朝日新聞9月25日記事によると、“最低賃金が引き上げられる”そうだ。
そのニュース自体は末端労働者にとって吉報であろう。
ところがその結果もたらされる社会現象の程が何とも痛々しいし、首をかしげざるを得ないのだ。
以下に、朝日新聞コラム「いちからわかる!」25日版の記事 「平均16円高くなって、生活保護費との逆転はなくなる」 を要約して紹介しよう。
現在「最低賃金法」に基づき、都道府県ごとに1時間当たりの賃金(自給)が決められている。 パート・アルバイトも含め原則すべての労働者に適用される法制度だ。 経営者側に対し立場が弱い労働者を守るのがその趣旨だ。 法律で定めることにより、賃金が低く設定され易い非正規社員達の報酬を底上げする効果がある。 最低賃金より低い自給で働かせた場合、雇用主は罰金を課せられる。
この「最低賃金」が如何に決定されるのかというと、まず物価や賃金、会社の業績等により都道府県をA~Dにランク分けし、その年度の引き上げ目安を示す。 その後各地方の審議会での話し合い結果や、地域の実情を考慮し正式に決定する。
今年度決定した「最低賃金」全国平均は前年度より16円高い780円である。 その最高額は東京都の888円。 最低額は鳥取や高知など7県の677円だった。
この「最低賃金」が国や自治体が生活困難者に支給している「生活保護費」を下回る事態も発生していた。 例えば北海道や東京都等では、その「逆転現象」が実際に発生していた。 この現象が「働く意欲が失われてしまう」と問題にもなったが、今回の改定で逆転現象が解消される。
それでもまだ、「最低賃金」の水準は低い。 677円の都道府県の場合、1日8時間、月20日働いても月収が約10万8千円にしか達しない。 これは、政府と労働者及び経営者が合意した「2020年までに全国平均最低800円、平均1000円」の目標にはほど遠い。
(以上、朝日新聞9月25日記事より要約引用。)
話題を変えよう。
本日昼のNHKニュースによると、大手牛丼チェーン「すき家」が、長時間勤務など過重な労働が指摘された従業員の勤務態勢を大幅に見直すとして、明日10月1日から24時間営業の店舗の60%以上に当たる、およそ1200店舗で深夜営業を中止する方針を固めたとの事だ。
関係者筋によると、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは、長時間の勤務や「ワンオペ」と呼ばれた深夜時間帯の1人勤務など過重な労働が問題化したことを受けて、会社が従業員の勤務態勢を抜本的に見直していた。 その結果、労働環境の適正化を図るには、従来のような営業を続けることは困難との結論に達し、 従来の営業戦略を大きく転換させることになった。
(以上、昼のNHKテレビニュース及びネット情報より一部を引用。)
ここで一旦、原左都子の私論に入ろう。
何を隠そう、実は私は「すき家」の一ファンである。
と言うのも、私が住む自宅周辺とは大都会東京メトロ沿線にして(よく言えば“閑静な住宅地”であり)駅周辺に商業施設が至って少ないのだ。 この地に引っ越してきて12年の年月が経過したが、12年前の当初と比し駅前の開発がさほどなされない事実が「長所」でもあり「短所」でもあると認識している…。
そんな折、「すき家」が駅近に開店したのは“料理嫌い”で名高い原左都子にとって実にラッキーだった。 駅からの帰り際に「すき家」に立ち寄り「牛丼」3個を買い求めさえすれば、帰宅後テキトーなおかずを出せば食卓が何とか見栄えする。 それに加え、「すき家」のアルバイト職員達の手際の素晴らしさは感激ものだ。 券売機でチケットが発券されるよりも早く「牛丼」3個を差し出してくれる超早業にいつも感動させられるのだ。
このように顧客サービスが徹底している「すき家」本体企業が、末端アルバイト従業員犠牲の下にそのサービスを提供していたとすれば、確かに顧客側としては心が痛む。 ただ、サービス業とは「顧客サービス」を最優先してこそ今後共に成り立つ業種ではなかろうか。 その業者が営業時間を短縮せざるを得ない労働環境を作り出している元凶である「行政側」こそがその改善を率先して図るべきだと私は考える。
その意味では今回の「最低賃金上昇」方策よりも、行政が急ぐべき労働者対策が山積している事実こそを優先課題とするべきであろう。 加えて、末端サービス業にこれ程の熾烈な試練を与え続けている、行政の大いなる過ちこそが今すぐ叩かれるべき!とも考察する。
私は「原左都子エッセイ集」バックナンバーに於いて、行政が“弱者保護”を如何に捉えるべきかをテーマとしたエッセイを数多く綴り公開している。
その一つである「足が腐った男」(2011.11.26公開)なる表題を掲げたエッセイの結論部分を以下に紹介しよう。 (参考のため、当該エッセイは「原左都子エッセイ集」スタンダードナンバーの一つです。)
国や自治体等の役所においては、市民自らが役所に出向いて申請書を提出する“能力”を保有している(ある程度恵まれた)“弱者”に対しては、例えば「生活保護」対象とする等手厚く支援している有様である。 片や、上記のごとく電車内で“腐った足”を晒して眠りこけている人種が役所にその種の申請書を提出しているとは到底考えられない現状だ。 私に言わせてもらうと、この種の“真正弱者”こそを国や自治体は最優先して救うべきではないのか??
