太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

天使に出会った実話 3

2023-05-04 07:10:47 | 天使に出会った実話
Carmel Reilly著『True Tales of Angel Encounters』より


ケビン(44) バリー イングランド

僕は、インターネットのチャットルーム中毒だった。家の書斎で、1日に何時間も、夜中まで見知らぬ人々との会話に夢中になっていた。たまに性的なものもあった。
僕はそれを妻には内緒にしていて、いかにも仕事をしているかのように取り繕っていた。妻は私が家に大量の仕事を持ち込みすぎると思っていたようだ。

僕は自分のしていることに気づいていたが、深刻になるのには少し時間がかかった。10代の頃、ギャンブルにはまっていたことがあったけれど、これはそれとは違う、借金を作るわけでもなし、無害だとどこかで自分に言い訳をしていたのだ。

ある夜、僕はベッドに入ってから「仕事のメールを1本送るのを忘れてた」とか何とかごまかして、書斎に行った。
コンピューターの電源を入れて、椅子に座ったら、途端にこんなことをしている自分がどうしようもなく情けなく思えてきた。自分は愚かで、クズだ。
そして頭の中で、「誰か助けてくれ!!!」と祈った。

そのとき、不思議なことが起こった。
部屋全体がなんともいえない雰囲気に満たされて、暖かさを感じ、ローズウォーターのようなとても良い香りがした。天使がここにいる、と確信した。
僕は再び、自分の行いに対してものすごい後悔の念に襲われた。
そして、姿は見えないが確かにここにいる天使が自分を見つめていて、その表情が悲しく、僕を咎めるような辛辣さがあることを、痛いほど体中で感じた。
僕はいたたまれなくなって、号泣した。

その瞬間、僕は壁を乗り越えたと思う。
僕は泣くのをやめ、コンピューターの電源を引き抜き、天使の気配が消えるまでずっと椅子に座っていた。
しならくして、僕は自分がどんなに自身と、この結婚を危機に晒していたかを知った。
翌日、僕は妻に、コンピューターにトラブルがあったので修理に出す、と嘘を言い、実際修理に出して中身をすべてクリアにしてもらった。
戻って来たコンピューターは、寝室のドアの外の廊下に設置し、どんな隠し事もできないようにした。

興味深いのは、僕が窮地に陥っているのを知りつつ何もしなかった間は何も起こらず、僕が心から助けを求めた時に手がさしのべられたということだ。
助けを懇願するまで到達しないとならなかったのか、助けを呼ばないと天使は手助けをできないことになっているのか、それはわからないけれど、とにかく中毒を乗り越えて、今はとても良い気分でいる。














天使に出会った実話 2

2023-05-02 07:42:29 | 天使に出会った実話
Carmel Reilly著『True Tales of Angel Encounters』より

レイラ(55) コペンハーゲン デンマーク

私は老人ホームに勤務していて、過去に2回、天使に出会ったことがある。
最初は、ある老婦人が亡くなったとき。彼女は眠っている間に穏やかに息を引き取り、連絡を受けた息子とその妻がこちらに向かっているところだった。
様子を見に彼女の部屋に行くと、女性がベッドの脇に立って、手のひらを老婦人の額に当てていた。部屋は神々しいような光に満ちていて、私は思わず「すみません」と言ってドアを閉めた。きっと息子の妻が、予定より早くに到着したのだと思った。
しばらくドアの外に立っていると、そこに息子とその妻が慌ててやって来た。
3人で部屋に入ると、さっきまでいた女性は消えていた。私はずっとドアの前におり、誰も出てはこなかったのに。

