これ程までに政治家の威厳や存在価値がなくなっている今この時期に 「政治家になりたい」 と言う高校生が存在する事実に触れ、少なからず驚かされた私だ。
事の発端は、当「原左都子エッセイ集」でお馴染みの朝日新聞別刷「be」“悩みのるつぼ”である。 このコーナーの1月28日の相談が、17歳高校2年女子による 「政治家になり事件を防ぎたい」 だったのだ。
早速、上記相談を以下に要約して紹介しよう。
高校2年の女子だが、唐突ではあるがなぜ殺人事件など存在するのだろう。 先日も某マホービン企業の元副社長氏が強盗殺人の被害者となった事件があった。あまりにも痛まし過ぎ、涙が溢れる。 この被害者氏は若い頃には一生懸命勉強したであろうし、晩年には寄付等により社会貢献にも力を注いでいる。 私など足元にも及ばぬ尊敬できる立派な方だったと思う。 このような事件に接する度、私は怒り悲しみ虚無感に襲われる。 ところで私は将来の職業として政治家を志している。 そんな私に今回のような事件を減らすために何が出来るのか、具体的にお聞きしたい。 例えば私は、単身暮らしのお年寄りが存在する等の高齢化社会の事情や、年金問題など社会保障制度をどうするのか等の問題が浮かぶ。 それらは全て政治の力をもってすればある程度対処できるのか、ご助言をお願いしたい。
(以上、朝日新聞“悩みのるつぼ”の相談内容を要約)
とりあえず原左都子の私論に入ろう。
“とりあえず”と表現するのは、この投稿を何度読み返しても、この女子高校生が一体何を相談したかったのかが私には論理的に伝わって来ないのだ。
いや、相手はたかが17歳の高校生である。 将来政治家になりたいとの夢を持つ事自体はもちろん自由であるし、強盗殺人事件報道に触れて怒り悲しみ虚無感に襲われるのも私とて同様であるから、その気持ちも分かる。
今一度上記相談内容を私なりに整理すると、相談女子高校生が「政治家」を志したのはこの事件報道に接するずっと以前の事だったようだ。 その志望根拠に関しては一切書かれていないため、何故この女子高校生の将来の夢が「政治家」であるのかは不明である。
その一方で、女子高校生は強盗殺人事件の被害者が“立派”な人物であったことに心を痛め、高齢化社会問題等の社会保障制度問題とは政治の力を持ってすれば対処できるのか?と問うている。
う~~~ん、やはり申し訳ないが原左都子にはこの17歳少女の論理は理解し難いなあ……
現在高校2年生にして政治家を目指しているという事は、大学の進路希望はおそらく「政経学部」や「法学部」といったところであろう。 政治家になるための最低条件として、まず相当の学力がないことにはその道を成就できないと私は捉える。 そのため、おそらくこの少女は自分の志望大学学部を目指して現在受験勉強に励んでいることであろう。 (いえいえ、今時はタレント議員も多い現状だから、政治家になるためにはその手の“脇道”を考慮するとの手立てもあろうか??)
再度老婆心ながら原左都子個人的には、この女子高校生の相談内容が“論理性に欠けて”幼稚であることがどうしても気に掛かる。 これで、政治家になるべく目指す大学学部に入学可能なのだろうか、と…。
いくら現在現役の政治家達が“体たらく”状態であるとはいえ、彼ら(彼女ら)は“一応”名立たる大学学部を卒業している現状だ。 (例えば、国会答弁の場で官僚が用意した原稿を読むしか能の無い、徹底して“官僚主導”を貫く野田総理とて早稲田大学政経学部出身のようだ。 この野田氏が示す通り、他人が書いた原稿を読むにもある程度の学力や論理性は必須なのであるぞ。 )
繰り返すが、この17歳の少女が「政治家」を夢見ていること自体に関しては原左都子は異論はない。
だが、既に少女が17歳ともなっている現状において今現在努力するべきこととは、政治家になるために最低限必要な学力や資質を身につける事ではあるまいか?