もしかして近いうちに命を失うかもしれない青年が、何故に電車内で“腐った足”を晒さねばならないのかの元を辿れば、それも国政の教育力の無さ故であると断定できよう。
最後に「最低賃金」と「生活保護支給額」との“整合性”に関する原左都子の私論を述べよう。
現在生活保護者に支給されている1ヶ月の金額の一例として、「14万円程度」であるとの噂を耳にしている私だ。 もちろん支給金額とは家族構成にもよる事であろうが、上記の最低県の賃金月額「10万少し」に対して、この金額はべらぼうに高いと結論付けられるのではあるまいか?
確かに「生活保護世帯」とは“働く意思があれども働けない”身体的事情を抱えている人物が多いとも見聞している。
ところが、その判断は医師の診断に任せられているのも実情であろう。 特に現在に於いては、精神的疾患もこれに加えらている事実は想像がつく。
国民の「働く意欲の育成」に於いては、当然ながら幼い頃よりの「労働の価値」教育が欠かせない事であろう。 にもかかわらず、いつまでもそれを教育不能なまま国民の「最低賃金」を上昇させるとの拙劣な手段で末端労働者が活気づくはずがない。
その結果として、経営困難に陥る企業や生活保護申請に役所へ出向く庶民を量産し続ける国政の現実…
一体いつになったら、この国はこの悪循環から脱却出来るのか…
そのニュース自体は末端労働者にとって吉報であろう。
ところがその結果もたらされる社会現象の程が何とも痛々しいし、首をかしげざるを得ないのだ。
以下に、朝日新聞コラム「いちからわかる!」25日版の記事 「平均16円高くなって、生活保護費との逆転はなくなる」 を要約して紹介しよう。
現在「最低賃金法」に基づき、都道府県ごとに1時間当たりの賃金(自給)が決められている。 パート・アルバイトも含め原則すべての労働者に適用される法制度だ。 経営者側に対し立場が弱い労働者を守るのがその趣旨だ。 法律で定めることにより、賃金が低く設定され易い非正規社員達の報酬を底上げする効果がある。 最低賃金より低い自給で働かせた場合、雇用主は罰金を課せられる。
この「最低賃金」が如何に決定されるのかというと、まず物価や賃金、会社の業績等により都道府県をA~Dにランク分けし、その年度の引き上げ目安を示す。 その後各地方の審議会での話し合い結果や、地域の実情を考慮し正式に決定する。
今年度決定した「最低賃金」全国平均は前年度より16円高い780円である。 その最高額は東京都の888円。 最低額は鳥取や高知など7県の677円だった。
この「最低賃金」が国や自治体が生活困難者に支給している「生活保護費」を下回る事態も発生していた。 例えば北海道や東京都等では、その「逆転現象」が実際に発生していた。 この現象が「働く意欲が失われてしまう」と問題にもなったが、今回の改定で逆転現象が解消される。
それでもまだ、「最低賃金」の水準は低い。 677円の都道府県の場合、1日8時間、月20日働いても月収が約10万8千円にしか達しない。 これは、政府と労働者及び経営者が合意した「2020年までに全国平均最低800円、平均1000円」の目標にはほど遠い。
(以上、朝日新聞9月25日記事より要約引用。)
話題を変えよう。
本日昼のNHKニュースによると、大手牛丼チェーン「すき家」が、長時間勤務など過重な労働が指摘された従業員の勤務態勢を大幅に見直すとして、明日10月1日から24時間営業の店舗の60%以上に当たる、およそ1200店舗で深夜営業を中止する方針を固めたとの事だ。
関係者筋によると、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは、長時間の勤務や「ワンオペ」と呼ばれた深夜時間帯の1人勤務など過重な労働が問題化したことを受けて、会社が従業員の勤務態勢を抜本的に見直していた。 その結果、労働環境の適正化を図るには、従来のような営業を続けることは困難との結論に達し、 従来の営業戦略を大きく転換させることになった。
