「どうして神様は人間たちに先ず”若さと美しさ”を最初に与え、そして奪っていくのでしょう」
西洋古典文学か何かの引用か? こんな劇中の台詞が、耳に残っている。
確かに....「美」を仕事とする者にっては切っても切れない因果関係。
しかし決して「若さ=美」では無い現実も有る、「経験値、鍛錬、自身=美」と言う図式も成り立つ。
それが年齢を重ねてからの「美」ナンだと思う。
監督である蜷川実花の絢爛と、全くその細部に嘘がないポップの筆致で増幅され、沢尻エリカという女優のパワーで大きなトルネードとなって、現在にすがり付いて生きている我々をも突き飛ばす。
はっきり言って、この原作漫画はバブルの忘れ形見な20年も経とうかという話。
しかし時代錯誤どころか、東北大地震を経験して、飽食の時代に突入した2012年の今にこそ公開されるべき多くの要素を含んでいる様に思える程に現代にマッチした。
若さと美の状態を引き延ばすLiLiCoの欲望は、大金を積まなくても、進化した化粧品で一般化されているし、ひと昔前は芸能人や我々ヘアメークのプロスペックだった”「つけま」つ毛”は、今や、女子高校生の必須アイテム。¥100ショップで手軽に購入できる。
美容整形のタブー感もマスメディアでのプログラムで加速度的に払拭されて、今や変貌を遂げることが...美魔女が...賞賛を浴びる時代なんだ。
おまけにそれを手に入れても、ひと時の快楽を手に入れただけに過ぎず、欲望はエスカレートし、全く満足できないし幸せでない、というLiLiCoの”境地”までをも、今の女性たちは体感しているのではないか?
沢尻エリカのキャスティングは、彼女のスキャンダラスな生き様と若さと美のエクストリームなあり方の一致から、これはもう、言うこと無しだろう。
スクリーンでの沢尻の演技と存在は、過去からすでに注目されていた才能が、見事に開花したかのようなとんでもなく素晴らしい出来であり、劇中の大写しのLiLiCoの叫びと涙は、まんま観客の女性たちの心の闇が現出したよう。
最近の映画で、そこまでの主演女優の「メディア性」を出し得た作品はなかったのではないか。
もしくは、虚像に塗られた生活こそが芸能人たるゆえんの生き方なのかもしれない。
奴隷のように扱われるが、M女の暗い支配性をかいま見させる付き人役の寺島しのぶ、いつもの桃井節が役柄に今回はバッチリ当たった桃井かおりなど、冷徹な女医を言葉少なげに演じる原田美枝子、女優脇役の名演も作品に力を与えている。
2012年というフリークな現実を生きる女性の叫びと涙、それを感じ取れるのではないでしょうか...
そして映像がやはり写真作家だけに美しかった。
ボクとしては27,8年ぶりに戸川純の「ムシの女」ヨハン・パッフェルベルのカノンにも共感を得た。
コレは女性にオススメ映画です。ぜひぜひ。
西洋古典文学か何かの引用か? こんな劇中の台詞が、耳に残っている。
確かに....「美」を仕事とする者にっては切っても切れない因果関係。
しかし決して「若さ=美」では無い現実も有る、「経験値、鍛錬、自身=美」と言う図式も成り立つ。
それが年齢を重ねてからの「美」ナンだと思う。
監督である蜷川実花の絢爛と、全くその細部に嘘がないポップの筆致で増幅され、沢尻エリカという女優のパワーで大きなトルネードとなって、現在にすがり付いて生きている我々をも突き飛ばす。
はっきり言って、この原作漫画はバブルの忘れ形見な20年も経とうかという話。
しかし時代錯誤どころか、東北大地震を経験して、飽食の時代に突入した2012年の今にこそ公開されるべき多くの要素を含んでいる様に思える程に現代にマッチした。
若さと美の状態を引き延ばすLiLiCoの欲望は、大金を積まなくても、進化した化粧品で一般化されているし、ひと昔前は芸能人や我々ヘアメークのプロスペックだった”「つけま」つ毛”は、今や、女子高校生の必須アイテム。¥100ショップで手軽に購入できる。
美容整形のタブー感もマスメディアでのプログラムで加速度的に払拭されて、今や変貌を遂げることが...美魔女が...賞賛を浴びる時代なんだ。
おまけにそれを手に入れても、ひと時の快楽を手に入れただけに過ぎず、欲望はエスカレートし、全く満足できないし幸せでない、というLiLiCoの”境地”までをも、今の女性たちは体感しているのではないか?
沢尻エリカのキャスティングは、彼女のスキャンダラスな生き様と若さと美のエクストリームなあり方の一致から、これはもう、言うこと無しだろう。
スクリーンでの沢尻の演技と存在は、過去からすでに注目されていた才能が、見事に開花したかのようなとんでもなく素晴らしい出来であり、劇中の大写しのLiLiCoの叫びと涙は、まんま観客の女性たちの心の闇が現出したよう。
最近の映画で、そこまでの主演女優の「メディア性」を出し得た作品はなかったのではないか。
もしくは、虚像に塗られた生活こそが芸能人たるゆえんの生き方なのかもしれない。
奴隷のように扱われるが、M女の暗い支配性をかいま見させる付き人役の寺島しのぶ、いつもの桃井節が役柄に今回はバッチリ当たった桃井かおりなど、冷徹な女医を言葉少なげに演じる原田美枝子、女優脇役の名演も作品に力を与えている。
2012年というフリークな現実を生きる女性の叫びと涙、それを感じ取れるのではないでしょうか...
そして映像がやはり写真作家だけに美しかった。
ボクとしては27,8年ぶりに戸川純の「ムシの女」ヨハン・パッフェルベルのカノンにも共感を得た。
コレは女性にオススメ映画です。ぜひぜひ。