に困る。

わかりにくいけど、広げるたところ。上側にティッシュペーパーがある。
色が移った新聞用の紙も、創作に使えるのでとっておく。
今回は、ジュディスが欲しかった黄色系と、私が欲しかった青と緑系に絞って染めた。

こういう作業は童心にかえる。
とりとめのない話をし、けたけたと笑いながら染めてゆく。
そのあとで食べたサンドウィッチの美味しかったこと。

「ねえ、私たち、もう何年こうして会ってる?」

「ちょっと調べてみるね。んーと・・・・え・・2012年だってよ!!」

タブレットに入っている昔の写真を探していたジュディスが見せてくれたのは、私が最初に参加したワークショップ。

「うわー・・・私、若いわぁー・・・・」

自分ではそれほど変わっていないつもりが、現実は厳しい。すごい若くみえる私がそこにいた。

「11年前だもん、そりゃいくらか若いわヨ」

私はそこで初めてジュディスに出会い、意気投合し、家が近かったこともあって、月に1度会うようになったのだった。
一緒にいて楽で、なんでも話せて、会うのが待ち遠しいと思う友達に出会うのは奇跡に近いと思っている。
まして、人種も言葉も違う相手ならなおさら。

「あなたがいてくれてよかった」

こんなことがさらりと言えてしまう英語という言語は、すごい。







お祝い

2022-10-09 07:58:04 | 絵とか、いろいろ
友人の出産祝いに、コラージュを送ることにした。
彼女は4年前に、私にコラージュのオーダーをしてくれたのがきっかけで友達になった。
友人が生んだ赤ちゃんが、生まれて間もなく亡くなってしまい、そのメモリアルに数多くのアーティストの中から私を選んでくれたのだ。

そして先月、無事に生まれたという知らせがきた。
彼ら夫婦がどれだけ子供を望んでいたか知っている私は、ほんとうに嬉しかった。
どうなるかわからないから、と言って、生まれる直前まで妊娠していることは家族以外には話していなかったという。
実はあと少しで生まれるんだよ、というお知らせをもらってから、私は彼女にコラージュを作り始めた。
モチーフはすぐに決まった。
いつだったか、彼女がうちに遊びに来た時に、置いてあった作品を見て、
「これもギャラリーに持っていくんだよねぇー」
と言い、しばらく眺めていた。
きっとその作品が気に入ったのだと思ったので、同じモチーフで、新たに作り直したのだ。

「Curiosity」

たまたま買ってあった、六角形のキャンバスがちょうどよかった。
猫はうちのチーズケーキがモデル。
小品だけど、他にも作成しているものもあって、案外時間がかかってしまった。


生まれたのが、9月の初旬。
母子ともに健康!というメールに、落ち着いたら写真を送ってね、と返信して、それっきり。
どうしたのかな、と思いつつ、電話やメールができないでいる。
なにしろ四十代の高齢出産。
四十代で元気に出産して子育てしている人はたくさんいる。
ただ忙しくしているのならいいけれど、体調を崩しているとか、つい悪いことを想像してしまうと、
「元気?どうしてるー?」
と、聞くことがどうしてもできない。
だから、これはきれいに包装して、自宅に郵送することにした。

赤ちゃんの部屋の隅に、飾ってくれるといいな。



ワイマナロビーチ

2022-06-01 07:40:08 | 絵とか、いろいろ
ブログではずいぶん作品をアップしていない。
夫の叔父叔母からのコミッション(顧客からオーダーされるもの)が、このたび半年あまりかけて完成した。
依頼されたのがクリスマス前で、それに取り掛かりながら、ギャラリーに収める作品も作っていたので、半年もかかってしまった。
本来ならコミッション作品は顧客のものになるので、一般に公開したりコピーを作ったりはしないのだけど、叔父叔母なのでブログ公開ならいいと思う。

ワイマナロビーチ

キャンバス2枚でひとつの作品。
1枚のキャンバスは、縦が120センチ、横が60センチぐらいで、かなり大きい。
向こうに見える島はラビットアイランド。
ビーチの樹はアイアンウッドで、松の葉のように細い葉がたっぷりと茂り、叔母が好きな樹だ。
右側手前の樹は、荷紐を細かく解いて1本ずつ貼り付けてある。
遠くに見える樹も、葉は1枚ずつ、染めた紙でできている。

旅行に行く前に仕上げたいと思っていたから、間に合ってよかった。
叔父叔母はとても気に入ってくれて、それもよかった。




NCISハワイ

2021-06-23 08:22:17 | 絵とか、いろいろ
アメリカのテレビ番組 NCIS シリーズをご存じだろうか。
15年以上も続いているシリーズで、今年、NCIS Hawaii が始まる。
最近、フィルムを撮り始めたところらしい。

私の作品をおいているギャラリーからメールが来た。

なんと!

私の作品が、NCISのドラマの中の、レギュラーセットとして使われる

というのだ。


エンジェルス トランペット 

このオリジナルは、別のギャラリーで既に売れてしまい、
連絡が来たギャラリーには、キャンバスにコピーしたものを置いていたから、
ドラマの中で使われるのは、そっちだと思う。
関係者の誰かがそれを買って、その使用許可を得るために連絡してきたのだ。

たぶんドラマは9月ごろから始まると思う。
ドラマはほとんど見たことがなかったけど、これは見なくては!!!
あー、なんか、ドキドキする!!