若い時期に見聞した強盗殺人事件に心を痛める経験ももちろん不可欠である。 そんな心の痛みや虚無感を抱いて自己の心情を磨きつつ、一方で今現在は自分がやるべき学問に精進して欲しいものだ。
「政治家」とはそれが国家であれ地方自治体であれ、国民や市民の“指導者”として君臨することを使命とした職業なのだ。 そんな“指導者”が国民市民の目線から「馬鹿」な存在であっては絶対に通用し得ない“極限に厳しい職業”であることを今一度自覚した上で、若者よ、自分の夢を叶えようかね…。
ところで、今回の朝日新聞“悩みのるつぼ”の回答者は 評論家の岡田斗司夫氏 であられた。
この岡田氏から過去において「原左都子エッセイ集」へコメントを頂戴している。(いつまでもこの事実を虎視眈々と利用させていただき申し訳ない話だが…)
今回の“悩みのるつぼ”の岡田斗司夫氏の回答が素晴らしく、この原左都子も感銘させていただいたのだ。
そこで、このエッセイの最後に 「あなたが目指すべきは“民間政治家”」 と題する岡田氏の回答を紹介して締めくくることにしよう。
政治家の存在意義はもう終わっている。 過去150年間日本では“最優秀の人材が政治家や官僚になるべき”と考え実行して来たが、この試みは完全に失敗だった。 頭のよい政治家は「最優秀な犯罪者」に成り下がっている。
政治家など僕やあなたのような「二流」程度の普通の人で十分だ。 では、相談高校生のような人は何を目指すべきか? 答えは「民間政治家」である。 日本国民全員を幸せにしなくて構わない。自分の目が届くたった数百人や数千人を助けてあげればよい。 1億人を幸せにしようと思った政治家が喧嘩ばかりをした結果、皆が放ったらかしになる。
本当に世のためを目指すならば「民間政治家」こそがオススメだ。
(以上、岡田斗司夫氏の回答より要約引用。)
今回の我がエッセイの表題である 「子ども達は何を根拠に職業選択をするのだろう?」 の理想像とは、既に過ぎ去った150年前にその答があったのかもしれない。
ところが、市民の想像を絶する程に時代が大きく変遷してしまっている。 150年前の理想論を持ち出して今の子ども達に夢を持たせようとしたところで、この世は行き詰るばかりであろう。
そんな時代に於いて、今時の若者の悩み相談に応えて岡田氏が提案される「民間政治家」を目指そうとの回答に私も賛同申し上げたい。
ただ原左都子として願わくば、何処の道を志そうとも若者にはやはり勉学に励み続けて欲しいものだ。
「民間政治家」を目指すに当たっても、学力とは必ずや物を言うはずだからである。
事の発端は、当「原左都子エッセイ集」でお馴染みの朝日新聞別刷「be」“悩みのるつぼ”である。 このコーナーの1月28日の相談が、17歳高校2年女子による 「政治家になり事件を防ぎたい」 だったのだ。
早速、上記相談を以下に要約して紹介しよう。
高校2年の女子だが、唐突ではあるがなぜ殺人事件など存在するのだろう。 先日も某マホービン企業の元副社長氏が強盗殺人の被害者となった事件があった。あまりにも痛まし過ぎ、涙が溢れる。 この被害者氏は若い頃には一生懸命勉強したであろうし、晩年には寄付等により社会貢献にも力を注いでいる。 私など足元にも及ばぬ尊敬できる立派な方だったと思う。 このような事件に接する度、私は怒り悲しみ虚無感に襲われる。 ところで私は将来の職業として政治家を志している。 そんな私に今回のような事件を減らすために何が出来るのか、具体的にお聞きしたい。 例えば私は、単身暮らしのお年寄りが存在する等の高齢化社会の事情や、年金問題など社会保障制度をどうするのか等の問題が浮かぶ。 それらは全て政治の力をもってすればある程度対処できるのか、ご助言をお願いしたい。
(以上、朝日新聞“悩みのるつぼ”の相談内容を要約)
とりあえず原左都子の私論に入ろう。
“とりあえず”と表現するのは、この投稿を何度読み返しても、この女子高校生が一体何を相談したかったのかが私には論理的に伝わって来ないのだ。
いや、相手はたかが17歳の高校生である。 将来政治家になりたいとの夢を持つ事自体はもちろん自由であるし、強盗殺人事件報道に触れて怒り悲しみ虚無感に襲われるのも私とて同様であるから、その気持ちも分かる。
今一度上記相談内容を私なりに整理すると、相談女子高校生が「政治家」を志したのはこの事件報道に接するずっと以前の事だったようだ。 その志望根拠に関しては一切書かれていないため、何故この女子高校生の将来の夢が「政治家」であるのかは不明である。
その一方で、女子高校生は強盗殺人事件の被害者が“立派”な人物であったことに心を痛め、高齢化社会問題等の社会保障制度問題とは政治の力を持ってすれば対処できるのか?と問うている。
う~~~ん、やはり申し訳ないが原左都子にはこの17歳少女の論理は理解し難いなあ……
現在高校2年生にして政治家を目指しているという事は、大学の進路希望はおそらく「政経学部」や「法学部」といったところであろう。 政治家になるための最低条件として、まず相当の学力がないことにはその道を成就できないと私は捉える。 そのため、おそらくこの少女は自分の志望大学学部を目指して現在受験勉強に励んでいることであろう。 (いえいえ、今時はタレント議員も多い現状だから、政治家になるためにはその手の“脇道”を考慮するとの手立てもあろうか??)
