.誰もが誰もを知っているスペインの小さな村に妹の結婚式に出席するため里帰りした主人公とその幼なじみの元恋人。
主人公のおてんば娘が地元の少年に誘われ上った教会の鐘楼の壁に若き日の主人公と元恋人とが刻んだ愛の証しのイニシャルを見出す。
それだけで主人公と元恋人をめぐる村人の共通認識を観客も分ち合えてしまう。
奇妙な懐かしさのような感触の中で誘拐事件に共に巻き込まれ、共に推理し、公然の秘密の元恋人たちと、その家族をめぐる知らなかった過去や現在にたじろぐことにもなる。
ぎりぎりの選択を迫られる人をみつめ、普遍の問を問いかけもする。