2回目は、ある男性が入居してきたとき。
彼はアルツハイマー病を患っており、暴言を吐いたりして手に負えなくなった家族が、彼を連れてきたのだった。
彼は攻撃的で、常に何かにいら立っていて、とてもケアが難しい相手だった。
ある時、私は定期的にやっている部屋の見回りをしていたら、部屋にいるはずの彼がいなかった。
他の入居者が、彼が外に出て行くのを見たと言うので、外に出てみた。
すると彼は、両側を若い男性と、彼と同じぐらいの年齢の女性にはさまれて、芝生の上をゆっくりと歩いていた。彼は女性の手を握っていた。
私は彼らのあとをついて行き、彼らが建物の角を曲がり、私も角を曲がったところ、そこには彼一人だけがいて、若い男性と女性は煙のように消えていた。
建物は壁だけが続いていて、どこにも隠れる場所はない。
彼は、私がそれまで見たこともないほどに穏やかで、機嫌がよく、私に話しかけてきた。
今、妻と会っていたんだ、と彼は言った。
若い男性が妻を連れてきてくれて、1時間ほど話をしたんだ、と。
そして、いくつか奥さんとの良い思い出を語ってくれ、どんなに幸せな結婚生活かを話してくれた。
その時の彼はまったく普通で、アルツハイマー病などではなかった。
私たちは15分ほど、そこで立ち話をし、彼は部屋に戻っていった。
その夜、彼は脳梗塞でこの世を去った。
そのあとで、彼の妻が10年前に他界していたことを知った。
私は、彼の死を知っている天使が、妻と会わせてくれたのだと思う。そして、彼の死のあとも、妻と会えるように手配してくれたと信じている。
彼が今どこにいるにしろ、愛する妻と一緒にいて幸せに違いない。







天使に出会った実話 1

2023-04-30 07:36:39 | 天使に出会った実話
Carmel Reilly著『True Tales of Angel Encounters』より

ピーター(43)アムステルダム オランダ

僕が8歳の時、扁桃腺を摘出する手術を受けねばならなくなった。
ある日の夕方、両親は僕を病院に連れて行った。ベッドに寝かせると、付き添いは夜は残れないけれど、看護師さんたちがいるから安心してお休みと言い残して出て行った。僕はどこが痛いわけでもないし、外はまだ明るいし、ひとり部屋に残されて不安になった。
みんなとても親切にしてくれたけれど、僕はとにかく怖くて不安でたまらなかった。
夜になり、看護師が病室の明かりを消したあと、ちょうど僕ぐらいの年齢の男の子がベッドの脇までやってきて、扁桃腺を取るのかい?と聞いてきた。
僕がそうだと答えると、少年は、実は自分も二日前に同じ手術をしたんだと言う。
僕が、痛かったかどうか聞くと、
「その時は全然痛くないよ、眠っている間に済ませちゃうからね、でも手術のあと、ほんの少しだけ痛かったかな」
と言った。
「でもね、そんなの何てことないさ。だって食べたいだけアイスクリームを食べることができるんだからさ」
そして少年が手のひらを僕の額にそっと当てると、みるみるうちに僕の気分はよくなって、手術の不安がほとんど消え去った。
その行為は、普通その年齢の子供には似合わない不自然なことだけれど、彼の手のひらはひんやりと心地よく冷たくて、本当に気持ちがよかった。

いつのまにか僕は眠っていて、気づいたら朝になっていた。手術が始まり、さらに気が付いたら手術は終わっていた。針金の塊を飲み込んだような感触が喉にあった。
そこに、昨夜の少年がやってきて言った。
「もうアイスクリームは食べたかい?」
僕は答えようとしたけど、うまく声が出なかったので、首を横に振った。
「君が何か食べられるか、聞いてくるよ」そう言って、今度は手のひらを僕の喉に当てた。
何か冷たいものが喉の中を通っていく感覚があって、それまであったひりつくような痛みが消えた。彼は看護師を探しに部屋を出て、それきり戻ってはこなかったが、僕はアイスクリームにありつくことができた。
退院する前に、彼に一目会いたいと思って看護師に聞いてみたら、三日前にそういう手術をした子供はいないと言う。
彼は僕を安心させるために来た天使だったと信じている。
そしてそれ以来、今でも、僕が必要なときは必ず天使が来てくれると固く信じている。