再度老婆心ながら原左都子個人的には、この女子高校生の相談内容が“論理性に欠けて”幼稚であることがどうしても気に掛かる。 これで、政治家になるべく目指す大学学部に入学可能なのだろうか、と…。
いくら現在現役の政治家達が“体たらく”状態であるとはいえ、彼ら(彼女ら)は“一応”名立たる大学学部を卒業している現状だ。 (例えば、国会答弁の場で官僚が用意した原稿を読むしか能の無い、徹底して“官僚主導”を貫く野田総理とて早稲田大学政経学部出身のようだ。 この野田氏が示す通り、他人が書いた原稿を読むにもある程度の学力や論理性は必須なのであるぞ。 )
繰り返すが、この17歳の少女が「政治家」を夢見ていること自体に関しては原左都子は異論はない。
だが、既に少女が17歳ともなっている現状において今現在努力するべきこととは、政治家になるために最低限必要な学力や資質を身につける事ではあるまいか?
若い時期に見聞した強盗殺人事件に心を痛める経験ももちろん不可欠である。 そんな心の痛みや虚無感を抱いて自己の心情を磨きつつ、一方で今現在は自分がやるべき学問に精進して欲しいものだ。
「政治家」とはそれが国家であれ地方自治体であれ、国民や市民の“指導者”として君臨することを使命とした職業なのだ。 そんな“指導者”が国民市民の目線から「馬鹿」な存在であっては絶対に通用し得ない“極限に厳しい職業”であることを今一度自覚した上で、若者よ、自分の夢を叶えようかね…。
ところで、今回の朝日新聞“悩みのるつぼ”の回答者は 評論家の岡田斗司夫氏 であられた。
この岡田氏から過去において「原左都子エッセイ集」へコメントを頂戴している。(いつまでもこの事実を虎視眈々と利用させていただき申し訳ない話だが…)
今回の“悩みのるつぼ”の岡田斗司夫氏の回答が素晴らしく、この原左都子も感銘させていただいたのだ。
そこで、このエッセイの最後に 「あなたが目指すべきは“民間政治家”」 と題する岡田氏の回答を紹介して締めくくることにしよう。
政治家の存在意義はもう終わっている。 過去150年間日本では“最優秀の人材が政治家や官僚になるべき”と考え実行して来たが、この試みは完全に失敗だった。 頭のよい政治家は「最優秀な犯罪者」に成り下がっている。
政治家など僕やあなたのような「二流」程度の普通の人で十分だ。 では、相談高校生のような人は何を目指すべきか? 答えは「民間政治家」である。 日本国民全員を幸せにしなくて構わない。自分の目が届くたった数百人や数千人を助けてあげればよい。 1億人を幸せにしようと思った政治家が喧嘩ばかりをした結果、皆が放ったらかしになる。
本当に世のためを目指すならば「民間政治家」こそがオススメだ。
(以上、岡田斗司夫氏の回答より要約引用。)
今回の我がエッセイの表題である 「子ども達は何を根拠に職業選択をするのだろう?」 の理想像とは、既に過ぎ去った150年前にその答があったのかもしれない。
ところが、市民の想像を絶する程に時代が大きく変遷してしまっている。 150年前の理想論を持ち出して今の子ども達に夢を持たせようとしたところで、この世は行き詰るばかりであろう。
そんな時代に於いて、今時の若者の悩み相談に応えて岡田氏が提案される「民間政治家」を目指そうとの回答に私も賛同申し上げたい。
ただ原左都子として願わくば、何処の道を志そうとも若者にはやはり勉学に励み続けて欲しいものだ。
「民間政治家」を目指すに当たっても、学力とは必ずや物を言うはずだからである。