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原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

セックスレスで枯れ果てる前に…

2009年12月30日 | 恋愛・男女関係
 本年最後を締めくくる記事として到底相応しいとは思えない意表を突くテーマであるのだが、先だって新聞で見た表題のごとくの読者の相談内容がどうも脳裏から離れない私である。


 それでは早速、朝日新聞12月26日別刷「be」“悩みのるつぼ”に掲載された35歳主婦による「セックスレスで枯れそうです」と題する相談を以下に要約して紹介しよう。
 結婚11年、二人の子どものいる主婦であるが、45歳の夫に「(セックスレスのまま)現状維持で父母でいよう」と言われた。 そもそも20代で娘を産んだ後からセックスレスだった。夫は子どもは一人でいいと言い、何も知らない義母には「兄弟が欲しい」と言われ私に原因があるように思われ悩んだ。そこを何とか夫を説得して息子を産んだ。 以前、ある作家が男女関係で大事なものとして「トキメキ」「性欲」「親睦」のうち二つあれば良好である、と書いていた。私には皆無であり、相手との将来展望も考えられない。 一方で、夫は離婚してもいいと言うが、生活面が比較的安定しているし子どもや家庭も大事だし、趣味も堪能できるのでその環境は大事にしていきたい。 心では「私は母」と思っても心は乱れる。わびしさを捨てることは出来ない。人はこうして枯れていくのだろうか?


 早速私論に入ろう。

 この相談、今まで読んできた“悩みのるつぼ”の相談の中で一番「重く」て「辛い」のではないかと私は心を痛めるのだ。
 なぜならばこの主婦は未だ35歳の若さ! しかも、子どもを産んだ後の20代から既にセックスレスとは…  驚くばかりであるが、今の時代はそういうものなのであろうか??  これが例えば50代、60代以降の主婦の相談であるのならば、また意味合いも大きく違ってくるのであろうが…
 しかもその若さであるのならば、妻に対する性的欲求を既に失い離婚してもいいと豪語している亭主などとっとと切り捨てて、子どもを連れてでも離婚して女としての新たな幸せを求めてもよさそうなものである。 それなのに、内面から湧き出る性的欲求を抑えつつ、現状に妥協しようとして健気にも自己の心理操作を試みているところがこれまた辛い。
 相談の主婦曰く、生活面が安定している、子どもや家庭が大事、趣味も堪能できる、…… 。
 それらを天秤にかけた場合、セックスレスの現状の方が重いからこそ、この主婦はこのような相談を新聞に寄せているのであろう。

 ここで私事を述べても何の参考にもならないのは承知の上であるが、私は40歳近くまで我が信条に従って独身を貫いてきている。 その信条とは、仕事や自分自身の生きがいの充実等々多々あるのだが、正直に言うと「恋愛」の充実というのもその大きな理由の一つであった。 
 「恋愛」とは生命体における究極で最高の人間同士のつながりなのではないかと私は実感してきている。 その究極の快楽をできるだけ長く享受し続けたいがために、法的にそれが許される「独身」というスタンスを貫きたいとの心理があったのも、我が長き独身を全うしてきた包み隠さぬ理由でもある。

 この主婦が相談内に引用している、ある作家による男女関係で大事なものの三種の神器、「トキメキ」「性欲」「親睦」の中の二つあれば関係が良好である、との記述とは、双方の恋愛関係が育まれてきた後にある程度年数が経過したカップルに通用する神器なのではなかろうか?
 極端な場合、長年連れ添っている多くの夫婦の場合、「トキメキ」「性欲」は既に消え失せ、たとえ「親睦」のみが残っていたとしても、それが一つの神器として十分に夫婦関係が持続できるのかもしれないと私は考察するのだ。
 ところが、わずか30代の主婦がこの三種の神器を持ち出してまで、セックスレス妻である現状を正当化しようとしていることが何ともやるせない。 この相談者の場合は夫婦関係が既に崩壊していると結論付けざるを得ないと私論は捉える。


 それでは、この主婦は今後如何なる選択をすればよいのか?
 その答えは、社会学者の上野千鶴子氏がこの相談において述べておられる回答の一部を以下に紹介しよう。
 結婚の契約からセックスをはずしてもらうよう夫に交渉しよう。 夫婦関係にはセックスに応じる義務が含まれているため(この相談者の関係は)既に“ルール違反”である。  だが、普通こういう相談とは「トキメキ」の相手が現れて初めて現実的になるものであり、おそらくこの主婦は「トキメキ」や「性欲」の経験にのめり込んだ経験がないのであろう。
 「トキメキ」や「性欲」とは確かに人生の醍醐味であるが、そのコストは高く付く。 その覚悟がこの主婦にあるのなら、今から人生を味わい尽くそうと思っても決して遅くない。