(以上、昼のNHKテレビニュース及びネット情報より一部を引用。)
ここで一旦、原左都子の私論に入ろう。
何を隠そう、実は私は「すき家」の一ファンである。
と言うのも、私が住む自宅周辺とは大都会東京メトロ沿線にして(よく言えば“閑静な住宅地”であり)駅周辺に商業施設が至って少ないのだ。 この地に引っ越してきて12年の年月が経過したが、12年前の当初と比し駅前の開発がさほどなされない事実が「長所」でもあり「短所」でもあると認識している…。
そんな折、「すき家」が駅近に開店したのは“料理嫌い”で名高い原左都子にとって実にラッキーだった。 駅からの帰り際に「すき家」に立ち寄り「牛丼」3個を買い求めさえすれば、帰宅後テキトーなおかずを出せば食卓が何とか見栄えする。 それに加え、「すき家」のアルバイト職員達の手際の素晴らしさは感激ものだ。 券売機でチケットが発券されるよりも早く「牛丼」3個を差し出してくれる超早業にいつも感動させられるのだ。
このように顧客サービスが徹底している「すき家」本体企業が、末端アルバイト従業員犠牲の下にそのサービスを提供していたとすれば、確かに顧客側としては心が痛む。 ただ、サービス業とは「顧客サービス」を最優先してこそ今後共に成り立つ業種ではなかろうか。 その業者が営業時間を短縮せざるを得ない労働環境を作り出している元凶である「行政側」こそがその改善を率先して図るべきだと私は考える。
その意味では今回の「最低賃金上昇」方策よりも、行政が急ぐべき労働者対策が山積している事実こそを優先課題とするべきであろう。 加えて、末端サービス業にこれ程の熾烈な試練を与え続けている、行政の大いなる過ちこそが今すぐ叩かれるべき!とも考察する。
私は「原左都子エッセイ集」バックナンバーに於いて、行政が“弱者保護”を如何に捉えるべきかをテーマとしたエッセイを数多く綴り公開している。
その一つである「足が腐った男」(2011.11.26公開)なる表題を掲げたエッセイの結論部分を以下に紹介しよう。 (参考のため、当該エッセイは「原左都子エッセイ集」スタンダードナンバーの一つです。)
国や自治体等の役所においては、市民自らが役所に出向いて申請書を提出する“能力”を保有している(ある程度恵まれた)“弱者”に対しては、例えば「生活保護」対象とする等手厚く支援している有様である。 片や、上記のごとく電車内で“腐った足”を晒して眠りこけている人種が役所にその種の申請書を提出しているとは到底考えられない現状だ。 私に言わせてもらうと、この種の“真正弱者”こそを国や自治体は最優先して救うべきではないのか??
もしかして近いうちに命を失うかもしれない青年が、何故に電車内で“腐った足”を晒さねばならないのかの元を辿れば、それも国政の教育力の無さ故であると断定できよう。
最後に「最低賃金」と「生活保護支給額」との“整合性”に関する原左都子の私論を述べよう。
現在生活保護者に支給されている1ヶ月の金額の一例として、「14万円程度」であるとの噂を耳にしている私だ。 もちろん支給金額とは家族構成にもよる事であろうが、上記の最低県の賃金月額「10万少し」に対して、この金額はべらぼうに高いと結論付けられるのではあるまいか?
確かに「生活保護世帯」とは“働く意思があれども働けない”身体的事情を抱えている人物が多いとも見聞している。
ところが、その判断は医師の診断に任せられているのも実情であろう。 特に現在に於いては、精神的疾患もこれに加えらている事実は想像がつく。
国民の「働く意欲の育成」に於いては、当然ながら幼い頃よりの「労働の価値」教育が欠かせない事であろう。 にもかかわらず、いつまでもそれを教育不能なまま国民の「最低賃金」を上昇させるとの拙劣な手段で末端労働者が活気づくはずがない。
その結果として、経営困難に陥る企業や生活保護申請に役所へ出向く庶民を量産し続ける国政の現実…
一体いつになったら、この国はこの悪循環から脱却出来るのか…