Viedel/KukiHairDesign/ヴィーデル/クキヘアデザイン 四条烏丸 美容室

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コクリコ坂

2011-07-20 07:46:47 | 映画
規律にのっとった正確なテンポの朝が始まりを告げ、ヒロインの気持ちのイイぐらいに、てきぱきとした動きから昭和38年頃の「時代に謙虚」な暮らしぶりが立ち現れる。
ゆっくりと船が行き来する港を見下ろす丘で、高2のヒロインは毎日、海を行く船、全てに対して安全を案じ信号旗を揚げている。
それは、船乗りだった父を海で亡くしたことから、思いをこめての行動であり、一つ年上の少年との出会いを生むきっかけともなる。
この映画には多くの軸がある。
少年少女のロマンスを阻む出生の秘密、高校文化部の老朽化した建物“カルチェラタン”の取り壊しを阻止する学園闘争、父や母との幼少の頃の思い出、そしてほのかな恋愛。
父親である宮崎駿の企画・脚本による古めかしい枠組みに困惑しつつも、息子の宮崎吾朗監督は「坂」のある街の「高低差」を生かし、それをテンポとして取り入れて見せる。
恋の駆け引きには時代を反映してか、複雑さは一切無い。
それは時代感覚を際立たせるが、アニメーションならではの実写には有る気持ちの良さへは至らない。
普通に見た目は、希望のあった時代のポジティブな青春のシーンだ。
ただ港という舞台には、少女の生い立ちに関わる朝鮮戦争の記憶が込められた。
最愛の父の命を奪った人間の特需の時代が、現代日本の起源でもあるという複雑に絡んだ構造が示す意味合いに富んでいる。
勝手に考えた....
コレは監督自身が生きて来た時代でも何者でもない。
しかし、努力して描こうとしている屈曲が伺える。
当然、戦前生まれが描く団塊世代の青春は「父/宮崎駿」の時代であり、そこから監督の何?を読み取るべきか。
闘争のゆくえを握る学園理事長の容姿と言動は、ジブリ創設者・徳間康快そのもの。
劇中のカルチェラタンとは「ジブリ」であり、いまだなお、父と言う存在の中で、自分を確立させる為に彷徨っている、本作品の監督の自分の居所探しかもしれない。
スーパースターの子息も、スーパースターには必ずといってよいほどなりえない。
が、本作品の監督としては歩むしかない道筋に入ってしまった。
ただ息子としては立ち向かいたいが、父としては厳しくもしながらも迎え入れているのだろうと思う。
いわば初めての共作になったのではないか。

こんな事を言いながらも、実は僕は初めて「ジブリ」作品を見た。
今まで「ジブリ」なんて興味が無かったのだ。
でも、また見ないと思う。
僕の中ではそんな位置づけのアニメーションです。
そして共感を得られるにおいがしなかった。