 「トキメキ」や「性欲」を堪能し続けたいのであれば、一生独身を通し続けられる程の強靭な精神力や経済力を培ってからにした方が良さそうだと、長い独身時代を謳歌してきた私も結論付けるのである。
 その一方で、「親睦」とは一生持続したい人間関係の基本であることも実感である。   
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13 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (katsuko)
2009-12-30 17:08:42
やっとやっと見つけました~~~。いろんな方のブログを見つけられなくなってしまい困っていました!(なぜだか分りませんが)とにかくうれしい!!!
来年もよろしくお願いします。
ちなみに私は大台にして再婚いたします!わが辞書に「セックスレス」の言葉は存在しません!
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katsukoさん、ご再婚おめでとうございます! (原左都子)
2009-12-30 22:19:48
katsukoさん、1年以上のご無沙汰だったように思います。
一体全体、「原左都子エッセイ集」をどこで見つけて訪ねて下さったのでしょう??

なぜこれ程にお会いできなくなっているのかと言いますと、editaの2月のリニューアルがその原因であると推測します。「友達申請制度」とやらをeditaが立ち上げて以降、それに不参加の私のブログはeditaから完全に抹消されてしまっている様子です。 それ自体は特に問題はないのですが、私もkatsukoさんをはじめ、以前より仲良くさせていただいていた少数の方々にネット上でお会いする事が不可能になってしまっております。

それにしましても、この年末にkatsukoさんとの再会が叶い私もうれしい限りです!

私もこの秋からフィットネスクラブに通い、ヒップホップにエアロビ、筋トレエクササイズに励んでおります。 トレッカに超ミニスタイルでスタジオで踊りまくっていますよ! 165cm、47㎏をまだまだキープし続けます!!
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ひどいダンナだ・・・ (ドカドン)
2009-12-31 04:49:19
普通は、30代の妻をほってはおかないですよ!
と、偉そうな事は言えません。30代の女房と2年間セックスレス経験者です。
だって、めんどくさいって時期って誰にでもありそうですよ。特に男性には・・・。

Hの時だけ、メンバーチェンジしてもらえるわけもなく、マンネリも続くし・・・。
女性は、安定を望むかもしれないけど、男性はその安定に、飽き飽きする。

夫婦間で刺激を持てと言いたいですね。
何もムチや仮面、ローソク、ピンヒールを出せとは言っていません。
子供が学校の内に明るいところでとでとか、お金が掛かってもラブホを使うとか、旅行先で楽しむとか、ランジェリーを可愛いものにするとか・・・、工夫は出来ます。

やはり、工夫をしないとマンネリを向かえ、やがては、外で違う女性に走ったりとか、夫婦間のセックスレスに繋がりますね!

「トキメキ」を維持させるものは、刺激も入るんじゃないですか?
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三行半 (空 乏層)
2009-12-31 05:27:43
”恋愛は生命体の究極のつながりの姿”には私もまったく同感であります。何を称してセックスと言うか、いろいろあるでしょうが、話題のご婦人は、早い話し、それ以外の社会的体裁は別にして、毎晩床を共にするだけの魅力はないよ、と旦那から三行半を突きつけられたことがショックで、枯野を巡る妄想にかきたてられたのかなあ、・・・。何事も数量化しないと納得しない私にとって、セックスは恋愛のどれくらいの%~ジを占めるものなのかは非常に不可解であります。少なくとも、或る時間をたった二人でエクスタシーを求めて五感で会話する共有感覚がセックスであると思っていますから、その魅力を感じないと言われちゃあ、そりゃあ、確かにショックだったことでしょう。二人して社会的体裁を重んじるのだったら、枯れるのもいたし方ないことでしょう。もっとも、小学生以来、本命を外してきた私めの言うことじゃあないんですがね。それにしても、30代で枯野を巡る寂しさって感じるものなんですかね、そっちの方が事が深刻な様な気がします。夜間飛行のパイロットの帰還を待つご婦人、30代だったですかね?
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ドカドンさん、Hの時だけメンバーチェンジの発想は凄いですね! (原左都子)
2009-12-31 10:53:50
ただそれ、どちらかと言うと代役の方が哀れなように感じます。 風俗業の女性などまさにそれで飯を食っている訳ですが、プロ意識を持って代役に臨むならばまた話は別でしょうが…

ドカドンさん、いろんな“工夫パターン”のご指南もありがとうございます。ドカドンさんは日々それを実行されているのでしょうかね??!

