『日本の新型コロナ対策は「奇跡」と外国から言われるが! 2』
―地道にこれ、三密回避と、マスク・手洗い・朝10分間のみんなの体操を―
20200630付け日経の『疾病の日本史 ②中世に学ぶ』に、以下のようにありました。 抜粋と感想です。
『中世は人々の身近に疫病がある時代だった。大きな災厄が起きると助けを求めて神仏に祈願し、寺社建立や仏像仏画制作に取りかかった。そこには精緻で美しい装飾が施される一方で、負のイメージも取り込まれた。当時の日本人は世界全体を正負のコントラストで可視化し、秩序を立てて把握しようとしたのだ。「ウイズコロナ時代」のこれから、私たちはどんな社会を築いていくのか。世界の負の側面と折り合いをつけようとした中世に学ぶことはある。』
「ウイズコロナ時代」ですので『コロナとは共棲せざるを得ないし、むしろ歴史的に見てもコロナに生かされてきた人類ですので、せめてウイルス(抗ウイルス薬はまだ少ししか開発されていない)と細菌(抗菌薬・抗生剤・抗生物質で抑え込めた)の比較、再確認です。
ウイルス 菌(細菌・真菌)
大きさ 0.01~0.1μm 0.5~10μm
細胞 ない ある
DNA・RNA どちらか一方ある 両方ある
増殖 自己増殖できない 自己増殖できる
(他の生物の細胞に寄生する)
起源 生物の細胞にある遺伝子の一部が、 ウイルスより先
遺伝子がウイルスという存在になって
勝手に増殖するようになったという仮説です。
ウイルスは細胞を構成単位とせず、自己増殖はできないが、遺伝子を有するという、非生物・生物両方の特性を持っている。感染することで宿主の恒常性に影響を及ぼし、病原体としてふるまうことがある。ウイルスを対象として研究する分野はウイルス学と呼ばれる。 『とにかく知れば知るほど、細菌よりずっと厄介なのがウイルスのようです。』
『疫病と戦争は、歴史を早く進める。開墾した土地の私有化を進めた「墾田永年私財法」(「743年」)誕生の背景には、天平時代の天然痘の大流行で食料生産が危 機的状況に陥ったことが挙げられる。』
ここで、政治家と役人の皆様には、有事に備えて、休耕地・耕作放棄地対策と食糧自給率向上に、この度の『新型コロナ感染症危機』のこの時期に、取り組んで欲しいと思います。 マスクでさえ、簡単には潤沢な供給体制ができませんでした。
『「危機の時代には、人々が連携することの意義も見いだされる」、歴史は一つの流れとして語られるが、時には激流になる。その時に、いろいろなものが生まれている。「743年」聖武天皇が造立を呼びかけた東大寺の廬舎那仏像(奈良の大仏)もそう。災厄に際して大仏を造ることは一見ムダなようだが、多くの人々が協力すれば困難を克服できるということを「可視化」した。』
『歴史が進むとき、進化も退化もあると言われる。『公知公民』が崩れれば、貧富の格差は拡大する。「一方で貧しいものも富める者も力を合わせて、大仏を」、という考え方も出てくる。失ったものを補完しながら歴史は進んでいくのだ。』
「可視化」のことですが、『三密回避』では、『スーパー』や『通学バス停・バス内』の風景は、テレビニュース・映像で見て、解ってはいても、ほとんど守られてはいません。若い丈夫な人々が多く『三密』になっている状態が多々あります。直ぐに実行してほしいのが『時差通学』『スーパーの入場制限』です。
「一方で貧しいものも富める者も力を合わせて、大仏を」のことですが、余談になります。古代エジプト大国では、4500年前も昔に、ナイル川の増水期(石材運搬)が農閑期(河川敷は増水で農作不可)に、失業対策としてギザの大ピラミッド建造をしたとありました。これもパンとビールと衣服が支給された記録から失業対策説があります。 昔は『奴隷動員説』でした。
感染者数も、新規感染者数も、第二波を想像させるような傾向を示し始めています。 ちょっと古い情報ですが、20200517のウエブ情報に、表題を肯定して安心できる、こんな記事もありました。 『結果オーライ』でもよし。 表題のようになって欲しいと祈るばかりです。
メディアの主張
『東京をはじめ8都道府県で宣言(非常事態宣言)は継続中だが、新規感染者が減少に転じ終息も徐々に見えてきた。しかし、依然として感染の有無を判定するPCR検査の数が、諸外国と比べ少なすぎると声高に主張し続けるメディアもある。』
PCR検査数
『EUを除くG20の19カ国で、人口100万人あたりの累計検査数と死者数を比較した。事実として、日本の検査数はとても少ない。5月10日時点までの累計で、100万人あたり1676人。14番目の少なさだ。検査数4万1584人でトップのイタリアと比べると25分の1、2万6313人のアメリカの16分の1、3万7335人のロシアの22分の1しか実施できていない。』
累計死者数
『同時に累計の死者数を集計したところ、日本は4.9人でやはり14番目に少なかった。 505.4人のイタリアの100分の1、240.3人のアメリカの50分の1、13.1人のロシアの3分の1程度だ。ロシアやオーストラリアなど、死者数に比べて極端に検査数が多い国を除けば、発症する患者が多いから結果的に検査数が多くなるということに過ぎない。悲惨な結果に終わっている欧米各国を、検査数で日本が見習う必要はまったくない。』
死者数が少ない要因
日本での死者数がなぜ少ないのか。要因はまだ明らかではない。BCGの接種なのか、手洗いの励行なのか、マスクなのか、靴を脱ぐ文化なのか、握手やハグをほとんどしない文化なのかは、分からない。しかし、結果として、死者が極めて少ないのは事実だ。
検査もリソース野有効活用
『一部には、全国民にPCR検査を実施すべきとする意見もあるようだが、全く無意味だ。PCR検査は、症状があり、所見から新型コロナ陽性の疑いがある患者に対し、感染を確定するときのみに実施する検査だ。疑わしい症状がある患者に関しては、速やかに制限なくPCR検査が行えるよう、検査態勢を整備すべきだ。しかし、無症状で感染している人を発見するために大規模な調査を行うことは、リソースの無駄だ。』
新規陽性者
感染状況は日々変化する。今日陰性の結果が出ても、明日感染し陽性になるかもしれない。仮に一斉に全国民を対象に実施し、陽性者を全員隔離したところで、次の瞬間からまた、新たな陽性者が生まれる可能性がある。
抗体検査の充実
当面、感染の恐れがない抗体があるかどうかを調べる抗体検査には意味がある。新型コロナウイルスの抗体については、まだ解明されていない部分も多いが、一般的なコロナウイルスの場合、抗体が作用する期間はおよそ6カ月といわれている。有効な抗体が確定すれば、少なくとも数カ月はうつしもしないし、うつされもしないことが分かる。進めるべきは抗体検査の充実だ。
日本では圧倒的に少なく抑え込む
14日の記者会見で安倍首相は「わが国の人口当たりの感染者数や死亡者数は、G7、主要先進国の中で圧倒的に少なく抑え込むことができている」と発言した。分かりやすくするために、死者はイタリアの100分の1、アメリカの50分の1など具体的な数値を語ってほしかった。それだけ「圧倒的な差がある」からだ。今後日本がイタリアにならないという保証はないが、これまでの戦いでは大いに健闘し大いに成果を生んだ。胸を張って日本式でコロナ戦に打ち勝とう。
(この表題の“3”に続く 20200703纏め #189)