年末に何だか楽しい気分になってきましたよ♪ (ちょっと不謹慎でした…)
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空乏層さん、セックスとは一時の快楽ではなく… (原左都子)
2009-12-31 11:05:21
相手への思いやりと努力の賜物なのでしょう。そして、それを持続できることこそが真の愛なのでしょうね。

30代にして妻に枯野を漂わせる程の不幸感をもたらしている夫…。 その夫側の言い分を聞いていないためコメントは難しいのですが、リアル世界において一番濃厚な関係であるはずの夫婦がこれ程までにコミュニケーションをとれないのですから、ましてやネット上の人とのつながりにおいて何を心の拠り所にしてよいのやら、私も心を痛めることは多いです。

どのような人間関係においても、五感で会話してエクスタシーを感じ合える関係でいたいものですね。
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ちょっとだけ躊躇しました。 (issei)
2009-12-31 16:46:41
女性には興味があります。現に女性ブロガーとのCOMMUNICATIONもありますので、女嫌いではありません。寧ろ好きな方かもしれません。しかし、SEXの話になると別です。身体的理由もありますが興味はないです。その上でこの相談者に対する感想としては、夫がその責任を果たさないのなら、離婚を考えてもいいと思います。もし、子供の為にお父さんがいて欲しいと言うなら、現状のままで夫婦同意の上彼氏を作る事を考えてもいいのではないかと思います。
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isseiさん、人間バランスがとれている方が魅力的です。 (原左都子)
2010-01-01 10:52:06
isseiさん、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

isseiさんが女性に興味があるとお聞きして、今まで以上にisseiさんに親しみを感じる私です。
女好きな男性は多く存在しますが、それにしか能がない男は馬鹿にしか見えません。 また逆にまったく女には興味がない(そんな男性はごく少数でしょうが)男性とは、女性から見ても魅力がないものです。
とにかく人間バランスが大事でしょう。 社会的責任を果たしつつ、人間という生命体として生まれた身をエンジョイしたいものです。

この相談夫婦の場合、夫は相当身勝手な男で、夫婦関係を続けつつ妻が彼氏を作ることを許容するキャパはどうやら夫にはなさそうに私は捉えます。
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考えさせられました (ガバチャ)
2010-01-01 15:33:53
原さんの私論を読んで考えさせられました。ボク的にはこのような分野にあまり深く足をつっこんだことがないので原さんのエッセイ集を読んで勉強したいと思います。
恋愛の燃えかすに友情がある。そんな友情を探している万年青年のガバチャです。
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ガバチャさん、“恋愛の燃えカスの友情”は粋ですね! (原左都子)
2010-01-01 16:08:49
ガバチャさん、あけましておめでとうございます。 新年早々「原左都子エッセイ集」へご訪問下さいまして、うれしく存じます。

今回の私の記事の私論は、様々な意味合いにおいてちょっと身勝手であろうかと自己診断する部分もあります。 
「恋愛」を堪能したいから独身を通すなどと豪語しておりますと、“子どもは社会で育てるものだ!”と国民に吹聴しつつ子育て家庭に金をバラまく公約を正当化している現政権から、「そんな不謹慎な非国民独身者からは、今まで以上に税金をふんだくるぞ!!」と、とっちめられそうです。 
先進社会における一般的正論としては、何といっても夫婦間の愛情こそが“一番貴く正当”な存在であり、それを持続させることこそがお国の繁栄にも繋がるという優等生的回答となるのでしょう。
ところがその実態として、誰が考えてもこの“理想論”には現実味がなく、せせら笑いたくもなりますよね。

ガバチャさんのおっしゃる「恋愛の燃えカスの友情」、これは粋です。 欧米人にはこの「燃えカス友情」を大事に育んでいる方々も多いと聞きます。
私の場合、残念ながらこれが意外と下手ですね…。 と言うよりも、独身時代に限って言いますと、直ぐに次の恋愛に移行してしまう不届き者でした…。
今後はガバチャさんのような友情を模索しつつ、私も万年青年でありたいものです。
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